31 / 41
人類の分類
しおりを挟む
ワイワイと賑わうのはロカ子爵家の庭で御座います。
パルカス侯爵家の元使用人さんとそのご家族、そして店舗の改装をして頂く大工さんや棚などを造ってくださる職人さん、ロカ子爵家の使用人さんとそのご家族に、私の両親と兄夫婦もやって来てビュッフェスタイルでの夕食です。
沢山のご馳走の他に、ロカ子爵家の庭にはピザ窯もございますので焼きたてのピザの他に石を組んで作った囲炉裏では肉がクルクルと回ってコンガリロースト。
基本は立食で御座いますけれど、お子様も妊婦さんも高齢者もいますのでテーブルセットもご用意しております。
お店のオープンの日も決まり、容器も続々と届いている毎日。
お店の繫盛もですが、士気を高めるためにも開いてはどうかとアルフォンソ様がご提案くださったのです。
「アルフォンソ様。ありがとうございます。何から何までご尽力頂いて。このご恩は必ずお返しいたします」
「私が好きでやってるんだからいいんだ。アディの思う通りにやればいい」
「アディ??」
「あっ!違うんだ。その…すまない。馴れ馴れしかったな」
「いいんですよ?じゃぁ私も愛称で呼んでしまおうかしら」
「っっっ!!揶揄わないでくれ」
デレる美丈夫。ご馳走様ですわ。なんて眼福なのかしら。
目の保養っていうのは、こういう滅多に見られない所を見られる事を言うのですわね。
しかし、冗談は言わない方が身のため。本当…口は禍の元ですわ。
「じゃぁお言葉に甘えて…アル…いやダメだな。これは両親もそう呼んでいるし‥ミドルネームのカイと呼んでくれると有難い」
「ミドルネームッ?!」
「あぁ、人生でフルネームを名乗る事は余りないんだが、アルフォンソ・カイネドロス・ロカというんだ」
――待って?そんなレアな名前で呼んだら不味い事になるんじゃ?――
そう言えば私は伯爵家なのでミドルネーム…任意ではありますが欲しければ教会でつけて頂く事が出来ます。しかし王族と貴族の一部(王位継承権を持つ者)に限り生まれた時に教会で洗礼をする際、ミドルネームが与えられるのです。
真っ赤になって「カイ…だけど言い難い?」と俯くアルフォンソ様。
三十路まであと数年とは思えない可愛さが御座います。
これぞレア中のレア。ありがとうございます。美丈夫のハニカミ。ご褒美です。
ここで断わってしまうと人には告げないミドルネームまで口にしたのに!!と遺恨を残すかもしれません。
カイル殿下と違ってアルフォンソ様の場合はあの夜の狸寝入り事案が御座いますので「あざとさ」が感じられないのですよね。本当にこの方は3年は待つつもりなんだなって思えるのです。
その中で「ここまでなら大丈夫かな?」っとジワジワ境界を押し広げてくる感じ。
好意を持たれているのは悪い気はしませんし、こういうジワ感がきっと女性の心にはクルのだと思います。
アルフォンソ様に「カイ様」と返そうとした時で御座いました。
庭への入り口付近が騒がしくなります。
何だろうと思えば私の父、カレドス伯爵が声を荒げているのです。
「何かあったようだ。行ってくる。アディはここにいるように」
――アディってもう呼ぶ事決まっちゃったんだ――
アルフォンソ様にしてはかなり思い切った作戦のようにも思えますが、そんなぽわぽわとした考えは直ぐに吹き飛びました。
父が声を荒げていた相手はなんと!パルカス侯爵家のブラウリオ様ではありませんか。
――何故ここに?――
と、思ってもそう言えば面会は自由なのだったと半端ない喪失感に襲われます。
ロカ子爵家でも暇だった2週間、私なりにロカ子爵家の使用人さんのピリピリした感じは伝わっておりました。
日を追うごとに、月を重ねるごとにピリピリが無くなったのはブラウリオ様の面会が無かったからでしょう。最低日数までは取り決めをしておりませんが、別居婚の場合は月に1、2回は面倒でも面会が必要なのです。
私も会いたいと思いませんでしたし、暇だったのは最初の2週間でその後は薬包紙に夢でも包まれて魘されるくらい忙殺されておりましたので、存在をすっかり忘れておりました。
――ロカ子爵家に御厄介になっている一番の原因なのに。私ったら♡――
「ここにいろ」と言われても当事者であれば行くしかありません。
