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第03話 過去
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ファティーナは魔導士である。
魔導士の数は少ないが魔法使いとは少し似て非なる。
魔法使いは時に複数の属性を扱う者がいるが基本的に水や火という属性を主に使う。
魔導士は火や水を出すことは出来ないが、身の回りにあるものを使って物質を移動させたり、本来持っている性質以上の効果を発揮させたり、時に人間や動物、植物も含め成長の促進や治癒を行う。
力を持つ者は王家が魔導院に取り込んでしまうが、ファティーナが所属をしていないのは特例が適用されていた。
魔導院に取り込まれれば王家の駒としてその生涯を拘束されてしまう。
ファティーナが生まれた時、力に気が付いた父親はネブルグ公爵に保護を求めファティーナとアロンツォの婚約を結んだ。
当時の当主はアロンツォから見れば祖父にあたる人物で、魔導士として働く事が出来るのであれば魔導院で生き方まで拘束をしなくていいのではないかとの持論を持っていた。
公爵家という立ち位置もありネブルグ公爵家が責任を負うという事でファティーナは魔導院へ入る必要は無くなった。
但しそれは、先代のネブルグ公爵がそれだけ信用に足る人物だったからでもある。
状況が変わったのは婚約を結んでまだ1年も経っていない頃だった。
隣国を起点として大陸に黒斑病という恐ろしい伝染病が蔓延した。王家は魔導士を蔓延防止のために出す事を嫌い、ネブルグ公爵とファティーナの父、シード伯爵は国境封鎖をした事で食糧不足に陥ってしまった隣国に人道的支援を行うために出立をした。
「薬は無くても食べ物はここにあるんだ。届けよう!」
そう呼びかけ、物資は集まった。しかし人が集まらない。
なにも当主が行かなくても。
そんな声もあったが罹患し発症すれば致死率100%の黒斑病。
誰も行きたがらず、当主自らが行くとなれば手を挙げてくれる者も居るんじゃないか。そう考えたネブルグ公爵とシード伯爵は陣頭指揮をとり、人を集めて隣国に出立をした。
哀しいかな。
物資が隣国に届く事はなかった。国境まであと少しまで来たところで野盗に襲撃をされ応戦するも隊は全滅。
乳飲み子だったファティーナは連れて行くことが出来ず、ネブルグ公爵家に預けられて難を逃れたがシード伯爵家は当主と後継だったファティーナの兄(当時9歳)が死亡した。
ネブルグ公爵家はアロンツォの父が家督を継いだが、シード伯爵家は継ぐ者が赤子のファティーナしかいなかった。
ケネル子爵がファティーナの後見となる事には王家が反対をした。
そもそもでケネル子爵はファティーナと血の繋がりが無い。ケネル子爵家はファティーナの父親の義妹(養母の連れ子)が嫁いでいて、ただその夫というだけ。
親戚と言えば親戚だろうが、王家が難色を示すのも無理はなかった。
しかし、新ネブルグ公爵は「アロンツォとの婚約は生きておりゆくゆくは当家に嫁ぐ娘」としてケネル子爵の後ろ盾となった事でファティーナの後見はケネル子爵となった。
先代のネブルグ公爵夫人が生きている時はファティーナも幸せだった。教育も受けさせてもらえたし魔導士としての
力も先代ネブルグ公爵夫人が王太后に話を付けてくれたので魔導院から魔導士を束ねる魔導師が指導に来てくれた。
10歳になる頃には師となった魔導師が唸るほどの力をファティーナは開花させた。
だからこそ、その力を有するファティーナを欲する者は多かった。
魔導士の数は少ないが魔法使いとは少し似て非なる。
魔法使いは時に複数の属性を扱う者がいるが基本的に水や火という属性を主に使う。
魔導士は火や水を出すことは出来ないが、身の回りにあるものを使って物質を移動させたり、本来持っている性質以上の効果を発揮させたり、時に人間や動物、植物も含め成長の促進や治癒を行う。
力を持つ者は王家が魔導院に取り込んでしまうが、ファティーナが所属をしていないのは特例が適用されていた。
魔導院に取り込まれれば王家の駒としてその生涯を拘束されてしまう。
ファティーナが生まれた時、力に気が付いた父親はネブルグ公爵に保護を求めファティーナとアロンツォの婚約を結んだ。
当時の当主はアロンツォから見れば祖父にあたる人物で、魔導士として働く事が出来るのであれば魔導院で生き方まで拘束をしなくていいのではないかとの持論を持っていた。
公爵家という立ち位置もありネブルグ公爵家が責任を負うという事でファティーナは魔導院へ入る必要は無くなった。
但しそれは、先代のネブルグ公爵がそれだけ信用に足る人物だったからでもある。
状況が変わったのは婚約を結んでまだ1年も経っていない頃だった。
隣国を起点として大陸に黒斑病という恐ろしい伝染病が蔓延した。王家は魔導士を蔓延防止のために出す事を嫌い、ネブルグ公爵とファティーナの父、シード伯爵は国境封鎖をした事で食糧不足に陥ってしまった隣国に人道的支援を行うために出立をした。
「薬は無くても食べ物はここにあるんだ。届けよう!」
そう呼びかけ、物資は集まった。しかし人が集まらない。
なにも当主が行かなくても。
そんな声もあったが罹患し発症すれば致死率100%の黒斑病。
誰も行きたがらず、当主自らが行くとなれば手を挙げてくれる者も居るんじゃないか。そう考えたネブルグ公爵とシード伯爵は陣頭指揮をとり、人を集めて隣国に出立をした。
哀しいかな。
物資が隣国に届く事はなかった。国境まであと少しまで来たところで野盗に襲撃をされ応戦するも隊は全滅。
乳飲み子だったファティーナは連れて行くことが出来ず、ネブルグ公爵家に預けられて難を逃れたがシード伯爵家は当主と後継だったファティーナの兄(当時9歳)が死亡した。
ネブルグ公爵家はアロンツォの父が家督を継いだが、シード伯爵家は継ぐ者が赤子のファティーナしかいなかった。
ケネル子爵がファティーナの後見となる事には王家が反対をした。
そもそもでケネル子爵はファティーナと血の繋がりが無い。ケネル子爵家はファティーナの父親の義妹(養母の連れ子)が嫁いでいて、ただその夫というだけ。
親戚と言えば親戚だろうが、王家が難色を示すのも無理はなかった。
しかし、新ネブルグ公爵は「アロンツォとの婚約は生きておりゆくゆくは当家に嫁ぐ娘」としてケネル子爵の後ろ盾となった事でファティーナの後見はケネル子爵となった。
先代のネブルグ公爵夫人が生きている時はファティーナも幸せだった。教育も受けさせてもらえたし魔導士としての
力も先代ネブルグ公爵夫人が王太后に話を付けてくれたので魔導院から魔導士を束ねる魔導師が指導に来てくれた。
10歳になる頃には師となった魔導師が唸るほどの力をファティーナは開花させた。
だからこそ、その力を有するファティーナを欲する者は多かった。
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