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公園デートと悪魔の瓶
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ロレンツィオは早速国王フィオランツに面会を求め、セレティアのハンザ行きを頼みこんだ。
しかし、終戦からまだ2か月弱とあってお世辞にも情勢は安定しているとは言えず許可は出来ないと言われてしまった。確かにハンザへの街道はどの国からも野盗が出たりで商人たちも昼間の移動を主として夜間の為に以前の3倍の人数で護衛を雇っている始末である。
「中将、半年は待てないか」
「半年、あと4か月ほどですか?」
「いや、今から半年だ」
元々が無理な事を言っているのだから嫌とは言えないし、ゴネて絶対ダメだと言われるのは回避したいロレンツィオはフィオランツの提案を飲んだ。
ただ、それも暫定的なもので確約ではない。
遠征や討伐によく出向くロレンツィオも判っているのである。特に今回は10年ほど続いた戦争なのだから戦後処理もまだ道半ばである。
半年経てば街道の整備も万全ではないが今よりは改善されるだろう。
フィオランツは半年と言ったがおそらくは1年だろう。
半年経てばもう時期的に雪が降り始める。そうなればハンザに行くのは雪解けを待たねばならない。
セレティア1人を行かせるわけではなく、当然ロレンツィオも同行するつもりでいるが、実のところフィオランツはそれが引き留める原因になっているのである。
愛妻のセレティアの故郷であるハンザ。そこでもう戻りたくないと言えばロレンツィオは対して実家の公爵家に未練もない事から定住する可能性がある。
有能過ぎる右腕を失いたくはないのである。
屋敷に戻り、ロレンツィオはしょげながらセレティアに告げた。
「直ぐは無理だと。半年待てと言われたが半年で済むかどうか」
「まだ伸びそうですの?」
「そうだなぁ、ハンザに通じる街道は3つあるけど1つは崩落でもう使えないと言われているし残りの2つは野盗やらの襲撃が多くて。場所が遠い事もあって騎士団をそれだけに配置する事も出来なくてね。それに半年後ならもう雪が降るから街道は無理をすれば通れるがちょっと無理だろうな」
こぽこぽと音を立てて、ロレンツィオに茶を淹れるセレティア。
淹れてもらった茶を一口飲むと、
「旨い。なんだこれ。すごく涼しいというか…さっぱりしてる」
「ふふっ。今日お庭を散歩していてケイドラーさんに教えてもらいましたの」
「ケイドラーが茶を?ないない。それはないな」
「いいえ、ミントが自生しているのを教えて頂きましたの。摘みたてですよ?」
「ミント…へぇそんなのが生えてるのか」
「そうなんです。早めに抜いておかないと大変な事になると」
「なんでまた?いいじゃないか茶も美味いし」
「ミントとかのハーブ系は放っておくと爆発的に増えてしまいますから」
「そうか…旨いし香りもいいのになぁ」
そう言ってもう一口飲むとやはり爽やかな味で、段々と暑くなってくるこの時期に合っていると感じる。
ふと、これを湯あみの時の湯に入れてみてはどうかと思う。
この頃は温度をかなり下げてもらい、もう水でいいんじゃないかと思うほどだがこれならば湯上りも涼しいのではと思いついたのである。
「これを湯に入れてみたらどうだろうか?」
「そうですねぇ、少しなら良いと思いますがあまり入れすぎるとお肌がヒリヒリしますし、後発的な要素があるので湯殿から出たばかりは涼しいでしょうけど、その後は寒いと思うほどになると思いますよ?本当に少しだけなら大丈夫だと思いますが‥」
「肌がヒリヒリするのか…それはダメだな。セティの肌が痛くなったりするのはダメだ」
「えっ?わたくしが使うのですか?」
「セティは暑くないのか?」
「いえ、まぁ少しは。ですがわたくし寒いのは苦手ですが暑いのは割と大丈夫です」
