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後始末は自分で

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ジャスティンの手紙を読んでから数日経つと街は生誕祭でにぎわいを見せる。
侍女もだが、使用人も皆が屋敷の中を飾っていく。

「ヤドリギってここもあったほうがいいかなぁ」
「もうどこもかしこもで良いんじゃない?ヤドリギ御殿にしようか?」
「ねぇ、ツリーのオーナメントもうないの?」
「倉庫にあったと思うけど…誰かもってきてくれるー?」

朝から賑わっている中、ロレンツィオはセレティアと教会に出かける。
生誕祭まであと2週間ほどだが、明日から遠征に行かねばならず帰りは生誕祭の当日夕方以降になりそうなのである。雪の具合もあるが大雪となれば生誕祭の翌日、翌々日になる事もあり得る。
少し早いが、2人で教会に行き祈りを捧げるのである。

「凄い人ですね」
「そうだなぁ。はぁ…セティと初めての生誕祭は一緒にいたかったのに」
「遠征ですもの…怪我はしないでくださいね」
「それは大丈夫。しようと思ってもケガの方が逃げていくから」
「まぁ(くすくす)」

まだ弾けるような笑顔はないが、よく笑うようになったセレティアを目じりを下げてロレンツィオは嬉しく思う。そして女主人としても役割を徐々に家令や侍女たちに習ってもいる。
年が明けて、季節が良くなれば相手を見て茶会も許可をしようと考えている。

「セティ。手を」
「はい。ありがとうございます」

手を取り馬車を下りると雪かきをされた道を滑らないようにゆっくりと教会に歩いていく。
ギスティール王国で一番大きな大聖堂は壁も天井も至る所に宗教画が描かれており、色とりどりのステンドグラスから光が降り注ぐ。祈りを捧げている者はまばらだがパイプオルガンの練習をしているのだろうか。
時折間違って最初からやり直す讃美歌が流れている。

マリア像の前で2人で祈りを捧げ戻ろうとすると名前も顔も知られているロレンツィオはあっと言う間に囲まれてしまった。国の英雄でもあるロレンツィオの人気は高い。

「すまない。こんな筈では無かったのに」
「いいえ。皆さんツィオ様を慕っていらっしゃるのです。誇らしいです」

教会の前の広場では遠くの村からオーナメントを手作りして路上で販売している者が多くいる。

「そう言えばチャイムさんがオーナメントが足りないと言ってました」
「そうか。なら買っていこうか。セティが好きなものを選ぶと良い」

幾つかの路上販売を回ってロレンツィオの両手いっぱいに紙袋にオーナメントや玄関前に飾る飾りを買うと並んで馬車まで戻る。御者が慌てて荷物を受け取り身軽になったロレンツィオはセレティアを抱き上げるとステップを使わずに馬車に乗り込んだ。

屋敷に戻って購入したオーナメントに侍女たちが歓声を上げる。
十分に飾り付けられた屋敷の中はどの部屋も生誕祭仕様になっている。それは夫婦の寝所もだった。

「うわ…ヤドリギだらけだな」
「ふふっそうですね。あんなところもどうやって付けたのでしょうか」
「マズい…こんなにヤドリギばっかりだとキスだけで止まらないかも知れない」
「それはどういう?」
「あ、いや…その…なんでもない」




夕食も終わり、仲良く夫婦の寝所でロレンツィオはワイン。セレティアはホットココアを飲む。
そろそろ言わないと、生誕祭も帰れないかも知れないとなるとヤドリギの数から期待が寄せられている事をひしひしと感じるロレンツィオは緊張をしている。
セレティアが来て8カ月。未だに懐妊の兆候が一切ないのを心配して最近は医師に診てもらってはと家令にも言われる始末である。兆候はあるはずがない。あったらあったで大変な事になる。

「セティ‥‥大事な話をしようか」
「なんでしょう。遠征の件ですか?」
「いや‥‥あの…子供の事だ」
「あ、少しお待ちください。瓶を持って参ります」
「いや、瓶はいらない。取り敢えず‥‥座ろう」

セレティアを椅子に座らせるとロレンツィオはまさか娼館での経験が1度だけの自分が講師になろうとは!と思いつつも座学で知りえた知識をフル回転させる。

「まず‥‥子供は夫婦がその‥‥愛し合うんだ」
「はい、それで夫の…」
「待って。それなんだが…ちょっとというかかなり違うんだ」
「え?瓶はダメなのですか?では…木製でしょうか」
「それも違うんだ。その‥‥うーん…ベッドに行こう」
「あ、はい」

