27 / 30
第27話 突破できなかった結果
しおりを挟む
「エステル…綺麗だ」
「ありがとう。ウィリスもいつもより数倍カッコいいわ」
――ちゃんとすれば、ちゃんとした人なのよね――
エステルに対してだけが異常なだけでウィリスは本来至極まともな青年なのである。
家族だけの結婚式。
居候のままで侯爵家のやり方を覚えるよりも正式に迎え入れられていれば今後の社交にも有利と判断しバスター侯爵も許可をしてくれた。
バスター侯爵夫妻としては一時期どうなるかわからなかったウィリスが妻を娶ることもだがもう引き籠らずに前を向いてくれることが何より嬉しかった。
「ね?エステルが婚約破棄と聞いていち早く動いた甲斐があったでしょう?」
マカフェーは夫のアバッスト子爵の腕にアリンコを作りながら甘える。
「そうだね。ウィリス君にもだけど、シェイム子爵家と縁戚になれば…家も安泰だ」
シェイム子爵家の開発した界面活性剤は石炭の発火を抑える目的だけではなく、アコルール王国でも早くからその重要性には話が持ち上がっていた。
こののち、石炭の発火を抑える特性を利用して冬場に外出中でも暖が取れる携帯用カイロであったり、収穫した農作物を安全に洗浄する洗剤に界面活性剤は使われていく。
ムクロジなど昔から体や衣類を洗ったりに使う植物はあったけれど、ホウレンソウなどからも界面活性剤は採取できる。マカフェーは祖母が第3王女という立場も利用して国と、兄の幸せに貢献したのだった。
★~★
アコルール王国で、ちょっと変わった夫婦が誕生した頃。
頭を抱えている男女がいた。
「どうしよう…赤点だわ」
同じ言葉を吐くのはスピカ。
エステルが退学した後で学園の日程としては学年末の試験があった。
前期試験は出題範囲が狭いが学期ごとの後期試験は出題が広い。そのうえ今回は学年末とあって5年次は5年分が出題範囲。過去問を駆使してなんとか切り抜けられるレベル。
スピカは休学している日数も長かったし、寮生活になり過去問が手に入らなかった。
過去問は早い者勝ちなので、友人同士と共有するのだが4年以上も寮生活から離れているスピカは寮内に友人がいなかった。
そのうえ、寮は学習時間は単独で行わねばならないので寮生たちは試験が近づくと図書館の閉館時間まで寮生以外の生徒と勉強をしてくる。
スピカはその時間にルカシュと遊びまわったりしていたツケが襲ってきた。
悪口を言うときは一緒に盛り上がってくれるけれど、勉学については休学している間のことを聞かれてスピカが間違った回答をしてしまったときに責任を問われては敵わないと一緒に勉強をしてくれない。
スピカの取り巻きだって必死。
スピカは元々の婚約者との結婚を選んだので、誤答の責任を問われたときに家の事業にまで影響があるのは勘弁してほしかった。一番の得策は「遊びは一緒でも勉強はノータッチ」を貫くこと。
放課後になると取り巻きの友人たちは我先に馬車に乗り込んで帰ってしまった。
スピカは誰に問うことも出来なかった。
その結果、学年末の試験で赤点。
追試はあったが解き方が判るはずもなく追試も突破できなかった。
「荷物を纏めなさい」
「待って。もう一度採点を見直してほしいと頼んでいるの!」
「必要ありません。旦那様たちもバレイオンス様もお待ちです」
「じゃぁ…結婚は1年前倒し?」
「それは旦那様にご確認を。私はここを引き払うようにと命じられただけです」
ドメス家からやってきた従者は事務的にスピカに用件を告げ、さっさと退学届を出してしまった。
「退学だなんて!採点を見直してもらえればあと1年で卒業なのよ?!」
「採点の見直しね。確かに過去にはそれで進級不可が覆った生徒もいますが、近年ではありませんし数問忖度してもらったところでボーダーラインにも届いていませんよ。無駄です。旦那様の決定ですから」
「わかったわよ。荷物を纏めるわ」
ドメス伯爵家の決定なのであれば逆らっても無駄。残ったところでスピカに学費が支払えるはずもなくスピカは荷物を纏め、ドメス家の馬車に積み込み学園を退学していった。
――退学でもいいわ。バラ色の生活が1年早まっただけよ――
表情を変えることのない従者と馬車で向かい合い、ドメス領に戻ったスピカは馬車を降りて出迎えてくれた男性を見てパっと顔を綻ばせた。
それはバシュ伯爵子息とスフラ伯爵子息。
「わぁ。どうしたの?遊びに来たの?」
スピカの問いにバシュ伯爵子息とスフラ伯爵子息も返事を返さずに黙々と馬車にステップを設置した。
★~★
ルカシュはスピカよりも頭を抱えていた。
エステルと婚約破棄をしたことは全員が知っていてルカシュと付き合ってもいいことは1つもない。卒業すれば長兄が後継ぎで次兄が領地の管理。ルカシュは公爵家で何もすることがない。
「あいつさ、婿入りだったから楽できたんだよな」
「いいんじゃね?スピカに付いていくんだろ?」
「そうなのか?でもドメス家だろ?愛人は無理だろ」
「下男くらいなら夫人の権限で雇えるんじゃねぇの?」
使用人の中でも最下層の下男に、しかもスピカに雇ってもらわないと先のないルカシュは足繫くベルルカ伯爵家に通い詰めた事もあって勉強する時間などなかった。
当然及第点と呼ばれる200点満点中の40点を超えることは出来ず赤点が確定した。
長期休みに入ってもベルルカ伯爵家に行くことをやめることはなかったが、帰宅直前で顔面蒼白になった。
正面門の前にトランクが置かれている。
門はくぐっていないのに馬車を降ろされ御者に言われた。
「お世話はここまでです」
「ありがとう。ウィリスもいつもより数倍カッコいいわ」
――ちゃんとすれば、ちゃんとした人なのよね――
エステルに対してだけが異常なだけでウィリスは本来至極まともな青年なのである。
家族だけの結婚式。
居候のままで侯爵家のやり方を覚えるよりも正式に迎え入れられていれば今後の社交にも有利と判断しバスター侯爵も許可をしてくれた。
バスター侯爵夫妻としては一時期どうなるかわからなかったウィリスが妻を娶ることもだがもう引き籠らずに前を向いてくれることが何より嬉しかった。
「ね?エステルが婚約破棄と聞いていち早く動いた甲斐があったでしょう?」
マカフェーは夫のアバッスト子爵の腕にアリンコを作りながら甘える。
「そうだね。ウィリス君にもだけど、シェイム子爵家と縁戚になれば…家も安泰だ」
シェイム子爵家の開発した界面活性剤は石炭の発火を抑える目的だけではなく、アコルール王国でも早くからその重要性には話が持ち上がっていた。
こののち、石炭の発火を抑える特性を利用して冬場に外出中でも暖が取れる携帯用カイロであったり、収穫した農作物を安全に洗浄する洗剤に界面活性剤は使われていく。
ムクロジなど昔から体や衣類を洗ったりに使う植物はあったけれど、ホウレンソウなどからも界面活性剤は採取できる。マカフェーは祖母が第3王女という立場も利用して国と、兄の幸せに貢献したのだった。
★~★
アコルール王国で、ちょっと変わった夫婦が誕生した頃。
頭を抱えている男女がいた。
「どうしよう…赤点だわ」
同じ言葉を吐くのはスピカ。
エステルが退学した後で学園の日程としては学年末の試験があった。
前期試験は出題範囲が狭いが学期ごとの後期試験は出題が広い。そのうえ今回は学年末とあって5年次は5年分が出題範囲。過去問を駆使してなんとか切り抜けられるレベル。
スピカは休学している日数も長かったし、寮生活になり過去問が手に入らなかった。
過去問は早い者勝ちなので、友人同士と共有するのだが4年以上も寮生活から離れているスピカは寮内に友人がいなかった。
そのうえ、寮は学習時間は単独で行わねばならないので寮生たちは試験が近づくと図書館の閉館時間まで寮生以外の生徒と勉強をしてくる。
スピカはその時間にルカシュと遊びまわったりしていたツケが襲ってきた。
