448 / 571
第九章 戦いの中で……
67話 精神汚染
しおりを挟む
メイメイが迎撃した後、マスカレイドは衝撃を逃がす事無くその場に踏みとどまると彼女に向かって手を伸ばす。
そして手を広げるとそこから小さな銃口のような物が現れ……
「あぶねぇぞ馬鹿!」
「んん!?おぉっ!?な、なんじゃとぉ!?」
ダリアが目の前に現れたかと思うとメイメイに抱き着いて消える。
そして再び姿を現したかと思うと、ぼくの隣に尻もちを付いて全身でゆっくりと呼吸を繰り返しすと、先程まで二人がいた場所を先程マスカレイドが使っていた切り札と同じ色の閃光が通過していく。
「……なんだ今のは、何処から現れた?」
「なんじゃも何も、いきなり来てなんて事をしとるんじゃ!余の家がボロボロじゃぞ!」
「余の家?まさかお前が……【薬姫】メイメイか、名前や特徴は聞いた事はあるがこうして会うのは初めてだな」
「そういうおぬしは、父が良く言うとった幼少期を共に過ごしたクソガキ【黎明】マスカレイド・ハルサーじゃろ?……良く褒めておったから覚えとるよ、祖母の意思を継ぎエルフの為に立ち上がった強い意思のある男じゃったとな」
「……あいつが俺を褒めていた?ほぅ、ハイネの意思を継ぐのは当然だろう、恩を受けた相手の事は大事にするべきだからな」
……どうしてそういう考えが出来るのに、初代薬王ハイネ・メイディを魔導人形にしてしまうのか。
ぼくには少しも気持ちが理解できない。
「なら……何故こんな事をする?余の父を殺し、祖母である初代薬王の死体を弄び、何故このような事をっ!」
「ん?何を言う……、俺はただ目的の為に必要な事をしているだけだ、それに協力者のおかげで若い頃に【黎明】の使い方を理解する事が出来たからな、分かるか?過去に飛ばされた俺の気持ちが、理解出来るか?生まれつき他の者よりも知能が優れている苦しみが、知らないだろうな……過ぎたる力を得て能力に振り回される苦痛が」
「マスカレイド……、君はいったい何を言って?」
「小僧……貴様なら理解できるだろう?俺と同じように生まれつき心器を使う事が出来た意味が、俺とルディーの意思でお前には平凡な人生を生きて欲しいと願い、小僧の物心がつく前に使えなくする為の術式を屋敷に施した意味を」
「……本当に何を言ってるの?」
ぼくが生まれつき心器が使えたのに使えなくした?。
それはいったいどういう事なのか……、こんな便利な能力を使えなくする必要があるのだろうか。
「分からないとは実に愚かだ、どうしても知りたいならルディーに直接聞けばいい……、まぁただあの時は驚いたがな俺とルディーが魔術と治癒術の研究を行っていた時に当時俺の使っていた杖を心器として顕現させるのだからな、あの時のお前はまだ可愛げがあ……ん?何だこれは俺の知らない感情や記憶がある?」
臨戦態勢を取っているぼくたちの無視して急に頭を抑え始める。
そして何やら苦しんだような顔をしたかと思うと……
「俺が作った新しい技術や発明はまさか、過去に飛ばされた時に当時出会った金髪の少女に聞いていた?そんな訳が……けど仮にそうだったとしても、機械と魔術を組み合わせて作った魔導具や兵器、医療器具は俺の生み出した発明だ、なのに何故……?そんな凄い能力あるなら私の知識にある物が作れる?だと、当然だ……俺なら出来て当然……だ?」
「……マスカレイド?」
「ん?あ、いや……ここは?あぁそうか、今の俺は戦場でこいつらと戦っているのだったな、この疑問に関しては目的を果たしてからにしよう」
マスカレイドが再びぼく達の方を見ると、背中に接続された心器に白と黒の光が吸い込まれていく。
そして胸部が開き空になったガラス瓶が飛び出すと、再び中に何らかの薬液を補充して差し込む。
「良いかレース、ダリア……これが【天魔】シャルネ・ヘイルーンの持つ【精神汚染】の効果じゃ、心に迷いのある物が奴に長く関わるとこのように精神に異常を来たしたり、記憶の混濁が起きる……そして最後には奴の都合の良い人形になるのじゃよ」
「それって……凄いまずくねぇか?」
「奴が若い頃は……【精神汚染】をうまくコントロール出来なかったせいで、メイディに来て余を討伐しようとした時に恐ろしい目にあったものじゃよ」
メイメイが何か話をしているけど、今は戦闘に集中するべきだ。
シャルネの能力は確かに強力だと思うけど、未来に倒すべき相手よりも今やるべきことをやった方がいい。
けど……試しに狼達に指示を出して攻撃をさせては見るけど、微動だにすらしない辺りこんな化け物をどうやって倒せばいいのか分からなくなる。
「いや、話すのはいいけどさ、マスカレイドが準備が終わるのを待つ必要ある?」
「とはいえこんな化物どうやって倒せと言うんじゃ?心器と一体化してるのは【福音】ゴスペルが余達Sランクの間では有名じゃが、奴の場合は肉体が強靭な変わりに毒に弱いという弱点がある、けどのぅ……こやつの場合身体を魔導具に作り替えておるし、ほぼ弱点なんぞないに等しいぞ?」
「はぁ?そんなの反則じゃねぇかよ」
……そうしている間に準備が終わったのか、マスカレイドの背中から【カタストロフ】の光が溢れると凄まじい速度でこちらへと飛び込んでくる。
それを見たメイメイが『何をやっとるんじゃ!倒せないとは言え、ボケーっとしとらんでやれることはやるのじゃよ!』と言葉にして、小さな体でマスカレイドを受け止めるとその勢いを利用してぼくの方へと投げるのだった。
そして手を広げるとそこから小さな銃口のような物が現れ……
「あぶねぇぞ馬鹿!」
「んん!?おぉっ!?な、なんじゃとぉ!?」
ダリアが目の前に現れたかと思うとメイメイに抱き着いて消える。
そして再び姿を現したかと思うと、ぼくの隣に尻もちを付いて全身でゆっくりと呼吸を繰り返しすと、先程まで二人がいた場所を先程マスカレイドが使っていた切り札と同じ色の閃光が通過していく。
「……なんだ今のは、何処から現れた?」
「なんじゃも何も、いきなり来てなんて事をしとるんじゃ!余の家がボロボロじゃぞ!」
「余の家?まさかお前が……【薬姫】メイメイか、名前や特徴は聞いた事はあるがこうして会うのは初めてだな」
「そういうおぬしは、父が良く言うとった幼少期を共に過ごしたクソガキ【黎明】マスカレイド・ハルサーじゃろ?……良く褒めておったから覚えとるよ、祖母の意思を継ぎエルフの為に立ち上がった強い意思のある男じゃったとな」
「……あいつが俺を褒めていた?ほぅ、ハイネの意思を継ぐのは当然だろう、恩を受けた相手の事は大事にするべきだからな」
……どうしてそういう考えが出来るのに、初代薬王ハイネ・メイディを魔導人形にしてしまうのか。
ぼくには少しも気持ちが理解できない。
「なら……何故こんな事をする?余の父を殺し、祖母である初代薬王の死体を弄び、何故このような事をっ!」
「ん?何を言う……、俺はただ目的の為に必要な事をしているだけだ、それに協力者のおかげで若い頃に【黎明】の使い方を理解する事が出来たからな、分かるか?過去に飛ばされた俺の気持ちが、理解出来るか?生まれつき他の者よりも知能が優れている苦しみが、知らないだろうな……過ぎたる力を得て能力に振り回される苦痛が」
「マスカレイド……、君はいったい何を言って?」
「小僧……貴様なら理解できるだろう?俺と同じように生まれつき心器を使う事が出来た意味が、俺とルディーの意思でお前には平凡な人生を生きて欲しいと願い、小僧の物心がつく前に使えなくする為の術式を屋敷に施した意味を」
「……本当に何を言ってるの?」
ぼくが生まれつき心器が使えたのに使えなくした?。
それはいったいどういう事なのか……、こんな便利な能力を使えなくする必要があるのだろうか。
「分からないとは実に愚かだ、どうしても知りたいならルディーに直接聞けばいい……、まぁただあの時は驚いたがな俺とルディーが魔術と治癒術の研究を行っていた時に当時俺の使っていた杖を心器として顕現させるのだからな、あの時のお前はまだ可愛げがあ……ん?何だこれは俺の知らない感情や記憶がある?」
臨戦態勢を取っているぼくたちの無視して急に頭を抑え始める。
そして何やら苦しんだような顔をしたかと思うと……
「俺が作った新しい技術や発明はまさか、過去に飛ばされた時に当時出会った金髪の少女に聞いていた?そんな訳が……けど仮にそうだったとしても、機械と魔術を組み合わせて作った魔導具や兵器、医療器具は俺の生み出した発明だ、なのに何故……?そんな凄い能力あるなら私の知識にある物が作れる?だと、当然だ……俺なら出来て当然……だ?」
「……マスカレイド?」
「ん?あ、いや……ここは?あぁそうか、今の俺は戦場でこいつらと戦っているのだったな、この疑問に関しては目的を果たしてからにしよう」
マスカレイドが再びぼく達の方を見ると、背中に接続された心器に白と黒の光が吸い込まれていく。
そして胸部が開き空になったガラス瓶が飛び出すと、再び中に何らかの薬液を補充して差し込む。
「良いかレース、ダリア……これが【天魔】シャルネ・ヘイルーンの持つ【精神汚染】の効果じゃ、心に迷いのある物が奴に長く関わるとこのように精神に異常を来たしたり、記憶の混濁が起きる……そして最後には奴の都合の良い人形になるのじゃよ」
「それって……凄いまずくねぇか?」
「奴が若い頃は……【精神汚染】をうまくコントロール出来なかったせいで、メイディに来て余を討伐しようとした時に恐ろしい目にあったものじゃよ」
メイメイが何か話をしているけど、今は戦闘に集中するべきだ。
シャルネの能力は確かに強力だと思うけど、未来に倒すべき相手よりも今やるべきことをやった方がいい。
けど……試しに狼達に指示を出して攻撃をさせては見るけど、微動だにすらしない辺りこんな化け物をどうやって倒せばいいのか分からなくなる。
「いや、話すのはいいけどさ、マスカレイドが準備が終わるのを待つ必要ある?」
「とはいえこんな化物どうやって倒せと言うんじゃ?心器と一体化してるのは【福音】ゴスペルが余達Sランクの間では有名じゃが、奴の場合は肉体が強靭な変わりに毒に弱いという弱点がある、けどのぅ……こやつの場合身体を魔導具に作り替えておるし、ほぼ弱点なんぞないに等しいぞ?」
「はぁ?そんなの反則じゃねぇかよ」
……そうしている間に準備が終わったのか、マスカレイドの背中から【カタストロフ】の光が溢れると凄まじい速度でこちらへと飛び込んでくる。
それを見たメイメイが『何をやっとるんじゃ!倒せないとは言え、ボケーっとしとらんでやれることはやるのじゃよ!』と言葉にして、小さな体でマスカレイドを受け止めるとその勢いを利用してぼくの方へと投げるのだった。
1
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる
まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。
そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。
ホスト異世界へ行く
REON
ファンタジー
「勇者になってこの世界をお救いください」
え?勇者?
「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」
☆★☆★☆
同伴する為に客と待ち合わせしていたら異世界へ!
国王のおっさんから「勇者になって魔王の討伐を」と、異世界系の王道展開だったけど……俺、勇者じゃないんですけど!?なに“うっかり”で召喚してくれちゃってんの!?
しかも元の世界へは帰れないと来た。
よし、分かった。
じゃあ俺はおっさんのヒモになる!
銀髪銀目の異世界ホスト。
勇者じゃないのに勇者よりも特殊な容姿と特殊恩恵を持つこの男。
この男が召喚されたのは本当に“うっかり”だったのか。
人誑しで情緒不安定。
モフモフ大好きで自由人で女子供にはちょっぴり弱い。
そんな特殊イケメンホストが巻きおこす、笑いあり(?)涙あり(?)の異世界ライフ!
※注意※
パンセクシャル(全性愛)ハーレムです。
可愛い女の子をはべらせる普通のハーレムストーリーと思って読むと痛い目をみますのでご注意ください。笑
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる