390 / 574
第九章 戦いの中で……
14話 空間魔術の練習
しおりを挟む
とはいえこれから先の事を話していてももし何らかの事があってぼくが死んでしまう可能性がある。
そうなったら取り残されたダートはどうなるのか……そんな事を考えていると
「あ、そうだ……、無事ににレースが戻って来れるように空間魔術を教えてあげる」
と言葉にすると空間を切り裂いてそこに手を入れると一冊の本を取り出す。
「……これは?」
「レースは今まで感覚が空間魔術を使ってきたでしょ?……本当は私の家系の人以外には見せちゃいけない秘伝の本なんだけどレースはもう家族だから特別に見せてあげる」
そう言ってテーブルの上に本を置いて広げると……、中には今まで見たことの無い文字で書かれていて内容が何も頭に入ってこない。
「読めないけど……?」
「私が居た世界の言葉で書かれてるからね……、だからこの世界では私とお義母様……後マスカレイドしか読めないんじゃないかな」
「そうなんだ、でも読めないんじゃ空間魔術を教えられても分からないんじゃ?」
「そこは私が読んで教えるから大丈夫だよ?」
そう言いながら彼女はページを送っていくと気になる押し絵が目に入る。
何ていうかおぞましい呪いのように感じるそれは呪術か何かだろうか……。
「ダート、この絵は何が描いてあるの?」
「ん?ここは呪術について書いてあるよ?例えばこの絵は動物の血を触媒にして離れた相手に呪いを掛ける魔法……この世界で言う所の魔術を掛ける方法についてあるかけど、斧世界には該当する動物がいないから使えない呪術かな」
「あぁ……、世界が変わると生き物も違うんだね」
「うん、正直私がレースと同じ見た目をしている事が奇跡だと思うよ?もしかしたらこの世界の人の形をしていない事もあったろうし、子供が出来たって事は遺伝子的にも相性が良かったのかも」
そう言ってまたお腹を撫でながら嬉しそうに笑うけど、確かにもしかしたら全然違う見た目をしていた可能性がある。
仮にそうだったとしてらぼくは彼女に惹かれただろうか、相手の見た目で対応を変えたりするつもりは無いから、人の形をしていたのなら今と同じ状況になるだろうけど、もし人とは違う形をしていたのなら人として見る事が出来ないのかもしれない。
そうすると確かに人族と同じ見た目をしているのは奇跡的な確率なんだと思う。
「もしダートが四足歩行の動物のような姿だったら、多分一人の女性として見れなかったかも」
「でしょ?とりあえずこの話はこれくらいにして……、ここのページに書いてる内容を教えるんだけど、私の世界では空間魔術を座標と言われる物で認識してて──」
空間魔術に関しての説明を聞いてぼくにわかる範囲は……、術者の視点をAとしてそこを中央の座標に設定し、そこから距離を詠唱に設定することで空間を跳躍したり、指定した空間を薄く圧縮する事で不可視の刃を作り出すとか出来るなど色々と難しい事ばかりであんまり頭に入ってこない。
「……私の説明の仕方あんまりよくないかな」
「いや、内容が専門的であんまり頭に入ってこないだけかな」
「んー、ならどう説明すればいいのかな……、あそうだ、空間収納ってあるでしょ?あれって空間を切り裂いて袋状にした後に中に物を入れる事が出来るんだけど、その空間って術者の後ろにずっとあって取り出したいときにいつでも取り出せるんだけど本来は道具袋の中にある空間を広げて沢山物が入るようにするとかしかできないの、それってなんでだと思う?」
「……今まで感覚で練習して使ってたから分からないかも」
「そっかぁ……」
ダートが残念そうな顔をするけど……教えて貰った事に関して上手く理解できないでいるぼくのせいだからあんまり気にしないで欲しい。
「なら、レースはどうしたら覚えやすいとかある?ほら、お義母様やマスカレイドと居た時ってどうやって治癒術や魔術を最初教わったの?」
「確か師匠からは手を握って貰って魔力の波長を合わせて貰った後に、一緒に使ってみたりとか……、後はマスカレイドからは魔力の流れを見ろと言われて直接同じ魔術を使うのを見せられたかな」
「んー、それならレースに魔力の波長を合わせて貰って私が直接空間魔術を使ってみるね?」
「それはいいけど……妊婦さんに魔力の波長を合わせて魔術を使った経験が無いから心配かも」
「大丈夫だと思うよ?もしかしたら三人分の波長を合わせられたりして?なんかそれっておもしろそうかも、ねぇレース早速やってみよ?」
そう言ってぼくの手を握ると楽しそうにこっちを見る。
……さすがにまだお腹の中の子供を感じる事は出来ないだろうけど、ダートが楽しそうだから意識を集中して魔力の波長を合わせて行く。
「……ん?あれ?魔力が本当にもう一つある?」
「でしょ?不思議だよね、私はほらお母さんになるから感覚的に魔力が分かるけどお父さんだとこういうの分からないでしょ?だから感じてみて欲しかったの」
「……何ていうか凄いね」
「うん、凄いでしょ?……じゃあ空間魔術を使うね?」
……ダートの中にぼくの魔力が入り込んで行くと、それが一つの原理に従い形を変えて行く。
ぼく達を起点に軸を置き、その後縦と横に合わせた図面が頭に浮かんだかとそこに部屋の風景が重なって行き少しだけ離れた所に座標を合わせる。
そしてダートが片手に持っていた短剣を何もない空間に向けて縦に振ると、そこが切り裂かれ開いた空間の先にこの部屋の壁が映し出されるのだった。
そうなったら取り残されたダートはどうなるのか……そんな事を考えていると
「あ、そうだ……、無事ににレースが戻って来れるように空間魔術を教えてあげる」
と言葉にすると空間を切り裂いてそこに手を入れると一冊の本を取り出す。
「……これは?」
「レースは今まで感覚が空間魔術を使ってきたでしょ?……本当は私の家系の人以外には見せちゃいけない秘伝の本なんだけどレースはもう家族だから特別に見せてあげる」
そう言ってテーブルの上に本を置いて広げると……、中には今まで見たことの無い文字で書かれていて内容が何も頭に入ってこない。
「読めないけど……?」
「私が居た世界の言葉で書かれてるからね……、だからこの世界では私とお義母様……後マスカレイドしか読めないんじゃないかな」
「そうなんだ、でも読めないんじゃ空間魔術を教えられても分からないんじゃ?」
「そこは私が読んで教えるから大丈夫だよ?」
そう言いながら彼女はページを送っていくと気になる押し絵が目に入る。
何ていうかおぞましい呪いのように感じるそれは呪術か何かだろうか……。
「ダート、この絵は何が描いてあるの?」
「ん?ここは呪術について書いてあるよ?例えばこの絵は動物の血を触媒にして離れた相手に呪いを掛ける魔法……この世界で言う所の魔術を掛ける方法についてあるかけど、斧世界には該当する動物がいないから使えない呪術かな」
「あぁ……、世界が変わると生き物も違うんだね」
「うん、正直私がレースと同じ見た目をしている事が奇跡だと思うよ?もしかしたらこの世界の人の形をしていない事もあったろうし、子供が出来たって事は遺伝子的にも相性が良かったのかも」
そう言ってまたお腹を撫でながら嬉しそうに笑うけど、確かにもしかしたら全然違う見た目をしていた可能性がある。
仮にそうだったとしてらぼくは彼女に惹かれただろうか、相手の見た目で対応を変えたりするつもりは無いから、人の形をしていたのなら今と同じ状況になるだろうけど、もし人とは違う形をしていたのなら人として見る事が出来ないのかもしれない。
そうすると確かに人族と同じ見た目をしているのは奇跡的な確率なんだと思う。
「もしダートが四足歩行の動物のような姿だったら、多分一人の女性として見れなかったかも」
「でしょ?とりあえずこの話はこれくらいにして……、ここのページに書いてる内容を教えるんだけど、私の世界では空間魔術を座標と言われる物で認識してて──」
空間魔術に関しての説明を聞いてぼくにわかる範囲は……、術者の視点をAとしてそこを中央の座標に設定し、そこから距離を詠唱に設定することで空間を跳躍したり、指定した空間を薄く圧縮する事で不可視の刃を作り出すとか出来るなど色々と難しい事ばかりであんまり頭に入ってこない。
「……私の説明の仕方あんまりよくないかな」
「いや、内容が専門的であんまり頭に入ってこないだけかな」
「んー、ならどう説明すればいいのかな……、あそうだ、空間収納ってあるでしょ?あれって空間を切り裂いて袋状にした後に中に物を入れる事が出来るんだけど、その空間って術者の後ろにずっとあって取り出したいときにいつでも取り出せるんだけど本来は道具袋の中にある空間を広げて沢山物が入るようにするとかしかできないの、それってなんでだと思う?」
「……今まで感覚で練習して使ってたから分からないかも」
「そっかぁ……」
ダートが残念そうな顔をするけど……教えて貰った事に関して上手く理解できないでいるぼくのせいだからあんまり気にしないで欲しい。
「なら、レースはどうしたら覚えやすいとかある?ほら、お義母様やマスカレイドと居た時ってどうやって治癒術や魔術を最初教わったの?」
「確か師匠からは手を握って貰って魔力の波長を合わせて貰った後に、一緒に使ってみたりとか……、後はマスカレイドからは魔力の流れを見ろと言われて直接同じ魔術を使うのを見せられたかな」
「んー、それならレースに魔力の波長を合わせて貰って私が直接空間魔術を使ってみるね?」
「それはいいけど……妊婦さんに魔力の波長を合わせて魔術を使った経験が無いから心配かも」
「大丈夫だと思うよ?もしかしたら三人分の波長を合わせられたりして?なんかそれっておもしろそうかも、ねぇレース早速やってみよ?」
そう言ってぼくの手を握ると楽しそうにこっちを見る。
……さすがにまだお腹の中の子供を感じる事は出来ないだろうけど、ダートが楽しそうだから意識を集中して魔力の波長を合わせて行く。
「……ん?あれ?魔力が本当にもう一つある?」
「でしょ?不思議だよね、私はほらお母さんになるから感覚的に魔力が分かるけどお父さんだとこういうの分からないでしょ?だから感じてみて欲しかったの」
「……何ていうか凄いね」
「うん、凄いでしょ?……じゃあ空間魔術を使うね?」
……ダートの中にぼくの魔力が入り込んで行くと、それが一つの原理に従い形を変えて行く。
ぼく達を起点に軸を置き、その後縦と横に合わせた図面が頭に浮かんだかとそこに部屋の風景が重なって行き少しだけ離れた所に座標を合わせる。
そしてダートが片手に持っていた短剣を何もない空間に向けて縦に振ると、そこが切り裂かれ開いた空間の先にこの部屋の壁が映し出されるのだった。
1
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~
北きつね
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。
ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。
一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。
ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。
おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。
女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる