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別館と本館
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「そこは枝が出ているから気を付けて」
「はい‥‥あら、これはユキヤナギですか?」
「うーん…どうだろう。すまない。あまり詳しくはないんだ。花もバラは判るが品種を問われると解らん」
「いえ、それは‥‥わたくしも似たようなものです」
背の高さよりも低いユキヤナギはハンザでも見た事はあったが、ここまで大きく横に広がったものは見た事がなくてそれが開花したさまは、近くにくれば小さな花が沢山寄り添っているものだが、遠目にはこの時期にまだ雪が降ったのかと思うほどだった。
「ユキヤナギの花言葉をツィオ様はご存じですか?」
「花言葉?なんだそれは?」
「花には色々と花言葉があるのです。同じ花でもバラなどは色や本数でも違うんですよ」
「面白そうだが色が違えば言葉も違うとなると覚えるのは大変だな」
「そうですね。わたくしも全ては存じないのです」
「このユキヤナギは何というのだ?」
「静かな思いや愛らしさという花言葉だそうですよ」
「静かな思い?結構この花はミツバチやアブが来るけどなぁ」
ゆっくりと話をしながら庭を奥に向けて進んでいくと水面が目に入る。
湖とまでは行かないが、広い敷地内には池があった。そして趣が少し異なったレンガの建物が奥に見える。これから住むという先程のまでの屋敷よりはかなりこじんまりとした屋敷だがそれでも立派な建物である。
「この池は…見るためのものじゃなくて本当は鯉や鮒を捕らえて生簀にしようとしたんだ」
「まぁ‥‥そうなのですか。ですからこんなに鯉や鮒が多いのですね」
「うーん…食べようと思ってなぁ。だが毎日餌をやっていると愛着が出て今では観賞用だ」
「ふふっ…面白いですね」
「あ‥‥」
何気に笑ったのだったが、セレティアを見てロレンツィオはしばし動きを止める。
料理長や自分に微笑んで礼を言う顔も好きだが、何気にこのように笑った顔はまた違った笑顔である。
どちらも作った笑顔ではないが同じ花でも品種が違えば…と言った言葉がなるほどと思える笑顔だった。
「おや?閣下殿ではありませんかな?」
ふいに聞こえた後ろからの声に2人が振り返る。
剪定用のハサミとバケツ、そして背中には箒をたすき掛けした庭師をしているというケイドラーだった。
「朝から精がでるな。いつもありがとう」
「いえいえ。こんな老いぼれでも使ってくださってありがたい限り。そちらは…奥様ですか?」
「セレティアと申します。よろしくお願いいたします」
ドレスを少し抓んで軽めにカーテシーをすると、ケイドラーはガッハッハと豪快に笑い、その後騎士だった頃には幾度とったであろう昔取った杵柄だろうか。年を感じさせないピシっと型にはまったような礼を返される。
「素人の手慰みですが、見てくれるご夫人がいると励みになりますな」
「いえ、小道も丁寧に剪定されていて美しかったです」
「いやぁ…褒められると嬉しいものですなぁ」
豪快な笑顔という言葉がまさに当てはまるような笑顔で返されるがふと剪定ハサミをもつ手に気が付く。
セレティアの視線に気が付いたのがケイドラーは片方の手で隠すようにするがその片方の手も先に見えていれば同じように隠しただろう。
「すみません。お見苦しいものを見せてしまいました」
「いいえ。そんな事はございません」
両手ともに親指はなく残っている指も1本として生まれた時の状態を保った指はなかった。
左手に至っては2本しかなく、その2本も爪の部分がない指だった。
「ケイドラーは元々諜報員でね‥‥敵陣に捕まっ『閣下殿っ!!』」
言葉をかぶせられてロレンツィオの言葉が止まる。
「ご夫人にはそのような話は聞かせるものではありません」
「そ、そうだったな‥‥すまない」
「いいえ、ですが生きていてくださる事にわたくしは感謝いたします」
「そうだ。開化はまだなのですが蕾がついたものがあるんですよ。ご案内しましょう」
優しい声色になったケイドラーに案内をされた場所にはまだ新芽が出始めて確かに蕾と言えば蕾のような膨らみがあるものばかりだった。
「女房がね。数年前に突然庭で育て始めたんですよ」
「まぁ、奥様が。では奥様も来られるのですか」
「いえいえ。半年前に先に逝ってしまいました。庭で枯らせるよりはとここに植えたんですよ」
「それは‥‥申し訳ございません」
「いや、もう70に近かったですからね。いまじゃこの風鈴草が女房代りです。もっとも今度はこっちが世話をする係になってしまいましたが。ワハハ」
「風鈴草?セティ。この花にも言葉があるのか?」
「ツィオ様。そうですね。この花はカンパニュラとも呼ばれていて、感謝やありがとうと言う言葉がございますね」
「感謝…ですか」
ケイドラーも花言葉は知らなかったようだったが、花言葉を聞いてより愛おしそうに風鈴草の葉を短い指でなぞる。
「こんな体になって女房には苦労ばかりをかけたんですが…感謝…そうですか‥」
「花が咲いたらまた教えてくれ。テーブルを構えてエールでも飲むか」
「閣下殿…ありがとうございます」
ケイドラーと別れてまた庭を散策をしていると、レンガ造りの屋敷の玄関が見える。
こちらにも使用人はいるようで、ロレンツィオの姿を見つけると数人が礼をする。
「こっちが本館なんだ」
「えっ?こちらが?では向こうは…」
「あっちは別館。もっとも本館と名をつけているけれどあくまでも客人用だ」
大きさや使用人の数、内装などからこちらが本館と言われても別館を知っている者は首を傾げるだろう。それほどまでに本館と言うこの屋敷は無機質な感じでどこか空気が張り詰めたような雰囲気があった。
レンガ造りである事が唯一、温もりを視覚的に感じさせるだけである。
「こっちはまぁ業務用のようなものかな。ここに来る者がみんな本当の客人とは限らないからね」
「本当の客人?」
「仕事が仕事だからね。セティはこっちに来てはいけない。危険だからね」
ロレンツィオは軍部に出向かない日はこちらで執務を行っているという。
日頃住んでいる屋敷は完全なプライベートで一切の仕事を持ち込まないのだとも。
しかし、壁にかけられている絵画はとても美しく、思わずセレティアは立ち止まり絵画を見る。
少し待っていてとロレンツィオは声をかけると本館の使用人と話を始めた。
「閣下。しばらくお休みだったのではないですか?」
「いや、妻に庭を案内していたついでだ。変わった事はないか?」
「奥様…あぁ、そう言えばそうでしたね‥‥閣下もなかなか隅に置けませんな」
ちらりとセレティアの横顔を見て使用人は肘でロレンツィオを軽く突く。
余り見るな、減ると言って使用人を反対方向に向けようとするが、
「少しばかり、動きが出てきたものがございます」
その声にロレンツィオの顔は武人の顔になる。目つきも険しくなり心なしか周りの空気がピリリとした冷たさを感じさせる温度に下がった雰囲気も漂う。
「カルローディア侯爵家で何やら企みがあると。先に探らせております」
「そうか。手間をかける。必要であれば人員を回そう」
「確定では御座いませんが王弟殿下が関係しているとの報告が3件」
「うむ。別館の方も警戒段階を上げておこう。いつもすまない」
「いいえ。それから‥‥ハンザのエイレル侯爵ですが…」
「エイレル侯爵?彼がどうかしたか?」
「お命を狙われております。陛下との公約条件である品を輸送する際に2カ所で刺客を捕らえました。どうにも事を急いている感がありハンザには3名密かに護衛を回しましたが守り切れるかどうか判りません」
「そうか。応援については至急手配する。引き続き頼む」
「御意」
話を終えたロレンツィオはゆっくりとセレティアの隣に並ぶ。先程とは変わって柔らかい笑顔と声である。
「興味のある絵があったか?」
「えぇ。美術館で見たこのワレージャの風景画がまた見られるとは思いませんでした」
「これか…もっと見たいなら部屋に飾らせようか?」
「いいえ、この絵はこのままに…」
「うーん‥‥隠して欲しくないな。構わないんだよ?彼と見たとか?」
「はい。申し訳ございません。14歳の時に…一緒に見ました」
「謝る必要はない。思い出したっていいんだよ。言っただろう?忘れてはいけないと」
ロレンツィオはゆっくりとセレティアの手を取り、2つの指輪を包むように手を握る。
「別館に戻ろうか?きっとシェフが菓子作りをしたくてうずうずしているはずだ」
そう言うと、本館を後にして来た道をゆっくり戻る。途中ケイドラーが剪定している姿を見つけて声をかける。
