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第17話 謎しかない手紙
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何と言われてもいい。人によって我慢の限界と言うのは差がある。
婚約破棄からまだ3カ月と少し。日数にして100日を超えたくらいだがエステルは我慢の限界を迎えていた。
人にはパーソナルスペースと言うものがある。
実際の距離もだが、心の距離もその中に含まれる。
4年間も居ない者として扱われたような生活から、今度は気分的に密着している距離感。
体に触れられる訳ではないが、ホッとする時間がないのだ。
授業中や屋敷の中にまでルカシュが押しかけてくるわけではないけれど、授業が終われば、朝になればと考えるとウンザリも超えてゲンナリする。
辛い事を乗り越えた後のワクワクは希望があるが、ウザさと面倒臭さを行ったり来たりで僅かな息抜きの時間が終われば「またか」と思う生活に疲れてしまった。
追い打ちをかけるようにルカシュから手紙が届くようにもなった。
内容に笑ったのは3、4回目まで。
10回を超え、20回を超えると最早恐怖でしかない。
直近で前回届いた手紙。侍女もメイドももう表情が強張る。
『エステル、君を何に例えて良いのか判らない。そうだ。例えるならエステルは空だ。何処までも青く透き通って僕の心すら見透かしてしまう美しさだ。僕はエステルと言う空を飛ぶ鳥だ。腕の中に抱かれて僕は何処までも飛べる気がする』
――引くわ~。私、間違いなく撃ち落とすわね――
そしてメイドが「さっき届きました」と新たな怪文書を手渡してくる。
そのまま捨てても良いのだが、人間には怖いもの見たさというその後に待ち受けるのが後悔しかないと解っていてもやり過ごすことが出来ない好奇心がある。
開いてみた。
『夜空に瞬く星。僕はエステルと言う広大な宇宙を彷徨う小さな星。果てしなく広がるエステルと言う宇宙の愛は奥深く、何時までも僕はエステルに向けて輝きを返し続ける。それが愛の贖罪。流れ星は僕の涙。その涙が君の指で拭われることで僕は救われる』
――ブラックホールに吸い込まれないかしら――
「お嬢様…今日も無茶苦茶な内容ですね」
「そうね…流れ星は成層圏で燃え尽きているだけのチリよ」
「それ以前に恒星並みに発光してる流れ星…怖すぎる」
「涙なんかミルクを拭いた事を忘れて放置した雑巾で拭いとけばいいのよ」
謎の怪文書を読み終わった後はどっと疲れが出てしまう。
屋敷でも学園でも気の休まる時間が持てず、エステルは寝不足気味。
さらに面倒な事に学園内で文官科に広まる根拠のない噂が平民も学園に通っている事から市井にも流れ始めている。運がいいのか悪いのか。
現在王都では2つの歌劇が大バズりしている。
1つは「一途な愛~公爵子息の猛愛~」タイトルだけで眩暈がしそうだ。
実話に基づいてはいるが同じなのは公爵子息が一途に愛を貫くという事だけで、史実の公爵子息は幼い頃に出会った少女の事を思い続けていて他に目移りしたりと言う話ではない。
面倒なのは先月スピカが登校を再開した事で、もう1つの歌劇「執愛~2つの愛に翻弄されて~」が文官科で「これって?!」とスピカの事では?と噂されている。
こちらは創作なのだが平民の女性が2人の男性から求愛される話。
1人は昔からの婚約者、1人は別に婚約者がいる貴族貴族の男性。
――まんまじゃない――とエステルは思った。
激しい愛の板挟みにあった令嬢は両親の事を考えて元々の婚約者と結婚をするのだが、一時でも愛し合ったばかりに婚約破棄をされてしまい放逐され落ちぶれた貴族子息に自分だけが幸せになって申し訳ないと心を痛める話。
――単に不貞だから。美化すんな――とエステルは思う。
★~★
スピカはドメス家からの「婚約は継続、予定通り結婚」と言う提案を受けた。
ヤンフスキー公爵家はもう学費の打ち切りをしているので、これからは全額をドメス家が負担する。それまでにヤンフスキー公爵家がスピカに使った金の返金は求められる事はない。勉強代である。
スピカの学費は半額をドメス家が負担していたのがこれからは全額なだけ。
「婚約はスピカさんが嫌なら解消しても構いません。その場合は一括で返金をお願いします。結婚するのであれば学費はドメス家が用意しますので卒業まで学園に通えます。但し寮住まいに戻ってもらいます」
スピカはドメス家が提示した2つの案の内、結婚する方を選んだ。
逆立ちしたって4年半の学費は半額とは言え用意出来る金額ではなかった事と、卒業すれば学歴、結婚すれば多少の我慢と引き換えに裕福な生活が送れることから継続をスピカ自身が選んだ。
噂が収まらないのはスピカは寮生となり寮内でスピカも吹聴していたからである。
★~★
「はぁ…もうどこでもいいわ。静かな所に行きたい」
噂の渦中にいると気が滅入ってしまうもの。エステルは噂にもルカシュの言動にも疲れていた。
学園ももう3日。行く気になれず休んでしまっている。
今までは病気は別だが自分の都合で休む事などなかったのに休んでしまった事もエステルの中では大きな反省点だ。
学園を休んで3日目。ベルルカ伯爵家に書簡が届いた。
手紙の類が届くと「また?!」と身構えてしまうが、午前中に届いたルカシュからの怪文書と違って午後に届いた手紙は隣国のアコルール王国にあるバスター侯爵家からベルルカ伯爵宛のものだった。
「取引はないんだけどな」
子爵家との取引を仲介してくれ、そんな内容かと思ったら違った。
「えっ?!婚約っ?エステルと?!」
ベルルカ伯爵は何度も見返したが、「うちの息子、如何でしょう」書簡は婚約の申し込みだった。
婚約破棄からまだ3カ月と少し。日数にして100日を超えたくらいだがエステルは我慢の限界を迎えていた。
人にはパーソナルスペースと言うものがある。
実際の距離もだが、心の距離もその中に含まれる。
4年間も居ない者として扱われたような生活から、今度は気分的に密着している距離感。
体に触れられる訳ではないが、ホッとする時間がないのだ。
授業中や屋敷の中にまでルカシュが押しかけてくるわけではないけれど、授業が終われば、朝になればと考えるとウンザリも超えてゲンナリする。
辛い事を乗り越えた後のワクワクは希望があるが、ウザさと面倒臭さを行ったり来たりで僅かな息抜きの時間が終われば「またか」と思う生活に疲れてしまった。
追い打ちをかけるようにルカシュから手紙が届くようにもなった。
内容に笑ったのは3、4回目まで。
10回を超え、20回を超えると最早恐怖でしかない。
直近で前回届いた手紙。侍女もメイドももう表情が強張る。
『エステル、君を何に例えて良いのか判らない。そうだ。例えるならエステルは空だ。何処までも青く透き通って僕の心すら見透かしてしまう美しさだ。僕はエステルと言う空を飛ぶ鳥だ。腕の中に抱かれて僕は何処までも飛べる気がする』
――引くわ~。私、間違いなく撃ち落とすわね――
そしてメイドが「さっき届きました」と新たな怪文書を手渡してくる。
そのまま捨てても良いのだが、人間には怖いもの見たさというその後に待ち受けるのが後悔しかないと解っていてもやり過ごすことが出来ない好奇心がある。
開いてみた。
『夜空に瞬く星。僕はエステルと言う広大な宇宙を彷徨う小さな星。果てしなく広がるエステルと言う宇宙の愛は奥深く、何時までも僕はエステルに向けて輝きを返し続ける。それが愛の贖罪。流れ星は僕の涙。その涙が君の指で拭われることで僕は救われる』
――ブラックホールに吸い込まれないかしら――
「お嬢様…今日も無茶苦茶な内容ですね」
「そうね…流れ星は成層圏で燃え尽きているだけのチリよ」
「それ以前に恒星並みに発光してる流れ星…怖すぎる」
「涙なんかミルクを拭いた事を忘れて放置した雑巾で拭いとけばいいのよ」
謎の怪文書を読み終わった後はどっと疲れが出てしまう。
屋敷でも学園でも気の休まる時間が持てず、エステルは寝不足気味。
さらに面倒な事に学園内で文官科に広まる根拠のない噂が平民も学園に通っている事から市井にも流れ始めている。運がいいのか悪いのか。
現在王都では2つの歌劇が大バズりしている。
1つは「一途な愛~公爵子息の猛愛~」タイトルだけで眩暈がしそうだ。
実話に基づいてはいるが同じなのは公爵子息が一途に愛を貫くという事だけで、史実の公爵子息は幼い頃に出会った少女の事を思い続けていて他に目移りしたりと言う話ではない。
面倒なのは先月スピカが登校を再開した事で、もう1つの歌劇「執愛~2つの愛に翻弄されて~」が文官科で「これって?!」とスピカの事では?と噂されている。
こちらは創作なのだが平民の女性が2人の男性から求愛される話。
1人は昔からの婚約者、1人は別に婚約者がいる貴族貴族の男性。
――まんまじゃない――とエステルは思った。
激しい愛の板挟みにあった令嬢は両親の事を考えて元々の婚約者と結婚をするのだが、一時でも愛し合ったばかりに婚約破棄をされてしまい放逐され落ちぶれた貴族子息に自分だけが幸せになって申し訳ないと心を痛める話。
――単に不貞だから。美化すんな――とエステルは思う。
★~★
スピカはドメス家からの「婚約は継続、予定通り結婚」と言う提案を受けた。
ヤンフスキー公爵家はもう学費の打ち切りをしているので、これからは全額をドメス家が負担する。それまでにヤンフスキー公爵家がスピカに使った金の返金は求められる事はない。勉強代である。
スピカの学費は半額をドメス家が負担していたのがこれからは全額なだけ。
「婚約はスピカさんが嫌なら解消しても構いません。その場合は一括で返金をお願いします。結婚するのであれば学費はドメス家が用意しますので卒業まで学園に通えます。但し寮住まいに戻ってもらいます」
スピカはドメス家が提示した2つの案の内、結婚する方を選んだ。
逆立ちしたって4年半の学費は半額とは言え用意出来る金額ではなかった事と、卒業すれば学歴、結婚すれば多少の我慢と引き換えに裕福な生活が送れることから継続をスピカ自身が選んだ。
噂が収まらないのはスピカは寮生となり寮内でスピカも吹聴していたからである。
★~★
「はぁ…もうどこでもいいわ。静かな所に行きたい」
噂の渦中にいると気が滅入ってしまうもの。エステルは噂にもルカシュの言動にも疲れていた。
学園ももう3日。行く気になれず休んでしまっている。
今までは病気は別だが自分の都合で休む事などなかったのに休んでしまった事もエステルの中では大きな反省点だ。
学園を休んで3日目。ベルルカ伯爵家に書簡が届いた。
手紙の類が届くと「また?!」と身構えてしまうが、午前中に届いたルカシュからの怪文書と違って午後に届いた手紙は隣国のアコルール王国にあるバスター侯爵家からベルルカ伯爵宛のものだった。
「取引はないんだけどな」
子爵家との取引を仲介してくれ、そんな内容かと思ったら違った。
「えっ?!婚約っ?エステルと?!」
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