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第45話♡  王都からの呼び出し

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アミナリンさんに「あとで」と言ってしまいましたが、工程が進むとなかなか時間も取れません。

アミナリンさんは今日は家屋建設の場、今日は加工場、今日は漁具保管庫とあちこちからひっぱりだこ。

私も抱えている事業はパロンシン領改編計画だけではないので、それぞれの事業長や経理から書類が届けば夜遅くまでルルと一緒に書類整理。

忙殺されておりました。

そんな折。

第1王子ライオネル様から手紙が届いたのは防潮堤の調査を終え、全域が浅いところで水深16m、場所によっては18mを超えている報告書を読んでいる時で御座いました。

「お嬢様、殿下はなんと?」

「ルル。王都に行くわ。準備をして」

「王都に?そりゃまぁ…予定よりはかなり長く滞在はしていますけど…」

「そうね。これからの事業の事もあるわ。ここで指揮を取る事で時間のロス問題もあるし」

「え?問題?疑惑じゃなくて?」

「ルル…すれすれよ。際どいところを狙うわね」


パロンシン領は元々半年滞在の予定だったのですが長引いてしまいそうなのです。
各事業は書簡でやり取りをしておりますが、どうしても時間のロスが出来てしまいます。

連れてきている事業長は途中で交代し、副事業長にも来てもらっていますが買取部門や家屋建設の木材部はもう担当員を派遣すれば事が足りるでしょう。

「アミナリンさんの所に行くわ。ルルも行く?」

「勿論ですよ。今日は確か加工場の排水を指示してると思います」

「なら港ね。行きましょう」


半年近く住んでいるとどこに何があるかもすっかり覚えてしまいました。

「アミナリンさんには何を?」

「コーングルテンミールと廃油の件よ。これも担当を派遣するだけで良いと思うし、開発事業部から効率よく配合できるように技術員を2、3人こちらに呼ぼうと思うの。でも配合とかアミナリンさんにも考えがあると思うし勝手に進めるよりは意見の1つと受け取って貰った方がいいでしょう?」

「そっちですか…」

「どっちがあるの?」

「いやぁ‥王都にって言うからウニャウニャ…」

「変なルル。ほら、急ぐわよ」


加工場に行くと、アミナリンさんはルルの言った通り排水溝の掘る深さなどを指示しておりました。

「あれ?ナティさん。今日はここの予定っスか?」

「違います~。アミナリンさんがいるって言うからお嬢様が行きたいのぉ~(ぐにっ)痛っ!!」

「ルル。違うでしょう」

「お嬢様。ルルのほっぺがグニって…抓るとルル‥泣いちゃう♡」

「泣くならそこの隅っこで一頻り泣いてきなさいな」

「えぇーっ。そこは私の胸でお泣きなさいですよ~」


ルルはアミナリンさんの所に来ると何故か態度が変わるのです。
ハッ?!もしやルル…アミナリンさんのことが?!

だとすれば喜ばしいですわ。
ルルと離れてしまうのは寂しいですし、参謀と呼べる相棒がいなくなると事業にも支障がありそう。でも、ルルの幸せの為なら私もそろそろルルから…親離れならぬルル離れをしなくちゃ。

でも、ルル。ごめんね。アミナリンさんに用件だけ伝えさせて?


「アミナリンさん。突然なのですがライオネル様から至急王都に戻れと連絡がありましたの」

「王都に?あ、でもそうか…もう半年になるもんな」

「それもあるんですけども、この事業は国からの予算もついていますし、防潮堤で余った予算を家屋建設に回した事が問題なのかも知れません。全体では改編計画に入っていますが、予算書には項目で分かれていますし。当初の段階では構わないと、あとで増減の報告書を上げる事になっておりましたけれど、やはり国庫となると何か不都合があったのかも知れませんので」

「それもそうだよな。なら俺も行くよ」

「え?アミナリンさんが?でも抜けてしまうと」

「大丈夫。1人抜けて回らなくなるようなやり方じゃねぇし。それを言ってたら週に1、2日は交代で全休ってナティさんのやり方が間違ってる事になって事業停滞してるさ。で?何時出立?」

「急ぎなのですが明日にでも。来た時のように貨物便を利用します。ただ貨物便は現在パロンシン領の荷は他の荷馬車で対応をしているので、ここから3つ目まではコーングルテンミールを運んできた荷馬車で移動しますわ」

「貨物便?!あぁ。あれか。知ってたらなぁ。俺もビオと利用したんだけど。じゃ、俺もそれで行くとすっかぁ」

フットワークが軽いのね。
それもいい事だけど。


「なら、道中少しお話が御座いますわ」

「話?俺に?…えぇっと…それって‥個人的な事?」

「個人的?(ハッ!そうよ。ルル!)えぇ!勿論。秘密にしておいてほしい事ですわ(にこり)」

「り、り、了解だ…(やっべぇ‥激可愛いんだけど)」


同行者の人数が増えてしまいましたけれど、何とかなるでしょう。
私たちは翌日の朝、コーングルテンミールを運んできて空になった…いえ、干物を領地で一部買い取る事にしたので、御者の背に3つほど木箱を載せた荷馬車に乗り込み、王都に向かう事になったのです。
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