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暢気な2人
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「まさか…そんなはずは‥‥」
思わず呟いたロレンツィオに呪術師の口元がニヤリと口角をあげた。
咄嗟にロレンツィオは上空に展開した蜘蛛の巣を呪術師に纏わせる。魔法蜘蛛は獲物を得たとばかりに呪術師の鼻から喉に陣地を張る。
口を閉じていればいいだろうと思ったのか呪術師はあげた口角を今後は悔し気に下げ、唇を噛んだ。
「残念だったな。口はこじ開けないとならないが鼻の穴と耳の穴は何時でも空いている」
「ングッ…」
「飲み込めはしない。蜘蛛は声帯に陣を張るからな。爪が食い込んで心地よいだろう」
ピアノ線のような細い魔法糸で拘束をすると騎士団を待つ。
その間、ロザリアとジャスミンは暢気に木の実を探している。
「見て!シイの実。見っけ‥‥ってアンタ邪魔っ」
亡骸となった刺客を足で蹴り、木の実を拾っていく。
まさかそれをセレティアに食わせるなよと言うと、自分へのご褒美ですからと返される。
「見てくださいよ。閣下!アケビみつけちゃいました」
「へっへぇん。私も見つけたもんねぇ。ほらっ大きいでしょう?」
「うわっ、何処にあった?まだあった?」
足を鞭で飛ばしただけの刺客と王弟の側近、そして呪術師を生きたまま捕縛しひとまとめにするとロレンツィオは鞭で切り株となった場所に腰を下ろして、きゃっきゃと戯れる侍女2人を呆れて見ている。
ロレンツィオの元で働く侍女たちは、崇高な忠誠心を持ち、主に使えるが決定的に壊れている部分がある。
調理が不得手。そんなものは問題にならない程に彼女たちはシリアルキラーなのだ。
最も、何事もなければ何もしないのであるが、戦闘となると真っ先に飛び出していく。
彼女らにとって戦闘で対峙する敵はご褒美でしかない。
生きるか死ぬかの戦場で相手を慮る者はいない。殺らなければ殺られるだけだ。
なので生きて捕縛する事が出来ない彼女らは動くもの全てを殲滅してしまう。
動かくなればその辺の石ころにしか見えない彼女らは何処にも受け入れ先がなかった。
オンとオフが激しいのはロレンツィオだけではなく侍女全員とも言える。
今回セレティアの代役はロザリアしかいなかったが、その侍女役を誰かするかで大いにもめた。
セレティアがされた事への恨みつらみもあるが、何よりこのような戦闘となりえる場に飢えている。
ジャスミンに決まったのはあみだくじである。
悔しがった侍女は窓を磨いて今ではピカピカである。
そうこうしているうちに騎士団がやってくる。
騎士団の団長、副団長は捕らえた呪術師を見てロレンツィオの顔を見た。
小さく頷くと、呪術師を荷馬車に放り込み続いて側近と刺客たちを放り込んでいく。
「派手にやりましたね」
「正当防衛だ。問題ない。向こうから仕掛けて来たからな。何人いた」
「まぁ…人数が人数ですけど寄りにもよってロザリア嬢とジャスミン嬢ですか…それに閣下の3人だったら1個師団でも足らないでしょうにねぇ」
「で?何人だった?」
「はいはい。まともな捕縛2名、ひざ下がない者6名、収容可能なのは56体。不可能なのは23体。ま、判っただけですけどね」
「100名足らずか。舐められたものだ」
「いえいえ。侍女2人だからですよ。これが片方奥様だったらどうしますか」
「妻はこんな場には連れてこない。さて陛下には色々と伺う事があるな」
「そうですね。ちょっと驚きました」
「同じだ。一瞬肝が冷えた」
荷馬車に揺られていく先は王宮である。
途中で伝書烏によってもたらされた情報にジルクスマ公爵とメデレーエフ王弟は既に王宮でもてなしという名の隔離をされたと知ったロレンツィオにロザリアとジャスミンが驚くような事を伝える。
「閣下、さっき口説かれちゃいました」
「私もです。お嫁さんになって欲しいんですって」
「料理は出来ないって言ったら僕が作るからって言うんですよ!」
「私も言ったんですけど、そんなの問題ないんですって!」
その声に赤くなる隊員が2人いたが、騎士団の団長と副団長は「ご愁傷様で」と声をかけてきた。
料理が出来ない事など全く問題はない。この2人はそれ以外の内面の一部にとてつもない問題があるのだがそれを知っての求婚だろうかと3人は背中の冷や汗が止まらなかった。
騎士団長は隊員2人を見て、この惨状でケロリと木の実を拾う女性は怖くないのかと呟いた。
副団長は、死体が転がるど真ん中でアケビの種を飛ばす神経を疑わないか?と呟いた。
全くの余談であるが、この出会いから3年後ロザリアとジャスミンは求婚してきた騎士と婚姻をする。
それぞれ子宝にも恵まれるが産休以外はロレンツィオの元で時折戦闘にも参加し、「明日は旦那に優しく出来そう」という2人に晩年までロレンツィオは何も知らない隊員2人へ向かって合掌した。
隊列は足早に王宮へと向かった。
思わず呟いたロレンツィオに呪術師の口元がニヤリと口角をあげた。
咄嗟にロレンツィオは上空に展開した蜘蛛の巣を呪術師に纏わせる。魔法蜘蛛は獲物を得たとばかりに呪術師の鼻から喉に陣地を張る。
口を閉じていればいいだろうと思ったのか呪術師はあげた口角を今後は悔し気に下げ、唇を噛んだ。
「残念だったな。口はこじ開けないとならないが鼻の穴と耳の穴は何時でも空いている」
「ングッ…」
「飲み込めはしない。蜘蛛は声帯に陣を張るからな。爪が食い込んで心地よいだろう」
ピアノ線のような細い魔法糸で拘束をすると騎士団を待つ。
その間、ロザリアとジャスミンは暢気に木の実を探している。
「見て!シイの実。見っけ‥‥ってアンタ邪魔っ」
亡骸となった刺客を足で蹴り、木の実を拾っていく。
まさかそれをセレティアに食わせるなよと言うと、自分へのご褒美ですからと返される。
「見てくださいよ。閣下!アケビみつけちゃいました」
「へっへぇん。私も見つけたもんねぇ。ほらっ大きいでしょう?」
「うわっ、何処にあった?まだあった?」
足を鞭で飛ばしただけの刺客と王弟の側近、そして呪術師を生きたまま捕縛しひとまとめにするとロレンツィオは鞭で切り株となった場所に腰を下ろして、きゃっきゃと戯れる侍女2人を呆れて見ている。
ロレンツィオの元で働く侍女たちは、崇高な忠誠心を持ち、主に使えるが決定的に壊れている部分がある。
調理が不得手。そんなものは問題にならない程に彼女たちはシリアルキラーなのだ。
最も、何事もなければ何もしないのであるが、戦闘となると真っ先に飛び出していく。
彼女らにとって戦闘で対峙する敵はご褒美でしかない。
生きるか死ぬかの戦場で相手を慮る者はいない。殺らなければ殺られるだけだ。
なので生きて捕縛する事が出来ない彼女らは動くもの全てを殲滅してしまう。
動かくなればその辺の石ころにしか見えない彼女らは何処にも受け入れ先がなかった。
オンとオフが激しいのはロレンツィオだけではなく侍女全員とも言える。
今回セレティアの代役はロザリアしかいなかったが、その侍女役を誰かするかで大いにもめた。
セレティアがされた事への恨みつらみもあるが、何よりこのような戦闘となりえる場に飢えている。
ジャスミンに決まったのはあみだくじである。
悔しがった侍女は窓を磨いて今ではピカピカである。
そうこうしているうちに騎士団がやってくる。
騎士団の団長、副団長は捕らえた呪術師を見てロレンツィオの顔を見た。
小さく頷くと、呪術師を荷馬車に放り込み続いて側近と刺客たちを放り込んでいく。
「派手にやりましたね」
「正当防衛だ。問題ない。向こうから仕掛けて来たからな。何人いた」
「まぁ…人数が人数ですけど寄りにもよってロザリア嬢とジャスミン嬢ですか…それに閣下の3人だったら1個師団でも足らないでしょうにねぇ」
「で?何人だった?」
「はいはい。まともな捕縛2名、ひざ下がない者6名、収容可能なのは56体。不可能なのは23体。ま、判っただけですけどね」
「100名足らずか。舐められたものだ」
「いえいえ。侍女2人だからですよ。これが片方奥様だったらどうしますか」
「妻はこんな場には連れてこない。さて陛下には色々と伺う事があるな」
「そうですね。ちょっと驚きました」
「同じだ。一瞬肝が冷えた」
荷馬車に揺られていく先は王宮である。
途中で伝書烏によってもたらされた情報にジルクスマ公爵とメデレーエフ王弟は既に王宮でもてなしという名の隔離をされたと知ったロレンツィオにロザリアとジャスミンが驚くような事を伝える。
「閣下、さっき口説かれちゃいました」
「私もです。お嫁さんになって欲しいんですって」
「料理は出来ないって言ったら僕が作るからって言うんですよ!」
「私も言ったんですけど、そんなの問題ないんですって!」
その声に赤くなる隊員が2人いたが、騎士団の団長と副団長は「ご愁傷様で」と声をかけてきた。
料理が出来ない事など全く問題はない。この2人はそれ以外の内面の一部にとてつもない問題があるのだがそれを知っての求婚だろうかと3人は背中の冷や汗が止まらなかった。
騎士団長は隊員2人を見て、この惨状でケロリと木の実を拾う女性は怖くないのかと呟いた。
副団長は、死体が転がるど真ん中でアケビの種を飛ばす神経を疑わないか?と呟いた。
全くの余談であるが、この出会いから3年後ロザリアとジャスミンは求婚してきた騎士と婚姻をする。
それぞれ子宝にも恵まれるが産休以外はロレンツィオの元で時折戦闘にも参加し、「明日は旦那に優しく出来そう」という2人に晩年までロレンツィオは何も知らない隊員2人へ向かって合掌した。
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