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第九章 戦いの中で……
間章 スペリオル マスカレイド視点
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天空に氷の盾が現れたかと思うと、炎で形作られた剣がそれを一瞬で焼き払う。
炎が空を赤く染めたかと思うと、氷が一瞬で閉じ込め消して行く。
氷の刀が振るわれ大気に静寂が訪れたかと思うと、炎の剣が豪炎を巻き上げながら引き裂く。
「……あなた、もしかして力を取り戻したの?」
「必要だと判断したからな」
「そう……、人として生きたいと言っていたのにかわいそう」
炎の剣から獅子の顔が現れ、咆哮をあげながらアナイスの周囲に赤い閃光を放つ槍を生成する。
それらが周囲の空気を巻き込みながら回転を始めると、音を置き去りにして放たれた。
イフリーゼは瞬時に当たったらまずいと判断したのか、瞬時に高度を下げて躱す。
だがそれを読んでいたかのように彼女の手に炎が集まると……
「どうせ、これも防ぐのでしょうね【澌尽灰滅】」
「周囲の被害を顧みないのか貴様は……」
アナイスの前方に閃光が走り前方を白い炎が容赦なく焼き尽くそうとするが、瞬時に氷の翼から展開された無数の羽によって散らされる。
「ほんと嫌な能力ね、【氷翼】……確か過去に存在していた六大天使って言う天族が持っていた権能でしょ?」
「……翼に触れた対象をその場に停止させるだけだ、何も怖くない」
「嘘を言わないでくれる?触れただけで全ての活動を停止させられてしまうのは実戦じゃ詰みじゃない」
「私的には貴様の【滅尽】の方が怖いけどな」
「それはどうも、さて次はあなたの番よ?ほら使いなさいよ、なんだっけ?あの無差別攻撃」
Sランク冒険者の二つ名は皆、【天魔】や【薬姫】を除いてそれぞれの能力が由来となっている。
イフリーゼの【氷翼】は、生命物質問わず全ての活動を停止させ、アナイスの【滅尽】はストレス等により感情の高まりが一定値を超えると理性を失ってしまうが代わりに感情に比例して魔力が回復し続けるが、膨大な魔力が尽きるまで周囲に殲滅力の高い魔術を使い続けてしまう。
前者は単純だが、後者の場合自身の心器の能力により感情の高まりが一定以上になったら感情が一時的にリセットされる為、デメリットが無いに等しい。
「貴様の足止めが目的なのに切り札を切ってどうする」
「……だからと言って私の攻撃を全部そうやって防ぐつもり?、炎と氷どっちが不利か分かるわよね?」
「周囲の酸素事、氷らせてしまえばいいのだろう?」
「馬鹿ね、私に精霊がいる限りそんなもの無くても周囲の魔力を使って燃やせるわよ」
「強気な事だ、その精霊さえいなければSランクの中では一番弱い癖に良く吠える」
アナイスの使役している神霊と呼ばれる格に至った精霊、イフリーゼが言うように彼女は精霊を扱う事でやっとSランク、厳密にはスペリオルと区別されている領域に辿り着ける。
勿論、一般的的な範囲では単体でも弱くは無いのだが、精霊術を不自由なく扱える程に自然の魔力が豊富な場所でなければ一番弱いのは彼女だろう。
だがそれは逆に、環境が整いさえすれば単純に強いという事だ。
但しイフリーゼに近づき過ぎないように一定の距離を保ちながら、精霊に魔力を渡して強力な魔術を発動させている所から判断すると、彼女も本気ではないのだと伺える。
例えるのならこれは、動物同士のじゃれ合いだ……互いに何処までやったら取り返しのつかない事になるのか分かっているが故に、本気を出したら周囲にどれくらいの被害が出るのか理解しているが故のじゃれ合い。
「あんたこそ、最初と違ってどんどん弱くなってきてるじゃない……もしかしてまだ本調子じゃないんじゃないの?」
「当然だ、今まで封じていた力をいきなり使いこなせる奴がいるわけないだろう」
「……でしょうね、なら私が本気を出す前に逃げた方がいいんじゃない?ほら、わかるでしょ?」
……本来、Sランク冒険者として区別されるような能力を持つ存在は例えるのなら、大量破壊兵器のような物で……それ故に本来は自分の居場所が無いに等しい。
本気を出した瞬間に五大国も含めた国を、指先一つで吹き飛ばせるような化け物と誰が仲良くしようというのか。
ただそれ故に俺達の力を欲して、五大国の王族はSランク冒険者を国に招く。
この国には人智を超越した力を持った人の形をした兵器、武力による抑止力があるという事を周辺の国に示す為に、まぁ……傭兵団を率いていたり、一国の王女だったりと例外は勿論存在するが……。
「なら早く本気を出せばどうだ?、出せるのだろう?貴様の愛したこの国を消し炭にする覚悟が」
「……っ!」
「顔を引き攣らせるな、出来るのだろう?自分の正義の為に全よりも個を優先する意思が」
「誰が、誰が……こんな戦いを好き好んでやると!私は弟子を守る為にしょうがなく!」
「ならその弟子を救い出せば貴様は戦いを止めるのか?」
……アナイスの瞳が戸惑いに揺れる。
これは説得次第では寝返る可能性がある、ならば今出来る事はここで二人を殺害し戦力を減らす事だろう。
そう判断し、魔導具を使用し周囲の風景に溶け込んでいたのを止めて、心器の魔導工房を起動し大筒を取り出すと、最大出力の一撃を放つのだった。
炎が空を赤く染めたかと思うと、氷が一瞬で閉じ込め消して行く。
氷の刀が振るわれ大気に静寂が訪れたかと思うと、炎の剣が豪炎を巻き上げながら引き裂く。
「……あなた、もしかして力を取り戻したの?」
「必要だと判断したからな」
「そう……、人として生きたいと言っていたのにかわいそう」
炎の剣から獅子の顔が現れ、咆哮をあげながらアナイスの周囲に赤い閃光を放つ槍を生成する。
それらが周囲の空気を巻き込みながら回転を始めると、音を置き去りにして放たれた。
イフリーゼは瞬時に当たったらまずいと判断したのか、瞬時に高度を下げて躱す。
だがそれを読んでいたかのように彼女の手に炎が集まると……
「どうせ、これも防ぐのでしょうね【澌尽灰滅】」
「周囲の被害を顧みないのか貴様は……」
アナイスの前方に閃光が走り前方を白い炎が容赦なく焼き尽くそうとするが、瞬時に氷の翼から展開された無数の羽によって散らされる。
「ほんと嫌な能力ね、【氷翼】……確か過去に存在していた六大天使って言う天族が持っていた権能でしょ?」
「……翼に触れた対象をその場に停止させるだけだ、何も怖くない」
「嘘を言わないでくれる?触れただけで全ての活動を停止させられてしまうのは実戦じゃ詰みじゃない」
「私的には貴様の【滅尽】の方が怖いけどな」
「それはどうも、さて次はあなたの番よ?ほら使いなさいよ、なんだっけ?あの無差別攻撃」
Sランク冒険者の二つ名は皆、【天魔】や【薬姫】を除いてそれぞれの能力が由来となっている。
イフリーゼの【氷翼】は、生命物質問わず全ての活動を停止させ、アナイスの【滅尽】はストレス等により感情の高まりが一定値を超えると理性を失ってしまうが代わりに感情に比例して魔力が回復し続けるが、膨大な魔力が尽きるまで周囲に殲滅力の高い魔術を使い続けてしまう。
前者は単純だが、後者の場合自身の心器の能力により感情の高まりが一定以上になったら感情が一時的にリセットされる為、デメリットが無いに等しい。
「貴様の足止めが目的なのに切り札を切ってどうする」
「……だからと言って私の攻撃を全部そうやって防ぐつもり?、炎と氷どっちが不利か分かるわよね?」
「周囲の酸素事、氷らせてしまえばいいのだろう?」
「馬鹿ね、私に精霊がいる限りそんなもの無くても周囲の魔力を使って燃やせるわよ」
「強気な事だ、その精霊さえいなければSランクの中では一番弱い癖に良く吠える」
アナイスの使役している神霊と呼ばれる格に至った精霊、イフリーゼが言うように彼女は精霊を扱う事でやっとSランク、厳密にはスペリオルと区別されている領域に辿り着ける。
勿論、一般的的な範囲では単体でも弱くは無いのだが、精霊術を不自由なく扱える程に自然の魔力が豊富な場所でなければ一番弱いのは彼女だろう。
だがそれは逆に、環境が整いさえすれば単純に強いという事だ。
但しイフリーゼに近づき過ぎないように一定の距離を保ちながら、精霊に魔力を渡して強力な魔術を発動させている所から判断すると、彼女も本気ではないのだと伺える。
例えるのならこれは、動物同士のじゃれ合いだ……互いに何処までやったら取り返しのつかない事になるのか分かっているが故に、本気を出したら周囲にどれくらいの被害が出るのか理解しているが故のじゃれ合い。
「あんたこそ、最初と違ってどんどん弱くなってきてるじゃない……もしかしてまだ本調子じゃないんじゃないの?」
「当然だ、今まで封じていた力をいきなり使いこなせる奴がいるわけないだろう」
「……でしょうね、なら私が本気を出す前に逃げた方がいいんじゃない?ほら、わかるでしょ?」
……本来、Sランク冒険者として区別されるような能力を持つ存在は例えるのなら、大量破壊兵器のような物で……それ故に本来は自分の居場所が無いに等しい。
本気を出した瞬間に五大国も含めた国を、指先一つで吹き飛ばせるような化け物と誰が仲良くしようというのか。
ただそれ故に俺達の力を欲して、五大国の王族はSランク冒険者を国に招く。
この国には人智を超越した力を持った人の形をした兵器、武力による抑止力があるという事を周辺の国に示す為に、まぁ……傭兵団を率いていたり、一国の王女だったりと例外は勿論存在するが……。
「なら早く本気を出せばどうだ?、出せるのだろう?貴様の愛したこの国を消し炭にする覚悟が」
「……っ!」
「顔を引き攣らせるな、出来るのだろう?自分の正義の為に全よりも個を優先する意思が」
「誰が、誰が……こんな戦いを好き好んでやると!私は弟子を守る為にしょうがなく!」
「ならその弟子を救い出せば貴様は戦いを止めるのか?」
……アナイスの瞳が戸惑いに揺れる。
これは説得次第では寝返る可能性がある、ならば今出来る事はここで二人を殺害し戦力を減らす事だろう。
そう判断し、魔導具を使用し周囲の風景に溶け込んでいたのを止めて、心器の魔導工房を起動し大筒を取り出すと、最大出力の一撃を放つのだった。
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