「僕は暑いのが苦手だけどなぁ。そうかセティはそうでもないのか」
来週は休みだと言う事でロレンツィオの愛馬で遠出をする約束をしてどこに行こうかと思案する。
すると家令が王宮近くの公園ではサツキが満開だと教えてくれる。
「ピンクや白など色々と咲いているそうですよ。中には白とピンクが混じったようなものもあるとか」
「変わっていますね。楽しみです」
「でも王宮近くの公園か…もっと遠くはないのか」
「旦那様、あまり奥様に無理をさせないでくださいませ。馬車でお願いします」
「えっ?わたくし無理はしておりませんよ?」
「あぁ!いや、そうだな。そうそう。無理はいけない。馬車で行こう。楽しみだなっ!」
この上ない程の上天気。馬の方が気持ちいいのにと思いつつも家令を筆頭に使用人達の厳しい目はロレンツィオの願いを打ち砕く。毎晩一緒に寝ているという事は使用人達にはそういう事である。
だが、馬車の中はセレティアと2人きりである。終始見ていられてそれが独占状態と思えば天国だ。
「まぁ、凄いですわ。まるで赤や白の雪が降ったみたいです」
「見事だね。ハンザにはなかったのか?」
「ないです。ぽつぽつとは咲いておりましたがこうやってサツキだけというのはないです」
「楽しいか?」
「はい。勿論ですわ」
日傘をさしてゆっくりと小道を歩く。時折立ち止まって白の中に赤い線のあるサツキを見つけるとじっくりと近くに寄って物珍しそうに眺めるセレティアを見てロレンツィオの心も和らぐ。
数歩先にいたセレティアが名を呼ぶ。
「ツィオ様ぁ」
早く来てくれと小さいながらも手を振る。
そんなセレティアに駆け寄り、伴にサツキを愛でていると
「まぁ、屋台ですわね。何を売っているのでしょう?」
「セティは屋台を知ってるのか」
「屋台はハンザにもありました。肉を串に刺したものや野菜を刺したもの、果実水もありましたし飴細工もありましたの。ただ、飴細工は店主さんが早くに亡くなったので無くなりましたが」
「飴細工か‥‥たしか向こうの路地にあったと思うが僕も王都の街中の警備はかなり前だからな。もうないかも知れないが行ってみるか?」
「ツィオ様は甘いものはお好きですの?」
「うーん…好んでは食べないが‥‥使用人達は好きみたいだな。セティが作るなんだっけ、ほら、あの‥ふにゃっと潰れるやつ…ケーキのやつよりふわふわした」
「シフォンケーキですか?」
「それそれ。あれはいいな。あんまり甘くないし…なにより旨い」
「ではまたおつくりしますね」
期待していた飴細工の屋台はなかったけれど、果実水の屋台でレモンの果実水を買って公園のベンチで飲み、使用人達に雑貨屋でお土産を買って帰る2人。
しかし‥‥この雑貨屋で可愛い瓶を見つけてしまったセレティアが爆弾を落としてしまう。
夜の寝所。
「どうしたんだ?それ」
「今日行った雑貨屋さんにあったのです。可愛いくて買ってしまいました」
「僕にはあんまり物が可愛いとかは判らないんだけど」
「いえ、これならきっと大丈夫だと思うのです」
「何を入れるんだ?」
「ツィオ様。これに子種をくださいませ。来週の日曜礼拝で神父様に…」
ひゃぁっと背中に緊張と冷たいものが走るロレンツィオ。おざなりにしたツケなのだろうか。
やはり閨教育の講師を探したほうが良かったかと全身を後悔が襲う。
「ま、待って。待って…」
「どうされたのです?小さかったですか?」
大きさ的には多分拳が楽に入るくらいだから全然小さくはない。むしろ大きいくらいである。
きょとんとするセレティアの肩に手をおき、項垂れる。
「セティ‥‥子供が欲しいのか?」
「そうですねぇ…ツィオ様には後を継いでくれる子供は必要でしょう?お薬は苦くても頑張ります」
「いや、まだだ。子供はハンザに行ってどうするか決めよう。これは預かっておくよ」
「よろしいのですか?」
(全然よろしくはないです!そりゃもう今からでもいいんです!だけどぉぉ!)
