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1- 異世界の神
魔法の使い方がわからないので無敵どころか最弱な件
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女神は、俺の発した「2乗」という言葉を理解するのに戸惑ったが、彼女は意味を咀嚼すると、すんなりと俺に蒼い光をかぶせ、そのスキルを付与した。直後の俺は、急に意欲と活気が湧いてきて、全能感で脳が満たされた。
そうして、彼女は基本的なこの異世界の説明と、俺の境遇を説明したわけだが。
「しかし、ここがどこなのかとか教えてもらってないじゃあないか」
たくさんの人々が通る見覚えのない街中で、俺はそうつぶやく。その「人々」には、様々な髪色や種類がいて、さすが異世界、と感嘆を漏らさずにはいられない。なにせ、ゲームやアニメのように、蒼や翡翠色の瞳やサラサラな髪を持つ人々が、なんの疑問もなく普通に歩いているのだ。目を疑ったのは、虹色の紋様が施された透明な羽を持つ、銀髪のエルフのような若い娘だった。とても綺麗な美貌に、俺はバカのように一瞬突っ立っている。
「……これが異世界か」
まさにそうとしか形容できない。
技術的には中世といったところか。煙突からもうもうと煙が出て、野外に屋台を出して、現代にしては奇抜なコスプレのような服装が全て印象深い。
しばらく珍しげに街中や人々を眺めていたが、目に留まったのはやや遠くに見える白い塔。
「とりあえずなにかするか……」
女神からはとりあえず衣服と食料、そしてこの世界の金をいくらかもらっている。数日で餓死するようなことはないと思うが、いずれにせよ何らかの方法で生計を立てて行かねば。そして、ゲームならともかく、異世界の知識はこれっぽっちもないため、さっきから周りの会話が聞こえない。これでは酒場で情報収集なんかができないじゃないか!
《現在、スキル【翻訳】が使えます》
ん?
俺は、脳内に響く中性的な声に戸惑う。
だが、俺はこれがゲームのナレーションのようなものだと気づいた。ならば、心のなかでYESと念じれば翻訳してくれるはず…
《スキル【翻訳】を使用しました》
すると、耳には聞き慣れた言葉が飛び込んでくる。あぁ、なんか懐かしい……
しかし、魔法というのはこうやって使うのか?よくわからないが……
__
突然、腕に強い感触を感じた。
「おい、ちょっと…」
「あぁ?何いってんだよ、お前がぶつかってきたんだろ」
どこにでも落ちてそうな火種を、自らの不注意によって拾ってしまう。今の発言にしまったと気づくのは、もう遅い。
相手は体格差はさほどないが、はちまきをしているいかつい顔に怯む。彼の鼻に付けた銀のピアスが太陽光に反射しギラリと光る。
「こっち来いやてめぇ」
「ちょ……」
俺は言葉に詰まり、すると目の前の男の脇から二人のガタイのいい、山賊のような格好をした男が現れた。
「ふっ。お前は俺の大切なボディを傷つけた罪で、殺してやる!」
理由がくだらなすぎて反吐が出るな。
突如どこかから湧いてきた自信とともに、相手を睨みつけた。
お前はまだ知らんだろうが、俺は絶大な攻撃力を誇る魔術師なのだぞ。
「豪炎!」
俺は大声で、そう叫んだ。
そうして、彼女は基本的なこの異世界の説明と、俺の境遇を説明したわけだが。
「しかし、ここがどこなのかとか教えてもらってないじゃあないか」
たくさんの人々が通る見覚えのない街中で、俺はそうつぶやく。その「人々」には、様々な髪色や種類がいて、さすが異世界、と感嘆を漏らさずにはいられない。なにせ、ゲームやアニメのように、蒼や翡翠色の瞳やサラサラな髪を持つ人々が、なんの疑問もなく普通に歩いているのだ。目を疑ったのは、虹色の紋様が施された透明な羽を持つ、銀髪のエルフのような若い娘だった。とても綺麗な美貌に、俺はバカのように一瞬突っ立っている。
「……これが異世界か」
まさにそうとしか形容できない。
技術的には中世といったところか。煙突からもうもうと煙が出て、野外に屋台を出して、現代にしては奇抜なコスプレのような服装が全て印象深い。
しばらく珍しげに街中や人々を眺めていたが、目に留まったのはやや遠くに見える白い塔。
「とりあえずなにかするか……」
女神からはとりあえず衣服と食料、そしてこの世界の金をいくらかもらっている。数日で餓死するようなことはないと思うが、いずれにせよ何らかの方法で生計を立てて行かねば。そして、ゲームならともかく、異世界の知識はこれっぽっちもないため、さっきから周りの会話が聞こえない。これでは酒場で情報収集なんかができないじゃないか!
《現在、スキル【翻訳】が使えます》
ん?
俺は、脳内に響く中性的な声に戸惑う。
だが、俺はこれがゲームのナレーションのようなものだと気づいた。ならば、心のなかでYESと念じれば翻訳してくれるはず…
《スキル【翻訳】を使用しました》
すると、耳には聞き慣れた言葉が飛び込んでくる。あぁ、なんか懐かしい……
しかし、魔法というのはこうやって使うのか?よくわからないが……
__
突然、腕に強い感触を感じた。
「おい、ちょっと…」
「あぁ?何いってんだよ、お前がぶつかってきたんだろ」
どこにでも落ちてそうな火種を、自らの不注意によって拾ってしまう。今の発言にしまったと気づくのは、もう遅い。
相手は体格差はさほどないが、はちまきをしているいかつい顔に怯む。彼の鼻に付けた銀のピアスが太陽光に反射しギラリと光る。
「こっち来いやてめぇ」
「ちょ……」
俺は言葉に詰まり、すると目の前の男の脇から二人のガタイのいい、山賊のような格好をした男が現れた。
「ふっ。お前は俺の大切なボディを傷つけた罪で、殺してやる!」
理由がくだらなすぎて反吐が出るな。
突如どこかから湧いてきた自信とともに、相手を睨みつけた。
お前はまだ知らんだろうが、俺は絶大な攻撃力を誇る魔術師なのだぞ。
「豪炎!」
俺は大声で、そう叫んだ。
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