悪口を言うときは一緒に盛り上がってくれるけれど、勉学については休学している間のことを聞かれてスピカが間違った回答をしてしまったときに責任を問われては敵わないと一緒に勉強をしてくれない。
スピカの取り巻きだって必死。
スピカは元々の婚約者との結婚を選んだので、誤答の責任を問われたときに家の事業にまで影響があるのは勘弁してほしかった。一番の得策は「遊びは一緒でも勉強はノータッチ」を貫くこと。
放課後になると取り巻きの友人たちは我先に馬車に乗り込んで帰ってしまった。
スピカは誰に問うことも出来なかった。
その結果、学年末の試験で赤点。
追試はあったが解き方が判るはずもなく追試も突破できなかった。
「荷物を纏めなさい」
「待って。もう一度採点を見直してほしいと頼んでいるの!」
「必要ありません。旦那様たちもバレイオンス様もお待ちです」
「じゃぁ…結婚は1年前倒し?」
「それは旦那様にご確認を。私はここを引き払うようにと命じられただけです」
ドメス家からやってきた従者は事務的にスピカに用件を告げ、さっさと退学届を出してしまった。
「退学だなんて!採点を見直してもらえればあと1年で卒業なのよ?!」
「採点の見直しね。確かに過去にはそれで進級不可が覆った生徒もいますが、近年ではありませんし数問忖度してもらったところでボーダーラインにも届いていませんよ。無駄です。旦那様の決定ですから」
「わかったわよ。荷物を纏めるわ」
ドメス伯爵家の決定なのであれば逆らっても無駄。残ったところでスピカに学費が支払えるはずもなくスピカは荷物を纏め、ドメス家の馬車に積み込み学園を退学していった。
――退学でもいいわ。バラ色の生活が1年早まっただけよ――
表情を変えることのない従者と馬車で向かい合い、ドメス領に戻ったスピカは馬車を降りて出迎えてくれた男性を見てパっと顔を綻ばせた。
それはバシュ伯爵子息とスフラ伯爵子息。
「わぁ。どうしたの?遊びに来たの?」
スピカの問いにバシュ伯爵子息とスフラ伯爵子息も返事を返さずに黙々と馬車にステップを設置した。
★~★
ルカシュはスピカよりも頭を抱えていた。
エステルと婚約破棄をしたことは全員が知っていてルカシュと付き合ってもいいことは1つもない。卒業すれば長兄が後継ぎで次兄が領地の管理。ルカシュは公爵家で何もすることがない。
「あいつさ、婿入りだったから楽できたんだよな」
「いいんじゃね?スピカに付いていくんだろ?」
「そうなのか?でもドメス家だろ?愛人は無理だろ」
「下男くらいなら夫人の権限で雇えるんじゃねぇの?」
使用人の中でも最下層の下男に、しかもスピカに雇ってもらわないと先のないルカシュは足繫くベルルカ伯爵家に通い詰めた事もあって勉強する時間などなかった。
当然及第点と呼ばれる200点満点中の40点を超えることは出来ず赤点が確定した。
長期休みに入ってもベルルカ伯爵家に行くことをやめることはなかったが、帰宅直前で顔面蒼白になった。
正面門の前にトランクが置かれている。
門はくぐっていないのに馬車を降ろされ御者に言われた。
「お世話はここまでです」
1,704
お気に入りに追加
2,474
あなたにおすすめの小説
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
転生先は王子様の元婚約者候補というifモブでした
cyaru
恋愛
パワハラ上司に突き飛ばされ、打ち所が悪かったらしく生涯を終えてしまった…と思ったら神様が問う。
「あなたは、どちらを選びますか?」
差し出されたのは右手に金の靴、左手にガラスの靴。
これを売って生活の足しにするのなら間違いなく金の靴だが「これは展示品」と神様が言う。
どうやら転生先となる御伽噺の世界を選べと言っている。
なら物語を知っているガラスの靴を選んでみたら!!!
