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第01話 食堂ライトと宿屋レフト
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バルバトル王国は時折、爆発的に増殖して田畑の収穫物を食い荒らす魔獣に悩まされていた。バランスが取れていればゆっくりでも分解されて大地に取り込まれる魔獣の毒。爆発的に増えるとその死骸は自然の浄化能力を超えてしまい大地を汚染する。
土に沁み込んだ魔獣の体液は水も汚染するため、生水は飲めたものではなく、そこかしこにアメーバ状になったものが幾つも転がって、時に川をプカプカ浮いて流れていた。
年月が経てば川にもそのような固形物は浮かばなくなるが、やっと「水」になった頃にまた爆発的に魔獣が増えての繰り返し。
王都では水系統の魔法を使える魔法使いは王家や貴族に囲われて、飲み水を作るために働かされる。一般の民衆は雨水を貯めて沸騰させて飲料水にする。
掃除や洗濯にまで水を回すことは出来ないので、水や湯で体を洗う事は無いし、服も臭いがキツくなるか虱などがもう取り切れないとなれば新しい服に着替える。
土と水が魔獣に汚染された国がバルバトル王国。
そんな魔法の国、バルバトル王国にあるオレール村‥‥にある食堂ライト。
今日も営業時間には女将の怒号が飛ぶ。
「何やってんだい!ぐずぐずしてんじゃないよ!」
「は、はい!今すぐ!」
昼食時は店の中は戦場。
客の回転率が良いのは良いのだが、店員は大変。
注文を取り、ただ運ぶだけではなく運んでいる途中で追加注文を受ける事もあれば、食事が終わった客の勘定を済ませて食器を引く。
「まだなのか!」注文して5分も経っていないのに急かす客の怒声に「すみません」と詫びつつ厨房に確認をしていれば「何やってんだい!2番テーブル片付けな!」と女将にどやされる。
やっと一息つけるかと思えば、そうでもない。
夜に宿屋で提供する食材の仕込みが始まる。
「今日はお客さん、多かったね~」
「連休初日だもん。これが5日続くかと思うとツラぁい」
「こういう時は時給をちょっとでいいから上乗せして欲しいよね」
「無理無理。お店をまた広げるみたい。そっちにお金かかるでしょ?」
いつものように「年期奉公が明けたら」と夢を語るヘレンと食材の下処理をする。
サンドラは夕方からオレール村唯一の宿屋レフトでも仕事がある。手を休めることなく次のジャガイモを手に取った。
★~★
片田舎のオレール村にある食堂ライトと宿屋レフト。
サンドラが働き始めてもうすぐ3年になる。
隣でジャガイモの芽をナイフのアゴで抉るように取っているのは1年前から働き始めたヘレン。実家は貧しい農家で2女だが出生順では7番目。
貧乏子沢山で食い扶持を減らすために働ける年齢になった子供は奉公と言えば聞こえがいいが、3~5年契約で売りに出される。ヘレンも御多分に洩れず売りに出されて買い取ったのが食堂ライトと宿屋レフトを経営する領主の妻で女将のベリー。
10万ゼラの給金は最低賃金から住居費やら食費が天引きされてヘレンの手には1万ゼラほどしか残らない。それでも職にも就けず街角に立つよりはずっといい。ヘレンは恵まれている方だ。
サンドラも最初の1年はヘレンと同じく薄給だったが、コツコツ貯めた17万ゼラで今は小屋のようなワンルームを借りて住んでいる。
サンドラがオレール村に来た時は、水害で決壊した川の堤防を造り直す工事もそろそろ終わりの時期。それでも昼食や夕食を食堂ライトに求めてやって来る労働者がいたので、なんとか雇ってもらえた。
サンドラがやって来て半年、いや7カ月目だったか。工事が終わった。
本当はその時期に工事に携わった労働者も引き上げるのでクビになる予定だった。
しかし、新しく出来た堤防の完成式典に国王夫妻が視察も兼ねて2週間滞在の予定でやって来て、唯一の宿であるレフトに宿泊。国王夫妻が王都に向けて出立したのは予定を大幅に変更した2カ月後だった。
万年体調不良と皮膚炎に悩まされていた国王夫妻。
オレール村の水が体に合ったのか、水を飲むたび、湯につかるたびに症状が改善されて、王妃に至っては実年齢25歳なのに化粧を落とした肌は盛に盛って40代後半。
乾燥から痒みにも悩まされていたのだが、2週間目で劇的変化。
戦も終わった事だしと滞在予定を2週間から2か月に伸ばし、ゆっくりと休養を取って帰って行った。
国王夫妻が王都に戻ると、オレール村には「水」を求めて人が押し寄せた。別人のように肌が美しくなった国王夫妻のようになりたいと押しかけたのだ。
しかし売るほど水も無い。
諦めて帰るかと思ったら唯一の宿屋に宿泊をした者達に体調改善が顕著に表れた。同じように食堂ライトで食事をした者も食事をする度に体調がよくなると言う不思議な現象が起きた。
以来、休日の度に王都から人々が押し寄せるようになってしまった。
サンドラが雇ってもらった時、食堂ライトは4人用のテーブル席が3つ、カウンター席が5席で、20人も収容出来なかったが、今は4人用のテーブルは27席。6人用が5席、8人用も2席。
調理人も1人だったのが今では5人。給仕もサンドラともう1人だったのにヘレンが加わった。
夜は営業をしていないが、連日満室の宿屋レフトの食事を扱っている。
こちらも最初は3人部屋が4室しかなかったが、今はシングル17室、ツイン8室、ダブル8室。それ以上の人数の客も雑魚寝で良ければと80人を収容。
連泊は王族以外認めておらず公爵家であっても毎日清算。どんなお貴族様でも朝10時のチェックアウトが守れなければブラックリスト。以後の宿泊だけでなく食堂ライトの利用も出来なくなる。
健康には代え難いとみんな利用規約を守る客なので良いのだが、従業員を増やせば人件費が増えるので、ケチな女将は人を雇わず働く者は1人で何役も熟さねばならない。
仕事がない田舎。忙しい事に文句を言ってはいけない。
宿泊をするくらいならオレール村に住んだ方が良いのでは?と思いきや、領主が許可を出さない。
土地の固定資産税が入るのは年に1度だが、宿泊となれば毎日金が落ちるからと・・・とんだ守銭奴領主である。
不思議なのはオレール村の水ならどこの水でも同じと思いきや違う。
効能があると言われているのは食堂ライトの水と宿屋レフトの水のみ。
「不思議よね」
「ホントだわ」
芋の下処理が終わったサンドラとヘレンは仲良く井戸の水を汲み上げる。
ヘレンは「エヘへ」と笑いながら桶の水を先ず手で掬って一口飲む。
「えへ。ここの水、ホント。甘くて美味しい」
ヘレンも雇われた時はニキビが膿んだ顔で「岩石」と揶揄されていたほど。
女将も人前での接客をさせなかったのだが、今では剥きたてのゆで卵肌。
2人は手を洗い、サンドラは宿屋レフトへ、ヘレンは食堂ライトの厨房に向かった。
土に沁み込んだ魔獣の体液は水も汚染するため、生水は飲めたものではなく、そこかしこにアメーバ状になったものが幾つも転がって、時に川をプカプカ浮いて流れていた。
年月が経てば川にもそのような固形物は浮かばなくなるが、やっと「水」になった頃にまた爆発的に魔獣が増えての繰り返し。
王都では水系統の魔法を使える魔法使いは王家や貴族に囲われて、飲み水を作るために働かされる。一般の民衆は雨水を貯めて沸騰させて飲料水にする。
掃除や洗濯にまで水を回すことは出来ないので、水や湯で体を洗う事は無いし、服も臭いがキツくなるか虱などがもう取り切れないとなれば新しい服に着替える。
土と水が魔獣に汚染された国がバルバトル王国。
そんな魔法の国、バルバトル王国にあるオレール村‥‥にある食堂ライト。
今日も営業時間には女将の怒号が飛ぶ。
「何やってんだい!ぐずぐずしてんじゃないよ!」
「は、はい!今すぐ!」
昼食時は店の中は戦場。
客の回転率が良いのは良いのだが、店員は大変。
注文を取り、ただ運ぶだけではなく運んでいる途中で追加注文を受ける事もあれば、食事が終わった客の勘定を済ませて食器を引く。
「まだなのか!」注文して5分も経っていないのに急かす客の怒声に「すみません」と詫びつつ厨房に確認をしていれば「何やってんだい!2番テーブル片付けな!」と女将にどやされる。
やっと一息つけるかと思えば、そうでもない。
夜に宿屋で提供する食材の仕込みが始まる。
「今日はお客さん、多かったね~」
「連休初日だもん。これが5日続くかと思うとツラぁい」
「こういう時は時給をちょっとでいいから上乗せして欲しいよね」
「無理無理。お店をまた広げるみたい。そっちにお金かかるでしょ?」
いつものように「年期奉公が明けたら」と夢を語るヘレンと食材の下処理をする。
サンドラは夕方からオレール村唯一の宿屋レフトでも仕事がある。手を休めることなく次のジャガイモを手に取った。
★~★
片田舎のオレール村にある食堂ライトと宿屋レフト。
サンドラが働き始めてもうすぐ3年になる。
隣でジャガイモの芽をナイフのアゴで抉るように取っているのは1年前から働き始めたヘレン。実家は貧しい農家で2女だが出生順では7番目。
貧乏子沢山で食い扶持を減らすために働ける年齢になった子供は奉公と言えば聞こえがいいが、3~5年契約で売りに出される。ヘレンも御多分に洩れず売りに出されて買い取ったのが食堂ライトと宿屋レフトを経営する領主の妻で女将のベリー。
10万ゼラの給金は最低賃金から住居費やら食費が天引きされてヘレンの手には1万ゼラほどしか残らない。それでも職にも就けず街角に立つよりはずっといい。ヘレンは恵まれている方だ。
サンドラも最初の1年はヘレンと同じく薄給だったが、コツコツ貯めた17万ゼラで今は小屋のようなワンルームを借りて住んでいる。
サンドラがオレール村に来た時は、水害で決壊した川の堤防を造り直す工事もそろそろ終わりの時期。それでも昼食や夕食を食堂ライトに求めてやって来る労働者がいたので、なんとか雇ってもらえた。
サンドラがやって来て半年、いや7カ月目だったか。工事が終わった。
本当はその時期に工事に携わった労働者も引き上げるのでクビになる予定だった。
しかし、新しく出来た堤防の完成式典に国王夫妻が視察も兼ねて2週間滞在の予定でやって来て、唯一の宿であるレフトに宿泊。国王夫妻が王都に向けて出立したのは予定を大幅に変更した2カ月後だった。
万年体調不良と皮膚炎に悩まされていた国王夫妻。
オレール村の水が体に合ったのか、水を飲むたび、湯につかるたびに症状が改善されて、王妃に至っては実年齢25歳なのに化粧を落とした肌は盛に盛って40代後半。
乾燥から痒みにも悩まされていたのだが、2週間目で劇的変化。
戦も終わった事だしと滞在予定を2週間から2か月に伸ばし、ゆっくりと休養を取って帰って行った。
国王夫妻が王都に戻ると、オレール村には「水」を求めて人が押し寄せた。別人のように肌が美しくなった国王夫妻のようになりたいと押しかけたのだ。
しかし売るほど水も無い。
諦めて帰るかと思ったら唯一の宿屋に宿泊をした者達に体調改善が顕著に表れた。同じように食堂ライトで食事をした者も食事をする度に体調がよくなると言う不思議な現象が起きた。
以来、休日の度に王都から人々が押し寄せるようになってしまった。
サンドラが雇ってもらった時、食堂ライトは4人用のテーブル席が3つ、カウンター席が5席で、20人も収容出来なかったが、今は4人用のテーブルは27席。6人用が5席、8人用も2席。
調理人も1人だったのが今では5人。給仕もサンドラともう1人だったのにヘレンが加わった。
夜は営業をしていないが、連日満室の宿屋レフトの食事を扱っている。
こちらも最初は3人部屋が4室しかなかったが、今はシングル17室、ツイン8室、ダブル8室。それ以上の人数の客も雑魚寝で良ければと80人を収容。
連泊は王族以外認めておらず公爵家であっても毎日清算。どんなお貴族様でも朝10時のチェックアウトが守れなければブラックリスト。以後の宿泊だけでなく食堂ライトの利用も出来なくなる。
健康には代え難いとみんな利用規約を守る客なので良いのだが、従業員を増やせば人件費が増えるので、ケチな女将は人を雇わず働く者は1人で何役も熟さねばならない。
仕事がない田舎。忙しい事に文句を言ってはいけない。
宿泊をするくらいならオレール村に住んだ方が良いのでは?と思いきや、領主が許可を出さない。
土地の固定資産税が入るのは年に1度だが、宿泊となれば毎日金が落ちるからと・・・とんだ守銭奴領主である。
不思議なのはオレール村の水ならどこの水でも同じと思いきや違う。
効能があると言われているのは食堂ライトの水と宿屋レフトの水のみ。
「不思議よね」
「ホントだわ」
芋の下処理が終わったサンドラとヘレンは仲良く井戸の水を汲み上げる。
ヘレンは「エヘへ」と笑いながら桶の水を先ず手で掬って一口飲む。
「えへ。ここの水、ホント。甘くて美味しい」
ヘレンも雇われた時はニキビが膿んだ顔で「岩石」と揶揄されていたほど。
女将も人前での接客をさせなかったのだが、今では剥きたてのゆで卵肌。
2人は手を洗い、サンドラは宿屋レフトへ、ヘレンは食堂ライトの厨房に向かった。
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