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第十章 魔導国学園騒動
24話 師匠の教え方
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あの後すっかり大人しくなったエスペランサのおかげで授業の進行をする事が出来たけど……
「先生っ!そんな基本的な事よりも、賢者カルディア様からどうやって治癒術を教わってたか知りたいです!」
「それ私も知りたいっ!」
「俺もっ!」
今まで教師達の授業を受けなかったとは思えなく位に、物覚えがいいというか基礎的な事に関しては教える事が何もない。
確かにこの国の王であるソフィアが優秀だと認めるのが理解できる程に、秀才ばかりだけど……それ故に、教える側に対する理想が高すぎたんだと思う。
「えっと……皆さん、カルディア様の指導はとても独特なので」
「今はレース先生の奥さんじゃなくて、先生に直接聞いてるからちょっと黙っててくれます?」
「……黙ってくれますって失礼ですね」
「なら静かにしてください、レース先生……是非俺達に賢者カルディア様の指導方法で治癒術を教えてください!お願いします!やる気だけはあります!」
「別にやってもいいけど……トラウマになってもしらないよ?」
あの教わり方が当たり前だと思ってた昔を思い出すと、少しだけ背筋から嫌な汗が流れるような、胸のあたりから冷たい水が全身に行きわたるかのような……そんな感覚に襲われる。
多分、異常な経験だったと理解してしまったおかげで、軽くトラウマになってしまっているのかもしれない。
けど……どうしても知りたいというのなら、生徒達の事を考えてやってみるべきだろう。
「けど……時間的に全員は無理だから、何人かやってみたいという人に手を挙げて貰おうかな」
「先生、それだと不公平じゃないっすか?くじ引きとかで決めましょうよ」
「作ってる暇が無いから今回は我慢して欲しいかな」
「そうですわよ?レース先生の邪魔をしてはいけませんわ?スパルナさんもそう思いますわよね?」
「え?あ、わ、……わたしは、えっと」
何時の間に席を移動したのか最大で三人まで座れる長い机には、ダリアとスパルナ、そしてエスペランサが仲良く座っていた。
それだけならまだいいけど、余り人と話すのが得意ではないであろうスパルナにエスペランサが積極的に話しては困らせているけど、もしかしたら彼女は本当に友達になりたいのかもしれない。
「とりあえずやりたい人だけ手を挙げて欲しいかな、もしその最中で怖くなったりやっぱり止めたくなったら手を下げて大丈夫だよ」
「そ、それなら私、やってみたいですわ……スパルナさん、ダリアさん、行きますわよ!」
「え?な、なんで……私も?」
「俺も道連れかよ!?俺はいいって、診療所で何回か見た事あるけど……あんなんやりたくねぇよ!」
エスペランサが手を上げると、他の生徒も同じように体験してみたいと意思表示を始める。
この中から選ぶとなると……誰を指名するべきか。
「レースさん、一番最初に意思表示をしたエスペランサさん達に参加して貰いましょう、後はそうですね……先生が決めると不公平だって言う声が出てしまうと思うので、私が適当に選んで決めます」
「カエデがそういうなら任せるよ、取り合えず先にエスペランサ、スパルナ、ダリア、教壇の前に来て貰っていいかな」
「はいっ!レース先生よろしくお願いいたしますわ!」
「え、あ……は、はい!」
ダリアだけまるで終わったと言わんばかりの絶望的な顔をして歩いてくる。
一方二人はというと、興味があるのか凄い嬉しそうにしてるエスペランサと、おどおどしていて落ち着きのないスパルナを見ると、本当に大丈夫なのか少しだけ心配になってしまう。
「えっと、スパルナは怖かったらやらなくていいんじゃないかな」
「あ、あの……、は、はじめての友達だか、ら」
「初めての友達、何だか嬉しい響きですわね!聞きまして?ダリアさん、私達スパルナさんの初めてのお友達ですわよ!」
「そんな大声出さなくても聞こえてるよ、父さん……取り合えずそういう事だから一思いにやってくれよ」
ダリアが覚悟を決めた顔をして腕を差し出して来る。
取り合えず……痛みを耐える為に食いしばって歯が砕けないように、布を渡して噛ませると、直接手に触れて魔力を同調させると治癒術を使い娘の体内を生命維持に必要な臓器だけを残して壊して行く。
「……くぅっ!?」
「ダ、ダリアさん!?」
そしてどのように身体が治っていくのか分かるように、ダリアの魔力を使って治癒術を発動させると、ゆっくりと治しては壊してを繰り返して……最後の仕上げに、後遺症が残らないように丁寧に治療を施す。
「これで終わり……ダリア頑張ったね」
「頑張ったねじゃねぇよ!実際にやられて分かったけど頭おかしいって!」
「まぁ……ぼくも今ではそう思うよ、じゃあ次はエスペランサの番だよ」
「わ、分かりましたわっ!このエスペランサ・アドリアーナ・ウィリアム、レース先生の為ならどのような痛みでも乗り越えて見せますのよ!さぁっ!一思いにやってくださいまし!」
……エスペランサの覚悟に応えるように、彼女の手を取りダリアにしたのと同じ流れで魔力を同調させ、体内を壊し始めた時だった。
彼女が出しているとは思えないような、凄まじい悲鳴が咥えた布越しに聞こえたかと思うとそのまま気絶してしまう。
その後、動揺したり泣き出す生徒達を落ち着かせる為に授業どころでは無くなってしまうのだった。
「先生っ!そんな基本的な事よりも、賢者カルディア様からどうやって治癒術を教わってたか知りたいです!」
「それ私も知りたいっ!」
「俺もっ!」
今まで教師達の授業を受けなかったとは思えなく位に、物覚えがいいというか基礎的な事に関しては教える事が何もない。
確かにこの国の王であるソフィアが優秀だと認めるのが理解できる程に、秀才ばかりだけど……それ故に、教える側に対する理想が高すぎたんだと思う。
「えっと……皆さん、カルディア様の指導はとても独特なので」
「今はレース先生の奥さんじゃなくて、先生に直接聞いてるからちょっと黙っててくれます?」
「……黙ってくれますって失礼ですね」
「なら静かにしてください、レース先生……是非俺達に賢者カルディア様の指導方法で治癒術を教えてください!お願いします!やる気だけはあります!」
「別にやってもいいけど……トラウマになってもしらないよ?」
あの教わり方が当たり前だと思ってた昔を思い出すと、少しだけ背筋から嫌な汗が流れるような、胸のあたりから冷たい水が全身に行きわたるかのような……そんな感覚に襲われる。
多分、異常な経験だったと理解してしまったおかげで、軽くトラウマになってしまっているのかもしれない。
けど……どうしても知りたいというのなら、生徒達の事を考えてやってみるべきだろう。
「けど……時間的に全員は無理だから、何人かやってみたいという人に手を挙げて貰おうかな」
「先生、それだと不公平じゃないっすか?くじ引きとかで決めましょうよ」
「作ってる暇が無いから今回は我慢して欲しいかな」
「そうですわよ?レース先生の邪魔をしてはいけませんわ?スパルナさんもそう思いますわよね?」
「え?あ、わ、……わたしは、えっと」
何時の間に席を移動したのか最大で三人まで座れる長い机には、ダリアとスパルナ、そしてエスペランサが仲良く座っていた。
それだけならまだいいけど、余り人と話すのが得意ではないであろうスパルナにエスペランサが積極的に話しては困らせているけど、もしかしたら彼女は本当に友達になりたいのかもしれない。
「とりあえずやりたい人だけ手を挙げて欲しいかな、もしその最中で怖くなったりやっぱり止めたくなったら手を下げて大丈夫だよ」
「そ、それなら私、やってみたいですわ……スパルナさん、ダリアさん、行きますわよ!」
「え?な、なんで……私も?」
「俺も道連れかよ!?俺はいいって、診療所で何回か見た事あるけど……あんなんやりたくねぇよ!」
エスペランサが手を上げると、他の生徒も同じように体験してみたいと意思表示を始める。
この中から選ぶとなると……誰を指名するべきか。
「レースさん、一番最初に意思表示をしたエスペランサさん達に参加して貰いましょう、後はそうですね……先生が決めると不公平だって言う声が出てしまうと思うので、私が適当に選んで決めます」
「カエデがそういうなら任せるよ、取り合えず先にエスペランサ、スパルナ、ダリア、教壇の前に来て貰っていいかな」
「はいっ!レース先生よろしくお願いいたしますわ!」
「え、あ……は、はい!」
ダリアだけまるで終わったと言わんばかりの絶望的な顔をして歩いてくる。
一方二人はというと、興味があるのか凄い嬉しそうにしてるエスペランサと、おどおどしていて落ち着きのないスパルナを見ると、本当に大丈夫なのか少しだけ心配になってしまう。
「えっと、スパルナは怖かったらやらなくていいんじゃないかな」
「あ、あの……、は、はじめての友達だか、ら」
「初めての友達、何だか嬉しい響きですわね!聞きまして?ダリアさん、私達スパルナさんの初めてのお友達ですわよ!」
「そんな大声出さなくても聞こえてるよ、父さん……取り合えずそういう事だから一思いにやってくれよ」
ダリアが覚悟を決めた顔をして腕を差し出して来る。
取り合えず……痛みを耐える為に食いしばって歯が砕けないように、布を渡して噛ませると、直接手に触れて魔力を同調させると治癒術を使い娘の体内を生命維持に必要な臓器だけを残して壊して行く。
「……くぅっ!?」
「ダ、ダリアさん!?」
そしてどのように身体が治っていくのか分かるように、ダリアの魔力を使って治癒術を発動させると、ゆっくりと治しては壊してを繰り返して……最後の仕上げに、後遺症が残らないように丁寧に治療を施す。
「これで終わり……ダリア頑張ったね」
「頑張ったねじゃねぇよ!実際にやられて分かったけど頭おかしいって!」
「まぁ……ぼくも今ではそう思うよ、じゃあ次はエスペランサの番だよ」
「わ、分かりましたわっ!このエスペランサ・アドリアーナ・ウィリアム、レース先生の為ならどのような痛みでも乗り越えて見せますのよ!さぁっ!一思いにやってくださいまし!」
……エスペランサの覚悟に応えるように、彼女の手を取りダリアにしたのと同じ流れで魔力を同調させ、体内を壊し始めた時だった。
彼女が出しているとは思えないような、凄まじい悲鳴が咥えた布越しに聞こえたかと思うとそのまま気絶してしまう。
その後、動揺したり泣き出す生徒達を落ち着かせる為に授業どころでは無くなってしまうのだった。
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