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第03話♡ 即決の判断に感謝
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書面を認めてくれるレアンドロ様。
私には今、貴方が神に見えます。
国王陛下のように頭頂部に後光を纏うのは数年先になるでしょうけども、誰に見えずとも私には貴方が光り輝いて見えますわ。
「君も私のように最愛を見つけると良い。その件についても私は干渉しない。尤も…私にも言えるが婚姻中に大っぴらには出来ないがな」
何を仰っているのかしら。
あぁ、そういう事。
よく自分がしている悪事は周囲もしていると思う方がいらっしゃいます。
特に悪い事になると、相手が「嘘を吐いているんじゃないか」「不貞をしているんじゃないか」とまるで鏡を見るように自分の悪い面、隠さねばならない面を相手に投影するものです。
だから真っ先に思い浮かんでしまうのですわよね。
ですがご安心あれ!
私、痴情の縺れなどで噂になった事は一度も御座いませんの。
むしろ貴方とルシェルがウフンアハンな仲になったことで同情票が積み重なっておりますわ。
その同情票の中に、第1王子殿下と婚約者のご令嬢の実家があるのは秘密ですけど。
「申し訳ないのですが私は婚約者がいるのに他の異性に興味を持つという不道徳を良しとしておりませんし、婚姻関係にある間に不貞行為を働きたいとも考えておりません。そこまで人間のクズに成り下がりたいと思いませんし、節操無しと思われるのは生きていくのに不都合の方が多いですので」
「うっ…遠回しに批判をされている気がするな」
安心なさって?
遠回しではなく最短距離ですわ。
「しかし…離縁後は君も大変だろう?」
「大変なのはいつも今です。過去は成功すれば経験、失敗すれば反省となりますが、未来はどちらに転ぶか判りませんもの。なのでいつも大変のは今ですわ。オホホ」
「そうか…それもそうだな。私も考えたんだよ。ルシェルの産んだ子を君の子とするのはどうかと。しかしそれではルシェルは何時まで経っても日陰の身になるしな。離縁をするのが一番だと思い至ったんだ」
「養子縁組ならいざ知らず、わざわざ他人の子を自分の子として得る物は御座いません。3年間清い関係の夫婦で離縁するのですし、3年経ってもルシェル様は21歳。殿下は再婚になりますが誰も咎めもしないでしょう」
「しかし良い事ばかりだな。君に打ち明ける前は緊張したが…思い切って言って良かった。ルシェルの父君も姉から妹になるだけだし支援も変わらず続けてくれる」
そこには聊か不安な面も御座いますが、本人が良い気分になっておられるのに水を差すのは止めておきましょう。
他人様の懐事情など私があれこれと言う必要も御座いませんしね。
私はにこにことレアンドロ様に笑顔を返したのです。
「ルシェル様はイサミア氏の娘ですし、3年経つ頃にはイサミア氏も殿下の事は快く、いえ諸手を挙げて受け入れてくださるかと」
「実の父親の事をそういう呼び方をするとは…。それにルシェルの事も継母の連れ子だからと他人行儀な呼び名は感心しないな」
「私には生物学上の父がイサミア氏。ルシェル様とは他人です。故に最低限の配慮で良いと考えておりますので」
ルシェルは父、イサミアの実子ですが不貞関係にある時に生まれた子。
現在はルシェルの母エマリアとイサミアが婚姻し、夫婦となり晴れて養子縁組をして親子になりましたが、私とは何も手続きをしておりませんので現実的に異母姉妹ではありますが、他人なのです。
認めてしまうと不貞関係があったとしてイサミア氏は監査対象となってしまうので、ルシェルにも外では言わぬようにとイサミア氏が言い聞かせていたはずですが。
「まぁいいだろう。3年か…その間は私も不用意な言動は慎む事にしよう」
「賢明なご判断ですわ。正教会も昨年のブルネル王国の国王夫妻離縁騒動で神経質になっておりますし、あまり大っぴらに逢瀬は繰り返さない方がよろしいかも知れませんわね」
「よく知っているな」
「そりゃ正教会から睨まれてよい事は1つも御座いませんもの。知らずに教皇の逆鱗に触れてしまわないように注意をするのは当然です。情報は常にフレッシュが一番ですわ」
少し考え込んだレアンドロ様で御座いますが、直ぐに了承の返事を頂けました。
即決の御判断に感謝ですわ。
私には今、貴方が神に見えます。
国王陛下のように頭頂部に後光を纏うのは数年先になるでしょうけども、誰に見えずとも私には貴方が光り輝いて見えますわ。
「君も私のように最愛を見つけると良い。その件についても私は干渉しない。尤も…私にも言えるが婚姻中に大っぴらには出来ないがな」
何を仰っているのかしら。
あぁ、そういう事。
よく自分がしている悪事は周囲もしていると思う方がいらっしゃいます。
特に悪い事になると、相手が「嘘を吐いているんじゃないか」「不貞をしているんじゃないか」とまるで鏡を見るように自分の悪い面、隠さねばならない面を相手に投影するものです。
だから真っ先に思い浮かんでしまうのですわよね。
ですがご安心あれ!
私、痴情の縺れなどで噂になった事は一度も御座いませんの。
むしろ貴方とルシェルがウフンアハンな仲になったことで同情票が積み重なっておりますわ。
その同情票の中に、第1王子殿下と婚約者のご令嬢の実家があるのは秘密ですけど。
「申し訳ないのですが私は婚約者がいるのに他の異性に興味を持つという不道徳を良しとしておりませんし、婚姻関係にある間に不貞行為を働きたいとも考えておりません。そこまで人間のクズに成り下がりたいと思いませんし、節操無しと思われるのは生きていくのに不都合の方が多いですので」
「うっ…遠回しに批判をされている気がするな」
安心なさって?
遠回しではなく最短距離ですわ。
「しかし…離縁後は君も大変だろう?」
「大変なのはいつも今です。過去は成功すれば経験、失敗すれば反省となりますが、未来はどちらに転ぶか判りませんもの。なのでいつも大変のは今ですわ。オホホ」
「そうか…それもそうだな。私も考えたんだよ。ルシェルの産んだ子を君の子とするのはどうかと。しかしそれではルシェルは何時まで経っても日陰の身になるしな。離縁をするのが一番だと思い至ったんだ」
「養子縁組ならいざ知らず、わざわざ他人の子を自分の子として得る物は御座いません。3年間清い関係の夫婦で離縁するのですし、3年経ってもルシェル様は21歳。殿下は再婚になりますが誰も咎めもしないでしょう」
「しかし良い事ばかりだな。君に打ち明ける前は緊張したが…思い切って言って良かった。ルシェルの父君も姉から妹になるだけだし支援も変わらず続けてくれる」
そこには聊か不安な面も御座いますが、本人が良い気分になっておられるのに水を差すのは止めておきましょう。
他人様の懐事情など私があれこれと言う必要も御座いませんしね。
私はにこにことレアンドロ様に笑顔を返したのです。
「ルシェル様はイサミア氏の娘ですし、3年経つ頃にはイサミア氏も殿下の事は快く、いえ諸手を挙げて受け入れてくださるかと」
「実の父親の事をそういう呼び方をするとは…。それにルシェルの事も継母の連れ子だからと他人行儀な呼び名は感心しないな」
「私には生物学上の父がイサミア氏。ルシェル様とは他人です。故に最低限の配慮で良いと考えておりますので」
ルシェルは父、イサミアの実子ですが不貞関係にある時に生まれた子。
現在はルシェルの母エマリアとイサミアが婚姻し、夫婦となり晴れて養子縁組をして親子になりましたが、私とは何も手続きをしておりませんので現実的に異母姉妹ではありますが、他人なのです。
認めてしまうと不貞関係があったとしてイサミア氏は監査対象となってしまうので、ルシェルにも外では言わぬようにとイサミア氏が言い聞かせていたはずですが。
「まぁいいだろう。3年か…その間は私も不用意な言動は慎む事にしよう」
「賢明なご判断ですわ。正教会も昨年のブルネル王国の国王夫妻離縁騒動で神経質になっておりますし、あまり大っぴらに逢瀬は繰り返さない方がよろしいかも知れませんわね」
「よく知っているな」
「そりゃ正教会から睨まれてよい事は1つも御座いませんもの。知らずに教皇の逆鱗に触れてしまわないように注意をするのは当然です。情報は常にフレッシュが一番ですわ」
少し考え込んだレアンドロ様で御座いますが、直ぐに了承の返事を頂けました。
即決の御判断に感謝ですわ。
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