セレティアを寝台に座らせると、ロレンツィオは立ったままでガウンを脱ぎ始める。
下着はつけているものの、シャツを脱ぐとこの時期は多少やはり寒い。

「どうされましたの?下着はお付けになってくださいませ」
「えっと、説明をするから。今これ(パンツ)は履いてるけど子供を作る時は脱ぐんだ」
「では湯殿で?」
「いや、基本的には寝台で…まぁ他の場所もあるけど今はそれはいい。場所は寝台だ」
「はい」
「で、セティも同じように‥‥湯あみをする時みたいに全部脱ぐんだ」
「えぇぇっ?寝台ででございますか?」

やはりそうか‥‥こういうのは知らないんだな・・と嬉しいような悲しい気持ちになりつつも奮い立たせて説明を必死で続ける。

「で、裸で抱き合って…キスしたりとか…いろいろ撫でたりして…」
「はぁ…大変なのですねぇ…」

ここからがメインだ…と胸を拳でトントンと叩き喝を入れる。

「今から見せるけど…驚いたりしないでほしい‥‥」
「えぇ」

ロレンツィオは大きく深呼吸をすると、身に着けていた最後の一枚を脱ぎ全裸になった。
一体自分は何者なのだろうと情けなくもあるが、初夜の日に小細工をした罰だと受け止める。

「ここ…がその…セティの‥‥中に入って子種を出すんだ」

(うわ…顔めっちゃくちゃ熱い…熱あるんじゃないかな‥って・・セティ?)

セレティアはなんだろうと凝視をしている。それは見た事がない物体だからだ。
下生えは薄いながらも自分にはあるので、目の前のロレンツィオにあっても不思議ではない。
問題はその下にあるものである。

「あのツィオ様、これは‥‥なんですの?」
「えっ?なんですのって…父上のとか見た事はないのか?」
「はい、御座いません。あの…わたくしにはないと思うのですが」

当たり前である。

思っているより近い距離。ベッドサイドの灯りしかつけていないので距離的には手を伸ばせば触れられる距離である。これと言いながらセレティアは手を伸ばし、ちょこんと手のひらに乗せてしまった。
非常にマズすぎる。自主的にも禁欲生活が続いているロレンツィオには余りにも刺激が強すぎた。

「あぁっ!」

小さくセレティアは声をあげる。やってしまったと思っても自分の体なのに抑制が出来ない。
完全に勃起してしまったのである。形や大きさ、角度を変えた部位は手のひらから離れてしまい、上を向いてしまった。ロレンツィオも天井を仰ぎ見ている。

「すまない。セティ。この状態で君の体の中にココが入って子種を注ぐんだ」
「えっと、お待ちくださいませ。その大きさがとなると…どこにも入る場所がありません」
「それがあるんだ。今は…解れていないけれど…あるんだ」
「そ、そうなのですね‥‥存じませんでした」

しばしの沈黙が2人の間に過ってしまう。ロレンツィオは居た堪れなくなり下着を身に着ける。
時期的に寒いので、そのまま2人は掛布の下に潜り込んだが、一旦膨れ上がったものはなかなか収まらない。
しかし無理やり事に及ぶ事など出来ないと必死で煩悩を押さえ込むがやはり時期が悪かった。

部屋の気温もさほど高くはない。いつも体温の高いロレンツィオにピタリと付いて寝ているセレティアは悪気も煽る気もなく【いつものように】ピタリと引っ付いてしまった。

パチンとはじけ飛んだロレンツィオの理性は両腕でセレティアを強く抱きしめる。

「ツ、ツィオ様っ?」

と名を呼ばれ思わず唇を貪ってしまった。だが哀しいかな絶対的な経験不足。
そこで1人果ててしまったロレンツィオ。

その後、2人が結ばれたのはセレティアがこの国に来て1年4か月が過ぎたころだった。
それはロレンツィオが決死の覚悟で閨講義を行って半年後の事である。
本物の証をシーツに見つけ、半日は動けなかったセレティアに侍女は奥様に拷問を行ったとロレンツィオに対しハンストを起こし、誤解は解けたが使用人達からは何故か【発情期】を迎えたと敬遠されてしまった。

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