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第十章 魔導国学園騒動
53話 魔導兵器と化した黎明
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マスカレイドの背中から無数の線が伸びると、研究室に備え付けられている魔導具を取り込んで行く。
「……レースちゃん、ダリアちゃん、レイドをここで破壊するわよ」
「こんな化け物本当に倒せんのかよ」
「ソフィアちゃん、あなたの魔術も頼りにしているわよ?」
「……私が【黎明】マスカレイド相手に役に立てるかは分からいませんが、出来る限りの事はやってみます」
マンティコアの四肢が根元から肉が潰れるような嫌な音をさせながら外れ、勢いよく切断面から伸びた管が動かなくなった接続すると目の前にいるぼくを隣を凄い速度で通り過ぎ。
そして動かなくなった魔導兵器達に接続されると、彼等の一部を取り外し始める。
「父さん!マスカレイドから離れろ!」
「いや、離れる余裕は無さそうだから無防備な今のうちに出来る事をしてみるよ」
床に転がったままの心器を魔力へと戻し、再び手元に大剣と長杖を顕現させると【怪力】を発動させて勢いをつけて武器を叩きつける。
けど、見た目以上の質量と硬さのせいで攻撃した方に直接衝撃が返って来て、義肢全体が軋む。
不壊の能力が付与されていなかったら衝撃に耐える事が出来なくて壊れていたかもしれない。
けどそうしている間に、魔導兵器達から外された魔導具の四肢がマスカレイドの身体に接続され先程までの異形の姿から完全な人型へと姿を変えて行く。
「……ダメだ、全然効果が無い!」
「しゃあねぇな、父さん!そこでじっとしてろ!」
目の前に突然ダリアが表れたかと思うと、次の瞬間景色が変わり母さん達の隣に移動していて、先程までぼくがいた場所には初代賢王が作り出して蒸気機関の大蛇が火花を散らしながら引きずられ、マスカレイドに取り込まれて行く。
「……もはや何でもありかよ」
「人の身を捨てたばかりか、心まで捨てちゃって……本当に困った人ね、ソフィア……あれが動き出す前にあれをやってちょうだい」
「あれをやろうにも、セラフナハシュの顕現に使用した指輪を回収しないと……」
そういえばあの指輪はどうなったのだろうか。
ディザスティアとセラフナハシュの一瞬の攻防の後、何処に行ってしまったのか分からない。
探そうにもこの状況で見つけるのは無理だ……、けどぼくには出来なくてもダリアには出来る筈だ。
彼女が契約している精霊の力を使う事で、周囲の物と場所を入れ替える事が出来るなら、マスカレイドに破壊され取り込まれて行く機械や魔導具の欠片を使って集める事が出来るのではないだろうか。
あくまで予想の範囲だけれど、それが出来るればこの状況を解決出来る。
「……ダリア、精霊を使って周辺に落ちてる機械の欠片を使ってソフィアの指輪を集める事って出来る?」
「ん?まぁ、出来る……とは思うけど、ビビッて俺の中に隠れた奴が俺の言う事を聞くと思うか?」
「そこを何とかすることって出来ないかな……、ほら契約してるって事は何らかの条件があったりするんじゃない?」
「俺の眼を通して、メイディの外に出てみたいという願いを叶える変わりに契約したけどさ……、あっ!そういえばメイメイが、精霊に名付けを行う事で対等な主従関係になるって言ってたな、よし!名前を付けてみるか!」
それなら最初から名前を付けたら良かったのにと思うけど、これに関しては一人と一匹?いや、二人?の問題だからぼくがとやかく言う事では無いだろう。
けどそうしている内にマスカレイドの変化が終わる……その姿はまるで、下半身が蒸気機関の蛇で頭部からはマスカレイドの身体が生えている。
先程は人の姿に戻ったのにどうして再び異形の姿に戻ったのかと疑問に思うけれど、予想できる範囲で考えるなら、最早理性も何も無く手当たり次第に周囲の物を取り込みぼく達を排除するのに適した姿になろうとした結果なのかもしれない。
「……ダリアさん、もし指輪を集められるなら直ぐにお願いします!あれが動き出す前に!」
「わ、分かってるって!んじゃあ……精霊だから、セイ!あ?いやだって?じゃあレイ!これも嫌だって!?……ならポチや、ハチ公はどうだ?えっ!?ふざけんなって!?んじゃあ、どうしろっていう……うわっ!やっべ!」
再び異形の化け物とかしたマスカレイドの指先がぼく達を指差したかと思うと、全身から蒸気を噴き出しながらゆっくりと大蛇の口が開く。
周囲から白と黒の光を吸い込むように取り込むと、先程の【カタストロフ】とは比べ物にならない威力の閃光が放たれ……内側で爆ぜた。
それと同時に母さんがその場に力なく倒れると、荒い息を吐きながらソフィアの肩を借りて起き上がる。
「カルディア様……、無理をなさらないでください」
「……馬鹿ね、本来のレイドなら空間魔術対策をしていたわ」
「母さん、今何をしたの?」
「レイドのカタストロフが発射される直前に、空間魔術を使って大蛇の口内に繋いだの……後は私が言わなくてもあなた達なら分かるでしょ?」
「こんな時に無茶ぶりを……、ですがあの一瞬で考えて実行するあたり、さすがカルディア様ですね」
……大蛇の身体が、【カタストロフ】の熱量に耐えられくなったのか、赤熱して全身を溶かして行く。
マスカレイドから苦し気な声が聞こえたかと思うと、頭部から人の上半身が抜け落ちて硬い金属音と共に床へと落下する。
そして機械の四肢が接続された人型になると同時に『よし、ならお前は今日からクゥだ、それでいいよな!……はぁ!?今までの中で一番まともだからこれでいい?なんだよそれっ!ったく!それなら最初からおめぇが決めろよ!ったくよぉ……父さん!準備が出来たから行くぜ?』とダリアの声が聞こえ、周囲の破片が全て指輪に変わるのだった。
「……レースちゃん、ダリアちゃん、レイドをここで破壊するわよ」
「こんな化け物本当に倒せんのかよ」
「ソフィアちゃん、あなたの魔術も頼りにしているわよ?」
「……私が【黎明】マスカレイド相手に役に立てるかは分からいませんが、出来る限りの事はやってみます」
マンティコアの四肢が根元から肉が潰れるような嫌な音をさせながら外れ、勢いよく切断面から伸びた管が動かなくなった接続すると目の前にいるぼくを隣を凄い速度で通り過ぎ。
そして動かなくなった魔導兵器達に接続されると、彼等の一部を取り外し始める。
「父さん!マスカレイドから離れろ!」
「いや、離れる余裕は無さそうだから無防備な今のうちに出来る事をしてみるよ」
床に転がったままの心器を魔力へと戻し、再び手元に大剣と長杖を顕現させると【怪力】を発動させて勢いをつけて武器を叩きつける。
けど、見た目以上の質量と硬さのせいで攻撃した方に直接衝撃が返って来て、義肢全体が軋む。
不壊の能力が付与されていなかったら衝撃に耐える事が出来なくて壊れていたかもしれない。
けどそうしている間に、魔導兵器達から外された魔導具の四肢がマスカレイドの身体に接続され先程までの異形の姿から完全な人型へと姿を変えて行く。
「……ダメだ、全然効果が無い!」
「しゃあねぇな、父さん!そこでじっとしてろ!」
目の前に突然ダリアが表れたかと思うと、次の瞬間景色が変わり母さん達の隣に移動していて、先程までぼくがいた場所には初代賢王が作り出して蒸気機関の大蛇が火花を散らしながら引きずられ、マスカレイドに取り込まれて行く。
「……もはや何でもありかよ」
「人の身を捨てたばかりか、心まで捨てちゃって……本当に困った人ね、ソフィア……あれが動き出す前にあれをやってちょうだい」
