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第十一章 盗賊王と機械の国
7話 栄花への協力要請
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ミオラームの行動に、カエデは少しだけ困惑したような表情を浮かべると
「話は分かりました、ミオラーム様、一国の王がそのような事をせずに顔を上げてください」
「で、では、ライ様の件、受け入れて頂けますの!?」
「それに関しては私の一存では判断する事が出来ません、内容が大変デリケートな為後日、栄花騎士団に持ち帰らせて頂こうと思います」
「……それでいいですわ」
ミオラームはゆっくりと立ち上がると、椅子へと戻り座り直す。
「ですが、最終的にどう判断するかを決めるのはライ次第なので……一度栄花騎士団に依頼を出すのはどうでしょうか」
「依頼?どういうことですの?」
「【盗賊王】シュラの事をレースさんに任せようという事は、ストラフィリアとの間に何らかの取引があったという事ですよね?」
「えぇ、この国に滞在している理由付けの為に、ストラフィリアの【覇王】ミュラッカ様と、メセリーの【魔王】ソフィア様の三人で話し合ったのですけれど……えっと、あの、フィー、何て言えばいいのか言葉が分かりませんわ!」
途中で言葉が分からなくなってしまったようで、ミオラームが顔を赤らめながらフィリアの方を見る。
その姿を見て、優しく微笑みながら彼女の頭を撫でると
「……分かりやすくまとめると、メセリーとストラフィリアの合同で、再び現れた【盗賊王】の捜索をしていたところ、マーシェンスに潜伏している事が判明したので、【賢王】ミオラームに協力を仰ぎ、元ストラフィリアの第一王子レースを捜査官として派遣し、捜索中に盗賊王と接触……その後、マスカレイドの研究室で戦いになったという事になったわ」
「なったって……」
「レース、あなたが言いたい事は分かるわ、正直この筋書きは無理があるもの……でけどね、それでも周囲をある程度強引にでも納得させられる理由付けは政治的には必要なのよ」
政治的には必要だと言われても、どう反応すればいいのか分からない。
けど……捜査官という立場を貰えなかったら、間違いなく国際的な問題になっていた筈。
そうなっていた場合、ソフィアや妹のミュラッカにも迷惑を掛けていただろうし、周りが納得しているのならいいのかもしれないとは思う。
「なんつうか、本当に無理があるんじゃねぇか?これで納得する奴いるのかよ」
「いるからこうなっているのでしょう?」
「私だけだったら、上手く説明できる気がしませんでしたけれど、そこはソフィア様とミュラッカ様、私が信頼する臣下達が助けてくださりましたわ!」
「……他国の王族が政治に介入していいのかよ」
「そ、それは……そうですけれど、えっと、フィー、どうすれば!?」
ミオラームが再びフィリアに助けを求める。
何て言うか、本当にそれで王としてこの国を治める事が出来るのかと心配になるけれど、こればっかりは彼女の生い立ちを知ってるからしょうがない感じてしまう。
むしろ、幼い少女が国を変えようと決心して動き出そうとする勇気は、本当に凄いと思うし、そこから信頼の出来る臣下を増やした手腕は、ぼくでは到底真似できるようなものではない。
「……そういう時は堂々としていればいいのよ、あなたはこの国を治める王なのだから」
「けど、言葉が浮かびませんの」
「別にいいじゃない、これから出来るようになればいいと思うし、私のミオは出来るようになるでしょ?あなたが誰よりも優秀で頑張っているところを私は知っているもの」
「フィー……、分かりましたわ!、じゃあこう言わせて頂きますの!ダリア様の言いたい事は分かりますけど、そこは政治的なあれこれがあったのですわ!」
あれこれって、そんなあいまいな例え方でいいのだろうか。
色々と思うところはあるけれど、突っ込むのは良くないだろう。
現にフィリアが視線でお前は何も言うなと言いたげに、こちらを睨んできている辺り、今は黙っている方が利口だ。
「いや……あれこれって、いやいい、これ以上は話がこじれそうだから止めとくわ」
「何だか馬鹿にされたような気がしたけれど、分かってくれたなら良かったですわ!」
「取り合えず、どうしてレースさんに盗賊王の事を任せようとしていたのか分かりました……、なので改めてもう一度進言させて頂きますが、この件は栄花騎士団にマーシェンスから協力要請という名目で依頼を出すのはどうでしょうか」
「……依頼を出したらどうなりますの?」
「栄花騎士団の団長及び、副団長は自身の判断で依頼を受理する権限があります……、つまりミオラーム様から依頼を出して頂く事で、私の責任で引き受けSランク冒険者に匹敵する程の力を持つ、【盗賊王】シュラの討伐に必要な最高幹部のライを含んだ三名を戦力として派遣致します」
……カエデがそう言葉にすると、ミオラームが立ち上がり『ライ様が来てくださるのでしたら是非協力要請を出しますわ!やり方を教えてくださいまし!』と嬉しそうに小走りに近づくとカエデの手を握るのだった。
「話は分かりました、ミオラーム様、一国の王がそのような事をせずに顔を上げてください」
「で、では、ライ様の件、受け入れて頂けますの!?」
「それに関しては私の一存では判断する事が出来ません、内容が大変デリケートな為後日、栄花騎士団に持ち帰らせて頂こうと思います」
「……それでいいですわ」
ミオラームはゆっくりと立ち上がると、椅子へと戻り座り直す。
「ですが、最終的にどう判断するかを決めるのはライ次第なので……一度栄花騎士団に依頼を出すのはどうでしょうか」
「依頼?どういうことですの?」
「【盗賊王】シュラの事をレースさんに任せようという事は、ストラフィリアとの間に何らかの取引があったという事ですよね?」
「えぇ、この国に滞在している理由付けの為に、ストラフィリアの【覇王】ミュラッカ様と、メセリーの【魔王】ソフィア様の三人で話し合ったのですけれど……えっと、あの、フィー、何て言えばいいのか言葉が分かりませんわ!」
途中で言葉が分からなくなってしまったようで、ミオラームが顔を赤らめながらフィリアの方を見る。
その姿を見て、優しく微笑みながら彼女の頭を撫でると
「……分かりやすくまとめると、メセリーとストラフィリアの合同で、再び現れた【盗賊王】の捜索をしていたところ、マーシェンスに潜伏している事が判明したので、【賢王】ミオラームに協力を仰ぎ、元ストラフィリアの第一王子レースを捜査官として派遣し、捜索中に盗賊王と接触……その後、マスカレイドの研究室で戦いになったという事になったわ」
「なったって……」
「レース、あなたが言いたい事は分かるわ、正直この筋書きは無理があるもの……でけどね、それでも周囲をある程度強引にでも納得させられる理由付けは政治的には必要なのよ」
政治的には必要だと言われても、どう反応すればいいのか分からない。
けど……捜査官という立場を貰えなかったら、間違いなく国際的な問題になっていた筈。
そうなっていた場合、ソフィアや妹のミュラッカにも迷惑を掛けていただろうし、周りが納得しているのならいいのかもしれないとは思う。
「なんつうか、本当に無理があるんじゃねぇか?これで納得する奴いるのかよ」
「いるからこうなっているのでしょう?」
「私だけだったら、上手く説明できる気がしませんでしたけれど、そこはソフィア様とミュラッカ様、私が信頼する臣下達が助けてくださりましたわ!」
「……他国の王族が政治に介入していいのかよ」
「そ、それは……そうですけれど、えっと、フィー、どうすれば!?」
ミオラームが再びフィリアに助けを求める。
何て言うか、本当にそれで王としてこの国を治める事が出来るのかと心配になるけれど、こればっかりは彼女の生い立ちを知ってるからしょうがない感じてしまう。
むしろ、幼い少女が国を変えようと決心して動き出そうとする勇気は、本当に凄いと思うし、そこから信頼の出来る臣下を増やした手腕は、ぼくでは到底真似できるようなものではない。
「……そういう時は堂々としていればいいのよ、あなたはこの国を治める王なのだから」
「けど、言葉が浮かびませんの」
「別にいいじゃない、これから出来るようになればいいと思うし、私のミオは出来るようになるでしょ?あなたが誰よりも優秀で頑張っているところを私は知っているもの」
「フィー……、分かりましたわ!、じゃあこう言わせて頂きますの!ダリア様の言いたい事は分かりますけど、そこは政治的なあれこれがあったのですわ!」
あれこれって、そんなあいまいな例え方でいいのだろうか。
色々と思うところはあるけれど、突っ込むのは良くないだろう。
現にフィリアが視線でお前は何も言うなと言いたげに、こちらを睨んできている辺り、今は黙っている方が利口だ。
「いや……あれこれって、いやいい、これ以上は話がこじれそうだから止めとくわ」
「何だか馬鹿にされたような気がしたけれど、分かってくれたなら良かったですわ!」
「取り合えず、どうしてレースさんに盗賊王の事を任せようとしていたのか分かりました……、なので改めてもう一度進言させて頂きますが、この件は栄花騎士団にマーシェンスから協力要請という名目で依頼を出すのはどうでしょうか」
「……依頼を出したらどうなりますの?」
「栄花騎士団の団長及び、副団長は自身の判断で依頼を受理する権限があります……、つまりミオラーム様から依頼を出して頂く事で、私の責任で引き受けSランク冒険者に匹敵する程の力を持つ、【盗賊王】シュラの討伐に必要な最高幹部のライを含んだ三名を戦力として派遣致します」
……カエデがそう言葉にすると、ミオラームが立ち上がり『ライ様が来てくださるのでしたら是非協力要請を出しますわ!やり方を教えてくださいまし!』と嬉しそうに小走りに近づくとカエデの手を握るのだった。
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