「セティ。この件は一旦保留。時間のある時に話をしよう」
「は、はぁ…」
「今日はもう寝よう。おやすみ。(ちゅっ♡)」
「はい、おやすみなさいませ」
早々に閨教育をしてくれる講師を探そうと心に決めたロレンツィオだった。
しかし、終戦からまだ2か月弱とあってお世辞にも情勢は安定しているとは言えず許可は出来ないと言われてしまった。確かにハンザへの街道はどの国からも野盗が出たりで商人たちも昼間の移動を主として夜間の為に以前の3倍の人数で護衛を雇っている始末である。
「中将、半年は待てないか」
「半年、あと4か月ほどですか?」
「いや、今から半年だ」
元々が無理な事を言っているのだから嫌とは言えないし、ゴネて絶対ダメだと言われるのは回避したいロレンツィオはフィオランツの提案を飲んだ。
ただ、それも暫定的なもので確約ではない。
遠征や討伐によく出向くロレンツィオも判っているのである。特に今回は10年ほど続いた戦争なのだから戦後処理もまだ道半ばである。
半年経てば街道の整備も万全ではないが今よりは改善されるだろう。
フィオランツは半年と言ったがおそらくは1年だろう。
半年経てばもう時期的に雪が降り始める。そうなればハンザに行くのは雪解けを待たねばならない。
セレティア1人を行かせるわけではなく、当然ロレンツィオも同行するつもりでいるが、実のところフィオランツはそれが引き留める原因になっているのである。
愛妻のセレティアの故郷であるハンザ。そこでもう戻りたくないと言えばロレンツィオは対して実家の公爵家に未練もない事から定住する可能性がある。
有能過ぎる右腕を失いたくはないのである。
屋敷に戻り、ロレンツィオはしょげながらセレティアに告げた。
「直ぐは無理だと。半年待てと言われたが半年で済むかどうか」
「まだ伸びそうですの?」
「そうだなぁ、ハンザに通じる街道は3つあるけど1つは崩落でもう使えないと言われているし残りの2つは野盗やらの襲撃が多くて。場所が遠い事もあって騎士団をそれだけに配置する事も出来なくてね。それに半年後ならもう雪が降るから街道は無理をすれば通れるがちょっと無理だろうな」
こぽこぽと音を立てて、ロレンツィオに茶を淹れるセレティア。
淹れてもらった茶を一口飲むと、
「旨い。なんだこれ。すごく涼しいというか…さっぱりしてる」
「ふふっ。今日お庭を散歩していてケイドラーさんに教えてもらいましたの」
「ケイドラーが茶を?ないない。それはないな」
「いいえ、ミントが自生しているのを教えて頂きましたの。摘みたてですよ?」
「ミント…へぇそんなのが生えてるのか」
「そうなんです。早めに抜いておかないと大変な事になると」
「なんでまた?いいじゃないか茶も美味いし」
「ミントとかのハーブ系は放っておくと爆発的に増えてしまいますから」
「そうか…旨いし香りもいいのになぁ」
そう言ってもう一口飲むとやはり爽やかな味で、段々と暑くなってくるこの時期に合っていると感じる。
ふと、これを湯あみの時の湯に入れてみてはどうかと思う。
この頃は温度をかなり下げてもらい、もう水でいいんじゃないかと思うほどだがこれならば湯上りも涼しいのではと思いついたのである。
「これを湯に入れてみたらどうだろうか?」
「そうですねぇ、少しなら良いと思いますがあまり入れすぎるとお肌がヒリヒリしますし、後発的な要素があるので湯殿から出たばかりは涼しいでしょうけど、その後は寒いと思うほどになると思いますよ?本当に少しだけなら大丈夫だと思いますが‥」
「肌がヒリヒリするのか…それはダメだな。セティの肌が痛くなったりするのはダメだ」
「えっ?わたくしが使うのですか?」
「セティは暑くないのか?」
「いえ、まぁ少しは。ですがわたくし寒いのは苦手ですが暑いのは割と大丈夫です」
「僕は暑いのが苦手だけどなぁ。そうかセティはそうでもないのか」
来週は休みだと言う事でロレンツィオの愛馬で遠出をする約束をしてどこに行こうかと思案する。
