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第十章 魔導国学園騒動
48話 明かされた血縁
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急に立ち上がった事に驚いたのか、ダリアが驚いたような声を上げて数歩後ろに下がる。
「お、おぉ!?」
「レースさん、大丈夫……ですか?」
ソフィアが心配そうに声を掛けてくれるけど、何て言うか凄い調子が良い。
左腕が義肢になった時に感じた感覚にそっくりで、まるで今の状態が本来の状態であるとでも感じて、何とも言い難い不思議な感じになる。
「うん、むしろ凄い調子がいいかな」
「レースちゃん……、あなた私達の封印を解いたの?」
「……解いたというよりも、セラフナハシュの手によって解かれた感じかな」
「あの邪神は随分勝手な事をしてくれたのね」
声がした方に振り向くと母さんが気絶したミオラームを背負いながら歩いてくる。
その表情はどこか申し訳なさそうで、普段の態度と比べたら違和感を感じてしまう。
いつもだったら悪びれる事無く開き直ったりする筈なのに、余程封印を解いて欲しくなかったのかもしれない。
「まぁ、でもおかげで色々と分かった事があったから大丈夫だよ、ぼくの中にトレーディアスやメセリーの王族の血もあるとかで、セラフナハシュとグローリシェス?の器にも慣れるって聞いたかな」
ぼくの中にはセラフナハシュの力の一部と、ディザスティアの力の残滓が入っている。
けど薬神グローリシェスの力まで入ったらどうなってしまうのだろうかと、色々と心配になるけど、今のところトレーディアスに行く予定は無いから、この心配はただの杞憂でしかないだろう。
「……そう」
「母さんとマスカレイドはその事を知ってたから封印を施したの?」
「トレーディアスと血縁があるのは知ってたけど、メセリーとの縁がある事は知らなかったわ、ソフィアちゃんは知ってたの?」
「トレーディアスの件は知りませんでしたが、レースさんの産みの親であり、私の学友でもあるスノーホワイトから、過去にメセリー王族の一人……私からしたら伯従父に当たる人物で顔も知らない他人のようなものですが、その人がストラフィリアに訪れた際に彼女の祖母と婚姻関係になった事は聞いた事があるので知ってましたよ?」
「それじゃあ、俺や父さんは、ソフィアと親戚って事じゃねぇか!?」
だから初対面の頃から、ずっとぼくに対して優しく接してくれたのか。
魔術をマスカレイドから教わっている時に上手くできなくて悩んでいた時に相談に乗ってくれたり、母さんから治癒術に関する英才教育を受けている時に、どうしても分からない所があってつまづいてしまった際に、基礎の応用に対するヒントを教えてくれたりとか、その行動の意味に対して納得がいく……。
けどそれなら、最初から親戚だって事を伝えて欲しかった……そう思うのは当然の事だろう。
「……?だから、ダリアさんを学園に通わせようとしたり、レースさんを教師として推薦したりと色々と特別扱いしたでしょ?」
「教師になる時の話を覚えてる?」
「えぇ、覚えてますよ?私と同じカルディア様の弟子で、心器を扱う技術を持つという事は魔術と治癒術を同時に使える優秀な術者、更にはメセリーを誇るSランク冒険者【叡智】カルディア・フィリスの弟子というブランドが、生徒を集める為に必要って言いましたよ?」
「……ソフィアちゃん、なんで私の弟子って言葉が何か二回聞こえたような気がするけどどうなのかしら?」
「えっ!?だってその方が伝わるかなって!」
伝わるのかなって言われても伝わってないからこうなってるわけで、普段から良いところを見せようとして残念な人になったりしているのだから、遠回しな行動をしてトラブルを起こすくらいなら、ちゃんと伝えればいいのに。
