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第19話 自爆系お笑い大道芸人
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「エステル!」
――は?名を呼ぶ事も呼び捨ても許してないけど?――
どうやらスピカはエステルが来るのを待っていたようで「待ちくたびれちゃった」ペロッと舌を出す。ついでにエステル相手なのにいじけた風になり拗ねたように唇を尖らせる。
――誰得?――
場所は当主科の校舎玄関なので明らかに場違いなスピカに表情こそ誰も変えないが訝し気にこちらを見ていた。
スピカに用はないが、スピカは用があるらしくトテテと可愛く歩いて近寄って来ると「ごめんなさいっ!」ガバッとスピカは頭を下げた。
――な、なんなの?いきなり――
スピカは鼻にモノが詰まったような声を出した。つまり泣きそうな声に近い。
――朝から止めてよ。なんなのよ――
もじもじと体をくねらせて「言っていいのかな。どうしよう。いいよね?」と1人でスピカは問答を始める。
呼び止められて10分経過。
いったい何をしたいのだろうと思うのは仕方ない。
今日は当番ではないものの何時までも付き合ってられないとその場を去ろうとするとスピカがまた呼び止めた。
「待ってぇ。エステル」
「なんです?いったい…もう教室に入りたいんですけど?」
「ルー君の事で怒っているんでしょぉ?でもそれは勘違いなんですぅ。ルー君はアタシに優しくしたり、甘えさせてくれたり、色んな所に連れて行ってくれたんだけどぉ。アタシは婚約者もいますしぃ。ルー君の事はなんとも思ってないんですぅ」
――いやいや、なんのマウント?――
優しかろうが、甘かろうが、2人が何処に行こうがエステルの知った事ではない。
尤も、この発言が婚約破棄の前なら爆弾発言になっただろうが、婚約破棄となりヤンフスキー公爵家から慰謝料も支払われた今、聞かされたってどうなるものでもない。
「だから何なのです?関係のない方の事をご説明頂いても困ります」
「関係ないって!酷ぉい!エステルがそんな態度だからルー君が困ってるんですよぉ?判らないんですかぁ?」
「解りませんね。私の態度でヤンフスキー公爵子息がどのように困っているのか存じませんが少なくとも私には関係のない事です。お話はそれだけですの?」
「それだけって言うかぁ。アタシはエステルがルー君に怒ってるからどうにかしようかなって。えへっ」
「怒っておりません。怒るとすれば…私は貴女に私の名を呼び捨てにする許しは与えておりません。その点についてはどうかとは考えますがそれだけです」
「やだぁ。アタシたち友達じゃない。ルー君共有の!」
周囲で堪えきれず失笑を漏らしたものがいる。
申し訳ないがルカシュを共有した覚えはない。
ここが当主科でスピカと言う人間をある程度知っている者ばかりなのでまだいいが、これが文官科の玄関だったら誤解しか生まない発言である事は間違ない。
しかし、面倒な事は重なるもの。
「何やってるんだよ!」
友人かお節介な生徒が知らせたのだろう。
ルカシュが息を切らせて走って来た。
上着もカバンも適当に手にしている事から馬車を降りたところで知らされたのか。
「スピカ!エステルに余計な事を言うなよ!」
「余計じゃないわ。アタシだけ幸せな未来なんてルー君が気の毒過ぎるじゃない!子爵家だって取り敢えず貴族なんだしないよりマシでしょう?仲を取り持ってあげようと気を利かせただけよ。そうしないとルー君、貴族の生活が出来ないでしょう?」
――さらっと爆弾発言してるんじゃないわよ――
エステルの頭の中は近年開発されたトンネル工事の発破で使う爆薬が盛大に炸裂した音がした。
こめかみがズキズキと痛む。どうしてこうも正式に別れた後で絡まれなくてはならないのか。エステルが頭痛を感じるその側でルカシュも盛大に自爆してくれる。
「そんな事をエステルに言うなよ!子爵家だって貴族の端くれなんだ!恥ずかしいと思うのは最初の内だけなんだし、スピカは平民のままじゃないか。余計なお節介は止めてくれよ。折角エステルの心が解れかけているのに!」
――え?そうだったの?いつ解れたの?――
本当にこの2人は自爆系お笑い大道芸人になったほうがいいんじゃないのかと思ってしまう。面倒な2人だがこれでルカシュが貴族でいたいが為だけに足繁くやってきている事も判った。
気持ちはもう覚めてしまってヨリを戻す気は全く無かったし、封印したい過去となったけれど、それでも学園に入学してからは別としてそれまでの12,13年間が思いっきり踏みにじられたような気持ちになった。
――あ~。もういい、本当にどうでもいい――
学園にいる限りこの2人と何かにつけて顔を合わさねばならない煩わしさは今日を最後にしようと決心した。
「こらぁ!もうすぐ始業時間だ!何やってる!」
生活指導の講師がエステル、ルカシュ、スピカを囲んで生徒が足を止めているのを見て怒鳴りながらやって来た。生徒たちは蜘蛛の子を散らすようにその場からいなくなる。
真っ先に「不味い!」と駆けだしたのがルカシュとスピカだなんて笑えない。
一人残ったエステルに講師が「早く教室に行け」と促す。
「いえ、これを管理課に提出しようと思いまして」
カバンから取り出したのは父親の署名入り退学届け。講師は目を丸くした。
学業や生活態度に問題があった訳でもなく残り1年ほどなのに退学するのは異例中の異例。
講師はエステルを引き留めた。
勢いもあったがエステルの意思は固くあっさりと提出してしまった。
エステルは教室に行かずまだ旋回の順番待ちをしているであろう馬車のいる乗降場に向かった。
――は?名を呼ぶ事も呼び捨ても許してないけど?――
どうやらスピカはエステルが来るのを待っていたようで「待ちくたびれちゃった」ペロッと舌を出す。ついでにエステル相手なのにいじけた風になり拗ねたように唇を尖らせる。
――誰得?――
場所は当主科の校舎玄関なので明らかに場違いなスピカに表情こそ誰も変えないが訝し気にこちらを見ていた。
スピカに用はないが、スピカは用があるらしくトテテと可愛く歩いて近寄って来ると「ごめんなさいっ!」ガバッとスピカは頭を下げた。
――な、なんなの?いきなり――
スピカは鼻にモノが詰まったような声を出した。つまり泣きそうな声に近い。
――朝から止めてよ。なんなのよ――
もじもじと体をくねらせて「言っていいのかな。どうしよう。いいよね?」と1人でスピカは問答を始める。
呼び止められて10分経過。
いったい何をしたいのだろうと思うのは仕方ない。
今日は当番ではないものの何時までも付き合ってられないとその場を去ろうとするとスピカがまた呼び止めた。
「待ってぇ。エステル」
「なんです?いったい…もう教室に入りたいんですけど?」
「ルー君の事で怒っているんでしょぉ?でもそれは勘違いなんですぅ。ルー君はアタシに優しくしたり、甘えさせてくれたり、色んな所に連れて行ってくれたんだけどぉ。アタシは婚約者もいますしぃ。ルー君の事はなんとも思ってないんですぅ」
――いやいや、なんのマウント?――
優しかろうが、甘かろうが、2人が何処に行こうがエステルの知った事ではない。
尤も、この発言が婚約破棄の前なら爆弾発言になっただろうが、婚約破棄となりヤンフスキー公爵家から慰謝料も支払われた今、聞かされたってどうなるものでもない。
「だから何なのです?関係のない方の事をご説明頂いても困ります」
「関係ないって!酷ぉい!エステルがそんな態度だからルー君が困ってるんですよぉ?判らないんですかぁ?」
「解りませんね。私の態度でヤンフスキー公爵子息がどのように困っているのか存じませんが少なくとも私には関係のない事です。お話はそれだけですの?」
「それだけって言うかぁ。アタシはエステルがルー君に怒ってるからどうにかしようかなって。えへっ」
「怒っておりません。怒るとすれば…私は貴女に私の名を呼び捨てにする許しは与えておりません。その点についてはどうかとは考えますがそれだけです」
「やだぁ。アタシたち友達じゃない。ルー君共有の!」
周囲で堪えきれず失笑を漏らしたものがいる。
申し訳ないがルカシュを共有した覚えはない。
ここが当主科でスピカと言う人間をある程度知っている者ばかりなのでまだいいが、これが文官科の玄関だったら誤解しか生まない発言である事は間違ない。
しかし、面倒な事は重なるもの。
「何やってるんだよ!」
友人かお節介な生徒が知らせたのだろう。
ルカシュが息を切らせて走って来た。
上着もカバンも適当に手にしている事から馬車を降りたところで知らされたのか。
「スピカ!エステルに余計な事を言うなよ!」
「余計じゃないわ。アタシだけ幸せな未来なんてルー君が気の毒過ぎるじゃない!子爵家だって取り敢えず貴族なんだしないよりマシでしょう?仲を取り持ってあげようと気を利かせただけよ。そうしないとルー君、貴族の生活が出来ないでしょう?」
――さらっと爆弾発言してるんじゃないわよ――
エステルの頭の中は近年開発されたトンネル工事の発破で使う爆薬が盛大に炸裂した音がした。
こめかみがズキズキと痛む。どうしてこうも正式に別れた後で絡まれなくてはならないのか。エステルが頭痛を感じるその側でルカシュも盛大に自爆してくれる。
「そんな事をエステルに言うなよ!子爵家だって貴族の端くれなんだ!恥ずかしいと思うのは最初の内だけなんだし、スピカは平民のままじゃないか。余計なお節介は止めてくれよ。折角エステルの心が解れかけているのに!」
――え?そうだったの?いつ解れたの?――
本当にこの2人は自爆系お笑い大道芸人になったほうがいいんじゃないのかと思ってしまう。面倒な2人だがこれでルカシュが貴族でいたいが為だけに足繁くやってきている事も判った。
気持ちはもう覚めてしまってヨリを戻す気は全く無かったし、封印したい過去となったけれど、それでも学園に入学してからは別としてそれまでの12,13年間が思いっきり踏みにじられたような気持ちになった。
――あ~。もういい、本当にどうでもいい――
学園にいる限りこの2人と何かにつけて顔を合わさねばならない煩わしさは今日を最後にしようと決心した。
「こらぁ!もうすぐ始業時間だ!何やってる!」
生活指導の講師がエステル、ルカシュ、スピカを囲んで生徒が足を止めているのを見て怒鳴りながらやって来た。生徒たちは蜘蛛の子を散らすようにその場からいなくなる。
真っ先に「不味い!」と駆けだしたのがルカシュとスピカだなんて笑えない。
一人残ったエステルに講師が「早く教室に行け」と促す。
「いえ、これを管理課に提出しようと思いまして」
カバンから取り出したのは父親の署名入り退学届け。講師は目を丸くした。
学業や生活態度に問題があった訳でもなく残り1年ほどなのに退学するのは異例中の異例。
講師はエステルを引き留めた。
勢いもあったがエステルの意思は固くあっさりと提出してしまった。
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