401 / 536
第九章 戦いの中で……
23話 ライさんを探して
しおりを挟む
アナイス・アナイアレイトが去った後、ライさんが無事か確認する為に皆で死の大地となった森だった場所を歩いているけど、時折人の形をした黒い塊が転がっているのが見えたり、樹がそのままの形を残して炭になっていてまるで異なる世界に来てしまったような気がする。
それにさっきも思ったけど周辺がとても静かで、ぼく達の歩く音や小さい呼吸音が大きく聞こえてしまう。
「……ライさん大丈夫なのかな」
「大丈夫に決まってんだろ?」
ハスは大丈夫だと信じてるみたいだけど、時折落ち着かない仕草をしている。
ただ……それよりも気になるのがランの方で
「ラン?そわそわしてるけどどうしたの?」
「……えっと、出来ればカエデちゃんの所に直ぐに帰りたいの」
「あ?ランおめぇ何言ってんだ?さっきとは状況が違う以上単独行動はあぶねぇぞ?」
「でも、あのSランク冒険者の実力を見て思ったの……あそこまで強大な力を持ってる以上拠点となる場所に戦力を集中させた方がいいの、ライがいない以上は独自の判断で動いてもいい筈なの」
「ライがいないだぁ?まだ死んだか分かんねぇじゃねぇか!」
二人が歩きながら隣で口喧嘩を始めるけど……正直今はそんな事をしている状況ではない筈だ。
でもダートやカエデの事が気になるのはぼくも同じだから、あんまり人の事を言えないのかもしれない。
「……ラン、ここはぼくとハスでライさんの事を探すから先に戻っていいよ」
「あぁ?レースおめぇ何勝手に決めてんだ?」
「勝手も何も現状で冷静な判断が出来るのはぼく位でしょ?だからここはぼくが判断するよ」
「……ライ以外の奴に従う事になるなんてな、納得は行かねぇが道理は通っているから聞いてやるよ」
「レースありがとうなの、じゃあ直ぐに戻るのっ!」
ランの髪が青白く発光して徐々に全身を包み込んだかと思うと、周囲の灰をまき散らしながら一瞬で姿を消してしまう。
「ちょ……、あいつ少しは周りの事考えろ!汚れたじゃねぇか!」
「それ位焦ってたんだよ、でも一瞬で居なくなるなんて凄いね……どうやってるんだろ」
「こういう時なのにおめぇはほんと落ち着いてんな、焦ってる俺達がバカみてぇだわ……」
「ぼくもダート達に何かあったら同じように焦ってたと思うけど……、ライさんが心配な気持ちは変わらないよ、ただあの人なら危険を察知して空間魔術を使って逃げててもおかしくない気がしてさ」
勿論これがただそうだったらいいなっていう想像だっていう事は自分でもわかってる。
けどそう思って冷静さを失わないようにしないと、二人のように冷静さに欠けてしまっていただろう。
「……おめぇのそういう所ほんとすげぇと思うわ」
「そうかな……、あぁでも前までのぼくならあんまりそんな考え方出来なかったかも」
「ん?それってどういう事だ?」
「ほら、トレーディアスに行ってから色んな事があったからこういう状況に慣れたっていうかさ……」
「ん?あぁ、そういえばそんな事あったらしいな……、ん?あれはなんだ?」
隣を歩いていたハスが指を指すと、灰の中から出ている何かかが陽の光を反射して輝いている。
確認する為に急いで近づいて見るとそこには見覚えのある短剣が落ちていて……
「これってライさんの短剣?」
「あぁ間違いねぇ、信じたくなかったけどよ……あいつ本当に死んじまったのか?」
「……ここに短剣があるって事は逃げきれなかったって事だよね」
「いや、まだ俺は信じねぇ!死体を見るまではぜってぇに信じねぇからな!」
ハスが周囲の灰を蹴り飛ばしながら周囲を探し始めるけど、何処にも死体のような物は無い。
「ハス……これ位にした方がいいよ、ライさんはもう」
「っるせぇ!あいつは俺がガキの頃からつるんでる大事なダチなんだよ!そいつが簡単に死ぬわけねぇだろ!」
「でも短剣がここにあるんだから……間違いないんじゃ」
「ならおめぇは首都に帰れ!俺はライが見つかるまでここから離れねぇからな!」
ダメだ……、完全に頭に血が上ってるみたいで話を聞いてくれそうにない。
これでは本当にライさんを見つけるまで動こうとはしないだろう、そんな状態のハスを一人にしてしまったら何が起きるか分からないし、何よりもライさんが浮かばれないと思う。
「……なら見つかるまで付き合うよ」
「レース……ならおめぇは少し離れた所を探してくれ!、ほらあそこなんか山みてぇに盛り上がってんだろ?あっち側は被害がすくねぇし遠くに森も残ってるから、そっちに逃げてるかもしれねぇ」
「分かった、ライさんがいたら呼ぶね?」
「おぅっ!俺も何かあったらすぐに呼ぶからその時は直ぐに来てくれよな!」
……そうしてハスと分かれて、ライさんを探しに行くと山みたいになっている場所の裏に行く。
するとその反対側に大きなトカゲのような顔が原型を留めて残っており、口に当たる部分に袋のような物が着いている。
これはなんだろうと思い中を覗き込もうとすると中から人の腕が飛び出して来て、その腕がトカゲの腕を掴むと見覚えのある金髪碧眼の男性、さっきまで死んだと思っていたライさんが出て来るのだった。
それにさっきも思ったけど周辺がとても静かで、ぼく達の歩く音や小さい呼吸音が大きく聞こえてしまう。
「……ライさん大丈夫なのかな」
「大丈夫に決まってんだろ?」
ハスは大丈夫だと信じてるみたいだけど、時折落ち着かない仕草をしている。
ただ……それよりも気になるのがランの方で
「ラン?そわそわしてるけどどうしたの?」
「……えっと、出来ればカエデちゃんの所に直ぐに帰りたいの」
「あ?ランおめぇ何言ってんだ?さっきとは状況が違う以上単独行動はあぶねぇぞ?」
「でも、あのSランク冒険者の実力を見て思ったの……あそこまで強大な力を持ってる以上拠点となる場所に戦力を集中させた方がいいの、ライがいない以上は独自の判断で動いてもいい筈なの」
「ライがいないだぁ?まだ死んだか分かんねぇじゃねぇか!」
二人が歩きながら隣で口喧嘩を始めるけど……正直今はそんな事をしている状況ではない筈だ。
でもダートやカエデの事が気になるのはぼくも同じだから、あんまり人の事を言えないのかもしれない。
「……ラン、ここはぼくとハスでライさんの事を探すから先に戻っていいよ」
「あぁ?レースおめぇ何勝手に決めてんだ?」
「勝手も何も現状で冷静な判断が出来るのはぼく位でしょ?だからここはぼくが判断するよ」
「……ライ以外の奴に従う事になるなんてな、納得は行かねぇが道理は通っているから聞いてやるよ」
「レースありがとうなの、じゃあ直ぐに戻るのっ!」
ランの髪が青白く発光して徐々に全身を包み込んだかと思うと、周囲の灰をまき散らしながら一瞬で姿を消してしまう。
「ちょ……、あいつ少しは周りの事考えろ!汚れたじゃねぇか!」
「それ位焦ってたんだよ、でも一瞬で居なくなるなんて凄いね……どうやってるんだろ」
「こういう時なのにおめぇはほんと落ち着いてんな、焦ってる俺達がバカみてぇだわ……」
「ぼくもダート達に何かあったら同じように焦ってたと思うけど……、ライさんが心配な気持ちは変わらないよ、ただあの人なら危険を察知して空間魔術を使って逃げててもおかしくない気がしてさ」
勿論これがただそうだったらいいなっていう想像だっていう事は自分でもわかってる。
けどそう思って冷静さを失わないようにしないと、二人のように冷静さに欠けてしまっていただろう。
「……おめぇのそういう所ほんとすげぇと思うわ」
「そうかな……、あぁでも前までのぼくならあんまりそんな考え方出来なかったかも」
「ん?それってどういう事だ?」
「ほら、トレーディアスに行ってから色んな事があったからこういう状況に慣れたっていうかさ……」
「ん?あぁ、そういえばそんな事あったらしいな……、ん?あれはなんだ?」
隣を歩いていたハスが指を指すと、灰の中から出ている何かかが陽の光を反射して輝いている。
確認する為に急いで近づいて見るとそこには見覚えのある短剣が落ちていて……
「これってライさんの短剣?」
「あぁ間違いねぇ、信じたくなかったけどよ……あいつ本当に死んじまったのか?」
「……ここに短剣があるって事は逃げきれなかったって事だよね」
「いや、まだ俺は信じねぇ!死体を見るまではぜってぇに信じねぇからな!」
ハスが周囲の灰を蹴り飛ばしながら周囲を探し始めるけど、何処にも死体のような物は無い。
「ハス……これ位にした方がいいよ、ライさんはもう」
「っるせぇ!あいつは俺がガキの頃からつるんでる大事なダチなんだよ!そいつが簡単に死ぬわけねぇだろ!」
「でも短剣がここにあるんだから……間違いないんじゃ」
「ならおめぇは首都に帰れ!俺はライが見つかるまでここから離れねぇからな!」
ダメだ……、完全に頭に血が上ってるみたいで話を聞いてくれそうにない。
これでは本当にライさんを見つけるまで動こうとはしないだろう、そんな状態のハスを一人にしてしまったら何が起きるか分からないし、何よりもライさんが浮かばれないと思う。
「……なら見つかるまで付き合うよ」
「レース……ならおめぇは少し離れた所を探してくれ!、ほらあそこなんか山みてぇに盛り上がってんだろ?あっち側は被害がすくねぇし遠くに森も残ってるから、そっちに逃げてるかもしれねぇ」
「分かった、ライさんがいたら呼ぶね?」
「おぅっ!俺も何かあったらすぐに呼ぶからその時は直ぐに来てくれよな!」
……そうしてハスと分かれて、ライさんを探しに行くと山みたいになっている場所の裏に行く。
するとその反対側に大きなトカゲのような顔が原型を留めて残っており、口に当たる部分に袋のような物が着いている。
これはなんだろうと思い中を覗き込もうとすると中から人の腕が飛び出して来て、その腕がトカゲの腕を掴むと見覚えのある金髪碧眼の男性、さっきまで死んだと思っていたライさんが出て来るのだった。
1
お気に入りに追加
130
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます
ユユ
ファンタジー
“美少女だね”
“可愛いね”
“天使みたい”
知ってる。そう言われ続けてきたから。
だけど…
“なんだコレは。
こんなモノを私は妻にしなければならないのか”
召喚(誘拐)された世界では平凡だった。
私は言われた言葉を忘れたりはしない。
* さらっとファンタジー系程度
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる