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第九章 戦いの中で……

6話 武器の確認

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 トキが斧を投げたり直接武器で斬りかかって来る。
何とか避けようとはするけど大剣に体が引っ張られて動きが遅くなってしまう。
……心器の大剣の時はそんな重さを感じなかったのに、何ていうか重さに慣れるまで時間が掛かりそうかも……

「避けるんじゃなくて大剣で受けなよ!、折角の【不壊】が活かせなくて勿体ないじゃないか!」

 確かに……そう思って投げられた斧を受けてみると、余りの衝撃に後ろに下がってしまう。

「へぇ……てっきり吹き飛ばされるかと思ったよ……それになるほどねぇ、やっぱり【不壊】の効果が付与されてる武器と普通の武器だと、硬度の関係でこっちの方がダメになるんだねぇ」
「……もしかして自分の武器も確認してる?」
「そりゃそうさ!あたいが作った武器は全てあたいの子だよ?例え使ったら壊れると分かってても愛してあげなきゃダメじゃないか」

 そう言って武器を見ながら恍惚とした笑みを浮かべるトキを見て内心引いてしまうけど、ぼくも治癒術の新術を作ってる時にダートから似たような反応をされた記憶があるから、分野は違うけどやってる事は同じなんだろうな……。

「しかし困ったねぇ……、残りの武器は【不壊】と【転回】が付与されたのと切り札用しかないしねぇ」
「それなら切り札用の武器を使えば良いんじゃないかな」
「でもそれだと、あんたの武器に当てた瞬間に壊れるじゃないか……そんな勿体ない事したくないよ」
「いや……、武器に複数の能力を付与出来るようになったって言ってたし、今持ってる武器を素材にして強化してみると良いんじゃないかな」
「そんな事……いや出来るのか、いや試してみる価値があるかもしれないね!、レース悪いけど少しだけ時間貰うよ!」

 トキの手元に心器の大槌が現れると腰のポーチから、両刃の真っ赤な刃を持つ大戦斧取り出す……、その武器は何て言うか肉厚な部分に禍々しい眼が植えこまれていてそこから血管のような赤い線が刃まで伸びて脈動するように動いていて、正直凄い気持ち悪い。

「どうだいかっこいいだろ?あたいがまだ冒険者だった時に、ストラフィリアに現れたドラゴンを倒して手に入れたんだよね……、そいつ眼が何と八つもある奴でさ倒すのに苦労したけど今ではあたいの自慢の切り札だよ」
「へぇ……」
「なんだい興味が無さげだね、それならこれはどうだい?なんとこの武器はね、見ればわかると思うけど解体されて素材になっても周囲の魔力を吸って生きてんだよ」

 お世辞にもかっこいいとは言えないけど、こんなになってもまだ生きてるとか正直信じられない。
でも……職人である彼女が言うのならそうなのだろうと思っていると、その武器に大槌を振り下ろして持ち手の部分を素材に戻してしまう。

「あたいの心器は特性を【製造、解体、付与】と鍛冶において便利が物が揃ってるからね、素材に戻すのもお手の物さ……ほら【不壊】が付与されたこの戦斧もこうすれば素材に元通りだね」

 戦斧を大槌で叩くと白い羽毛と黒い金属の塊に戻り床にゴトッという音を鳴らして落ちる。
今まで見たことのない素材に興味が沸くけど、いったいこれは何で出来ているのだろうか……。

「この素材が気になるのかい?、これはアダマンタイトと言ってね……仇マンタートルと呼ばれるモンスターがいるんだけど、そいつからしか取れない貴重な金属だよ」
「……モンスターから金属?」
「あぁ……そいつはね、様々な金属を食べ体内で融合させる事で長い年月をかけて甲羅をアダマンタイトと呼ばれる特殊金属へと作り替えていくのさ、若い個体だとただの甲羅なんだけどね……、おかげで長く生きた個体からしか取れないのが残念だよ、それに熱と衝撃に強いおかげで加工するのにとてつもない年月がかかる厄介物でもあるね」
「そんなに貴重な物をぼくの義肢に使ってくれたんだ……」
「まぁね……とはいえ団長には言わずに無断で使ったからバレたらどんな目に合うか分からないけどね、まぁその時はその時でまた冒険者に戻って自由に生きるさ」

 そう言って笑いながらアダマンタイトを叩いて持ち手の部分に形を変えて行くと、禍々しい見た目の大戦斧に取り付けていく。

「長い年月掛かるのに心器を使うと簡単に加工出来るのって不思議だよね……」
「まぁ、心器で手に入る能力はどう見ても異常だからね、だからあたいはこんな飛んでも無い物を武器にするのが好きじゃないんだよ、意思が強ければ何をしても壊れない何てインチキだと思わないかい?」
「……思わない訳ではないけど、個人的には複数の能力を付与出来るってところが気になるかな」
「そうかい?武器のパーツ毎に別物として扱う事で能力を付けれるようになった感じかな……って事で出来たよ!」

……組み立てが終わり一つの武器になると……『これで魔力を通す事で複数の能力が発動するようになったんだよ』と言葉にしながら心器を魔力へと戻すと両手で持って構える。
そして……『悪いけどここからは少しだけ本気で行くから、あんたも全力でおいで!』と獰猛な笑みを浮かべるのだった。
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