すると家令が王宮近くの公園ではサツキが満開だと教えてくれる。
「ピンクや白など色々と咲いているそうですよ。中には白とピンクが混じったようなものもあるとか」
「変わっていますね。楽しみです」
「でも王宮近くの公園か…もっと遠くはないのか」
「旦那様、あまり奥様に無理をさせないでくださいませ。馬車でお願いします」
「えっ?わたくし無理はしておりませんよ?」
「あぁ!いや、そうだな。そうそう。無理はいけない。馬車で行こう。楽しみだなっ!」
この上ない程の上天気。馬の方が気持ちいいのにと思いつつも家令を筆頭に使用人達の厳しい目はロレンツィオの願いを打ち砕く。毎晩一緒に寝ているという事は使用人達にはそういう事である。
だが、馬車の中はセレティアと2人きりである。終始見ていられてそれが独占状態と思えば天国だ。
「まぁ、凄いですわ。まるで赤や白の雪が降ったみたいです」
「見事だね。ハンザにはなかったのか?」
「ないです。ぽつぽつとは咲いておりましたがこうやってサツキだけというのはないです」
「楽しいか?」
「はい。勿論ですわ」
日傘をさしてゆっくりと小道を歩く。時折立ち止まって白の中に赤い線のあるサツキを見つけるとじっくりと近くに寄って物珍しそうに眺めるセレティアを見てロレンツィオの心も和らぐ。
数歩先にいたセレティアが名を呼ぶ。
「ツィオ様ぁ」
早く来てくれと小さいながらも手を振る。
そんなセレティアに駆け寄り、伴にサツキを愛でていると
「まぁ、屋台ですわね。何を売っているのでしょう?」
「セティは屋台を知ってるのか」
「屋台はハンザにもありました。肉を串に刺したものや野菜を刺したもの、果実水もありましたし飴細工もありましたの。ただ、飴細工は店主さんが早くに亡くなったので無くなりましたが」
「飴細工か‥‥たしか向こうの路地にあったと思うが僕も王都の街中の警備はかなり前だからな。もうないかも知れないが行ってみるか?」
「ツィオ様は甘いものはお好きですの?」
「うーん…好んでは食べないが‥‥使用人達は好きみたいだな。セティが作るなんだっけ、ほら、あの‥ふにゃっと潰れるやつ…ケーキのやつよりふわふわした」
「シフォンケーキですか?」
「それそれ。あれはいいな。あんまり甘くないし…なにより旨い」
「ではまたおつくりしますね」
期待していた飴細工の屋台はなかったけれど、果実水の屋台でレモンの果実水を買って公園のベンチで飲み、使用人達に雑貨屋でお土産を買って帰る2人。
しかし‥‥この雑貨屋で可愛い瓶を見つけてしまったセレティアが爆弾を落としてしまう。
夜の寝所。
「どうしたんだ?それ」
「今日行った雑貨屋さんにあったのです。可愛いくて買ってしまいました」
「僕にはあんまり物が可愛いとかは判らないんだけど」
「いえ、これならきっと大丈夫だと思うのです」
「何を入れるんだ?」
「ツィオ様。これに子種をくださいませ。来週の日曜礼拝で神父様に…」
ひゃぁっと背中に緊張と冷たいものが走るロレンツィオ。おざなりにしたツケなのだろうか。
やはり閨教育の講師を探したほうが良かったかと全身を後悔が襲う。
「ま、待って。待って…」
「どうされたのです?小さかったですか?」
大きさ的には多分拳が楽に入るくらいだから全然小さくはない。むしろ大きいくらいである。
きょとんとするセレティアの肩に手をおき、項垂れる。
「セティ‥‥子供が欲しいのか?」
「そうですねぇ…ツィオ様には後を継いでくれる子供は必要でしょう?お薬は苦くても頑張ります」
「いや、まだだ。子供はハンザに行ってどうするか決めよう。これは預かっておくよ」
「よろしいのですか?」
(全然よろしくはないです!そりゃもう今からでもいいんです!だけどぉぉ!)
「セティ。この件は一旦保留。時間のある時に話をしよう」
「は、はぁ…」
「今日はもう寝よう。おやすみ。(ちゅっ♡)」
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