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第九章 戦いの中で……
23話 ライさんを探して
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アナイス・アナイアレイトが去った後、ライさんが無事か確認する為に皆で死の大地となった森だった場所を歩いているけど、時折人の形をした黒い塊が転がっているのが見えたり、樹がそのままの形を残して炭になっていてまるで異なる世界に来てしまったような気がする。
それにさっきも思ったけど周辺がとても静かで、ぼく達の歩く音や小さい呼吸音が大きく聞こえてしまう。
「……ライさん大丈夫なのかな」
「大丈夫に決まってんだろ?」
ハスは大丈夫だと信じてるみたいだけど、時折落ち着かない仕草をしている。
ただ……それよりも気になるのがランの方で
「ラン?そわそわしてるけどどうしたの?」
「……えっと、出来ればカエデちゃんの所に直ぐに帰りたいの」
「あ?ランおめぇ何言ってんだ?さっきとは状況が違う以上単独行動はあぶねぇぞ?」
「でも、あのSランク冒険者の実力を見て思ったの……あそこまで強大な力を持ってる以上拠点となる場所に戦力を集中させた方がいいの、ライがいない以上は独自の判断で動いてもいい筈なの」
「ライがいないだぁ?まだ死んだか分かんねぇじゃねぇか!」
二人が歩きながら隣で口喧嘩を始めるけど……正直今はそんな事をしている状況ではない筈だ。
でもダートやカエデの事が気になるのはぼくも同じだから、あんまり人の事を言えないのかもしれない。
「……ラン、ここはぼくとハスでライさんの事を探すから先に戻っていいよ」
「あぁ?レースおめぇ何勝手に決めてんだ?」
「勝手も何も現状で冷静な判断が出来るのはぼく位でしょ?だからここはぼくが判断するよ」
「……ライ以外の奴に従う事になるなんてな、納得は行かねぇが道理は通っているから聞いてやるよ」
「レースありがとうなの、じゃあ直ぐに戻るのっ!」
ランの髪が青白く発光して徐々に全身を包み込んだかと思うと、周囲の灰をまき散らしながら一瞬で姿を消してしまう。
「ちょ……、あいつ少しは周りの事考えろ!汚れたじゃねぇか!」
「それ位焦ってたんだよ、でも一瞬で居なくなるなんて凄いね……どうやってるんだろ」
「こういう時なのにおめぇはほんと落ち着いてんな、焦ってる俺達がバカみてぇだわ……」
「ぼくもダート達に何かあったら同じように焦ってたと思うけど……、ライさんが心配な気持ちは変わらないよ、ただあの人なら危険を察知して空間魔術を使って逃げててもおかしくない気がしてさ」
勿論これがただそうだったらいいなっていう想像だっていう事は自分でもわかってる。
けどそう思って冷静さを失わないようにしないと、二人のように冷静さに欠けてしまっていただろう。
「……おめぇのそういう所ほんとすげぇと思うわ」
「そうかな……、あぁでも前までのぼくならあんまりそんな考え方出来なかったかも」
「ん?それってどういう事だ?」
「ほら、トレーディアスに行ってから色んな事があったからこういう状況に慣れたっていうかさ……」
「ん?あぁ、そういえばそんな事あったらしいな……、ん?あれはなんだ?」
隣を歩いていたハスが指を指すと、灰の中から出ている何かかが陽の光を反射して輝いている。
確認する為に急いで近づいて見るとそこには見覚えのある短剣が落ちていて……
「これってライさんの短剣?」
「あぁ間違いねぇ、信じたくなかったけどよ……あいつ本当に死んじまったのか?」
「……ここに短剣があるって事は逃げきれなかったって事だよね」
「いや、まだ俺は信じねぇ!死体を見るまではぜってぇに信じねぇからな!」
ハスが周囲の灰を蹴り飛ばしながら周囲を探し始めるけど、何処にも死体のような物は無い。
「ハス……これ位にした方がいいよ、ライさんはもう」
「っるせぇ!あいつは俺がガキの頃からつるんでる大事なダチなんだよ!そいつが簡単に死ぬわけねぇだろ!」
「でも短剣がここにあるんだから……間違いないんじゃ」
「ならおめぇは首都に帰れ!俺はライが見つかるまでここから離れねぇからな!」
ダメだ……、完全に頭に血が上ってるみたいで話を聞いてくれそうにない。
これでは本当にライさんを見つけるまで動こうとはしないだろう、そんな状態のハスを一人にしてしまったら何が起きるか分からないし、何よりもライさんが浮かばれないと思う。
「……なら見つかるまで付き合うよ」
「レース……ならおめぇは少し離れた所を探してくれ!、ほらあそこなんか山みてぇに盛り上がってんだろ?あっち側は被害がすくねぇし遠くに森も残ってるから、そっちに逃げてるかもしれねぇ」
「分かった、ライさんがいたら呼ぶね?」
「おぅっ!俺も何かあったらすぐに呼ぶからその時は直ぐに来てくれよな!」
……そうしてハスと分かれて、ライさんを探しに行くと山みたいになっている場所の裏に行く。
するとその反対側に大きなトカゲのような顔が原型を留めて残っており、口に当たる部分に袋のような物が着いている。
これはなんだろうと思い中を覗き込もうとすると中から人の腕が飛び出して来て、その腕がトカゲの腕を掴むと見覚えのある金髪碧眼の男性、さっきまで死んだと思っていたライさんが出て来るのだった。
それにさっきも思ったけど周辺がとても静かで、ぼく達の歩く音や小さい呼吸音が大きく聞こえてしまう。
「……ライさん大丈夫なのかな」
「大丈夫に決まってんだろ?」
ハスは大丈夫だと信じてるみたいだけど、時折落ち着かない仕草をしている。
ただ……それよりも気になるのがランの方で
「ラン?そわそわしてるけどどうしたの?」
「……えっと、出来ればカエデちゃんの所に直ぐに帰りたいの」
「あ?ランおめぇ何言ってんだ?さっきとは状況が違う以上単独行動はあぶねぇぞ?」
「でも、あのSランク冒険者の実力を見て思ったの……あそこまで強大な力を持ってる以上拠点となる場所に戦力を集中させた方がいいの、ライがいない以上は独自の判断で動いてもいい筈なの」
「ライがいないだぁ?まだ死んだか分かんねぇじゃねぇか!」
二人が歩きながら隣で口喧嘩を始めるけど……正直今はそんな事をしている状況ではない筈だ。
でもダートやカエデの事が気になるのはぼくも同じだから、あんまり人の事を言えないのかもしれない。
「……ラン、ここはぼくとハスでライさんの事を探すから先に戻っていいよ」
「あぁ?レースおめぇ何勝手に決めてんだ?」
「勝手も何も現状で冷静な判断が出来るのはぼく位でしょ?だからここはぼくが判断するよ」
「……ライ以外の奴に従う事になるなんてな、納得は行かねぇが道理は通っているから聞いてやるよ」
「レースありがとうなの、じゃあ直ぐに戻るのっ!」
ランの髪が青白く発光して徐々に全身を包み込んだかと思うと、周囲の灰をまき散らしながら一瞬で姿を消してしまう。
「ちょ……、あいつ少しは周りの事考えろ!汚れたじゃねぇか!」
「それ位焦ってたんだよ、でも一瞬で居なくなるなんて凄いね……どうやってるんだろ」
「こういう時なのにおめぇはほんと落ち着いてんな、焦ってる俺達がバカみてぇだわ……」
「ぼくもダート達に何かあったら同じように焦ってたと思うけど……、ライさんが心配な気持ちは変わらないよ、ただあの人なら危険を察知して空間魔術を使って逃げててもおかしくない気がしてさ」
勿論これがただそうだったらいいなっていう想像だっていう事は自分でもわかってる。
けどそう思って冷静さを失わないようにしないと、二人のように冷静さに欠けてしまっていただろう。
「……おめぇのそういう所ほんとすげぇと思うわ」
「そうかな……、あぁでも前までのぼくならあんまりそんな考え方出来なかったかも」
「ん?それってどういう事だ?」
「ほら、トレーディアスに行ってから色んな事があったからこういう状況に慣れたっていうかさ……」
「ん?あぁ、そういえばそんな事あったらしいな……、ん?あれはなんだ?」
隣を歩いていたハスが指を指すと、灰の中から出ている何かかが陽の光を反射して輝いている。
確認する為に急いで近づいて見るとそこには見覚えのある短剣が落ちていて……
「これってライさんの短剣?」
「あぁ間違いねぇ、信じたくなかったけどよ……あいつ本当に死んじまったのか?」
「……ここに短剣があるって事は逃げきれなかったって事だよね」
「いや、まだ俺は信じねぇ!死体を見るまではぜってぇに信じねぇからな!」
ハスが周囲の灰を蹴り飛ばしながら周囲を探し始めるけど、何処にも死体のような物は無い。
「ハス……これ位にした方がいいよ、ライさんはもう」
「っるせぇ!あいつは俺がガキの頃からつるんでる大事なダチなんだよ!そいつが簡単に死ぬわけねぇだろ!」
「でも短剣がここにあるんだから……間違いないんじゃ」
「ならおめぇは首都に帰れ!俺はライが見つかるまでここから離れねぇからな!」
ダメだ……、完全に頭に血が上ってるみたいで話を聞いてくれそうにない。
これでは本当にライさんを見つけるまで動こうとはしないだろう、そんな状態のハスを一人にしてしまったら何が起きるか分からないし、何よりもライさんが浮かばれないと思う。
「……なら見つかるまで付き合うよ」
「レース……ならおめぇは少し離れた所を探してくれ!、ほらあそこなんか山みてぇに盛り上がってんだろ?あっち側は被害がすくねぇし遠くに森も残ってるから、そっちに逃げてるかもしれねぇ」
「分かった、ライさんがいたら呼ぶね?」
「おぅっ!俺も何かあったらすぐに呼ぶからその時は直ぐに来てくれよな!」
……そうしてハスと分かれて、ライさんを探しに行くと山みたいになっている場所の裏に行く。
するとその反対側に大きなトカゲのような顔が原型を留めて残っており、口に当たる部分に袋のような物が着いている。
これはなんだろうと思い中を覗き込もうとすると中から人の腕が飛び出して来て、その腕がトカゲの腕を掴むと見覚えのある金髪碧眼の男性、さっきまで死んだと思っていたライさんが出て来るのだった。
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