どうせ離縁できないしとキレた奥様は推し活をすることにした

cyaru

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第04話  社交場を賑わせる噂

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「お聞きになりまして?」

「勿論ですわ。驚きましたわね」


その年は社交シーズンの終盤になって大きなニュースが2つ社交界を賑わせる事になった。

1つは第1王子ダグラスの結婚
もう1つはピエロトロ侯爵家に婿入り&臣籍降下をした元第8王子の子息フェルナンドも婚約をした3日後には結婚をしたというニュースだ。

双方とも大変に喜ばしい事だが、ただ喜ばしいだけではない理由が貴族たちの興味を掻き立て胸を躍らせる。

ダグラスとフェルナンド。

2人の名は広く田舎の国民にまで知らぬ者は居ないと言われるまでに知れ渡っている。
神が造りし美の造形と言われる美丈夫でその姿を一目見たいと2人が参加すると聞いた夜会は招待状を持つ者に「付き人でいいから連れて行ってくれ」と頼む夫人や令嬢が多かった。

だが、誰も相手に選ばれようなんて思ってはいない。

ダグラスには婚約者がいるという理由もあったが、神が与えたのは「見た目」と「出自」だけと言われていて、見るには愉しめるが、相手にしようとは思わない。うっかりお手付きにでもなれば最悪だ。

かたやフェルナンドはその見た目もさることながら、文武両道。出自も問題はないが冷酷無比で何よりも好きなのが戦。命乞いをする捕虜を笑いながら無残に切り刻んだとも噂をされている。


その2人が遂に結婚をする。
それだけでもビッグニュースだが、貴族たちの興味はその先にもあった。

と、いうのも第1王子ダグラスの相手は7年半に及ぶ婚約者、カルレア伯爵の娘セレナではなく、なんと平民のエベリーと言う女性で既に懐妊している事。

そしてフェルナンドの相手が、ダグラスの婚約者だったセレナだからである。

円満な婚約解消にはなっているが、そこに不貞行為があったのは事実でしかも相手は平民。
王妃の件もあり国王が一番に可愛がっていたダグラスだから誰も口にはしなかった不平と不満も合わさって貴族たちは面白おかしく話を盛り上げた。


「殿下の市井遊びもここに極まれりだな。これでダグラス殿下は継承レースから脱落だろう」

「そうなるだろうな。豪商の娘だったとしても先立つものがなければ話にならん」

「そんな事を言って。本音は平民王妃なんぞに頭が下げられるかってところだろうに」

「当たり前だ。そうなってみろ。博打狂いの王に読み書き出来ない王妃だ。寝る間も惜しんで働く羽目になるぞ?ダグラス殿下よりも第2王子殿下の方が仕事も出費も少なくて済むだろう?」

貴族たちの話もハズレてはいない。
次代の国王になるには、継承権を持っている事は当然だが本人の素養であったり人望であったりも必要。そしてそれらを持っていてもさらに「金」は必要だった。

ダグラスは王妃の子ではあるものの、没落した王妃の実家に資金面での期待は出来ない。派閥も中立であることなど総合的に判断してカルレア伯爵家が選ばれていた。

平民のエベリーの親に資金面を期待する事は出来ず、誰もがダグラスは脱落と考えるのも当然の事。

「だが、ピエロトロ侯爵家とは陛下もうまく落としどころをつけたものだ」

「全くだ。王子妃教育も2年かからずに終えたという令嬢だからな。そう簡単には手放すはずもなかろう。次期国王はフェルナンド殿の可能性も出て来たんじゃないか?」

「だがなぁ。無類の戦好きだろう?国防にだけ興味を持たれても困るんだよなぁ」

「だとしてもカルレア家はウハウハだな。確かダグラス殿下の婚約者に選ばれたのも事業の関係で廃家にすることが出来ないから陛下がテコ入れのために目をつけたとも言われているぞ」

「おぉ、私もその話は聞いたことがある。ダグラス殿下は軒並み婚約を断られていたからな。カルレア伯爵が投資に失敗をしたのも実は陛下が裏で手を回したのでは?とも言われているぞ」

「マッチポンプか。自ら落としておいて恩を着せるとは。陛下もなかなかに腹黒い」

「だが、投資の損害金と今回の件での慰謝料。結局王家は出費になっただけだ」

「悪いことは出来ないって事だな。フハハハ」


噂好きな貴族たちは好き勝手を言う。

聞えていないようでしっかりとその声はダグラスの耳にも入ってくる。

セレナとの婚約が無くなり「無駄だろうが」と言われながらも始まったエベリーの王子妃教育は全く進捗がない。

ダグラスは隣で「てへ♡」とはにかむエベリーを見て心が冷えた。
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