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第39話♡ 不用品再利用計画①
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パロンシン領改編計画がスタート致しましたわ。
防潮堤も肥料も元々こうしよう、こうあろうとした形とは異なる形になるのですが、変わらないものが御座います。それはそこに住む者の生活が現在進行形で進んでいる事で御座います。
国の事業でもあるので、従事してくれる方にはお給金も支払われますが大事なのは終わった後。
終わってから考えていると遅いので、スタートと同時に考えるのです。
「コッタンク様。作業をしながらで構わないのですが宜しいですか?」
「あ~。良いけどよ。2、3年後の話ならアミナリンに言ってくんねぇか?3年も経ちゃ30だし代替わりだ。その時に引退した古参が偉そうに仕切ってたら周りが付いて来ねぇからさ」
「よろしいのですか?決定をアミナリンさんが行う事になるんですが。それにもう防潮堤は解体に取り掛かっていますし…」
「そりゃアミナリンが決めねぇとな。ずっと続いてきたことを継承すンのと訳が違う。お前のために仕事貰っといてやったとか烏滸がましいってぇの?だって俺は一切手を付けず丸投げにするんだぜ?投げられた側は有難迷惑ってやつだな。代替わりが判っていて変わった後からの事なら手間かけちまうけどさ、アミナリンに言ってくれ。俺は俺の責任で許可書にハンコ押した防潮堤を壊す、溜まったゴミをどうすっか。その決定をするくらいさ」
「解りました。では結果がどうなったか――」
「いらねぇ。いらねぇ。上手く出来たかしくじったか。まだ初めてもねぇ事聞いても仕方ねぇよ。アミナリンがやると決めたならやればいいし、失敗したらアミナリンがどう後始末するか考えればいい。それが当主だからよ」
「ふふっ。コッタンク様は面白い方ですわね」
「面白い?どっちかってぇとカッコイイ♡キャー♡って言って欲しいなぁ。アッハッハ」
コッタンク様の仰るのは御尤も。
ですが、突き放すのではなく何かあれば万全のサポートをするから思い切りやれとも聞こえますわね。
そのアミナリン様はと申しますと、あと1週間もすれば到着をする入れ替え用の土を仮置きする場を整地されておられます。
「おーい!荷馬車の動線上に看板立てンなよ。間違って手前におろしたら二度手間になっから」
「うぇーい!」
土を運び込んだ後、雨が降っても流れ出ないように堰も作っているとは流石ですわね。
「アミナリンさん。今よろしいでしょうか?」
「あ、ナティさん。どうしたんスか?」
「間もなく第一陣の土が参りますので、今後の計画を。それから…こちらは木材部の事業を任せている事業長のヒノーキで御座います」
「木材?え?土が来るんじゃねぇの?」
「土も来ます。ですが、耕作地だった箇所には領民の皆さんの住まう家屋も建設をしますので木材は家用ですわ。ヒノーキ、アミナリンさんにご説明を」
「はい。私、ホートベル侯爵家が行う事業の1つで木材部を任されておりますヒノーキ・コナラスギと申します。ご説明を致します」
既に防潮堤は海面から見える部分は解体を始めております。
石を積んでいたのでその石を土の仮置き場の堰に使っているのですけども、他にも使い道があるのです。
本当は十分に真水で水洗いをしたいのですが10年以上海水を浴びている石なので塩分を全て取り除くのは無理。なので、もう、埋めてしまおうと思うのです。
隠すのでは御座いません。
「え?この堰にした石を砕く?」
「そうです。砕いて砕石の代用とします。家屋の足元となる部分は先ず家屋の大きさより少し広めに掘って頂き、そうですね深さは…ここは山を切り開いて残った部分なので30cmもあれば十分でしょう」
「掘るのか?土を入れるのに?」
「はい。掘って底を平らにし、領地からはトウモロコシの葉や茎も一緒に来ますので敷き込みます」
「そんなのなんで?」
「地下から湧き出る水をせき止めるためです。葉や茎を敷き詰め、その上に砕石、そして土を被せて転圧し足元を固め、家屋を建設します。石を砕いた際に土台となる大きさの石で家屋の外壁や部屋の間仕切りとなる部分も石を組みます。並べるといった方がいいでしょうか」
「何でそんな事を?」
「土に接したままですと、対策をとっても湿気が家屋内に充満しますし、ここは海からの風も山から吹き下ろす風も当たりますので、家屋がそのまま風圧を受けてしまいます。足元になる部分、石は組んだところで隙間がありますので風が抜けるように通気孔を設け、風による力を逃すんですよ。空気の入れ替えにもなりますしね」
「なるほど。風の力で空気を回すってことか。考えてんなぁ」
「長く使って頂きたいですしね。今回は建設費を抑えるため、ニコイチ。つまり1つ屋根の下に2世帯が住む家屋にします。こうしますと、水回りの排水などが半分で済みます」
「なら4軒、5軒と長屋風にしたらどうだ?」
「それですと、両端の家は陽の光が取れますが、真ん中の家は片面は玄関などになるので、1面しか陽の光が取れませんので」
「なるほど…」
「耕作地は階段状に山を切っておられる棚田状態。その段ごとに家屋は建設します。足元を作るのは一番下部になる部分から行いますが、実際は一斉に行うようになりますので」
「防潮堤の解体と並行で…人間が足りるかな」
「ご安心を。人工は事業所から大工を含め380人もこちらに向かっています。手馴れておりますが領民の皆さんとの潤滑油の役目もアミナリンさん、お願いします」
「あ~そうだな。年寄は余所者ってだけで嫌うからな~。よし、判った。それでお願いします」
