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第49話♡♠ 仲が良いって羨ましい♡
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静かな謁見の間。
ピリッとした空気が動くと扉が開き、ライオネル様とジェシカが入って参ります。
「(やっほー!)」
頬が引き攣ります。
ジェシカ。お願い。こんなところでフレンドリーな挨拶、やめよ?
そして国王陛下と王妃殿下が壇上に現れ、腰かけられました。
私はカーテシー、アミナリンさんは臣下の最敬礼。
「久しいの。ナティ。顔を上げてくれ。バリファン伯爵家のアミナリン。大きくなったな」
――え?アミナリンさん陛下を知ってるの?――
驚いてアミナリンさんを見ると私以上にアミナリンさんが驚いておりましたわ。
「あ~。いいんだ。いいんだ。会ったというより‥アミナリンが母御の腹に居る時に会っただけだ」
それ、記憶にないのが当たり前ですっ!!
不敬誘発してるのかしら。
「コッタンクは息災か」
「はい。毎日変わらずでございます」
「そうか。引退したらまた釣りに行こうと言っていたと伝えてくれ」
「はい。父も喜びます」
一度しか王都に来たことがないのに、フレンドリーね。
あ、そうか。陛下が王太子時代にあちこち視察に行ってれば会う機会もあるわね。
変に納得できた時、陛下は扉の横にいる従者に目くばせをしたのです。
――なんだろう?――
静かに開かれた扉からはレアンドロ殿下が入ってこられました。
何故か私を見て微笑まれておりますけど、ワライタケでも食べたのかしら。
「今日ファレンティナリティアに来てもらったのは他でもない。この度の結婚。私の我儘で申し訳ないのだが、今日を持って妃の座を降りてはくれまいか」
ん?3年待たずに離縁しろってことかしら。
それは別にいいんだけど…。
「待ってください!父上。どうして私がファリティと離縁せねばならないんですか!」
うーんそう来たか。3年が短縮されると困るんでしょうね。
「お前に問うてはおらん。ファレンティナリティア。どうだろう。聞き入れては貰えまいか」
返事は一択でしょう。
だって3年の予定が短くなるだけだもの。離縁すればホートベル侯爵家からレアンドロ殿下に渡すお金も不要になるしその分、施設をよくするか、従業員に現金還元できるもの。
「ファレンティナリティア・ホートベル。陛下の御意向通りに。異議は御座いません」
「そうか。長い間すまなかったな」
「いいえ。国王陛下、王妃殿下、そしてライオネル殿下やジェシカ妃殿下にはお心を寄せて頂きいつも助けて頂きました。これからも変わらず陛下の忠臣として仕えさせていただければと存じます」
「嫌だ。勝手に決めるな!なんでだよ。ファリティ!」
どうしようかと思いましたが、陛下を見ると小さく頷かれたので遠慮なく。
「レアンドロ殿下」
「な、なんだ」
「わたくしの名前はファレンティナリティアで御座います。この場での愛称呼びは御控えくださいますよう」
「良いじゃないか!」
「良くは御座いません。場を弁えてくださいませ。父君と言えど国王陛下、王妃殿下の御前です」
「なんだよ!何もしなかった妃のくせにこんな時だけ呼び名で勝ったつもりか!」
「勝った負けたは御座いません。私は結婚当日、貴方様との約束を守っているだけ。愚鈍な妃、至らない妃になれと命令されたではありませんか。何もしないのは当たり前。貴方様のご命令ですもの」
「そんな事をいって!!なんだ?離縁をするのに隣にいるのはもう新しい男を作り、恥ずかしげもなく父上の前に出て来たのか?やっぱりイサミアの子だな!この恥知らず!」
ガンガン!!
