36 / 38
第33-1話 幸せな事って①
しおりを挟む
ユゴース侯爵家の朝は早い。
夜明けと同時に使用人は働き始め、ユゴース侯爵夫妻は庭を食事の前に散歩する。
ヘレンが朝食を取っている間、クレマンがパンジーの部屋を訪れるのだがこの日は違った。
「こんな朝早くに?」
「はい、フランシス殿下が火急の用件だと」
「父上は?」
「奥様と庭を散策中で御座います」
「判った。私が会うよ」
クレマンはシャツを着ながら従者に答えたが、こんな朝早くにフランシスが動き出す事に嫌な感情が胸に芽生えた。以前にもあった。あのパンジーと初めて会う原因となった日。
敵に気取られないように朝食を作る焚火をいつもの時間より早く行う予定だった。
その為、前夜から焚火をしている場所には多くの枯れ枝を置いており、松明を投げる事で一定数の魔獣の侵攻を阻む事が出来た。
――いや、もう朝なんだ。気にする事は無い――
そう思っても不安は消えない。
クレマンはモヤモヤを抱えたままでフランシスが待つ部屋に向かった。
扉を開けたのはクレマンか、フランシスか。同時にドアノブに力を入れた。
「クレマンっ!早くっ」
「どうしたんです?」
「早く逃げるんだ。少しでも遠い場所に!パンジーを連れて逃げろ」
「待ってください。殿下、いきなり何なのです?」
「父上が勅令を出す。これは私の失態だ・・・パンジーの事を報告したばかりに」
「王太子命令ですか…」
「違うとは言い切れないが・・・少し違う。パンジーは浄化の魔法使いだ。しかも、これまで把握している中で最大規模の魔法使いだ。私は父上にそうではないかと・・・確信めいて話してしまった。そうする事でお前とパンジーを守れると思ったから」
「嘘でしょう・・・浄化の魔法使いって・・・」
「判るだろう!?眠れ草、狂い草オレール村にはもうない。根まで枯れているんだ。パンジーの行く先々で起こる現象。あれは器から漏れ出した魔力だ。いいか?私が転移で出来るだけ遠くに飛ばす。絶対に王都に戻るな!いいなっ!」
クレマンも考えたことが無かった訳ではない。
稀有な力を持つ者が長く生きられなかった本当の理由も知っている。
――でも、まさか――
立ったまま動かないクレマンの頬をフランシスは張った。
「時間がないんだ!」
「でも、そうしたら殿下は?!」
「私の事は良い!なんとでもなる!」
フランシスはクレマンの腕を掴み、勝手知ったるなんとやらでパンジーの部屋まで来た。突然現れたフランシスとクレマン。ヘレンはパンジーを隠すように手を広げた。
「女性の部屋ですよ!出て行ってください!」
「今はそんな決まり事を言ってる時じゃない。直ぐに当面の荷を纏めろ」
フランシスがヘレンに言う。しかしヘレンは動かなかった。
クレマンはパンジーの元に行き、手を握った。
「陛下が勅令を出す」
「勅令、なんの勅令です?」
「君を王家が囲むという勅令だ。二度と城からは外に出られなくなる」
「どう言う…」
フランシスは、持ってきた金貨、宝飾品、そして指にはめている指輪を抜き取りパンジーの寝台に置いた。
「当面の路銀にはなる。早く準備をするんだ。父上は相手は私でなくてもいい。とにかくパンジー。君の能力を引き継いだ子を産ませられるだけ産ませるつもりだ。なんとか今日まで抑えたが限界に来た。逃げるしかない!私の力で出来るだけ遠くに飛ばす!早く準備を!」
パンジーはフランシスの言葉を聞いて、「はて?」と考え込んだ
「考えている暇なんかないんだ!」
「暇ではなくて・・・考える必要もないのでは?と思いまして」
「はっ?」
「だって、私はクレマン様の妻で御座いましょう?」
暢気なパンジーの答えにクレマンもフランシスも動きが止まった。
「あら?違いました?届けはまだ出してないと聞いたと思いますが」
「あ、あぁ、出してない。俺と君はまだ夫婦だ」
「なら殿下とだけでなく、他の方と関係を持つこともありません」
「だが勅令を父上が出せば!!」
「勅令を出されるほどの価値が私にあるとは思えません」
<< あるんだって! >>
フランシスの「ある」は浄化の魔法と言う力について。
クレマンはそれにプラスしてかなり私情が混じっているのは仕方のない事。
自分の価値を知らないのはあまりにも大きな浄化魔法があるからに他ならない。フランシスはパンジーが持つ魔力についての説明をした。
「やっぱり!そうだと思ってたんです!」
ヘレンもフランシスの言葉に賛同をしたが、パンジーはチラっとクレマンを見る。
――ドキッ!もしかして・・・城に行くとか言わないよな――
嫌な予感と言うのは、度合いが大きければ大きいほどに当たるもの。
「じゃぁ、猶更です。城に参ります。今なら無理矢理連れて行かれる事は無いのでしょう?」
「だが!自ら危険な場所に行く事なんかないんだ!」
フランシスもクレマンもヘレンも「逃げよう」と急かした。
★~★この文末は完結後につけ足した部分です★~★
「なぁ、一緒に行こう?」
「ブルッ!」
「ほら、クレマンは抜けてる所もあるだろう?気が付いてないんだってば」
「ブルルル!ブゥブゥブルッ」
厩舎から出ようとしないウィー号。
ウィー号、実は「お家、大好きっ子」なので、ユゴース侯爵家の厩舎が大好き。
初恋はユゴース侯爵家の馬屋番ダービー氏。御年68歳。
生まれてフルフルと立ち上がる際に「もう少しだ!」と声をかけられ、立ち上がった時に初めてみた異性が還暦近くのダービー氏。
「仕方ない。あとでダービーに迎えに来てもらうとするか」
「ブフッ♡」
愛しいダービー氏を背中に乗せてユゴース侯爵家までのランデブー。
そう思ったのだが、迎えに来たのはダービー氏の細君、ミタクィーン。ウィー号が永遠に勝てない最強のライバルだった。
――ブルルル!!ブグゥブフッ――
前足を踏ん張り、首をブンブンと振って帰宅を拒否するウィー号。
しかしダービー氏が迎えに来られない訳があった。
ダービー氏は現在痛風とギックリ腰で動ける状態ではなかった。
甘いものが好きなわけでなく単にプリン体を若い頃からガンガン摂取。
干物を炙り酒を飲むのが習慣だったダービー氏。
【ワシの体はプリン体とアルコールで出来ている】が口癖だった。
ウィー号を連れて行けなかったフランシスは1人で早朝ユゴース侯爵家に乗り込む事になったのだった。
帰宅拒否のウィー号はその後も王宮の厩舎に居候を決め込む事にした。
「フンフンフフン!!ブルルッ」
しかし、この後王太子妃殿下の愛馬、アーザ号が骨折の療養から戻って来た事で事態は急展開を迎える。
ウィー号とアーザ号は恋に落ちたのだ。
ウィー号も乙女。黒毛のアーザ号の引き締まった肢体にはズギュゥン♡
魔道馬も恋に落ちるのである。
この物語が終わり、クレマンとパンジーが手を繋いで草原デートに出掛けた頃。
ウィー号は母になるのである。
生まれた仔馬は ワールド号と名付けられた。
ウィー号、アーザ号、ワールド号。3頭は今日も仲良く牧場を走っている。
※ダービー氏の妻、ミタクィーン・・・3択・・・女王・・・
夜明けと同時に使用人は働き始め、ユゴース侯爵夫妻は庭を食事の前に散歩する。
ヘレンが朝食を取っている間、クレマンがパンジーの部屋を訪れるのだがこの日は違った。
「こんな朝早くに?」
「はい、フランシス殿下が火急の用件だと」
「父上は?」
「奥様と庭を散策中で御座います」
「判った。私が会うよ」
クレマンはシャツを着ながら従者に答えたが、こんな朝早くにフランシスが動き出す事に嫌な感情が胸に芽生えた。以前にもあった。あのパンジーと初めて会う原因となった日。
敵に気取られないように朝食を作る焚火をいつもの時間より早く行う予定だった。
その為、前夜から焚火をしている場所には多くの枯れ枝を置いており、松明を投げる事で一定数の魔獣の侵攻を阻む事が出来た。
――いや、もう朝なんだ。気にする事は無い――
そう思っても不安は消えない。
クレマンはモヤモヤを抱えたままでフランシスが待つ部屋に向かった。
扉を開けたのはクレマンか、フランシスか。同時にドアノブに力を入れた。
「クレマンっ!早くっ」
「どうしたんです?」
「早く逃げるんだ。少しでも遠い場所に!パンジーを連れて逃げろ」
「待ってください。殿下、いきなり何なのです?」
「父上が勅令を出す。これは私の失態だ・・・パンジーの事を報告したばかりに」
「王太子命令ですか…」
「違うとは言い切れないが・・・少し違う。パンジーは浄化の魔法使いだ。しかも、これまで把握している中で最大規模の魔法使いだ。私は父上にそうではないかと・・・確信めいて話してしまった。そうする事でお前とパンジーを守れると思ったから」
「嘘でしょう・・・浄化の魔法使いって・・・」
「判るだろう!?眠れ草、狂い草オレール村にはもうない。根まで枯れているんだ。パンジーの行く先々で起こる現象。あれは器から漏れ出した魔力だ。いいか?私が転移で出来るだけ遠くに飛ばす。絶対に王都に戻るな!いいなっ!」
クレマンも考えたことが無かった訳ではない。
稀有な力を持つ者が長く生きられなかった本当の理由も知っている。
――でも、まさか――
立ったまま動かないクレマンの頬をフランシスは張った。
「時間がないんだ!」
「でも、そうしたら殿下は?!」
「私の事は良い!なんとでもなる!」
フランシスはクレマンの腕を掴み、勝手知ったるなんとやらでパンジーの部屋まで来た。突然現れたフランシスとクレマン。ヘレンはパンジーを隠すように手を広げた。
「女性の部屋ですよ!出て行ってください!」
「今はそんな決まり事を言ってる時じゃない。直ぐに当面の荷を纏めろ」
フランシスがヘレンに言う。しかしヘレンは動かなかった。
クレマンはパンジーの元に行き、手を握った。
「陛下が勅令を出す」
「勅令、なんの勅令です?」
「君を王家が囲むという勅令だ。二度と城からは外に出られなくなる」
「どう言う…」
フランシスは、持ってきた金貨、宝飾品、そして指にはめている指輪を抜き取りパンジーの寝台に置いた。
「当面の路銀にはなる。早く準備をするんだ。父上は相手は私でなくてもいい。とにかくパンジー。君の能力を引き継いだ子を産ませられるだけ産ませるつもりだ。なんとか今日まで抑えたが限界に来た。逃げるしかない!私の力で出来るだけ遠くに飛ばす!早く準備を!」
パンジーはフランシスの言葉を聞いて、「はて?」と考え込んだ
「考えている暇なんかないんだ!」
「暇ではなくて・・・考える必要もないのでは?と思いまして」
「はっ?」
「だって、私はクレマン様の妻で御座いましょう?」
暢気なパンジーの答えにクレマンもフランシスも動きが止まった。
「あら?違いました?届けはまだ出してないと聞いたと思いますが」
「あ、あぁ、出してない。俺と君はまだ夫婦だ」
「なら殿下とだけでなく、他の方と関係を持つこともありません」
「だが勅令を父上が出せば!!」
「勅令を出されるほどの価値が私にあるとは思えません」
<< あるんだって! >>
フランシスの「ある」は浄化の魔法と言う力について。
クレマンはそれにプラスしてかなり私情が混じっているのは仕方のない事。
自分の価値を知らないのはあまりにも大きな浄化魔法があるからに他ならない。フランシスはパンジーが持つ魔力についての説明をした。
「やっぱり!そうだと思ってたんです!」
ヘレンもフランシスの言葉に賛同をしたが、パンジーはチラっとクレマンを見る。
――ドキッ!もしかして・・・城に行くとか言わないよな――
嫌な予感と言うのは、度合いが大きければ大きいほどに当たるもの。
「じゃぁ、猶更です。城に参ります。今なら無理矢理連れて行かれる事は無いのでしょう?」
「だが!自ら危険な場所に行く事なんかないんだ!」
フランシスもクレマンもヘレンも「逃げよう」と急かした。
★~★この文末は完結後につけ足した部分です★~★
「なぁ、一緒に行こう?」
