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第九章 戦いの中で……
3話 久しぶりの再会
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どうしてここに栄花騎士団最高幹部のランがいるのだろうか。
それにトキが既に来ているという事は彼女を待たせてしまっているというわけで……
「なぜ君がここにいるのかな……、俺の手元にある予定には君は栄花騎士団本部で待機の筈なのだけど?」
「それは姫ちゃんに呼ばれて来たの、ケイスニル達との戦いに参加して欲しいって言われたら私は断らないの」
「なるほど……カエデ姫から、でもソラが良く行くことを許してくれたね」
「止められたけど無視して出て来たの、姫ちゃんとの友情は誰にも止められないの!」
「……俺からソラに今度謝っとくから、戻ったらランもちゃんと謝罪するようにね」
そう言いながらもお腹を抑えるあたり、またライさんにストレスが溜まっているらしい。
これはトキさんを待たせ過ぎたら更に彼の内臓に負担が掛かってしまうだろうから早くいかないと……。
「知らないの……、私はもう成人してるから独り立ちする時期なの」
「出来れば俺がストレスで禿げる前に独り立ちしてくれる事を祈るよ」
「……とりあえずトキを待たせるのは良くないと思うから、ぼくだけ先に行っててもいいかな」
「レース君一人で大丈夫かい?」
「以前ストラフィリアで会った時にどういう人か知ってるから大丈夫だよ……、じゃあ行ってくるね」
多分、栄花騎士団の人と一緒に来るよりもぼく一人で訓練場に行った方がトキの機嫌が悪くなる事は無い気がする。
そう思って返事を待たずに会議室から出てそのまま訓練場へと行くとそこには、直剣と同じ大きさの鞘に入った黒い剣を持ち、壁には黒い長杖を立てかけた彼女が不機嫌そうな顔をしていた。
「やっと来たのかいっ!ライっ!あんたあたいを待たせるなんて偉くなった……もんだ……ね?」
「トキさん久しぶり……」
「レースだけかい?ライの小僧と一緒に来たんじゃないのか?」
「ライさんはランと話をしてるみたいだからぼくだけ先に来たんだ」
「……そうかい、まったく怒りの矛先を向ける場所が無くなっちまったよもう!」
そう言うと長杖と剣を手にもってぼくへと近づいてくる。
「まぁ……怒りに任せると会話どころじゃないから、レースの行動は良かったかもしれないね」
「ライさんを連れて行ったらそうなるんじゃないかなって思ったからね」
「へぇ……その判断が出来るようになるなんて、暫く見ない間にあんたも成長したんだねぇ、こりゃ姫ちゃんが好意を抱くわけだ……ほら、とりあえずこれを受けとりな」
そう言って武器をぼくに渡すと……何故かそのまま両手を握って来る。
まるで何かを見定めるような真剣な目をしたかと思うと、心器の大槌を顕現させると……
「左手で大剣を強く握った後に、次は右手で長杖を強く握って一度あたいの前に置きな」
「……え?」
「あんたの癖に合わせてグリップを調整するんだよ、一流の職人っていうのは相手に合わせた武器を作るものなのさ……、ほらあんたが背負っている長杖は限り心器だろ?、あの【怪力】だっけ?それを常に使ってるみたいだし……、それにまぁなんだ?顕現させる事自体かなり辛いだろうに良くやるもんだわ」
確かに言われてみたら不思議な気がする。
初めて心器を出した時はあんなに辛かったのに今では自由に顕現出来るし、なぜだかこれが自然な気がして負担を感じない。
でも……他の人達、例えばジラルドとかは未だに長い時間出す事が出来なかったりするし、もしかして肉体強化や魔術、治癒術のように使い手に適正があるのだろうか……。
「良くやるって言われても……何ていうか全然負担に感じないというか、んーどう伝えればいいのかな、心器と自分の魔力が体の中で循環して流れてる気がして、これが自然体な気がする?」
とりあえず返事をしながら言われた通りに怪力を利用して武器を握ると、ちょっとだけ違和感を感じる。
何ていうか手に馴染まないというか、手から感じる感覚にズレがある気がして変な感じだ。
「それはまぁ……、Sランク冒険者の奴らみたいな事を言うもんだね」
「……え?」
「あいつらは誰にも教わらずに気づいたら使えるようになってたっていう本物の化け物連中だからね、あたいのように限界に至った奴らとは違うんだよ……」
「ぼくは教わってから使えるようになったけど……?」
「いや、これはあたいの感なんだけどさ、あんたの場合使い方を知らないだけできっかけさえあれば使えたんじゃないかい?」
それに関してはどうなのか分からないけど、多分職人にしか分からない何かがあるのかもしれない。
「言われても分からないって顔してるね……、まぁそれに関してはこれから分かるよ、とりあえずあんたが握った武器を一度そこに置きな」
「……えっと何をするの?」
「グリップの所をあんたの癖に合わせて調整するんだよ」
……言われた通りに床に武器を置くと、心器の大槌を使いグリップ部分を叩き始める。
【不壊】の効果で壊れないと分かっていても、不安になる光景に落ち着かない気持ちを何とか抑えながら暫く黙っていると『よし、これでいいね……、ほら受け取りなこれが今日からあんたの相棒だよ!』とトキが笑顔で笑うのだった
それにトキが既に来ているという事は彼女を待たせてしまっているというわけで……
「なぜ君がここにいるのかな……、俺の手元にある予定には君は栄花騎士団本部で待機の筈なのだけど?」
「それは姫ちゃんに呼ばれて来たの、ケイスニル達との戦いに参加して欲しいって言われたら私は断らないの」
「なるほど……カエデ姫から、でもソラが良く行くことを許してくれたね」
「止められたけど無視して出て来たの、姫ちゃんとの友情は誰にも止められないの!」
「……俺からソラに今度謝っとくから、戻ったらランもちゃんと謝罪するようにね」
そう言いながらもお腹を抑えるあたり、またライさんにストレスが溜まっているらしい。
これはトキさんを待たせ過ぎたら更に彼の内臓に負担が掛かってしまうだろうから早くいかないと……。
「知らないの……、私はもう成人してるから独り立ちする時期なの」
「出来れば俺がストレスで禿げる前に独り立ちしてくれる事を祈るよ」
「……とりあえずトキを待たせるのは良くないと思うから、ぼくだけ先に行っててもいいかな」
「レース君一人で大丈夫かい?」
「以前ストラフィリアで会った時にどういう人か知ってるから大丈夫だよ……、じゃあ行ってくるね」
多分、栄花騎士団の人と一緒に来るよりもぼく一人で訓練場に行った方がトキの機嫌が悪くなる事は無い気がする。
そう思って返事を待たずに会議室から出てそのまま訓練場へと行くとそこには、直剣と同じ大きさの鞘に入った黒い剣を持ち、壁には黒い長杖を立てかけた彼女が不機嫌そうな顔をしていた。
「やっと来たのかいっ!ライっ!あんたあたいを待たせるなんて偉くなった……もんだ……ね?」
「トキさん久しぶり……」
「レースだけかい?ライの小僧と一緒に来たんじゃないのか?」
「ライさんはランと話をしてるみたいだからぼくだけ先に来たんだ」
「……そうかい、まったく怒りの矛先を向ける場所が無くなっちまったよもう!」
そう言うと長杖と剣を手にもってぼくへと近づいてくる。
「まぁ……怒りに任せると会話どころじゃないから、レースの行動は良かったかもしれないね」
「ライさんを連れて行ったらそうなるんじゃないかなって思ったからね」
「へぇ……その判断が出来るようになるなんて、暫く見ない間にあんたも成長したんだねぇ、こりゃ姫ちゃんが好意を抱くわけだ……ほら、とりあえずこれを受けとりな」
そう言って武器をぼくに渡すと……何故かそのまま両手を握って来る。
まるで何かを見定めるような真剣な目をしたかと思うと、心器の大槌を顕現させると……
「左手で大剣を強く握った後に、次は右手で長杖を強く握って一度あたいの前に置きな」
「……え?」
「あんたの癖に合わせてグリップを調整するんだよ、一流の職人っていうのは相手に合わせた武器を作るものなのさ……、ほらあんたが背負っている長杖は限り心器だろ?、あの【怪力】だっけ?それを常に使ってるみたいだし……、それにまぁなんだ?顕現させる事自体かなり辛いだろうに良くやるもんだわ」
確かに言われてみたら不思議な気がする。
初めて心器を出した時はあんなに辛かったのに今では自由に顕現出来るし、なぜだかこれが自然な気がして負担を感じない。
でも……他の人達、例えばジラルドとかは未だに長い時間出す事が出来なかったりするし、もしかして肉体強化や魔術、治癒術のように使い手に適正があるのだろうか……。
「良くやるって言われても……何ていうか全然負担に感じないというか、んーどう伝えればいいのかな、心器と自分の魔力が体の中で循環して流れてる気がして、これが自然体な気がする?」
とりあえず返事をしながら言われた通りに怪力を利用して武器を握ると、ちょっとだけ違和感を感じる。
何ていうか手に馴染まないというか、手から感じる感覚にズレがある気がして変な感じだ。
「それはまぁ……、Sランク冒険者の奴らみたいな事を言うもんだね」
「……え?」
「あいつらは誰にも教わらずに気づいたら使えるようになってたっていう本物の化け物連中だからね、あたいのように限界に至った奴らとは違うんだよ……」
「ぼくは教わってから使えるようになったけど……?」
「いや、これはあたいの感なんだけどさ、あんたの場合使い方を知らないだけできっかけさえあれば使えたんじゃないかい?」
それに関してはどうなのか分からないけど、多分職人にしか分からない何かがあるのかもしれない。
「言われても分からないって顔してるね……、まぁそれに関してはこれから分かるよ、とりあえずあんたが握った武器を一度そこに置きな」
「……えっと何をするの?」
「グリップの所をあんたの癖に合わせて調整するんだよ」
……言われた通りに床に武器を置くと、心器の大槌を使いグリップ部分を叩き始める。
【不壊】の効果で壊れないと分かっていても、不安になる光景に落ち着かない気持ちを何とか抑えながら暫く黙っていると『よし、これでいいね……、ほら受け取りなこれが今日からあんたの相棒だよ!』とトキが笑顔で笑うのだった
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