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第九章 戦いの中で……
62話 カタストロフ
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マスカレイドの心器から現れた3体の人型を見て、ショウソクの目が驚愕したかのように見開かれると、武器を構えて顔を強張らせる。
「……クソガキ、おまえその人形はなんだ?」
「俺の魔導工房によって生み出された最高傑作だ、元の素材は死体だが手を加える事で人型の兵器を生み出した」
「それは見ればわかるが、使った素材はなんだと言っている」
「見ればわかるだろ?、【アイン】、【ツヴァイ】、【ドライハイネ】だ」
白髪に濁り色を失った白い瞳を持った両手が義手になっている紳士服の女性が、アインと呼ばれると同時に優雅な仕草でお辞儀をして周囲に雪の魔術を発動させる。
そしてツヴァイと言う名前に反応して、白髪交じりで顔に深い皺が刻まれた老紳士が腰に差した剣の音が鳴らない程静かに、そして精錬された仕草で手に持った杖を突いて礼をしたかと思うと、全身から雷を発して武器に纏わせて行く。
更に【ドライハイネ】という唯一長い名前を持つ少女は、表面上の髪は土気色なのに、裏側はショウソクやメイメイと同じ綺麗な緑色をしていた。
それだけでなく彼女の両腕は生身ではなく義肢になっており、マスカレイドの言葉に反応すると地面から木の根が生え始め、それが螺旋状の槍のような形になったかと思うと鞭のようにしならせて地面に叩きつけられる。
「……【黎明】あなた、これは何なの?見ればわかるって言われても分からないわよ」
「なら馬鹿にも分かりやすいように説明してやる、俺が作った魔導具の力で過去へと限定的な干渉が出来るようになってな、未来が変わるような事は出来ないのだが、変わりにこうやって過去から現代では手に入らない貴重な素材を手に入れる事が出来る」
「それで歴代の王族の死体を素材にしたというの?」
「あぁ、欲を言えば魔王と商王も欲しかったが……奴らは死後指輪に加工されたり、場内の柱に埋め込まれたりされているおかげで干渉出来なくてな、特に覇王の場合は初代ではなく残念な事に二代目だ、初代に干渉しようとしたら理解できない事に気付かれてな手痛い反撃を受けて身体の殆どを魔導具に作り直す事になってしまったよ、まぁ遅かれ早かれ作り直すつもりだったから、それが早くなっただけだがね」
……だからメセリーでフィリアに狙撃された時に、身体が魔導具になっていたのか。
マスカレイドの技術で急激に発展を遂げた魔術と科学の融合体である魔科学、ぼくの左腕もだけど人体の欠損すら科学的に補い果てには身体そのものを作り変えてしまうあたり、恐ろしい技術だと思う。
特に危険だと思うのはやはり、目の前にいるハイエンドと呼ばれる三体の魔導兵器だ、素材に使用した物に関しては倫理的に見たら異常としか言いようが無いけど、やっている事は死者を蘇らせてるに等しい。
そこに意識や記憶が無かったとしても、大事な人が生前と変わらない姿で現れたらどうだろうか。
人によっては魔導兵器、いや……その場合は魔導人形と呼ぶべき存在に依存してしまうかも。
二度と会えなくなってしまった大切な人に、再び出会えた喜びと再び失うかもしれない恐怖心、想像するだけで恐ろしいし、ここに新しくケイスニルが並ぶと思うと嫌でもぼくの頭の中で一つの答えに結び付く。
「ところで小僧、その左腕はどうした?」
ルードは彼に懐いていたようだし、ケイスニルの事だから付き合いは短くてもぼくの知る限りでは、マンティコアになったルードを実の子のように可愛がっていた筈だ。
ぼくがルードにケイスニルは死んだと教えてしまった以上、もしマスカレイドがルードの前に現れ……魔導人形となり蘇ったケイスニルを見たらどうなるだろうか。
それで彼の声でルードにマスカレイドに協力するように説得をされた場合状況が最悪な事になってもおかしくない。
幸いな事にルードは、既にライさんの持っている空間収納の魔術が付与された魔導具の中で、生け捕りにされているから問題ないけど……もし捕まえるのが遅れていたらと思うと背筋が凍るような嫌な寒気がする。
「小僧……聞いているのか?」
「……え?」
「その左腕はどうしたのかと聞いているだろう、まさかとは思うがこの状況で自分の世界に入り込んでいたとは言わないだろうな」
「これは腕が無くなったから、ミオラームに作って貰ったんだけど?」
「あの小娘にか、見事な物だな……実に、実に素晴らしい!小僧、いやレース!お前を我が魔導工房へと持ち帰り、その魔導具もろとも研究材料にしてやろう!」
マスカレイドがそう言葉にすると同時に3体の魔導人形がアキラさん達へ向かっていく。
二代目覇王と呼ばれた彼女はアキラさんに攻撃をしかけ、初代賢王と呼ばれた老人は背後に突然現れた巨大な蒸気を吹き出しながら唸り声をあげる機械の蛇の頭上へと飛び乗り、アナイスへと容赦のない体当たりを繰り出す。
そしてドライハイネ、いや初代薬王は……
「クソガキ、お前が勝手に話を進めるな」
「……薬王」
……ドライハイネの操る植物の槍が風切り音と共にショウソクへと迫る。
彼はそれを武器で受け流すと、そのままマスカレイドへと向かって武器を叩きつけるのだった。
「……クソガキ、おまえその人形はなんだ?」
「俺の魔導工房によって生み出された最高傑作だ、元の素材は死体だが手を加える事で人型の兵器を生み出した」
「それは見ればわかるが、使った素材はなんだと言っている」
「見ればわかるだろ?、【アイン】、【ツヴァイ】、【ドライハイネ】だ」
白髪に濁り色を失った白い瞳を持った両手が義手になっている紳士服の女性が、アインと呼ばれると同時に優雅な仕草でお辞儀をして周囲に雪の魔術を発動させる。
そしてツヴァイと言う名前に反応して、白髪交じりで顔に深い皺が刻まれた老紳士が腰に差した剣の音が鳴らない程静かに、そして精錬された仕草で手に持った杖を突いて礼をしたかと思うと、全身から雷を発して武器に纏わせて行く。
更に【ドライハイネ】という唯一長い名前を持つ少女は、表面上の髪は土気色なのに、裏側はショウソクやメイメイと同じ綺麗な緑色をしていた。
それだけでなく彼女の両腕は生身ではなく義肢になっており、マスカレイドの言葉に反応すると地面から木の根が生え始め、それが螺旋状の槍のような形になったかと思うと鞭のようにしならせて地面に叩きつけられる。
「……【黎明】あなた、これは何なの?見ればわかるって言われても分からないわよ」
「なら馬鹿にも分かりやすいように説明してやる、俺が作った魔導具の力で過去へと限定的な干渉が出来るようになってな、未来が変わるような事は出来ないのだが、変わりにこうやって過去から現代では手に入らない貴重な素材を手に入れる事が出来る」
「それで歴代の王族の死体を素材にしたというの?」
「あぁ、欲を言えば魔王と商王も欲しかったが……奴らは死後指輪に加工されたり、場内の柱に埋め込まれたりされているおかげで干渉出来なくてな、特に覇王の場合は初代ではなく残念な事に二代目だ、初代に干渉しようとしたら理解できない事に気付かれてな手痛い反撃を受けて身体の殆どを魔導具に作り直す事になってしまったよ、まぁ遅かれ早かれ作り直すつもりだったから、それが早くなっただけだがね」
……だからメセリーでフィリアに狙撃された時に、身体が魔導具になっていたのか。
マスカレイドの技術で急激に発展を遂げた魔術と科学の融合体である魔科学、ぼくの左腕もだけど人体の欠損すら科学的に補い果てには身体そのものを作り変えてしまうあたり、恐ろしい技術だと思う。
特に危険だと思うのはやはり、目の前にいるハイエンドと呼ばれる三体の魔導兵器だ、素材に使用した物に関しては倫理的に見たら異常としか言いようが無いけど、やっている事は死者を蘇らせてるに等しい。
そこに意識や記憶が無かったとしても、大事な人が生前と変わらない姿で現れたらどうだろうか。
人によっては魔導兵器、いや……その場合は魔導人形と呼ぶべき存在に依存してしまうかも。
二度と会えなくなってしまった大切な人に、再び出会えた喜びと再び失うかもしれない恐怖心、想像するだけで恐ろしいし、ここに新しくケイスニルが並ぶと思うと嫌でもぼくの頭の中で一つの答えに結び付く。
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ルードは彼に懐いていたようだし、ケイスニルの事だから付き合いは短くてもぼくの知る限りでは、マンティコアになったルードを実の子のように可愛がっていた筈だ。
ぼくがルードにケイスニルは死んだと教えてしまった以上、もしマスカレイドがルードの前に現れ……魔導人形となり蘇ったケイスニルを見たらどうなるだろうか。
それで彼の声でルードにマスカレイドに協力するように説得をされた場合状況が最悪な事になってもおかしくない。
幸いな事にルードは、既にライさんの持っている空間収納の魔術が付与された魔導具の中で、生け捕りにされているから問題ないけど……もし捕まえるのが遅れていたらと思うと背筋が凍るような嫌な寒気がする。
「小僧……聞いているのか?」
「……え?」
「その左腕はどうしたのかと聞いているだろう、まさかとは思うがこの状況で自分の世界に入り込んでいたとは言わないだろうな」
「これは腕が無くなったから、ミオラームに作って貰ったんだけど?」
「あの小娘にか、見事な物だな……実に、実に素晴らしい!小僧、いやレース!お前を我が魔導工房へと持ち帰り、その魔導具もろとも研究材料にしてやろう!」
マスカレイドがそう言葉にすると同時に3体の魔導人形がアキラさん達へ向かっていく。
二代目覇王と呼ばれた彼女はアキラさんに攻撃をしかけ、初代賢王と呼ばれた老人は背後に突然現れた巨大な蒸気を吹き出しながら唸り声をあげる機械の蛇の頭上へと飛び乗り、アナイスへと容赦のない体当たりを繰り出す。
そしてドライハイネ、いや初代薬王は……
「クソガキ、お前が勝手に話を進めるな」
「……薬王」
……ドライハイネの操る植物の槍が風切り音と共にショウソクへと迫る。
彼はそれを武器で受け流すと、そのままマスカレイドへと向かって武器を叩きつけるのだった。
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