「あれをやろうにも、セラフナハシュの顕現に使用した指輪を回収しないと……」
そういえばあの指輪はどうなったのだろうか。
ディザスティアとセラフナハシュの一瞬の攻防の後、何処に行ってしまったのか分からない。
探そうにもこの状況で見つけるのは無理だ……、けどぼくには出来なくてもダリアには出来る筈だ。
彼女が契約している精霊の力を使う事で、周囲の物と場所を入れ替える事が出来るなら、マスカレイドに破壊され取り込まれて行く機械や魔導具の欠片を使って集める事が出来るのではないだろうか。
あくまで予想の範囲だけれど、それが出来るればこの状況を解決出来る。
「……ダリア、精霊を使って周辺に落ちてる機械の欠片を使ってソフィアの指輪を集める事って出来る?」
「ん?まぁ、出来る……とは思うけど、ビビッて俺の中に隠れた奴が俺の言う事を聞くと思うか?」
「そこを何とかすることって出来ないかな……、ほら契約してるって事は何らかの条件があったりするんじゃない?」
「俺の眼を通して、メイディの外に出てみたいという願いを叶える変わりに契約したけどさ……、あっ!そういえばメイメイが、精霊に名付けを行う事で対等な主従関係になるって言ってたな、よし!名前を付けてみるか!」
それなら最初から名前を付けたら良かったのにと思うけど、これに関しては一人と一匹?いや、二人?の問題だからぼくがとやかく言う事では無いだろう。
けどそうしている内にマスカレイドの変化が終わる……その姿はまるで、下半身が蒸気機関の蛇で頭部からはマスカレイドの身体が生えている。
先程は人の姿に戻ったのにどうして再び異形の姿に戻ったのかと疑問に思うけれど、予想できる範囲で考えるなら、最早理性も何も無く手当たり次第に周囲の物を取り込みぼく達を排除するのに適した姿になろうとした結果なのかもしれない。
「……ダリアさん、もし指輪を集められるなら直ぐにお願いします!あれが動き出す前に!」
「わ、分かってるって!んじゃあ……精霊だから、セイ!あ?いやだって?じゃあレイ!これも嫌だって!?……ならポチや、ハチ公はどうだ?えっ!?ふざけんなって!?んじゃあ、どうしろっていう……うわっ!やっべ!」
再び異形の化け物とかしたマスカレイドの指先がぼく達を指差したかと思うと、全身から蒸気を噴き出しながらゆっくりと大蛇の口が開く。
周囲から白と黒の光を吸い込むように取り込むと、先程の【カタストロフ】とは比べ物にならない威力の閃光が放たれ……内側で爆ぜた。
それと同時に母さんがその場に力なく倒れると、荒い息を吐きながらソフィアの肩を借りて起き上がる。
「カルディア様……、無理をなさらないでください」
「……馬鹿ね、本来のレイドなら空間魔術対策をしていたわ」
「母さん、今何をしたの?」
「レイドのカタストロフが発射される直前に、空間魔術を使って大蛇の口内に繋いだの……後は私が言わなくてもあなた達なら分かるでしょ?」
「こんな時に無茶ぶりを……、ですがあの一瞬で考えて実行するあたり、さすがカルディア様ですね」
……大蛇の身体が、【カタストロフ】の熱量に耐えられくなったのか、赤熱して全身を溶かして行く。
マスカレイドから苦し気な声が聞こえたかと思うと、頭部から人の上半身が抜け落ちて硬い金属音と共に床へと落下する。
そして機械の四肢が接続された人型になると同時に『よし、ならお前は今日からクゥだ、それでいいよな!……はぁ!?今までの中で一番まともだからこれでいい?なんだよそれっ!ったく!それなら最初からおめぇが決めろよ!ったくよぉ……父さん!準備が出来たから行くぜ?』とダリアの声が聞こえ、周囲の破片が全て指輪に変わるのだった。
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