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第九章 戦いの中で……
31話 カエデの能力
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ダメだ、何度声を掛けても反応が無い。
余程集中しているのか、それともあの本に何らかの魔術や精霊術が付与されていて、動けなくなっているのかも……?。
そう思って暫く様子を見てみると手が動いてページを捲っているから、何かの術にかかっているという事は無さそうだ。
取り合えず近くにある椅子を持ってきてカエデの隣に座って、何が書いてあるのか確認するついでに読んでみようとするけど、見た事の無い文字で全然内容が頭に入らない。
「……つまり薬王ショウソク様は既に人間ではないのね」
「人間ではないってどういう事?」
「精霊を通じて、首都の中に流れる薬神メランティーナの樹液や魔力を体内に取り入れる……?」
遠くでダート達が何やら話しているのが聞こえるけど、時折ボソボソと呟くカエデの事が今は気になる。
ショウソクが人間ではない?、人族じゃないって言う意味ではエルフ族だから分かるけど、人間ではないという言葉の意味が分からない。
それにメランティーナ……メイメイの以前の身体から採取した樹液や魔力を体内に取り入れる?、魔力を同調させるなら分かるけどそれ以外でそんな事をした場合……拒絶反応が出る可能性が高いのに、あの人は何をやっているのだろうか。
「……態々古代エルフ語で書くなんて、ショウソク様はいったいいつの時代から生きているのかな、初代薬王様とは親子関係にあるのは知ってるけど」
「んー、アキラさんと話してたのを聞いたけど……多分あの人三英雄の時代から生きてるみたいだよ?」
「もしそうだとしたら、Sランクの一部の方達やショウソク様、ケイスニルやグロウフェレス……当時の時代から生きている人物が多すぎる気がする、もしかして一か所に集まるようになって……あれ?」
「あ、気づいた?」
「レ、レースさん!?何時からそこにいたんですか!?」
カエデが驚いたような顔をしてぼくの方を見る。
余りの動揺っぷりに思わず笑いそうになるけど、彼女の手元から落ちた本を拾ってさっきまで開いてたと思う場所を開く。
「ついさっきかな、幾ら名前を呼んでも反応が無いから心配になって様子を見てたんだよ」
「それは……えっと、心配させてしまい申し訳ございません」
「独り言を結構言ってたけど、古代エルフ語って……カエデは読めるの?」
「えぇ、心器の能力のおかげですね、レースさんにはまだ詳しく明かした事が無かった気がしますが、【指示・翻訳・斬裂流剣術】これが私の能力です」
「指示は……、空中に書いた文字や絵に魔術を通したらその指示通りに動くあれだよね?」
あの能力のおかげで色々と助かった経験があるけど、使い方次第では本当に強力だと思う。
後は翻訳……モンスター扱いされている亜人の言葉は共通語ではない事が多いから、種族の中で通訳が出来る人や、冒険者の中で亜人の言語を話せる人が必要な事を冒険者になった後にジラルドから教えて貰ったけど、翻訳という事は多分そういう人達の文字を読むことが出来るという事だろうか。
もしそうだったら余りにも便利過ぎる気がする。
「はい、後は翻訳に関してですが……、これは練度が高いおかげで心器を出さずに唯一使え……あれ?そういえばレースさんは心器の能力は使いこなせるようになると顕現させなくても使えるのって知ってましたっけ」
「……ん?あぁ、それなら今日トキから武器の性能確認で色々としてる時に教えて貰ったから大丈夫だよ」
「……出来れば私が教えたかったですね、取り合えずそんな感じで文章を読む時に異なる言語でも頭の中に翻訳された内容が浮かぶので便利なんですよ」
「じゃあ……最後の斬裂流剣術っていうのは?」
「これは……キリサキ家が必ず取得しなければ行けない能力でして、これが無いとキリサキの人間として認められません、ご先祖様で三英雄の一人である【斬鬼】キリサキ・ゼン様が使ったと伝えられる剣術を感覚で使えるようになるのですが、何分私の場合は適正があっても能力が低いので生かせないんですよね」
確か栄花の言葉で、斬に裂と書いてキリサキと読むという事はカエデから聞いてはいるけど英雄が使ったと言われる剣術……、これはぼくも覚える事が出来るのだろうか。
心器の大剣の能力はまだ二つ発現していないから、もしかしたら使えるようになる可能性はあるのかもしれない。
「……それってぼくも使えるようになったりする?、ほら心器の能力として」
「能力としては無理ですね、こればっかりは血統によるので……むしろレースさんの場合は大剣の使い方が剣術というよりも鈍器なので、私が剣術を教えて覚えるよりも武器そのものを叩きつけた方が強くなれると思いますよ?」
「それライさんにも同じ事を言われた気がする」
「……あの人は観察眼と策略に優れていますからね、そういえばライさんはどうなったのですか?ランちゃんからある程度話を聞きましたのですが」
「……ごめん」
……ぼくの返事を聞いたカエデが眼を見開くと暫く黙ってしまう。
そしてゆっくりと眼を閉じ『そう……ですか、惜しい人を……本当に惜しい人を亡くしてしまいました』と呟く。
こういう時彼女にライさんは生きてると伝える事が出来たらと思うのだった。
余程集中しているのか、それともあの本に何らかの魔術や精霊術が付与されていて、動けなくなっているのかも……?。
そう思って暫く様子を見てみると手が動いてページを捲っているから、何かの術にかかっているという事は無さそうだ。
取り合えず近くにある椅子を持ってきてカエデの隣に座って、何が書いてあるのか確認するついでに読んでみようとするけど、見た事の無い文字で全然内容が頭に入らない。
「……つまり薬王ショウソク様は既に人間ではないのね」
「人間ではないってどういう事?」
「精霊を通じて、首都の中に流れる薬神メランティーナの樹液や魔力を体内に取り入れる……?」
遠くでダート達が何やら話しているのが聞こえるけど、時折ボソボソと呟くカエデの事が今は気になる。
ショウソクが人間ではない?、人族じゃないって言う意味ではエルフ族だから分かるけど、人間ではないという言葉の意味が分からない。
それにメランティーナ……メイメイの以前の身体から採取した樹液や魔力を体内に取り入れる?、魔力を同調させるなら分かるけどそれ以外でそんな事をした場合……拒絶反応が出る可能性が高いのに、あの人は何をやっているのだろうか。
「……態々古代エルフ語で書くなんて、ショウソク様はいったいいつの時代から生きているのかな、初代薬王様とは親子関係にあるのは知ってるけど」
「んー、アキラさんと話してたのを聞いたけど……多分あの人三英雄の時代から生きてるみたいだよ?」
「もしそうだとしたら、Sランクの一部の方達やショウソク様、ケイスニルやグロウフェレス……当時の時代から生きている人物が多すぎる気がする、もしかして一か所に集まるようになって……あれ?」
「あ、気づいた?」
「レ、レースさん!?何時からそこにいたんですか!?」
カエデが驚いたような顔をしてぼくの方を見る。
余りの動揺っぷりに思わず笑いそうになるけど、彼女の手元から落ちた本を拾ってさっきまで開いてたと思う場所を開く。
「ついさっきかな、幾ら名前を呼んでも反応が無いから心配になって様子を見てたんだよ」
「それは……えっと、心配させてしまい申し訳ございません」
「独り言を結構言ってたけど、古代エルフ語って……カエデは読めるの?」
「えぇ、心器の能力のおかげですね、レースさんにはまだ詳しく明かした事が無かった気がしますが、【指示・翻訳・斬裂流剣術】これが私の能力です」
「指示は……、空中に書いた文字や絵に魔術を通したらその指示通りに動くあれだよね?」
あの能力のおかげで色々と助かった経験があるけど、使い方次第では本当に強力だと思う。
後は翻訳……モンスター扱いされている亜人の言葉は共通語ではない事が多いから、種族の中で通訳が出来る人や、冒険者の中で亜人の言語を話せる人が必要な事を冒険者になった後にジラルドから教えて貰ったけど、翻訳という事は多分そういう人達の文字を読むことが出来るという事だろうか。
もしそうだったら余りにも便利過ぎる気がする。
「はい、後は翻訳に関してですが……、これは練度が高いおかげで心器を出さずに唯一使え……あれ?そういえばレースさんは心器の能力は使いこなせるようになると顕現させなくても使えるのって知ってましたっけ」
「……ん?あぁ、それなら今日トキから武器の性能確認で色々としてる時に教えて貰ったから大丈夫だよ」
「……出来れば私が教えたかったですね、取り合えずそんな感じで文章を読む時に異なる言語でも頭の中に翻訳された内容が浮かぶので便利なんですよ」
「じゃあ……最後の斬裂流剣術っていうのは?」
「これは……キリサキ家が必ず取得しなければ行けない能力でして、これが無いとキリサキの人間として認められません、ご先祖様で三英雄の一人である【斬鬼】キリサキ・ゼン様が使ったと伝えられる剣術を感覚で使えるようになるのですが、何分私の場合は適正があっても能力が低いので生かせないんですよね」
確か栄花の言葉で、斬に裂と書いてキリサキと読むという事はカエデから聞いてはいるけど英雄が使ったと言われる剣術……、これはぼくも覚える事が出来るのだろうか。
心器の大剣の能力はまだ二つ発現していないから、もしかしたら使えるようになる可能性はあるのかもしれない。
「……それってぼくも使えるようになったりする?、ほら心器の能力として」
「能力としては無理ですね、こればっかりは血統によるので……むしろレースさんの場合は大剣の使い方が剣術というよりも鈍器なので、私が剣術を教えて覚えるよりも武器そのものを叩きつけた方が強くなれると思いますよ?」
「それライさんにも同じ事を言われた気がする」
「……あの人は観察眼と策略に優れていますからね、そういえばライさんはどうなったのですか?ランちゃんからある程度話を聞きましたのですが」
「……ごめん」
……ぼくの返事を聞いたカエデが眼を見開くと暫く黙ってしまう。
そしてゆっくりと眼を閉じ『そう……ですか、惜しい人を……本当に惜しい人を亡くしてしまいました』と呟く。
こういう時彼女にライさんは生きてると伝える事が出来たらと思うのだった。
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