アルフォンソ様も「面会は自由」として私を預かってくれておりますし、父も追い返す事は出来ないのです。
――こんな事ならお店のオープン延期してもう離縁しようかな――
結婚して半年。薬の事業はまだ完全に軌道に乗ったとは言えませんが、ここ数か月の売り上げで支援金はまだ1度しか受け取っていないのでかき集めれば何とか払えるでしょう。
問題は3年の約束を反故にする訳ですから違約金の形で慰謝料を支払う必要があります。
そのお金がまだ捻出出来ないのです。
ブラウリオ様も不貞行為を行っているのですが、この婚姻の状態はその不貞行為から来る3年後の再婚を見据えてのものなので、問えたとしてもお連れ様を3年経たずに屋敷に迎え入れた瑕疵程度となるでしょう。
相殺をしてもお金を受け取っているカレドス家の方が分が悪く、かなりの持ち出しになります。これが白い結婚で離縁ありきの結婚の面倒な所です。
覚悟を決めて人だかりの中を割入り、父とブラウリオ様が言い合いをしている中心部に出ました。
すると…
「あぁ。アドリアナ!会いたかったよ」
――なに?なに?すっごく気持ち悪いんだけど――
ブラウリオ様もそれなりな美丈夫で御座いますけれど、何と言いましょうか。美丈夫にも分類が御座います。
そう、人間(ヒト)を動物界・脊索動物門・哺乳綱・サル目・ヒト科・ヒト属・ヒト種と分類するようにブラウリオ様も分けられると思うのです。
例えば
レオン殿下なら
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・リッチ属・あざとい種
アルフォンソ様さなら
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・リッチ属・キュン種
そしてブラウリオ様は
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・ボンビー属・DV種
なるほど。判りました。私、ブラウリオ様を生理的に受け付けないんですわ。
今更ですが。
パルカス侯爵家の元使用人さんとそのご家族、そして店舗の改装をして頂く大工さんや棚などを造ってくださる職人さん、ロカ子爵家の使用人さんとそのご家族に、私の両親と兄夫婦もやって来てビュッフェスタイルでの夕食です。
沢山のご馳走の他に、ロカ子爵家の庭にはピザ窯もございますので焼きたてのピザの他に石を組んで作った囲炉裏では肉がクルクルと回ってコンガリロースト。
基本は立食で御座いますけれど、お子様も妊婦さんも高齢者もいますのでテーブルセットもご用意しております。
お店のオープンの日も決まり、容器も続々と届いている毎日。
お店の繫盛もですが、士気を高めるためにも開いてはどうかとアルフォンソ様がご提案くださったのです。
「アルフォンソ様。ありがとうございます。何から何までご尽力頂いて。このご恩は必ずお返しいたします」
「私が好きでやってるんだからいいんだ。アディの思う通りにやればいい」
「アディ??」
「あっ!違うんだ。その…すまない。馴れ馴れしかったな」
「いいんですよ?じゃぁ私も愛称で呼んでしまおうかしら」
「っっっ!!揶揄わないでくれ」
デレる美丈夫。ご馳走様ですわ。なんて眼福なのかしら。
目の保養っていうのは、こういう滅多に見られない所を見られる事を言うのですわね。
しかし、冗談は言わない方が身のため。本当…口は禍の元ですわ。
「じゃぁお言葉に甘えて…アル…いやダメだな。これは両親もそう呼んでいるし‥ミドルネームのカイと呼んでくれると有難い」
「ミドルネームッ?!」
「あぁ、人生でフルネームを名乗る事は余りないんだが、アルフォンソ・カイネドロス・ロカというんだ」
――待って?そんなレアな名前で呼んだら不味い事になるんじゃ?――
そう言えば私は伯爵家なのでミドルネーム…任意ではありますが欲しければ教会でつけて頂く事が出来ます。しかし王族と貴族の一部(王位継承権を持つ者)に限り生まれた時に教会で洗礼をする際、ミドルネームが与えられるのです。
真っ赤になって「カイ…だけど言い難い?」と俯くアルフォンソ様。
三十路まであと数年とは思えない可愛さが御座います。
これぞレア中のレア。ありがとうございます。美丈夫のハニカミ。ご褒美です。
ここで断わってしまうと人には告げないミドルネームまで口にしたのに!!と遺恨を残すかもしれません。
カイル殿下と違ってアルフォンソ様の場合はあの夜の狸寝入り事案が御座いますので「あざとさ」が感じられないのですよね。本当にこの方は3年は待つつもりなんだなって思えるのです。
その中で「ここまでなら大丈夫かな?」っとジワジワ境界を押し広げてくる感じ。
好意を持たれているのは悪い気はしませんし、こういうジワ感がきっと女性の心にはクルのだと思います。
アルフォンソ様に「カイ様」と返そうとした時で御座いました。
庭への入り口付近が騒がしくなります。
何だろうと思えば私の父、カレドス伯爵が声を荒げているのです。
「何かあったようだ。行ってくる。アディはここにいるように」
――アディってもう呼ぶ事決まっちゃったんだ――
アルフォンソ様にしてはかなり思い切った作戦のようにも思えますが、そんなぽわぽわとした考えは直ぐに吹き飛びました。
父が声を荒げていた相手はなんと!パルカス侯爵家のブラウリオ様ではありませんか。
――何故ここに?――
と、思ってもそう言えば面会は自由なのだったと半端ない喪失感に襲われます。
ロカ子爵家でも暇だった2週間、私なりにロカ子爵家の使用人さんのピリピリした感じは伝わっておりました。
日を追うごとに、月を重ねるごとにピリピリが無くなったのはブラウリオ様の面会が無かったからでしょう。最低日数までは取り決めをしておりませんが、別居婚の場合は月に1、2回は面倒でも面会が必要なのです。
私も会いたいと思いませんでしたし、暇だったのは最初の2週間でその後は薬包紙に夢でも包まれて魘されるくらい忙殺されておりましたので、存在をすっかり忘れておりました。
――ロカ子爵家に御厄介になっている一番の原因なのに。私ったら♡――
「ここにいろ」と言われても当事者であれば行くしかありません。
アルフォンソ様も「面会は自由」として私を預かってくれておりますし、父も追い返す事は出来ないのです。
――こんな事ならお店のオープン延期してもう離縁しようかな――
結婚して半年。薬の事業はまだ完全に軌道に乗ったとは言えませんが、ここ数か月の売り上げで支援金はまだ1度しか受け取っていないのでかき集めれば何とか払えるでしょう。
問題は3年の約束を反故にする訳ですから違約金の形で慰謝料を支払う必要があります。
そのお金がまだ捻出出来ないのです。
ブラウリオ様も不貞行為を行っているのですが、この婚姻の状態はその不貞行為から来る3年後の再婚を見据えてのものなので、問えたとしてもお連れ様を3年経たずに屋敷に迎え入れた瑕疵程度となるでしょう。
相殺をしてもお金を受け取っているカレドス家の方が分が悪く、かなりの持ち出しになります。これが白い結婚で離縁ありきの結婚の面倒な所です。
覚悟を決めて人だかりの中を割入り、父とブラウリオ様が言い合いをしている中心部に出ました。
すると…
「あぁ。アドリアナ!会いたかったよ」
――なに?なに?すっごく気持ち悪いんだけど――
ブラウリオ様もそれなりな美丈夫で御座いますけれど、何と言いましょうか。美丈夫にも分類が御座います。
そう、人間(ヒト)を動物界・脊索動物門・哺乳綱・サル目・ヒト科・ヒト属・ヒト種と分類するようにブラウリオ様も分けられると思うのです。
例えば
レオン殿下なら
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・リッチ属・あざとい種
アルフォンソ様さなら
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・リッチ属・キュン種
そしてブラウリオ様は
ヒト界・男性門・3次元綱・ヘルカオレ王国目・美丈夫科・ボンビー属・DV種
なるほど。判りました。私、ブラウリオ様を生理的に受け付けないんですわ。
今更ですが。
応援ありがとうございます!
761
お気に入りに追加
1,284
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる