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第14話 目標まであと何ミリ
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クラリッサが案内をされたのは王宮の中でも国賓などを招く貴賓室。
「こちらです」と先導する従者について歩くだけだが違いが判る。足元が浮くのだ。ふわふわと自身の体重すら忘れてしまうような浮遊感を感じる毛足の長い絨毯。天井は格子状になっているがその格子が額縁に見える宗教画が描かれているし、壁は木目調なのに年輪の模様が湖の湖岸を描くように連なっている。
すんすんと鼻をヒクつかせれば「とってもいい香り」がする。
あれは何歳の頃だったのか。つまらないアドバイスをくれた父方の祖父母ではなく母方の祖父母が住まう領地に行った際に湯が沸き出る岩場があり、ヒノキという板材で作った湯船のある湯殿で嗅いだ木の香りに似ている気がする。
「こちらで少々お待ちください。お飲み物は・・・紅茶で宜しいでしょうか?」
「飲み物?!そんなサービスもあるんですか?!」
「なんでしたら甘い菓子もご用意致しますよ」
――ごくり・・・お菓子もOKだなんて・・・明日死ぬのかしら――
そんな事を思いながらもクラリッサの脳内は大忙し。
伯爵位以上は家族で半強制参加(但し留学中や騎士で護衛任務中、急患当番の医師などは除く)の夜会。いつも思っていたのだ。給仕がトレイに載せて配られるのは未成年は飲めないアルコールばかり。
しかし会場の一画には「誰も手を付けない」区画がある。そこには見るだけで涎が出そうな料理やデザートがずらりと並べられている。そこにだけは喉の奥から幸福を感じられそうな各種の果実水があった。
11歳の時だった。あの質屋を生業としているメアリーが「ライチ水」を飲んだのだ。
『我が生涯に一片の悔い無し!!と言いたいところだけど願わくば・・・もう一杯!』
『そんなに美味しかったの?!』
『そうね。例えるなら・・・砂漠の乾きも一瞬で潤う感じ?』
『例えが判らないわよ!』
『私だって判らないわよ。それくらい美味しいってこと!』
――って、ことはライチ水ね――
「あのぅ…ライチ水をお願いできますか?」
言ってしまった!もう後戻りはできないが、どうせならケーキも!!
欲が出てしまうのは仕方がない。
一度でいいので幾重にもトレーが塔のようになった容器に飾られているプチケーキを全種類制覇したかった。
――頼んじゃって良いのかしら――
「ライチ水?えぇ構いませんよ。ケーキもお持ち致しますね」
――わぁお!言わずとも心を読んでくれる!流石は王宮の従者だわ――
従者が出て行ったあと、部屋をグルリと眺めてみるが高級品の宝庫だった。
待つこと3分。小さくノックの音がしてワゴンをついた女性が入ってくる。ワゴンの上には・・・。
――妄想中なのかしら…あの塔みたいな入れ物が見えるんだけど?――
カチャカチャと心地よい音をさせて女性がテーブルの上に菓子と茶器を並べていく。
「あれ?ライチ水って言ったのに」と思ったが、「ご自由にどうぞ」と香りだけで最高級品と解る茶葉の香りが漂ってくる。
そして念願のライチ水が、コースターの上にちょこんと置かれた。
――わぁ!氷!氷だわ。氷も食べていいのかしら――
友人のレーナが公爵家の茶会にお呼ばれした時に、氷入りのレモン水を飲んだそうだがつい氷も口に入れてしまい、『口の中に氷河期が訪れたわ』と言っていた。
『氷河期を知っているの?!』
『えぇ。本で読んだわ』
氷河期を実際に体験した事が無かったレーナだが話を聞いた全員が目を閉じ、同じく経験したことのない氷河期を思い浮かべたのは言うまでもない。
冬の間に氷室に保管する氷は貴重品。口にできる人間は数えるほどしかいない。
「どうぞ。もう少しお待ちくださいませ」
――永遠に待ちます!――
女性が出て行ったあとは先ず塔になった菓子の殿堂を目で楽しむ。
「まるで夢のようだわ。これ・・・全部食べていいのよね??」
頂部は十字になっていて触れるとクルクルと回る。1種類につき1口サイズのプチケーキが17種類もあるではないか。
「どうして私!バスケットを持ってこなかったの!!悔やまれる!!」
国王生誕祭だ。ドレスや宝飾品で着飾っているのに日常を思わせるバスケットを持参するはずがない。頭では解っていてもクラリッサは足をバタバタ、上半身も腋を締めて左右に体を捩じり、喜びを爆発させた。
そぉ~っと手を伸ばし、プチケーキまであと2cmだった。
ガチャリ。
――うそやぁん!!もう少し待てって言ったじゃなーい!!――
既の所で届かなかった指。クラリッサは逆そぉ~っとで手を引っ込めた。
しかし、部屋に入って来たのは遅れて到着した両親。
「クラリッサ。いったいお前、何をしたんだ」
「そうよ。到着するなり案内の人がいるなんて初めてよ」
「私が知る訳ないでしょう。なんだかもう・・・お父様とお母様だなんて・・・」
両親もこんな豪華も豪華、豪華すぎるを具現化した部屋に入った事など無い。きょろきょろとしながらクラリッサの隣に腰を下ろした。ただし夫人だけはドレスが邪魔をするので専用椅子が用意される。
細かい気配り。流石は王城である。
――よし、じゃ、食べるわよ――
両親なら気兼ねは不要。なんせ「どうぞ」と言われたのだ。飲み物だってリクエストしたライチ水。私が食べずして誰が食べるというの!!クラリッサは「ムフフ♡」再度手を伸ばした。
先ほどよりは速度のついた手。プチケーキまであと5mmだった。
ガチャリ!!
――殺す!!――
部屋に滑るように入って来たのは、それはそれは見事な東洋の最上級謝罪、土下座を繰り広げたザカライアだった。
「こちらです」と先導する従者について歩くだけだが違いが判る。足元が浮くのだ。ふわふわと自身の体重すら忘れてしまうような浮遊感を感じる毛足の長い絨毯。天井は格子状になっているがその格子が額縁に見える宗教画が描かれているし、壁は木目調なのに年輪の模様が湖の湖岸を描くように連なっている。
すんすんと鼻をヒクつかせれば「とってもいい香り」がする。
あれは何歳の頃だったのか。つまらないアドバイスをくれた父方の祖父母ではなく母方の祖父母が住まう領地に行った際に湯が沸き出る岩場があり、ヒノキという板材で作った湯船のある湯殿で嗅いだ木の香りに似ている気がする。
「こちらで少々お待ちください。お飲み物は・・・紅茶で宜しいでしょうか?」
「飲み物?!そんなサービスもあるんですか?!」
「なんでしたら甘い菓子もご用意致しますよ」
――ごくり・・・お菓子もOKだなんて・・・明日死ぬのかしら――
そんな事を思いながらもクラリッサの脳内は大忙し。
伯爵位以上は家族で半強制参加(但し留学中や騎士で護衛任務中、急患当番の医師などは除く)の夜会。いつも思っていたのだ。給仕がトレイに載せて配られるのは未成年は飲めないアルコールばかり。
しかし会場の一画には「誰も手を付けない」区画がある。そこには見るだけで涎が出そうな料理やデザートがずらりと並べられている。そこにだけは喉の奥から幸福を感じられそうな各種の果実水があった。
11歳の時だった。あの質屋を生業としているメアリーが「ライチ水」を飲んだのだ。
『我が生涯に一片の悔い無し!!と言いたいところだけど願わくば・・・もう一杯!』
『そんなに美味しかったの?!』
『そうね。例えるなら・・・砂漠の乾きも一瞬で潤う感じ?』
『例えが判らないわよ!』
『私だって判らないわよ。それくらい美味しいってこと!』
――って、ことはライチ水ね――
「あのぅ…ライチ水をお願いできますか?」
言ってしまった!もう後戻りはできないが、どうせならケーキも!!
欲が出てしまうのは仕方がない。
一度でいいので幾重にもトレーが塔のようになった容器に飾られているプチケーキを全種類制覇したかった。
――頼んじゃって良いのかしら――
「ライチ水?えぇ構いませんよ。ケーキもお持ち致しますね」
――わぁお!言わずとも心を読んでくれる!流石は王宮の従者だわ――
従者が出て行ったあと、部屋をグルリと眺めてみるが高級品の宝庫だった。
待つこと3分。小さくノックの音がしてワゴンをついた女性が入ってくる。ワゴンの上には・・・。
――妄想中なのかしら…あの塔みたいな入れ物が見えるんだけど?――
カチャカチャと心地よい音をさせて女性がテーブルの上に菓子と茶器を並べていく。
「あれ?ライチ水って言ったのに」と思ったが、「ご自由にどうぞ」と香りだけで最高級品と解る茶葉の香りが漂ってくる。
そして念願のライチ水が、コースターの上にちょこんと置かれた。
――わぁ!氷!氷だわ。氷も食べていいのかしら――
友人のレーナが公爵家の茶会にお呼ばれした時に、氷入りのレモン水を飲んだそうだがつい氷も口に入れてしまい、『口の中に氷河期が訪れたわ』と言っていた。
『氷河期を知っているの?!』
『えぇ。本で読んだわ』
氷河期を実際に体験した事が無かったレーナだが話を聞いた全員が目を閉じ、同じく経験したことのない氷河期を思い浮かべたのは言うまでもない。
冬の間に氷室に保管する氷は貴重品。口にできる人間は数えるほどしかいない。
「どうぞ。もう少しお待ちくださいませ」
――永遠に待ちます!――
女性が出て行ったあとは先ず塔になった菓子の殿堂を目で楽しむ。
「まるで夢のようだわ。これ・・・全部食べていいのよね??」
頂部は十字になっていて触れるとクルクルと回る。1種類につき1口サイズのプチケーキが17種類もあるではないか。
「どうして私!バスケットを持ってこなかったの!!悔やまれる!!」
国王生誕祭だ。ドレスや宝飾品で着飾っているのに日常を思わせるバスケットを持参するはずがない。頭では解っていてもクラリッサは足をバタバタ、上半身も腋を締めて左右に体を捩じり、喜びを爆発させた。
そぉ~っと手を伸ばし、プチケーキまであと2cmだった。
ガチャリ。
――うそやぁん!!もう少し待てって言ったじゃなーい!!――
既の所で届かなかった指。クラリッサは逆そぉ~っとで手を引っ込めた。
しかし、部屋に入って来たのは遅れて到着した両親。
「クラリッサ。いったいお前、何をしたんだ」
「そうよ。到着するなり案内の人がいるなんて初めてよ」
「私が知る訳ないでしょう。なんだかもう・・・お父様とお母様だなんて・・・」
両親もこんな豪華も豪華、豪華すぎるを具現化した部屋に入った事など無い。きょろきょろとしながらクラリッサの隣に腰を下ろした。ただし夫人だけはドレスが邪魔をするので専用椅子が用意される。
細かい気配り。流石は王城である。
――よし、じゃ、食べるわよ――
両親なら気兼ねは不要。なんせ「どうぞ」と言われたのだ。飲み物だってリクエストしたライチ水。私が食べずして誰が食べるというの!!クラリッサは「ムフフ♡」再度手を伸ばした。
先ほどよりは速度のついた手。プチケーキまであと5mmだった。
ガチャリ!!
――殺す!!――
部屋に滑るように入って来たのは、それはそれは見事な東洋の最上級謝罪、土下座を繰り広げたザカライアだった。
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