「ブルッ!」
「ほら、クレマンは抜けてる所もあるだろう?気が付いてないんだってば」
「ブルルル!ブゥブゥブルッ」
厩舎から出ようとしないウィー号。
ウィー号、実は「お家、大好きっ子」なので、ユゴース侯爵家の厩舎が大好き。
初恋はユゴース侯爵家の馬屋番ダービー氏。御年68歳。
生まれてフルフルと立ち上がる際に「もう少しだ!」と声をかけられ、立ち上がった時に初めてみた異性が還暦近くのダービー氏。
「仕方ない。あとでダービーに迎えに来てもらうとするか」
「ブフッ♡」
愛しいダービー氏を背中に乗せてユゴース侯爵家までのランデブー。
そう思ったのだが、迎えに来たのはダービー氏の細君、ミタクィーン。ウィー号が永遠に勝てない最強のライバルだった。
――ブルルル!!ブグゥブフッ――
前足を踏ん張り、首をブンブンと振って帰宅を拒否するウィー号。
しかしダービー氏が迎えに来られない訳があった。
ダービー氏は現在痛風とギックリ腰で動ける状態ではなかった。
甘いものが好きなわけでなく単にプリン体を若い頃からガンガン摂取。
干物を炙り酒を飲むのが習慣だったダービー氏。
【ワシの体はプリン体とアルコールで出来ている】が口癖だった。
ウィー号を連れて行けなかったフランシスは1人で早朝ユゴース侯爵家に乗り込む事になったのだった。
帰宅拒否のウィー号はその後も王宮の厩舎に居候を決め込む事にした。
「フンフンフフン!!ブルルッ」
しかし、この後王太子妃殿下の愛馬、アーザ号が骨折の療養から戻って来た事で事態は急展開を迎える。
ウィー号とアーザ号は恋に落ちたのだ。
ウィー号も乙女。黒毛のアーザ号の引き締まった肢体にはズギュゥン♡
魔道馬も恋に落ちるのである。
この物語が終わり、クレマンとパンジーが手を繋いで草原デートに出掛けた頃。
ウィー号は母になるのである。
生まれた仔馬は ワールド号と名付けられた。
ウィー号、アーザ号、ワールド号。3頭は今日も仲良く牧場を走っている。
※ダービー氏の妻、ミタクィーン・・・3択・・・女王・・・
54
お気に入りに追加
2,883
あなたにおすすめの小説
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
完結 勇者様、己の実力だといつから勘違いしてたんですか?
音爽(ネソウ)
恋愛
勇者だと持ち上げられた彼はこれまでの功績すべてが自分のものと思い込む。
たしかに前衛に立つ彼は目立つ存在だった、しかしペアを組んだ彼女がいてこそなのだが……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
貴方の子どもじゃありません
初瀬 叶
恋愛
あぁ……どうしてこんなことになってしまったんだろう。
私は眠っている男性を起こさない様に、そっと寝台を降りた。
私が着ていたお仕着せは、乱暴に脱がされたせいでボタンは千切れ、エプロンも破れていた。
私は仕方なくそのお仕着せに袖を通すと、止められなくなったシャツの前を握りしめる様にした。
そして、部屋の扉にそっと手を掛ける。
ドアノブは回る。いつの間にか
鍵は開いていたみたいだ。
私は最後に後ろを振り返った。そこには裸で眠っている男性の胸が上下している事が確認出来る。深い眠りについている様だ。
外はまだ夜中。月明かりだけが差し込むこの部屋は薄暗い。男性の顔ははっきりとは確認出来なかった。
※ 私の頭の中の異世界のお話です
※相変わらずのゆるゆるふわふわ設定です。ご了承下さい
※直接的な性描写等はありませんが、その行為を匂わせる言葉を使う場合があります。苦手な方はそっと閉じて下さると、自衛になるかと思います
※誤字脱字がちりばめられている可能性を否定出来ません。広い心で読んでいただけるとありがたいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる