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第九章 戦いの中で……
間章 悪意の取引 マリステラ視点
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あーしからの提案と聞いた瞬間にケイスニルが不快な顔をして私を見た。
ルードの方は興味深げに何を言うのかなって言いたげな興味津々な顔をする。
「……提案だぁ?」
「そうていあーん、あなた達二人でちょっとマスカレイドを殺して来てくれない?」
「俺の飼い主の協力者を殺せたぁ、随分な事を言うじゃねぇか……、それ位おめぇがやればすぐに終わんだろ?」
「それはそうだけどぉ、あーしはこの国から出られないしーほら?この国の首都って神の身体を使ってるじゃん?だから何かあった時の為に動けないんだよね」
「……動けないんじゃなくてやらないだけだろうが」
やらないのは否定しないけど、この世界の事を考えたら一つの場所から動きたくない。
それにあーしがこの国から動かないのは色んな意味で不安定っていうのもあって、過去にマスカレイドのクソガキが過去の時代に飛ばされたり、その前から定期的に異世界から転移して来た人や転生して来た人達がこの国に飛ばされてくる。
これも……メイディの初代薬王ハイネが元の世界に帰ろうと色んな実験をしたせいだ。
この神々が作った箱庭の世界が安定したとしても、いつまた繋がりが不安定になってしまうのか分からないから監視の為にここから出るわけにはいかないんよね。
「こっちの事情も知らないでそんな事言わないでくれない?あーしはお母さんの変わりにこの世界を監視して守ってるんだけど?」
「……あぁ、そりゃ悪かったな」
正直転移してきた人達の殆どが……自分の事を【勇者】だとか言う訳の分からない者と勘違いしたりして好き勝手したり、なぜか自分が何をしなくても異性に好意を持たれると思い込んでいるみたいで、複数の女性と関係を持とうとしてくるからたちが悪い。
だから見つけ次第危険な場所に誘導して、危険なモンスター達を利用して死んで貰ってるけど……どうして自分を特別な存在だと思えるのか、あーしには1ミリも理解が出来ないんだよね。
だって外来生物がいきなり生態系を崩して繁殖をしようとしてるんだから間引くのは当然じゃない?、そういうのは人として見るよりも害虫として見た方が良いし、あーしとしてはその方が楽しいから良心が痛まない。
「今まであーしと相性が悪い相手はアナイス・アナイアレイト……、【滅尽】焔の炎姫ちゃんが処理してくれてたのにクソガキに奪われちゃったから仕事が溜まってるんだよね」
「……仕事だ?それなら俺が変わりにやってやってもいいんだぜ?」
「あんたに任せたら碌な事にならなさそうだからやだ、あーしはアナイスちゃんがいいの、長い年月をかけて築いた信用があるのよ」
「だから取り戻す為にマスカレイドの野郎を殺せって事か……、それで?仮にやれたらどうやって助けてくれんだ?」
「あーしのいる場所に連れて行ってあげる、この世界の裏側だからお母さんも容易には入って来れないよ?」
転生者は赤ちゃんの頃から前世の記憶を持ってる子はこの世界の倫理観や常識を親から学ぶから大きくなっても変な事はしないけど、大きくなって来てから記憶を取り戻すと前の世界の知識を生かしてチートをするとか訳の分からない事を言い出す。
しかもその殆どが既に誰かが考え付いたもので……、卵を使ったマヨネーズとか昔からあるし機械を使った技術を広めようとしても、南東の大国【マーシェンス】に既にあるから、暫くして落ち着いてこの世界で新たな生を全うするのがほとんだ。
それに……現在のマーシェンスの王【賢王】ミオラーム・マーシェンスはこの世界に転生した存在だけど、今はまだ記憶が戻ってなくても彼女が何れ思い出した際にどうなるか分からないから、可能であれば早いうちに始末しておきたい。
あぁ……こういう時に唯一自身の力で世界の裏側に到達して、あーしを見つけたアナイスが居れば彼女に頼んで危険因子の排除が出来たのに……
「世界の裏側って?それにお姉さんのいる場所って……、お姉さんはここにいないの?」
「そうだよ?この体は周囲の魔力を操って作ってる人形みたいなものかなルード君、あーしは忙しいからね、こういう端末が大事なの……で?ケイスニルやってくれるの?」
「世界の裏側っておめぇあれだろ?以前この世界を作った神達がいた場所の事だろ?……まぁそこなら確かに安全かもな、しょうがねぇならやってやるよ、ただし行くのは俺だけだ、ルード……俺の息子まで消えたら飼い主達に怪しまれるからな」
「そう?ならお願いね、それなら飛ばすから早めに終わらせてよね」
「あぁ?飛ばすだぁ?それならちょっと待て」
ケイスニルがルードの方を見ると頭を撫でながら優しく笑う。
「ルード、俺はこれから大事な仕事があるからこの女と一緒に行く、本当は俺の背に乗せて周囲の反乱軍と合流する予定だったけどよ……わりいが徒歩で行ってくれ」
「……徒歩で?それならこのドラゴンを友達にして飛んで行くから大丈夫だよ」
「そうか?それならいいが……、ならおめぇの親父として指示を出すからおめぇはその通りに動け、レースやダートを生きたまま捕らえるとかはもうしないでいい……おめぇが強い、喰いたいと思った奴ら全員殺しておめぇの力にしろ」
「……話は終わったの?」
「あぁ、んじゃ移動の方頼むわ」
……マンティコアは、倒した相手を食べれば食べる程強くなる。
首都で起きる戦いでルードによる無差別大量虐殺が起きて、数えきれない程の強者を食べて強化され続けたら一体どんな化け物が生まれててしまうのか、考えれば考える程楽しくて面白いなぁって思うし見てみたい。
そんな事を思いながらケイスニルに触れると、マスカレイドの目の前に転移させる。
ふふ、あーしに約束を守る気何て最初から無いのにかわいそうな事……戦ったら確実にケイスニルが負けるし、でも万が一マスカレイドを倒す事が出来たとしても相打ちだろう。
精々必死に生に執着して最後の輝きを見せてよねと、ルードの前から姿を消すとケイスニルとマスカレイドの戦いを見る為に意識を集中するのでした。
ルードの方は興味深げに何を言うのかなって言いたげな興味津々な顔をする。
「……提案だぁ?」
「そうていあーん、あなた達二人でちょっとマスカレイドを殺して来てくれない?」
「俺の飼い主の協力者を殺せたぁ、随分な事を言うじゃねぇか……、それ位おめぇがやればすぐに終わんだろ?」
「それはそうだけどぉ、あーしはこの国から出られないしーほら?この国の首都って神の身体を使ってるじゃん?だから何かあった時の為に動けないんだよね」
「……動けないんじゃなくてやらないだけだろうが」
やらないのは否定しないけど、この世界の事を考えたら一つの場所から動きたくない。
それにあーしがこの国から動かないのは色んな意味で不安定っていうのもあって、過去にマスカレイドのクソガキが過去の時代に飛ばされたり、その前から定期的に異世界から転移して来た人や転生して来た人達がこの国に飛ばされてくる。
これも……メイディの初代薬王ハイネが元の世界に帰ろうと色んな実験をしたせいだ。
この神々が作った箱庭の世界が安定したとしても、いつまた繋がりが不安定になってしまうのか分からないから監視の為にここから出るわけにはいかないんよね。
「こっちの事情も知らないでそんな事言わないでくれない?あーしはお母さんの変わりにこの世界を監視して守ってるんだけど?」
「……あぁ、そりゃ悪かったな」
正直転移してきた人達の殆どが……自分の事を【勇者】だとか言う訳の分からない者と勘違いしたりして好き勝手したり、なぜか自分が何をしなくても異性に好意を持たれると思い込んでいるみたいで、複数の女性と関係を持とうとしてくるからたちが悪い。
だから見つけ次第危険な場所に誘導して、危険なモンスター達を利用して死んで貰ってるけど……どうして自分を特別な存在だと思えるのか、あーしには1ミリも理解が出来ないんだよね。
だって外来生物がいきなり生態系を崩して繁殖をしようとしてるんだから間引くのは当然じゃない?、そういうのは人として見るよりも害虫として見た方が良いし、あーしとしてはその方が楽しいから良心が痛まない。
「今まであーしと相性が悪い相手はアナイス・アナイアレイト……、【滅尽】焔の炎姫ちゃんが処理してくれてたのにクソガキに奪われちゃったから仕事が溜まってるんだよね」
「……仕事だ?それなら俺が変わりにやってやってもいいんだぜ?」
「あんたに任せたら碌な事にならなさそうだからやだ、あーしはアナイスちゃんがいいの、長い年月をかけて築いた信用があるのよ」
「だから取り戻す為にマスカレイドの野郎を殺せって事か……、それで?仮にやれたらどうやって助けてくれんだ?」
「あーしのいる場所に連れて行ってあげる、この世界の裏側だからお母さんも容易には入って来れないよ?」
転生者は赤ちゃんの頃から前世の記憶を持ってる子はこの世界の倫理観や常識を親から学ぶから大きくなっても変な事はしないけど、大きくなって来てから記憶を取り戻すと前の世界の知識を生かしてチートをするとか訳の分からない事を言い出す。
しかもその殆どが既に誰かが考え付いたもので……、卵を使ったマヨネーズとか昔からあるし機械を使った技術を広めようとしても、南東の大国【マーシェンス】に既にあるから、暫くして落ち着いてこの世界で新たな生を全うするのがほとんだ。
それに……現在のマーシェンスの王【賢王】ミオラーム・マーシェンスはこの世界に転生した存在だけど、今はまだ記憶が戻ってなくても彼女が何れ思い出した際にどうなるか分からないから、可能であれば早いうちに始末しておきたい。
あぁ……こういう時に唯一自身の力で世界の裏側に到達して、あーしを見つけたアナイスが居れば彼女に頼んで危険因子の排除が出来たのに……
「世界の裏側って?それにお姉さんのいる場所って……、お姉さんはここにいないの?」
「そうだよ?この体は周囲の魔力を操って作ってる人形みたいなものかなルード君、あーしは忙しいからね、こういう端末が大事なの……で?ケイスニルやってくれるの?」
「世界の裏側っておめぇあれだろ?以前この世界を作った神達がいた場所の事だろ?……まぁそこなら確かに安全かもな、しょうがねぇならやってやるよ、ただし行くのは俺だけだ、ルード……俺の息子まで消えたら飼い主達に怪しまれるからな」
「そう?ならお願いね、それなら飛ばすから早めに終わらせてよね」
「あぁ?飛ばすだぁ?それならちょっと待て」
ケイスニルがルードの方を見ると頭を撫でながら優しく笑う。
「ルード、俺はこれから大事な仕事があるからこの女と一緒に行く、本当は俺の背に乗せて周囲の反乱軍と合流する予定だったけどよ……わりいが徒歩で行ってくれ」
「……徒歩で?それならこのドラゴンを友達にして飛んで行くから大丈夫だよ」
「そうか?それならいいが……、ならおめぇの親父として指示を出すからおめぇはその通りに動け、レースやダートを生きたまま捕らえるとかはもうしないでいい……おめぇが強い、喰いたいと思った奴ら全員殺しておめぇの力にしろ」
「……話は終わったの?」
「あぁ、んじゃ移動の方頼むわ」
……マンティコアは、倒した相手を食べれば食べる程強くなる。
首都で起きる戦いでルードによる無差別大量虐殺が起きて、数えきれない程の強者を食べて強化され続けたら一体どんな化け物が生まれててしまうのか、考えれば考える程楽しくて面白いなぁって思うし見てみたい。
そんな事を思いながらケイスニルに触れると、マスカレイドの目の前に転移させる。
ふふ、あーしに約束を守る気何て最初から無いのにかわいそうな事……戦ったら確実にケイスニルが負けるし、でも万が一マスカレイドを倒す事が出来たとしても相打ちだろう。
精々必死に生に執着して最後の輝きを見せてよねと、ルードの前から姿を消すとケイスニルとマスカレイドの戦いを見る為に意識を集中するのでした。
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