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第十章 魔導国学園騒動
13話 マローネの孫
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ダリアが学園長室へと連れていかれたのは別にいいのだけれど、ぼくが向かっている先もそこだから正直言って……先程のエスペランサの行動にはあまり意味が無い気がする。
けどもしかしたら話したい事があるから、連れて行った可能性もあるから後で確認してみるといいかもしれない。
「……えっと、あの、その」
「ん?」
「あ、ご、ごめんなさい!」
すれ違い様にいきなり声を掛けられて、驚いて振り向くとそこには……ブロンドの髪を短く揃え、顔には大きな丸眼鏡を着けている気が弱そうな少女がいた。
「えっと、どうしたの?」
「は、初めまして、わ、私はスパルナ・フォン・フェーレンといい、ます」
「フェーレン……?、もしかして辺境都市クイストの前領主の?」
「あ、はい……そのえっと」
「って事は、マローネさんのお孫さんだよね?」
マローネの名前を出すと、驚いたような顔をして数歩後ろに下がってしまう。
何か失礼な事をしてしまったのではないかと心配になって彼女に近づくけど、更に表情が酷い事になってしまったから、逆効果だったのかもしれない。
「お、おば……お婆様のお知り合いで、すか?」
「え?まぁ、うん……マローネさんがまだ辺境都市にいた時に色々とお世話になったかな」
「……?という事は、お、お婆様にうら、みがある人じゃない?」
「何を言ってるか分からないけど、あの人に恨みは無いよ」
「良かった……この人は敵じゃない」
今度は安心したような顔をして近づいてくる。
何だか表情の変化が忙しい子だなって思いながら見てると、急に立ち止まってぼくの左腕を指差す。
「あ、あの……左腕、どうしたんですか?」
「ん?あぁ……」
学園の中に入ってから、すれ違う生徒達が左腕を指差して何かを言ってたり、好奇心が隠せないような視線を常に向けられていたから……そんなに珍しいのかなと思いつつも気にしないようにしていたけど、スパルナと名乗った彼女を反応を見るとかなり気になるのだろう。
確かにメセリーでは義肢を着けている人はいないし、腕が無くなったらそのまま治療して終わりの可能性がある。
一般的な治癒術では体の一部が切断された場合、鮮度を保った状態で早めの施術を行う事で繋げる事は可能だ。
しかしその場合、まともに動かせるまでの間のリハビリ期間を考えると、かなりの期間を要するから……正直、魔導具の義肢を着けられるならそうした方がいい。
「そ、その、答えづらいのでしたら、ごめ、なさい……」
「いや、大丈夫だよ……少し前に左腕が事故で無くなっちゃってさ、その時にマーシェンスにいる魔導具技師がこの義肢を作ってくれたんだ」
「はぇー……という事はやはりこれが、南東の大国【マーシェンス】が誇る魔術と機械を組み合わせた最先端の魔導具……話には聞いた事あるけど凄いなぁ」
「ん?スパルナは魔導具に興味があるの?」
「は、はい!メセリーでは魔術と治癒術が大きく発展していますけど、魔導具に関しては簡単な魔術の補助になる道具の作成位ですし、似たような物となると……死後、身体を焼いた後に残った骨に独自の技術で圧力を加えて宝石へと加工して作る、指輪位ですが……あれはどちらかというと道具ではなく、遺族へと遺す物なので全然違います」
そう言葉にしながら、どんどんぼくへと近づいてくる彼女に驚いて数歩後ろに下がってしまうけど、どんどん早口になってしまう辺り、本当に魔導具の事が好きなのかもしれない。
「特にお婆様が私がそういうのを好きなのを知って、フェーレンの貴族屋敷に戻ってから、色々とマーシェンスから様々な魔導具を取り寄せてくれてですね!」
「だから、ぼくの義肢を見て話しかけたの?」
「は、はい!私がこの学園に通いたいと思ったのも、マーシェンスから優秀な魔導具技師の方を教師として招くと聞いて、いてもたってもいられずに!」
「あぁ……その人がぼくの義肢を作ってくれた人だよ」
「ほ、ほんとですか!?す……すごいです!あの触らせて貰っても宜しいですか!?」
……つい先ほどのエスペランサとのやり取りと比べると、ぼく個人としてはこういうスパルナの方が接しやすい。
そう思いながら左腕を彼女へと伸ばすと、嬉しそうな表情を浮かべながら触り出す。
「はぇー、凄い……関節の繋ぎ目も分からない位に精巧で、でも触れてみた感じ冷たい金属の感覚が無いからもしかして、体温と同じになるようになってる?でも確かにその方がいいのかも?だってそうしないと人体との接続部分で温度差が出て、そこから体内が冷えてしまうし、そうすると血管の収縮が……」
「あぁ……えっと」
「あ、ご、ごめんなさい!私好きな事になるとつい熱くなっちゃって……、あのお詫びと言ったらなんですが、私で良ければ何でもやりますよ!」
「いや、別にいいよ……ぼくも新術を作ってる時とかそうなるからさ、ただそうだね……それなら学園長室の場所を教えて貰ってもいいかな、今日から教師としてここで働く事になったんだけど、正直広くて何処に何があるのかまだわかってなくてさ」
「せ、先生だったんですね!?ご、ごめんなさい馴れ馴れしくしてしまって!……学園長室ですね?案内させて頂きますのでついて来てください!」
……スパルナはそう言うと、何故かぼくの手を取って歩き出す。
どうしてそんな事をするのだろうと思いながら、思わず彼女の方を見るけど嬉しそうな顔をしているから何も言わないでおこう。
そう思いながら学園長室へと連れて行って貰うと、お礼を言って別れを告げ、スパルナが見えなくなった後扉をノックするのだった。
けどもしかしたら話したい事があるから、連れて行った可能性もあるから後で確認してみるといいかもしれない。
「……えっと、あの、その」
「ん?」
「あ、ご、ごめんなさい!」
すれ違い様にいきなり声を掛けられて、驚いて振り向くとそこには……ブロンドの髪を短く揃え、顔には大きな丸眼鏡を着けている気が弱そうな少女がいた。
「えっと、どうしたの?」
「は、初めまして、わ、私はスパルナ・フォン・フェーレンといい、ます」
「フェーレン……?、もしかして辺境都市クイストの前領主の?」
「あ、はい……そのえっと」
「って事は、マローネさんのお孫さんだよね?」
マローネの名前を出すと、驚いたような顔をして数歩後ろに下がってしまう。
何か失礼な事をしてしまったのではないかと心配になって彼女に近づくけど、更に表情が酷い事になってしまったから、逆効果だったのかもしれない。
「お、おば……お婆様のお知り合いで、すか?」
「え?まぁ、うん……マローネさんがまだ辺境都市にいた時に色々とお世話になったかな」
「……?という事は、お、お婆様にうら、みがある人じゃない?」
「何を言ってるか分からないけど、あの人に恨みは無いよ」
「良かった……この人は敵じゃない」
今度は安心したような顔をして近づいてくる。
何だか表情の変化が忙しい子だなって思いながら見てると、急に立ち止まってぼくの左腕を指差す。
「あ、あの……左腕、どうしたんですか?」
「ん?あぁ……」
学園の中に入ってから、すれ違う生徒達が左腕を指差して何かを言ってたり、好奇心が隠せないような視線を常に向けられていたから……そんなに珍しいのかなと思いつつも気にしないようにしていたけど、スパルナと名乗った彼女を反応を見るとかなり気になるのだろう。
確かにメセリーでは義肢を着けている人はいないし、腕が無くなったらそのまま治療して終わりの可能性がある。
一般的な治癒術では体の一部が切断された場合、鮮度を保った状態で早めの施術を行う事で繋げる事は可能だ。
しかしその場合、まともに動かせるまでの間のリハビリ期間を考えると、かなりの期間を要するから……正直、魔導具の義肢を着けられるならそうした方がいい。
「そ、その、答えづらいのでしたら、ごめ、なさい……」
「いや、大丈夫だよ……少し前に左腕が事故で無くなっちゃってさ、その時にマーシェンスにいる魔導具技師がこの義肢を作ってくれたんだ」
「はぇー……という事はやはりこれが、南東の大国【マーシェンス】が誇る魔術と機械を組み合わせた最先端の魔導具……話には聞いた事あるけど凄いなぁ」
「ん?スパルナは魔導具に興味があるの?」
「は、はい!メセリーでは魔術と治癒術が大きく発展していますけど、魔導具に関しては簡単な魔術の補助になる道具の作成位ですし、似たような物となると……死後、身体を焼いた後に残った骨に独自の技術で圧力を加えて宝石へと加工して作る、指輪位ですが……あれはどちらかというと道具ではなく、遺族へと遺す物なので全然違います」
そう言葉にしながら、どんどんぼくへと近づいてくる彼女に驚いて数歩後ろに下がってしまうけど、どんどん早口になってしまう辺り、本当に魔導具の事が好きなのかもしれない。
「特にお婆様が私がそういうのを好きなのを知って、フェーレンの貴族屋敷に戻ってから、色々とマーシェンスから様々な魔導具を取り寄せてくれてですね!」
「だから、ぼくの義肢を見て話しかけたの?」
「は、はい!私がこの学園に通いたいと思ったのも、マーシェンスから優秀な魔導具技師の方を教師として招くと聞いて、いてもたってもいられずに!」
「あぁ……その人がぼくの義肢を作ってくれた人だよ」
「ほ、ほんとですか!?す……すごいです!あの触らせて貰っても宜しいですか!?」
……つい先ほどのエスペランサとのやり取りと比べると、ぼく個人としてはこういうスパルナの方が接しやすい。
そう思いながら左腕を彼女へと伸ばすと、嬉しそうな表情を浮かべながら触り出す。
「はぇー、凄い……関節の繋ぎ目も分からない位に精巧で、でも触れてみた感じ冷たい金属の感覚が無いからもしかして、体温と同じになるようになってる?でも確かにその方がいいのかも?だってそうしないと人体との接続部分で温度差が出て、そこから体内が冷えてしまうし、そうすると血管の収縮が……」
「あぁ……えっと」
「あ、ご、ごめんなさい!私好きな事になるとつい熱くなっちゃって……、あのお詫びと言ったらなんですが、私で良ければ何でもやりますよ!」
「いや、別にいいよ……ぼくも新術を作ってる時とかそうなるからさ、ただそうだね……それなら学園長室の場所を教えて貰ってもいいかな、今日から教師としてここで働く事になったんだけど、正直広くて何処に何があるのかまだわかってなくてさ」
「せ、先生だったんですね!?ご、ごめんなさい馴れ馴れしくしてしまって!……学園長室ですね?案内させて頂きますのでついて来てください!」
……スパルナはそう言うと、何故かぼくの手を取って歩き出す。
どうしてそんな事をするのだろうと思いながら、思わず彼女の方を見るけど嬉しそうな顔をしているから何も言わないでおこう。
そう思いながら学園長室へと連れて行って貰うと、お礼を言って別れを告げ、スパルナが見えなくなった後扉をノックするのだった。
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