防潮堤解体で出る石と、領民移住用の家屋建設の話がまとまり、私はアミナリンさんをチョイチョイ‥と手招き致しました。
防潮堤も肥料も元々こうしよう、こうあろうとした形とは異なる形になるのですが、変わらないものが御座います。それはそこに住む者の生活が現在進行形で進んでいる事で御座います。
国の事業でもあるので、従事してくれる方にはお給金も支払われますが大事なのは終わった後。
終わってから考えていると遅いので、スタートと同時に考えるのです。
「コッタンク様。作業をしながらで構わないのですが宜しいですか?」
「あ~。良いけどよ。2、3年後の話ならアミナリンに言ってくんねぇか?3年も経ちゃ30だし代替わりだ。その時に引退した古参が偉そうに仕切ってたら周りが付いて来ねぇからさ」
「よろしいのですか?決定をアミナリンさんが行う事になるんですが。それにもう防潮堤は解体に取り掛かっていますし…」
「そりゃアミナリンが決めねぇとな。ずっと続いてきたことを継承すンのと訳が違う。お前のために仕事貰っといてやったとか烏滸がましいってぇの?だって俺は一切手を付けず丸投げにするんだぜ?投げられた側は有難迷惑ってやつだな。代替わりが判っていて変わった後からの事なら手間かけちまうけどさ、アミナリンに言ってくれ。俺は俺の責任で許可書にハンコ押した防潮堤を壊す、溜まったゴミをどうすっか。その決定をするくらいさ」
「解りました。では結果がどうなったか――」
「いらねぇ。いらねぇ。上手く出来たかしくじったか。まだ初めてもねぇ事聞いても仕方ねぇよ。アミナリンがやると決めたならやればいいし、失敗したらアミナリンがどう後始末するか考えればいい。それが当主だからよ」
「ふふっ。コッタンク様は面白い方ですわね」
「面白い?どっちかってぇとカッコイイ♡キャー♡って言って欲しいなぁ。アッハッハ」
コッタンク様の仰るのは御尤も。
ですが、突き放すのではなく何かあれば万全のサポートをするから思い切りやれとも聞こえますわね。
そのアミナリン様はと申しますと、あと1週間もすれば到着をする入れ替え用の土を仮置きする場を整地されておられます。
「おーい!荷馬車の動線上に看板立てンなよ。間違って手前におろしたら二度手間になっから」
「うぇーい!」
土を運び込んだ後、雨が降っても流れ出ないように堰も作っているとは流石ですわね。
「アミナリンさん。今よろしいでしょうか?」
「あ、ナティさん。どうしたんスか?」
「間もなく第一陣の土が参りますので、今後の計画を。それから…こちらは木材部の事業を任せている事業長のヒノーキで御座います」
「木材?え?土が来るんじゃねぇの?」
「土も来ます。ですが、耕作地だった箇所には領民の皆さんの住まう家屋も建設をしますので木材は家用ですわ。ヒノーキ、アミナリンさんにご説明を」
「はい。私、ホートベル侯爵家が行う事業の1つで木材部を任されておりますヒノーキ・コナラスギと申します。ご説明を致します」
既に防潮堤は海面から見える部分は解体を始めております。
石を積んでいたのでその石を土の仮置き場の堰に使っているのですけども、他にも使い道があるのです。
本当は十分に真水で水洗いをしたいのですが10年以上海水を浴びている石なので塩分を全て取り除くのは無理。なので、もう、埋めてしまおうと思うのです。
隠すのでは御座いません。
「え?この堰にした石を砕く?」
「そうです。砕いて砕石の代用とします。家屋の足元となる部分は先ず家屋の大きさより少し広めに掘って頂き、そうですね深さは…ここは山を切り開いて残った部分なので30cmもあれば十分でしょう」
「掘るのか?土を入れるのに?」
「はい。掘って底を平らにし、領地からはトウモロコシの葉や茎も一緒に来ますので敷き込みます」
「そんなのなんで?」
「地下から湧き出る水をせき止めるためです。葉や茎を敷き詰め、その上に砕石、そして土を被せて転圧し足元を固め、家屋を建設します。石を砕いた際に土台となる大きさの石で家屋の外壁や部屋の間仕切りとなる部分も石を組みます。並べるといった方がいいでしょうか」
「何でそんな事を?」
「土に接したままですと、対策をとっても湿気が家屋内に充満しますし、ここは海からの風も山から吹き下ろす風も当たりますので、家屋がそのまま風圧を受けてしまいます。足元になる部分、石は組んだところで隙間がありますので風が抜けるように通気孔を設け、風による力を逃すんですよ。空気の入れ替えにもなりますしね」
「なるほど。風の力で空気を回すってことか。考えてんなぁ」
「長く使って頂きたいですしね。今回は建設費を抑えるため、ニコイチ。つまり1つ屋根の下に2世帯が住む家屋にします。こうしますと、水回りの排水などが半分で済みます」
「なら4軒、5軒と長屋風にしたらどうだ?」
「それですと、両端の家は陽の光が取れますが、真ん中の家は片面は玄関などになるので、1面しか陽の光が取れませんので」
「なるほど…」
「耕作地は階段状に山を切っておられる棚田状態。その段ごとに家屋は建設します。足元を作るのは一番下部になる部分から行いますが、実際は一斉に行うようになりますので」
「防潮堤の解体と並行で…人間が足りるかな」
「ご安心を。人工は事業所から大工を含め380人もこちらに向かっています。手馴れておりますが領民の皆さんとの潤滑油の役目もアミナリンさん、お願いします」
「あ~そうだな。年寄は余所者ってだけで嫌うからな~。よし、判った。それでお願いします」
防潮堤解体で出る石と、領民移住用の家屋建設の話がまとまり、私はアミナリンさんをチョイチョイ‥と手招き致しました。
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