「風鈴草が咲いたらまた来よう」
「はい」
蕾の風鈴草が風に揺れる中、2人はゆっくりと戻っていった。
「はい‥‥あら、これはユキヤナギですか?」
「うーん…どうだろう。すまない。あまり詳しくはないんだ。花もバラは判るが品種を問われると解らん」
「いえ、それは‥‥わたくしも似たようなものです」
背の高さよりも低いユキヤナギはハンザでも見た事はあったが、ここまで大きく横に広がったものは見た事がなくてそれが開花したさまは、近くにくれば小さな花が沢山寄り添っているものだが、遠目にはこの時期にまだ雪が降ったのかと思うほどだった。
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「面白そうだが色が違えば言葉も違うとなると覚えるのは大変だな」
「そうですね。わたくしも全ては存じないのです」
「このユキヤナギは何というのだ?」
「静かな思いや愛らしさという花言葉だそうですよ」
「静かな思い?結構この花はミツバチやアブが来るけどなぁ」
ゆっくりと話をしながら庭を奥に向けて進んでいくと水面が目に入る。
湖とまでは行かないが、広い敷地内には池があった。そして趣が少し異なったレンガの建物が奥に見える。これから住むという先程のまでの屋敷よりはかなりこじんまりとした屋敷だがそれでも立派な建物である。
「この池は…見るためのものじゃなくて本当は鯉や鮒を捕らえて生簀にしようとしたんだ」
「まぁ‥‥そうなのですか。ですからこんなに鯉や鮒が多いのですね」
「うーん…食べようと思ってなぁ。だが毎日餌をやっていると愛着が出て今では観賞用だ」
「ふふっ…面白いですね」
「あ‥‥」
何気に笑ったのだったが、セレティアを見てロレンツィオはしばし動きを止める。
料理長や自分に微笑んで礼を言う顔も好きだが、何気にこのように笑った顔はまた違った笑顔である。
どちらも作った笑顔ではないが同じ花でも品種が違えば…と言った言葉がなるほどと思える笑顔だった。
「おや?閣下殿ではありませんかな?」
ふいに聞こえた後ろからの声に2人が振り返る。
剪定用のハサミとバケツ、そして背中には箒をたすき掛けした庭師をしているというケイドラーだった。
「朝から精がでるな。いつもありがとう」
「いえいえ。こんな老いぼれでも使ってくださってありがたい限り。そちらは…奥様ですか?」
「セレティアと申します。よろしくお願いいたします」
ドレスを少し抓んで軽めにカーテシーをすると、ケイドラーはガッハッハと豪快に笑い、その後騎士だった頃には幾度とったであろう昔取った杵柄だろうか。年を感じさせないピシっと型にはまったような礼を返される。
「素人の手慰みですが、見てくれるご夫人がいると励みになりますな」
「いえ、小道も丁寧に剪定されていて美しかったです」
「いやぁ…褒められると嬉しいものですなぁ」
豪快な笑顔という言葉がまさに当てはまるような笑顔で返されるがふと剪定ハサミをもつ手に気が付く。
セレティアの視線に気が付いたのがケイドラーは片方の手で隠すようにするがその片方の手も先に見えていれば同じように隠しただろう。
「すみません。お見苦しいものを見せてしまいました」
「いいえ。そんな事はございません」
両手ともに親指はなく残っている指も1本として生まれた時の状態を保った指はなかった。
左手に至っては2本しかなく、その2本も爪の部分がない指だった。
「ケイドラーは元々諜報員でね‥‥敵陣に捕まっ『閣下殿っ!!』」
言葉をかぶせられてロレンツィオの言葉が止まる。
「ご夫人にはそのような話は聞かせるものではありません」
「そ、そうだったな‥‥すまない」
「いいえ、ですが生きていてくださる事にわたくしは感謝いたします」
「そうだ。開化はまだなのですが蕾がついたものがあるんですよ。ご案内しましょう」
優しい声色になったケイドラーに案内をされた場所にはまだ新芽が出始めて確かに蕾と言えば蕾のような膨らみがあるものばかりだった。
「女房がね。数年前に突然庭で育て始めたんですよ」
「まぁ、奥様が。では奥様も来られるのですか」
「いえいえ。半年前に先に逝ってしまいました。庭で枯らせるよりはとここに植えたんですよ」
「それは‥‥申し訳ございません」
「いや、もう70に近かったですからね。いまじゃこの風鈴草が女房代りです。もっとも今度はこっちが世話をする係になってしまいましたが。ワハハ」
「風鈴草?セティ。この花にも言葉があるのか?」
「ツィオ様。そうですね。この花はカンパニュラとも呼ばれていて、感謝やありがとうと言う言葉がございますね」
「感謝…ですか」
ケイドラーも花言葉は知らなかったようだったが、花言葉を聞いてより愛おしそうに風鈴草の葉を短い指でなぞる。
「こんな体になって女房には苦労ばかりをかけたんですが…感謝…そうですか‥」
「花が咲いたらまた教えてくれ。テーブルを構えてエールでも飲むか」
「閣下殿…ありがとうございます」
ケイドラーと別れてまた庭を散策をしていると、レンガ造りの屋敷の玄関が見える。
こちらにも使用人はいるようで、ロレンツィオの姿を見つけると数人が礼をする。
「こっちが本館なんだ」
「えっ?こちらが?では向こうは…」
「あっちは別館。もっとも本館と名をつけているけれどあくまでも客人用だ」
大きさや使用人の数、内装などからこちらが本館と言われても別館を知っている者は首を傾げるだろう。それほどまでに本館と言うこの屋敷は無機質な感じでどこか空気が張り詰めたような雰囲気があった。
レンガ造りである事が唯一、温もりを視覚的に感じさせるだけである。
「こっちはまぁ業務用のようなものかな。ここに来る者がみんな本当の客人とは限らないからね」
「本当の客人?」
「仕事が仕事だからね。セティはこっちに来てはいけない。危険だからね」
ロレンツィオは軍部に出向かない日はこちらで執務を行っているという。
日頃住んでいる屋敷は完全なプライベートで一切の仕事を持ち込まないのだとも。
しかし、壁にかけられている絵画はとても美しく、思わずセレティアは立ち止まり絵画を見る。
少し待っていてとロレンツィオは声をかけると本館の使用人と話を始めた。
「閣下。しばらくお休みだったのではないですか?」
「いや、妻に庭を案内していたついでだ。変わった事はないか?」
「奥様…あぁ、そう言えばそうでしたね‥‥閣下もなかなか隅に置けませんな」
ちらりとセレティアの横顔を見て使用人は肘でロレンツィオを軽く突く。
余り見るな、減ると言って使用人を反対方向に向けようとするが、
「少しばかり、動きが出てきたものがございます」
その声にロレンツィオの顔は武人の顔になる。目つきも険しくなり心なしか周りの空気がピリリとした冷たさを感じさせる温度に下がった雰囲気も漂う。
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「そうか。手間をかける。必要であれば人員を回そう」
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「いいえ。それから‥‥ハンザのエイレル侯爵ですが…」
「エイレル侯爵?彼がどうかしたか?」
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「そうか。応援については至急手配する。引き続き頼む」
「御意」
話を終えたロレンツィオはゆっくりとセレティアの隣に並ぶ。先程とは変わって柔らかい笑顔と声である。
「興味のある絵があったか?」
「えぇ。美術館で見たこのワレージャの風景画がまた見られるとは思いませんでした」
「これか…もっと見たいなら部屋に飾らせようか?」
「いいえ、この絵はこのままに…」
「うーん‥‥隠して欲しくないな。構わないんだよ?彼と見たとか?」
「はい。申し訳ございません。14歳の時に…一緒に見ました」
「謝る必要はない。思い出したっていいんだよ。言っただろう?忘れてはいけないと」
ロレンツィオはゆっくりとセレティアの手を取り、2つの指輪を包むように手を握る。
「別館に戻ろうか?きっとシェフが菓子作りをしたくてうずうずしているはずだ」
そう言うと、本館を後にして来た道をゆっくり戻る。途中ケイドラーが剪定している姿を見つけて声をかける。
「風鈴草が咲いたらまた来よう」
「はい」
蕾の風鈴草が風に揺れる中、2人はゆっくりと戻っていった。
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