転生先はヒロインのシンデレラでもなく、意地悪な義姉でもなく、モブの中のモブ。
設定まで微調整された「シンデレラに求婚する王子様の元婚約者候補のシャルロット」という超微妙なキャラだった。
そんなキャラいた?!
本編には一切登場しない。つまり設定まで微調整されて「if」のような話が転生先だったのだ。
転生されなきゃ台詞の1つどころか存在さえもなかった公爵令嬢シャルロットが爆誕したのだった。
どうせ「if」なんだし、公爵令嬢だから自由気ままに生きて良いよね~なんて甘かった!
本編はもう終わっているので王子様はシンデレラにゾッコンLOVEかと思えば、何故か連絡して来る。
その上、王子様の婚約者候補だったんだから低位貴族の令嬢であるはずがなく、公爵令嬢という立ち位置。王子がダメならこの人はどうだと超絶美丈夫との縁談を纏めてくる父親。
この世界、この時代が政略結婚しかないのは解るけど、中身がこの時代の人じゃないんだから受け入れられない!!
自由気ままに生きるためには、取り敢えずは結婚を回避!婚約者に嫌われ、呆れられるようにしなきゃ!
新生シャルロットは自由を掴めるのか?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★6月21日投稿開始、完結は6月23日です。
★コメントの返信は遅いです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
結婚式の前夜、花嫁に逃げられた公爵様の仮妻も楽じゃない
cyaru
恋愛
マーシャル子爵家の居候ブリュエットは毎日を無給、無休で働く居候の身。
事故で両親や兄妹を失い、何でも屋を営む母方の従兄夫婦に引き取られたためである。
いつものように夜明け前から幾つかの仕事先を回って仕事をしている時だった。
オーストン公爵家の執事がやって来て「この仕事はもういいから来てくれ。こっちが優先だ」と言う。
やって来たのはなんと教会。
その日はオーストン公爵家の次期当主オクタヴィアンの結婚式なのだが、前夜花嫁となるはずだった婚約者が逃げてしまったのだ。
その日の花嫁役を代役として熟すだけではなく、神の前では本人しか誓えない事からブリュエットは2年間オクタヴィアンの妻となる役目まで行う事になってしまった。
ただ、長く婚約者だった令嬢の事を本当に好きだったオクタヴィアンは現実を受け入れる事が出来ず式の後やって来たブリュエットに言った。
「視界から消えろ!」「煩わしい声を聞かせるな!」「さっさと出て行け!」
そう言われても教会で結婚誓約書に署名をしたからには2年間は白い結婚でも妻で居なければならない。
オクタヴィアンの部屋からでて執事にこれからの事を聞くと驚く事が判る。
2年後離縁となった時、その時の迷惑料、つまり慰謝料も込みで既に金はマーシャル子爵家に支払われていたのだ。このままでは2年後身一つで公爵家を出ることになってしまう。
しかし、希望もあった。オーストン公爵家ではブリュエットの生活費として1日当たり1万ゴルを見込んでいる。節制し余った金はブリュエットに渡してくれるというのだ。
「これは節約生活をするしかない!」意気込むブリュエットは豪華な離れではなく、経費を削減するために薪や炭の保管をする休憩場のついた小屋を希望し食事も使用人の賄を希望した。
出来るだけオクタヴィアンの目につかないように半分自給自足の生活を始めるのだが…。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★6月8日投稿開始、完結は6月9日です。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
私は記憶を2度失った?
しゃーりん
恋愛
街で娘と買い物をしていると、知らない男にいきなり頬を叩かれた。
どうやら私の婚約者だったらしいけど、私は2年間記憶を失っているためわからない。
勝手に罵って去って行った男に聞きたかったのに。「私は誰ですか?」って。
少しして、私が誰かを知る人たちが迎えに来た。伯爵令嬢だった。
伯爵家を訪れた直後に妊娠していることが判明した。え?身に覚えはないのに?
失った記憶に何度も悩まされる令嬢のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる