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第九章 戦いの中で……
59話 生け捕り
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ルードの全身から煙が出たかと思うと、そのまま白目を向いて倒れる。
体内に高電圧による熱傷が起きていると思うけど、生け捕りの筈なのにそこまでの損傷を与えてしまったいいのだろうか。
「ライさん……、このままだとルード死んだりしない?」
「あの程度で死にはしないと思うよ、君達の攻撃をあそこまで耐え抜いた相手だからね」
「けど……」
「とはいえレース君が心配になるのはしょうがない……体の外側が幾ら頑丈だったとしても内側が脆いのは生きている以上は共通だからね」
そう言いながら魔導具の袋を取り出すと意識の無いルードの腕に腕輪を嵌める。
「これを着ける事で相手は魔力を使った行動が出来なくなるんだ」
「以前、アキがルードに着けたのと同じ物かな」
「良く覚えてるね、取り合えずそれで魔力を使っての身体能力の上昇を行えなくして、後は……空間収納の魔術が刻まれた魔導具の中にしまえば」
魔導具の袋を広げると包み込むようにしてルードを中へとしまって行き、紐で封をする。
こうする事で誰かが不用意に開けたりでもしなければ外へ出る事は出来ないだろう。
けど問題は……
「捕まえたのはいいけど、これからルードはどうなるの?」
「そうだね、まずは栄花騎士団本部に送られて、トキが作成した【弱体化】の能力が付与された牢に入って貰う事になるかな……その後は寿命で亡くなるまでの間、どうなるかは言いづらいかな」
「言いづらいってどういう……」
「栄花にある研究施設に送られるって事だよ、絶滅した筈のモンスターが蘇った以上はしょうがないと割り切るしかない」
「そんな事って……」
ルードはぼくとケイスニルのせいで、マンティコアになってしまったようなものだ。
そんなまだ成人したての彼が寿命を迎えるまで研究施設に送られると言うことに罪悪感を覚える。
「けど、今はそんな事よりも俺達がこうして話している間にも戦闘は続いているから……俺達はやることをやらないと、ね」
ライさんの身体に電流が走ったかと思うと、一筋の光の線を残して森へと消える。
そして、遠距離から魔術による攻撃を妨害し続けているリッチ達の前に現れたかと思うと、両腕に着けている心器の篭手で人体の急所を的確に攻撃していく。
「……悪いレース!大丈夫だったか?ルードはどうなった!?って、ライ!?」
「え、あぁ……」
「なんなんだよこれ!レース、おめぇ説明しろよ!ライがどうして生きてて、ルードは何処に行ったんだよ!」
……説明するのがめんどくさい。
いや、ちゃんと全部……一から説明した方が良いって分かってはいるんだけど、森の方ではライさんが生き生きとした顔でリッチ達を殴り倒して無力化して行ってる。
そのおかげで精霊騎士達の攻撃が飛行しているドラゴンや、その巨体を生かして力任せに巨人族のアンデッドにダメージを与えて行く。
「いや、どうせライの事だからこの状況は作戦の内なんだろ?……レースは、俺達に秘密にするように言われた、違うか?」
「まぁ、そうだけど……」
「だよな!なら俺が直接ライに聞いてくる!、悪いレース!また一人にするけど狼がいるから大丈夫だろ!」
「え、あっ!ちょっと!」
「ライイイイ!そこのアンデッドを倒したら話を聞かせろぉぉ!」
ハスが走っていくと、何故か両手に持っている銃を使わずにリッチ達を蹴り飛ばしていく。
それを見たライさんが楽しそうに笑うと、二人で背中合わせになりながら少しだけ言葉を交わすと
「それならしょうがねぇな!、じゃあ俺達は今やるべきことをやらねぇとな!」
と離れていても聞こえる程の大きな声がする。
「……なにこれ」
「レース!悪いがおめぇは冒険者達の方に行ってくれ!あそこにいるデュラハン達がヤバい!メイメイとダリアは騎士達に付きっ切りで手薄だ!」
「分かった!」
それなら先に言って欲しかったと思いながら、雪で作った大剣を加え始めた狼の背に飛び乗り、冒険者達の所に行くように指示を出す。
一瞬苦しそうな声を出した気がしたけど今はそんな事を気にしている場合じゃない、視線を冒険者と傭兵達の方向に向けると、五体のデュラハンに圧倒されたようで、【猛蛇】マダラと死絶傭兵団の団員以外は、身体の一部が欠損していたり血だまりに沈んで動けなくなっている人達が地面に転がっている。
近づいて彼らの様子を見てみると呼吸をしているようには見えなくて、多分だけど失血性のショックで心停止状態になっている可能性がある……直ぐにでも治療を開始しなければ命に係わる可能性があるが、これ程までの人数を治療した経験が無いから出来るだろうか。
スイに教わった魔力の糸の先端を針にして相手に刺して、距離が離れていても治癒術を使う事が出来る技術、あれをこのような戦場の緊張状態で使う事が出来るのか……取り合えず目に入る範囲全員に魔力の糸を刺して見たけど……
「……ダメだ、殆どが死んでる、それにここにいる人達はもう治療が追い付かない」
……治癒術を使ったところで致命傷を癒す事は出来ない。
一応あの禁術を使えば助かるかもしれないけど、今は助けるべき命を救う方が先決だ。
そう思いながらガルシア達の方へと向かおうとした時だった、アキラさん達が戦っている方向から凄まじい轟音がしたかと思うと……アキラさんとアナイスが吹き飛ばされて来るのだった。
体内に高電圧による熱傷が起きていると思うけど、生け捕りの筈なのにそこまでの損傷を与えてしまったいいのだろうか。
「ライさん……、このままだとルード死んだりしない?」
「あの程度で死にはしないと思うよ、君達の攻撃をあそこまで耐え抜いた相手だからね」
「けど……」
「とはいえレース君が心配になるのはしょうがない……体の外側が幾ら頑丈だったとしても内側が脆いのは生きている以上は共通だからね」
そう言いながら魔導具の袋を取り出すと意識の無いルードの腕に腕輪を嵌める。
「これを着ける事で相手は魔力を使った行動が出来なくなるんだ」
「以前、アキがルードに着けたのと同じ物かな」
「良く覚えてるね、取り合えずそれで魔力を使っての身体能力の上昇を行えなくして、後は……空間収納の魔術が刻まれた魔導具の中にしまえば」
魔導具の袋を広げると包み込むようにしてルードを中へとしまって行き、紐で封をする。
こうする事で誰かが不用意に開けたりでもしなければ外へ出る事は出来ないだろう。
けど問題は……
「捕まえたのはいいけど、これからルードはどうなるの?」
「そうだね、まずは栄花騎士団本部に送られて、トキが作成した【弱体化】の能力が付与された牢に入って貰う事になるかな……その後は寿命で亡くなるまでの間、どうなるかは言いづらいかな」
「言いづらいってどういう……」
「栄花にある研究施設に送られるって事だよ、絶滅した筈のモンスターが蘇った以上はしょうがないと割り切るしかない」
「そんな事って……」
ルードはぼくとケイスニルのせいで、マンティコアになってしまったようなものだ。
そんなまだ成人したての彼が寿命を迎えるまで研究施設に送られると言うことに罪悪感を覚える。
「けど、今はそんな事よりも俺達がこうして話している間にも戦闘は続いているから……俺達はやることをやらないと、ね」
ライさんの身体に電流が走ったかと思うと、一筋の光の線を残して森へと消える。
そして、遠距離から魔術による攻撃を妨害し続けているリッチ達の前に現れたかと思うと、両腕に着けている心器の篭手で人体の急所を的確に攻撃していく。
「……悪いレース!大丈夫だったか?ルードはどうなった!?って、ライ!?」
「え、あぁ……」
「なんなんだよこれ!レース、おめぇ説明しろよ!ライがどうして生きてて、ルードは何処に行ったんだよ!」
……説明するのがめんどくさい。
いや、ちゃんと全部……一から説明した方が良いって分かってはいるんだけど、森の方ではライさんが生き生きとした顔でリッチ達を殴り倒して無力化して行ってる。
そのおかげで精霊騎士達の攻撃が飛行しているドラゴンや、その巨体を生かして力任せに巨人族のアンデッドにダメージを与えて行く。
「いや、どうせライの事だからこの状況は作戦の内なんだろ?……レースは、俺達に秘密にするように言われた、違うか?」
「まぁ、そうだけど……」
「だよな!なら俺が直接ライに聞いてくる!、悪いレース!また一人にするけど狼がいるから大丈夫だろ!」
「え、あっ!ちょっと!」
「ライイイイ!そこのアンデッドを倒したら話を聞かせろぉぉ!」
ハスが走っていくと、何故か両手に持っている銃を使わずにリッチ達を蹴り飛ばしていく。
それを見たライさんが楽しそうに笑うと、二人で背中合わせになりながら少しだけ言葉を交わすと
「それならしょうがねぇな!、じゃあ俺達は今やるべきことをやらねぇとな!」
と離れていても聞こえる程の大きな声がする。
「……なにこれ」
「レース!悪いがおめぇは冒険者達の方に行ってくれ!あそこにいるデュラハン達がヤバい!メイメイとダリアは騎士達に付きっ切りで手薄だ!」
「分かった!」
それなら先に言って欲しかったと思いながら、雪で作った大剣を加え始めた狼の背に飛び乗り、冒険者達の所に行くように指示を出す。
一瞬苦しそうな声を出した気がしたけど今はそんな事を気にしている場合じゃない、視線を冒険者と傭兵達の方向に向けると、五体のデュラハンに圧倒されたようで、【猛蛇】マダラと死絶傭兵団の団員以外は、身体の一部が欠損していたり血だまりに沈んで動けなくなっている人達が地面に転がっている。
近づいて彼らの様子を見てみると呼吸をしているようには見えなくて、多分だけど失血性のショックで心停止状態になっている可能性がある……直ぐにでも治療を開始しなければ命に係わる可能性があるが、これ程までの人数を治療した経験が無いから出来るだろうか。
スイに教わった魔力の糸の先端を針にして相手に刺して、距離が離れていても治癒術を使う事が出来る技術、あれをこのような戦場の緊張状態で使う事が出来るのか……取り合えず目に入る範囲全員に魔力の糸を刺して見たけど……
「……ダメだ、殆どが死んでる、それにここにいる人達はもう治療が追い付かない」
……治癒術を使ったところで致命傷を癒す事は出来ない。
一応あの禁術を使えば助かるかもしれないけど、今は助けるべき命を救う方が先決だ。
そう思いながらガルシア達の方へと向かおうとした時だった、アキラさん達が戦っている方向から凄まじい轟音がしたかと思うと……アキラさんとアナイスが吹き飛ばされて来るのだった。
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