大きな音を立てたのは陛下。王笏での音で御座いました。
「恥知らずはどっちだ。アレを連れてこい」
「はい」
陛下の声に従者が下がり、再度扉が開いたのですが、出てきたのはルシェル。その後ろには女官でしょうか。赤子を抱いております。
しかし、ルシェルはあんなにも慕っていたレアンドロ殿下を睨みつけているんですが、2人の間に何があったの?痴情の縺れに巻き込むのはやめてよ~。
「レアンドロ。その女が産んだ子は紛れもなくお前の子だ。良いのか悪いか。王家は代々男児にのみ髪と瞳の色が受け継がれる。お前やライオネルのようにな。その子にも引き継がれている。私はお前に言ったはずだ。時期に助けられたなと」
「時期…それはっ!」
「今は正教会を刺激することは出来ない。続けざまに王族の不手際を報告してみろ。今度こそ敬虔な信徒が黙ってはいない。だが、幸いなことにお前はファレンティナリティアに妃の仕事をするなと命じていた。素直に聞き入れる妃で良かったな。ファレンティナリティアが一切妃の仕事せず、取り決め通り嫁ぐ前、侯爵家でしていた事をそのまましてくれたおかげだろうかな?市井では第2王子の妃は国の恥とも言われておる。民にそこまで言われる妃を王家としてもそのままにはしておけない。何より!お前には子を成すほど愛した女もいて子も生まれた。喜ばしい事だ。ファレンティナリティアは王家とは離縁により無縁。レアンドロ。お前には即日でその女を妃として迎えさせてやる」
「父上!嫌です!御考え直しを!!こんな阿婆擦れとなんて嫌です!無理です!」
「何を言っているの?婚約者を差し置いて愛を育み、妻を追い出して宮に引き入れ。搔い摘んだ事実だけをとってもお前の望み通りではないかえ?」
「違うんです!そもそもで!そんな約束はしてない!」
「書面にもしていたと思うが?」
「ありません!あったとしてもそんな酔っぱらいの口約束のようなものです!」
「そうか?お前の宮にあったお前の控えだ。ファレンティナリティアの控えもある。随分と達筆のようだが?これを酔っ払って書いたとなれば素面の時はどんな字になるんだろうな」
「そんなもの!ルシェルが私の書いた字を寄せ集めて写したんです!1つをファリティに送ったんです!この女は施錠されていても勝手に鍵を探して金目の物を盗む手癖の悪い女ですからそんなの朝飯前にやってのけます!」
ふーん。考えたわね。
字を寄せ集めて写し取り、1部を私、1部をさも保管しているように見せかける。
出来なくはないでしょうけど、でもね?貴方が離縁を望んでいた、貴方が妃の仕事をするなと言った証拠はもう1部あるのよ?
「陛下。よろしいでしょうか?」
「なんだ。ファレンティナリティア」
「その書面。実は3部御座います。2部は陛下のお手元に。もう1部は正教会の金庫に御座います。レアンドロ殿下は事実無根と仰っておりますが、その金庫。私と殿下が揃っていないと解錠出来ないので誰にも触れられず、改ざんもされず正教会の金庫に御座います」
「あ…そんな…違う!違う!ファリティ!ファリティじゃないとダメなんだよ!何もかも失ってしまうんだ!」
「レアンドロ殿下。御冗談を。残っているではありませんか。ルシェルと可愛いお子が」
「あんなの要らない!頼むよ!やり直そう?初夜からやり直そう?私は目が覚めた。だから!」
「まぁ!良かったですわ。心配しておりましたの。王子領が担保に入ったと聞き、領民もさぞ困るだろうと。目が覚めたのであれば、愚鈍な妃よりも愛すべき彼女、そしてお子様も居れば閉じそうになった目も見開かねばなりませんしね。良かったですわ」
冗談じゃないわよ。
目が覚めたところで、先ずは王子領の借入金を返すからとか言われそうだし。
結局最後までごねていたレアンドロ殿下で御座いますが、ならばと正教会に連れて行くと足を踏ん張り、まるで駄々っ子。
しかし解錠の条件である2人が揃えば時期が来る前でも正教会の神官は中に保管していた書類を出してくださいました。
一言一句違わず、しかもレアンドロ殿下の直筆。
否応なしに私とレアンドロ殿下の離縁が成立し、同日ルシェルとの婚姻が調ったのです。
「嫌よ!こいつ!借金だらけの無一文なんでしょう?!絶対に嫌!」
ごねるルシェルで御座いましたが、知らぬ仲では御座いませんし、少しだけ悪代官になって入れ知恵をして差し上げました。
「大丈夫よ。殿下は愚鈍で仕事をしない妃がお望みだったの。地に堕ちた妃の評価だもの。貴女ならきっと超えられるわ」
やればできる!貴女なら出来る!
かの日、レアンドロ殿下に取ったファイティングポーズで囁いてあげましたの。
レアンドロ殿下はホートベル侯爵家との縁を望んでおりましたが、続ける理由などありません。
「天国にいるイサミア氏にお願いすればいいんじゃありません?そう言っていたではありませんか」
容赦なく支援をぶった切って差し上げました。
子供は女官に抱かれ別の馬車に乗り込みました。行き先は王弟殿下の御子息の元。子供に恵まれなかったとの事なのできっと可愛がって頂けます。
大丈夫。ホートベル侯爵家からの支援も後ろ盾もなくたって、真面目に執務をすれば夫婦ですもの。ギリギリ食べる生活は出来ますわ。
宮に戻る2人。
馬車がまともに走れないほど、中で殴り合…いえ、じゃれあっていたそうですわ。
仲が良いって羨ましい♡
ピリッとした空気が動くと扉が開き、ライオネル様とジェシカが入って参ります。
「(やっほー!)」
頬が引き攣ります。
ジェシカ。お願い。こんなところでフレンドリーな挨拶、やめよ?
そして国王陛下と王妃殿下が壇上に現れ、腰かけられました。
私はカーテシー、アミナリンさんは臣下の最敬礼。
「久しいの。ナティ。顔を上げてくれ。バリファン伯爵家のアミナリン。大きくなったな」
――え?アミナリンさん陛下を知ってるの?――
驚いてアミナリンさんを見ると私以上にアミナリンさんが驚いておりましたわ。
「あ~。いいんだ。いいんだ。会ったというより‥アミナリンが母御の腹に居る時に会っただけだ」
それ、記憶にないのが当たり前ですっ!!
不敬誘発してるのかしら。
「コッタンクは息災か」
「はい。毎日変わらずでございます」
「そうか。引退したらまた釣りに行こうと言っていたと伝えてくれ」
「はい。父も喜びます」
一度しか王都に来たことがないのに、フレンドリーね。
あ、そうか。陛下が王太子時代にあちこち視察に行ってれば会う機会もあるわね。
変に納得できた時、陛下は扉の横にいる従者に目くばせをしたのです。
――なんだろう?――
静かに開かれた扉からはレアンドロ殿下が入ってこられました。
何故か私を見て微笑まれておりますけど、ワライタケでも食べたのかしら。
「今日ファレンティナリティアに来てもらったのは他でもない。この度の結婚。私の我儘で申し訳ないのだが、今日を持って妃の座を降りてはくれまいか」
ん?3年待たずに離縁しろってことかしら。
それは別にいいんだけど…。
「待ってください!父上。どうして私がファリティと離縁せねばならないんですか!」
うーんそう来たか。3年が短縮されると困るんでしょうね。
「お前に問うてはおらん。ファレンティナリティア。どうだろう。聞き入れては貰えまいか」
返事は一択でしょう。
だって3年の予定が短くなるだけだもの。離縁すればホートベル侯爵家からレアンドロ殿下に渡すお金も不要になるしその分、施設をよくするか、従業員に現金還元できるもの。
「ファレンティナリティア・ホートベル。陛下の御意向通りに。異議は御座いません」
「そうか。長い間すまなかったな」
「いいえ。国王陛下、王妃殿下、そしてライオネル殿下やジェシカ妃殿下にはお心を寄せて頂きいつも助けて頂きました。これからも変わらず陛下の忠臣として仕えさせていただければと存じます」
「嫌だ。勝手に決めるな!なんでだよ。ファリティ!」
どうしようかと思いましたが、陛下を見ると小さく頷かれたので遠慮なく。
「レアンドロ殿下」
「な、なんだ」
「わたくしの名前はファレンティナリティアで御座います。この場での愛称呼びは御控えくださいますよう」
「良いじゃないか!」
「良くは御座いません。場を弁えてくださいませ。父君と言えど国王陛下、王妃殿下の御前です」
「なんだよ!何もしなかった妃のくせにこんな時だけ呼び名で勝ったつもりか!」
「勝った負けたは御座いません。私は結婚当日、貴方様との約束を守っているだけ。愚鈍な妃、至らない妃になれと命令されたではありませんか。何もしないのは当たり前。貴方様のご命令ですもの」
「そんな事をいって!!なんだ?離縁をするのに隣にいるのはもう新しい男を作り、恥ずかしげもなく父上の前に出て来たのか?やっぱりイサミアの子だな!この恥知らず!」
ガンガン!!
大きな音を立てたのは陛下。王笏での音で御座いました。
「恥知らずはどっちだ。アレを連れてこい」
「はい」
陛下の声に従者が下がり、再度扉が開いたのですが、出てきたのはルシェル。その後ろには女官でしょうか。赤子を抱いております。
しかし、ルシェルはあんなにも慕っていたレアンドロ殿下を睨みつけているんですが、2人の間に何があったの?痴情の縺れに巻き込むのはやめてよ~。
「レアンドロ。その女が産んだ子は紛れもなくお前の子だ。良いのか悪いか。王家は代々男児にのみ髪と瞳の色が受け継がれる。お前やライオネルのようにな。その子にも引き継がれている。私はお前に言ったはずだ。時期に助けられたなと」
「時期…それはっ!」
「今は正教会を刺激することは出来ない。続けざまに王族の不手際を報告してみろ。今度こそ敬虔な信徒が黙ってはいない。だが、幸いなことにお前はファレンティナリティアに妃の仕事をするなと命じていた。素直に聞き入れる妃で良かったな。ファレンティナリティアが一切妃の仕事せず、取り決め通り嫁ぐ前、侯爵家でしていた事をそのまましてくれたおかげだろうかな?市井では第2王子の妃は国の恥とも言われておる。民にそこまで言われる妃を王家としてもそのままにはしておけない。何より!お前には子を成すほど愛した女もいて子も生まれた。喜ばしい事だ。ファレンティナリティアは王家とは離縁により無縁。レアンドロ。お前には即日でその女を妃として迎えさせてやる」
「父上!嫌です!御考え直しを!!こんな阿婆擦れとなんて嫌です!無理です!」
「何を言っているの?婚約者を差し置いて愛を育み、妻を追い出して宮に引き入れ。搔い摘んだ事実だけをとってもお前の望み通りではないかえ?」
「違うんです!そもそもで!そんな約束はしてない!」
「書面にもしていたと思うが?」
「ありません!あったとしてもそんな酔っぱらいの口約束のようなものです!」
「そうか?お前の宮にあったお前の控えだ。ファレンティナリティアの控えもある。随分と達筆のようだが?これを酔っ払って書いたとなれば素面の時はどんな字になるんだろうな」
「そんなもの!ルシェルが私の書いた字を寄せ集めて写したんです!1つをファリティに送ったんです!この女は施錠されていても勝手に鍵を探して金目の物を盗む手癖の悪い女ですからそんなの朝飯前にやってのけます!」
ふーん。考えたわね。
字を寄せ集めて写し取り、1部を私、1部をさも保管しているように見せかける。
出来なくはないでしょうけど、でもね?貴方が離縁を望んでいた、貴方が妃の仕事をするなと言った証拠はもう1部あるのよ?
「陛下。よろしいでしょうか?」
「なんだ。ファレンティナリティア」
「その書面。実は3部御座います。2部は陛下のお手元に。もう1部は正教会の金庫に御座います。レアンドロ殿下は事実無根と仰っておりますが、その金庫。私と殿下が揃っていないと解錠出来ないので誰にも触れられず、改ざんもされず正教会の金庫に御座います」
「あ…そんな…違う!違う!ファリティ!ファリティじゃないとダメなんだよ!何もかも失ってしまうんだ!」
「レアンドロ殿下。御冗談を。残っているではありませんか。ルシェルと可愛いお子が」
「あんなの要らない!頼むよ!やり直そう?初夜からやり直そう?私は目が覚めた。だから!」
「まぁ!良かったですわ。心配しておりましたの。王子領が担保に入ったと聞き、領民もさぞ困るだろうと。目が覚めたのであれば、愚鈍な妃よりも愛すべき彼女、そしてお子様も居れば閉じそうになった目も見開かねばなりませんしね。良かったですわ」
冗談じゃないわよ。
目が覚めたところで、先ずは王子領の借入金を返すからとか言われそうだし。
結局最後までごねていたレアンドロ殿下で御座いますが、ならばと正教会に連れて行くと足を踏ん張り、まるで駄々っ子。
しかし解錠の条件である2人が揃えば時期が来る前でも正教会の神官は中に保管していた書類を出してくださいました。
一言一句違わず、しかもレアンドロ殿下の直筆。
否応なしに私とレアンドロ殿下の離縁が成立し、同日ルシェルとの婚姻が調ったのです。
「嫌よ!こいつ!借金だらけの無一文なんでしょう?!絶対に嫌!」
ごねるルシェルで御座いましたが、知らぬ仲では御座いませんし、少しだけ悪代官になって入れ知恵をして差し上げました。
「大丈夫よ。殿下は愚鈍で仕事をしない妃がお望みだったの。地に堕ちた妃の評価だもの。貴女ならきっと超えられるわ」
やればできる!貴女なら出来る!
かの日、レアンドロ殿下に取ったファイティングポーズで囁いてあげましたの。
レアンドロ殿下はホートベル侯爵家との縁を望んでおりましたが、続ける理由などありません。
「天国にいるイサミア氏にお願いすればいいんじゃありません?そう言っていたではありませんか」
容赦なく支援をぶった切って差し上げました。
子供は女官に抱かれ別の馬車に乗り込みました。行き先は王弟殿下の御子息の元。子供に恵まれなかったとの事なのできっと可愛がって頂けます。
大丈夫。ホートベル侯爵家からの支援も後ろ盾もなくたって、真面目に執務をすれば夫婦ですもの。ギリギリ食べる生活は出来ますわ。
宮に戻る2人。
馬車がまともに走れないほど、中で殴り合…いえ、じゃれあっていたそうですわ。
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