そうすればこうやって面倒なやり取りをしないで済むと思うけど、これに関してはぼくもたまに同じような事をしてしまう時があるから、あんまり人に言えた事では無いと思うし……むしろ、ソフィアの行動は見て反面教師にする事の方が多いような気がする。
「……まぁ、そのことに関してはもういいよ」
「ですよね?そうですよねレースさん、もういいですよね!?さっすが話が分かりますね、そういうところ好きですよ!」
「ここであれこれやり取りをしても、ソフィアがどんどん残念になるだけだからさ……、それよりも今は行方不明になった生徒達を見つけないと」
「残念って……酷いですね、けど確かに今はそっちを優先するべきですが……、この近辺に生徒達らしき姿はありませんし……」
「という事は、別行動中の二人の方にいるかも?」
ここまで来て遭遇したのは、マスカレイドが生み出した魔導兵器と、人とモンスターが結合された狂気の塊だ。
けどどれも生徒達では無く、成人男性や女性が使われている辺り、彼なりの考えがあったのかもしれない。
「……ロドリゲスさんにも遭遇していない以上、そう考えた方が良いかもしれませんね」
「なら、ここに来るまでの間に見た人達はどうする?」
「んー?それなら、私の屋敷に魔術で送っておくわ……、私の身体のストックを保存していた魔導具が隠し部屋にあるのだけれど、もう必要無いから特別に使わせてあげる、だからこれでレースちゃんに封印を施していた事の償いとさせてちょうだい」
「……償いも何も、母さんとマスカレイドは必要だと思ってやってくれたんでしょ?ならそれに関してぼくからは何も言う事は無いよ、取り合えず引き返しながらモンスターと結合された人達を回収して、二人と合流しよう」
……話を終えて移動しようとした時だった。
ぼく達が来たのと反対の方向から、獣の鳴き声と同時に何かが壊れるような音が聞こえて来る。
急いで振り返ると、遠くの方で青白い炎が燃え上がったかと思うと、白い閃光が通路を照らしてかき消しながらこちらに近づいてくる。
そして立っているのもやっとな程の振動が、研究室を襲ったかと思うとぼく達の目の前に二本の尾が根元から抉られて、身体の至るところから赤い血を流しているグロウフェレスが転がってくるのだった。
「お、おぉ!?」
「レースさん、大丈夫……ですか?」
ソフィアが心配そうに声を掛けてくれるけど、何て言うか凄い調子が良い。
左腕が義肢になった時に感じた感覚にそっくりで、まるで今の状態が本来の状態であるとでも感じて、何とも言い難い不思議な感じになる。
「うん、むしろ凄い調子がいいかな」
「レースちゃん……、あなた私達の封印を解いたの?」
「……解いたというよりも、セラフナハシュの手によって解かれた感じかな」
「あの邪神は随分勝手な事をしてくれたのね」
声がした方に振り向くと母さんが気絶したミオラームを背負いながら歩いてくる。
その表情はどこか申し訳なさそうで、普段の態度と比べたら違和感を感じてしまう。
いつもだったら悪びれる事無く開き直ったりする筈なのに、余程封印を解いて欲しくなかったのかもしれない。
「まぁ、でもおかげで色々と分かった事があったから大丈夫だよ、ぼくの中にトレーディアスやメセリーの王族の血もあるとかで、セラフナハシュとグローリシェス?の器にも慣れるって聞いたかな」
ぼくの中にはセラフナハシュの力の一部と、ディザスティアの力の残滓が入っている。
けど薬神グローリシェスの力まで入ったらどうなってしまうのだろうかと、色々と心配になるけど、今のところトレーディアスに行く予定は無いから、この心配はただの杞憂でしかないだろう。
「……そう」
「母さんとマスカレイドはその事を知ってたから封印を施したの?」
「トレーディアスと血縁があるのは知ってたけど、メセリーとの縁がある事は知らなかったわ、ソフィアちゃんは知ってたの?」
「トレーディアスの件は知りませんでしたが、レースさんの産みの親であり、私の学友でもあるスノーホワイトから、過去にメセリー王族の一人……私からしたら伯従父に当たる人物で顔も知らない他人のようなものですが、その人がストラフィリアに訪れた際に彼女の祖母と婚姻関係になった事は聞いた事があるので知ってましたよ?」
「それじゃあ、俺や父さんは、ソフィアと親戚って事じゃねぇか!?」
だから初対面の頃から、ずっとぼくに対して優しく接してくれたのか。
魔術をマスカレイドから教わっている時に上手くできなくて悩んでいた時に相談に乗ってくれたり、母さんから治癒術に関する英才教育を受けている時に、どうしても分からない所があってつまづいてしまった際に、基礎の応用に対するヒントを教えてくれたりとか、その行動の意味に対して納得がいく……。
けどそれなら、最初から親戚だって事を伝えて欲しかった……そう思うのは当然の事だろう。
「……?だから、ダリアさんを学園に通わせようとしたり、レースさんを教師として推薦したりと色々と特別扱いしたでしょ?」
「教師になる時の話を覚えてる?」
「えぇ、覚えてますよ?私と同じカルディア様の弟子で、心器を扱う技術を持つという事は魔術と治癒術を同時に使える優秀な術者、更にはメセリーを誇るSランク冒険者【叡智】カルディア・フィリスの弟子というブランドが、生徒を集める為に必要って言いましたよ?」
「……ソフィアちゃん、なんで私の弟子って言葉が何か二回聞こえたような気がするけどどうなのかしら?」
「えっ!?だってその方が伝わるかなって!」
伝わるのかなって言われても伝わってないからこうなってるわけで、普段から良いところを見せようとして残念な人になったりしているのだから、遠回しな行動をしてトラブルを起こすくらいなら、ちゃんと伝えればいいのに。
そうすればこうやって面倒なやり取りをしないで済むと思うけど、これに関してはぼくもたまに同じような事をしてしまう時があるから、あんまり人に言えた事では無いと思うし……むしろ、ソフィアの行動は見て反面教師にする事の方が多いような気がする。
「……まぁ、そのことに関してはもういいよ」
「ですよね?そうですよねレースさん、もういいですよね!?さっすが話が分かりますね、そういうところ好きですよ!」
「ここであれこれやり取りをしても、ソフィアがどんどん残念になるだけだからさ……、それよりも今は行方不明になった生徒達を見つけないと」
「残念って……酷いですね、けど確かに今はそっちを優先するべきですが……、この近辺に生徒達らしき姿はありませんし……」
「という事は、別行動中の二人の方にいるかも?」
ここまで来て遭遇したのは、マスカレイドが生み出した魔導兵器と、人とモンスターが結合された狂気の塊だ。
けどどれも生徒達では無く、成人男性や女性が使われている辺り、彼なりの考えがあったのかもしれない。
「……ロドリゲスさんにも遭遇していない以上、そう考えた方が良いかもしれませんね」
「なら、ここに来るまでの間に見た人達はどうする?」
「んー?それなら、私の屋敷に魔術で送っておくわ……、私の身体のストックを保存していた魔導具が隠し部屋にあるのだけれど、もう必要無いから特別に使わせてあげる、だからこれでレースちゃんに封印を施していた事の償いとさせてちょうだい」
「……償いも何も、母さんとマスカレイドは必要だと思ってやってくれたんでしょ?ならそれに関してぼくからは何も言う事は無いよ、取り合えず引き返しながらモンスターと結合された人達を回収して、二人と合流しよう」
……話を終えて移動しようとした時だった。
ぼく達が来たのと反対の方向から、獣の鳴き声と同時に何かが壊れるような音が聞こえて来る。
急いで振り返ると、遠くの方で青白い炎が燃え上がったかと思うと、白い閃光が通路を照らしてかき消しながらこちらに近づいてくる。
そして立っているのもやっとな程の振動が、研究室を襲ったかと思うとぼく達の目の前に二本の尾が根元から抉られて、身体の至るところから赤い血を流しているグロウフェレスが転がってくるのだった。
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