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第十一章 盗賊王と機械の国
15話 団同士の協力関係
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朝食の準備を終えて、カエデを起こすまでは良かった。
ただその後の事だけれど、どうしてこうなっているのだろうか。
「いやぁ……この国のご飯って食べる度に思うんですけど、味気ないって言うか何かこれじゃないんだよなぁって言う感じがしませんか?レースさん、カエデさん!」
ぼく達の対面に位置する場所に座って、文句を言いながらも美味しそうに頬張るサリアがいた。
どうして彼女がここにいるのかというと、朝食を食べようとしていたぼく達の部屋にノックもせずに
「おはようございまーす!昨日のお話のお返事を聞きに来ましたよー!!」
「……え?」
「あ?もしかして、朝から色々とお楽しみになるところを邪魔しちゃいました?いやぁ失礼しましたって事でお邪魔しますねー」
「あ……、そのまま入って来るんだ」
「えぇ、だって返事を聞きに来たのにそのまま帰るのって時間の無駄じゃないですか?いいですか、レースさん時は金なんですよ?傭兵たるもの貴重な時間を無駄にすることは出来ませんので!」
と言う流れで今に至るわけだけど、正直どうしてサリアと一緒に朝食を取っているのか理解が出来ないけど、これに関して何時までも気にしていると話が出来なさそうだからやめておく。
「ごちそうさまでしたっと、さて昨日の事に関してですけど……カエデさん、検討して頂けました?」
「……もう少し待って頂けますか?」
「もう少しって何時までですか?」
「私達が食べ終わるまでの間です」
「え?あ……これは失礼いたしました!」
食べ終わる前に話を進めようされても困る。
取り合えず待たせすぎないように、二人で急いで食べると立ち上がって食器を片して椅子に座り直す。
「……サリア、傭兵が時間にうるさいのは分かったけど、少しはこっちの事を考えて行動してくれないかな」
「えぇ、この件に関しては僕が悪かったので反省してます……、なので特別に乙女の秘密を覗いた事に関しては許してあげますので、これでお相子といきましょうか」
そう言って鋭い目つきになるサリアを見て気付いた。
今までの失礼な行動は昨日、彼女の能力を見た事に対する意趣返しだと……、でもどうしてバレたのだろうか。
フィリアに対して使った時も直ぐに気付かれてしまったのを考えると、自分よりも格上の相手に使うと、例え相手が張った罠を掻い潜る事が出来たとしても気付かれてしまうのかもしれない。
……解析を行う場合は、自分よりも能力が低い相手か本当に必要な時だけにしよう。
「乙女の秘密……?レースさん、いったい何をしたんですか?」
「……よよよ、聞いてくださいよカエデさん、レースさんったら私の見られたくないところを、自身の能力を使って勝手に見て来たんですよ?」
「レースさん……本当に何をしてるんですか?」
「あぁ……えっと、何て言うかごめん」
「ごめんで済んだら……自警団組織や国の兵士に衛兵、騎士はいらないんですよ」
楽しそうに笑みを浮かべながら言うけれど、言われる側は何も楽しくない。
むしろ、どうすればいいのかで頭の回転が忙しくなるし……ここで変な事を言ったらカエデからの信頼を失いそうで怖くなる。
だから……こういう時は素直に相手の条件を聞いて飲んだ方がいいのではないだろうか。
「……どうしたら許してくれる?」
「そうですねぇ、なら恥ずかしいところを見られてしまった事に関して責任を取って貰いましょうか」
「……責任?」
「えぇ、団長が言うにはあなたは血縁では無くても、ハルサーの一族によって育てられた者、つまり……あなたを婿に貰おうかなって」
「……サリアさん、それは聞き捨てなりませんね」
いきなり婿になれと言われても、ぼくにはダートとカエデがいるし……娘のダリアや、近い内に生まれるであろう息子がいる。
そんな大事な人達を裏切るような事は出来ないし、仮にこの条件を飲んでしまったら悲しむ人が多い。
カエデも同じ考えなのか、椅子から立ち上がりサリアへと近づくと、今にも掴みかかりそうな雰囲気で彼女を睨みつけた。
「う、うそうそ、冗談ですって!私の秘密を知られたから責任取って婿になれとか、本当に思ってるわけないじゃないですかやだなぁもう!、そんな栄花騎士団の副団長様とストラフィリアの【覇王】ミュラッカ・ストラフィリア様を敵に回すような事、争いごとが嫌いな私に出来るわけないじゃないですか」
「……なら良いんですけど、あまり笑えない冗談を言うのはやめてくださいね?」
「えぇ……、こんな怖い思いを何度もしたくないので」
「……分かってくれたならいいです、ではサリアさんが聞きたかった本題の方に移りましょうか」
「是非、是非お願いします」
……カエデがサリアの隣に座ると、昨日話して決まった事を説明し始める。
そして暫くした後、再び楽しそうに笑い『ふふ、カエデさんならそう言ってくださると思ってましたよ!では、これからよろしくお願いいたします』と椅子から立ち上がり、握手を求めるかのように手を伸ばすと、カエデも同じように立ち上がって手を握るのだった。
ただその後の事だけれど、どうしてこうなっているのだろうか。
「いやぁ……この国のご飯って食べる度に思うんですけど、味気ないって言うか何かこれじゃないんだよなぁって言う感じがしませんか?レースさん、カエデさん!」
ぼく達の対面に位置する場所に座って、文句を言いながらも美味しそうに頬張るサリアがいた。
どうして彼女がここにいるのかというと、朝食を食べようとしていたぼく達の部屋にノックもせずに
「おはようございまーす!昨日のお話のお返事を聞きに来ましたよー!!」
「……え?」
「あ?もしかして、朝から色々とお楽しみになるところを邪魔しちゃいました?いやぁ失礼しましたって事でお邪魔しますねー」
「あ……、そのまま入って来るんだ」
「えぇ、だって返事を聞きに来たのにそのまま帰るのって時間の無駄じゃないですか?いいですか、レースさん時は金なんですよ?傭兵たるもの貴重な時間を無駄にすることは出来ませんので!」
と言う流れで今に至るわけだけど、正直どうしてサリアと一緒に朝食を取っているのか理解が出来ないけど、これに関して何時までも気にしていると話が出来なさそうだからやめておく。
「ごちそうさまでしたっと、さて昨日の事に関してですけど……カエデさん、検討して頂けました?」
「……もう少し待って頂けますか?」
「もう少しって何時までですか?」
「私達が食べ終わるまでの間です」
「え?あ……これは失礼いたしました!」
食べ終わる前に話を進めようされても困る。
取り合えず待たせすぎないように、二人で急いで食べると立ち上がって食器を片して椅子に座り直す。
「……サリア、傭兵が時間にうるさいのは分かったけど、少しはこっちの事を考えて行動してくれないかな」
「えぇ、この件に関しては僕が悪かったので反省してます……、なので特別に乙女の秘密を覗いた事に関しては許してあげますので、これでお相子といきましょうか」
そう言って鋭い目つきになるサリアを見て気付いた。
今までの失礼な行動は昨日、彼女の能力を見た事に対する意趣返しだと……、でもどうしてバレたのだろうか。
フィリアに対して使った時も直ぐに気付かれてしまったのを考えると、自分よりも格上の相手に使うと、例え相手が張った罠を掻い潜る事が出来たとしても気付かれてしまうのかもしれない。
……解析を行う場合は、自分よりも能力が低い相手か本当に必要な時だけにしよう。
「乙女の秘密……?レースさん、いったい何をしたんですか?」
「……よよよ、聞いてくださいよカエデさん、レースさんったら私の見られたくないところを、自身の能力を使って勝手に見て来たんですよ?」
「レースさん……本当に何をしてるんですか?」
「あぁ……えっと、何て言うかごめん」
「ごめんで済んだら……自警団組織や国の兵士に衛兵、騎士はいらないんですよ」
楽しそうに笑みを浮かべながら言うけれど、言われる側は何も楽しくない。
むしろ、どうすればいいのかで頭の回転が忙しくなるし……ここで変な事を言ったらカエデからの信頼を失いそうで怖くなる。
だから……こういう時は素直に相手の条件を聞いて飲んだ方がいいのではないだろうか。
「……どうしたら許してくれる?」
「そうですねぇ、なら恥ずかしいところを見られてしまった事に関して責任を取って貰いましょうか」
「……責任?」
「えぇ、団長が言うにはあなたは血縁では無くても、ハルサーの一族によって育てられた者、つまり……あなたを婿に貰おうかなって」
「……サリアさん、それは聞き捨てなりませんね」
いきなり婿になれと言われても、ぼくにはダートとカエデがいるし……娘のダリアや、近い内に生まれるであろう息子がいる。
そんな大事な人達を裏切るような事は出来ないし、仮にこの条件を飲んでしまったら悲しむ人が多い。
カエデも同じ考えなのか、椅子から立ち上がりサリアへと近づくと、今にも掴みかかりそうな雰囲気で彼女を睨みつけた。
「う、うそうそ、冗談ですって!私の秘密を知られたから責任取って婿になれとか、本当に思ってるわけないじゃないですかやだなぁもう!、そんな栄花騎士団の副団長様とストラフィリアの【覇王】ミュラッカ・ストラフィリア様を敵に回すような事、争いごとが嫌いな私に出来るわけないじゃないですか」
「……なら良いんですけど、あまり笑えない冗談を言うのはやめてくださいね?」
「えぇ……、こんな怖い思いを何度もしたくないので」
「……分かってくれたならいいです、ではサリアさんが聞きたかった本題の方に移りましょうか」
「是非、是非お願いします」
……カエデがサリアの隣に座ると、昨日話して決まった事を説明し始める。
そして暫くした後、再び楽しそうに笑い『ふふ、カエデさんならそう言ってくださると思ってましたよ!では、これからよろしくお願いいたします』と椅子から立ち上がり、握手を求めるかのように手を伸ばすと、カエデも同じように立ち上がって手を握るのだった。
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