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第八章 戦いの先にある未来
67話 勝手に直る訓練場
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手紙を読んで思う事は、マスカレイドがどうして禁忌を犯したのかっていう理由としては分からないでもないけど……、正直やるなら周りに迷惑をかけずに自分だけでやってほしいというのが個人的な気持ちだ。
「……何でこれをぼくだけが見るようにショウソクが言ったのか分からないかな、どう見ても個人的な手紙だし」
もしかしてだけど、個人的な手紙だから複数人に読ませずに彼と縁があるぼくにだけ見せたのかもしれない。
そう思うと理由が分からないわけではないけど、これを見てマスカレイドの事を知っても他の人に伝えようという気持ちになれないから困る。
まぁ……ただ彼からしたら、大切な人に会いたいんだと思うんだけど、それならどうして母さんと一緒に生活したり、二人で娘を作ったりしたんだろうか。
やってる事が矛盾だらけで余計に分からない事ばかりだ。
まさかシャルネの精神汚染によって歪んでしまっている?、いやそれはないだろう……、世界を騙す程の偽装の魔導具を作れる人が簡単に汚染される訳が無いと思う。
「まぁ……、このことについては何時かまたマスカレイドに会う事があった時に直接確かめた方がいいか」
そう思って手紙を封筒に戻すと空間収納の中にしまって皆の所に戻る。
すると不思議な事に焦げてしまったり穴が開いていた場所が少しずつ直って来ていて、その光景に驚いてしまい動きが止まってしまう。
「えっとこれは?」
「わかんねぇ、いきなりカサブタみたいのが出来たかと思ったら勝手に直り始めてよ……、父さんこれどうなってんのかわかるか?」
「いや、ぼくに聞かれても分からないかな」
「だよなぁ……」
いきなりぼくに分かるかって言われてもどう反応すればいいのか分からなくて困ってしまう。
「なるほど、これが薬王が言っていた訓練場でなら幾らでも暴れても構わいと言う言葉の意味か……」
「ん?ライ、何か聞いてんのか?」
「いや……特に詳しく聞いた訳ではないが、薬王の言葉とこの首都が誰の身体を使っているのか凡その検討が付く、御伽噺の時代に存在していた【薬神メランティーナ】の生きた身体を使っているという事は傷を修復する能力も残っている筈だ」
「あ、あぁ?今一俺には分かんねぇけど、中をくり抜いて建物や施設を作ってんのに傷が治るっておかしくねぇか?それだと施設を作っても直ぐに壊れちまうじゃねぇか」
「それは……推測に過ぎないが、何らかの方法例えば精霊術又は王家が保有する秘伝の薬を使う事で施設を体の一部として認識させている可能性がある、そうだった場合このように修復されて行っている理由も付くからね」
……確かに理屈は通ると思うけど本当にそうなんだろうか。
もしかしてだけどショウソクが何らかの方法でメランティーナの身体に干渉して直しているだけかもしれない。
ただこの考えについてはそう思っただけで確証に至る為の証拠も何も無いから、言葉にしない方がいい気がする。
「まぁ、んな難しい事考えても答えはでねぇんだからどうでいいだろ?とりあえず片付けは済んだし帰ろうぜ?そろそろ昼だし俺腹減ったよ」
「昼か……、そういや思ったんだけどこの国って肉料理あんまねぇけど、何処で食うんだ?首都に住んでる奴ら全員避難しちまったろ?」
「あ、けどよぉ……ハスおめぇ約束したよな?肉を食わしてくれるって、だから肉を探しに行くぞ!首都に無かったら外に出て直接狩って食おうぜ!」
「まじかよ……、けど無かったら狩って食うとかおもしれぇな!よし、俺もいくぜ!なら直ぐに外に行こうぜ?どうせそのうち直るんだから壁に穴が開いても問題ねぇだろ?」
「は?おまえ何言って……、ってまじかよぉ!!」
ハスが壁を殴って穴を開けたかと思うとダリアを抱き上げてそこから飛び降りて行く。
ここから地上まで恐ろしい程の高さがある筈だけど何を考えてるのか、驚いて穴から顔を出して覗くと、ハスの足元から炎を噴射させて器用に減速しているから大丈夫みたいだけど……
「……めちゃくちゃだあの人」
「俺の相棒が本当にすまない」
「いえ、ライさんが悪い訳じゃないから大丈夫だよ」
「そう言って貰えると助かるよ……、取り合えずレースくんも今日はもう部屋に戻って休んだ方がいい、ここの事は後は俺が責任を持って何とかしておくからね」
「えっと、本当に大丈夫?」
責任を持って何とかしておくって、どう見てもライさんのストレスが溜まって良くないと思うんだけど本当にそれで良いんだろうか。
「そんな心配しなくていいよ、これくらいならもう慣れてるからね」
「……慣れちゃいけない気がするけど?」
「俺以外全員好き勝手やるからさ……、そうなると一人だけこういう立ち位置になるんだよ」
「あんまり無理をしないようにね?」
「あぁ、ありがとう……、ただ後で【薬姫】メイメイから俺の身体に合った薬が貰う事になってるから、薬を貰ったら後は休むよ」
……ライはそういうと笑顔で手を振ると、ふと何かを思い出したかのような顔をして『そうだ、レース君との連携に関してだけど、明日からハスを交えた三人で外に出て周囲のモンスターを狩りながら実戦方式でやろうと考えているから、これからよろしく頼むよ』と言うと、『ダートさんとカエデ姫が心配すると思うから早く帰って安心させてあげなよ?』と送り出すのだった。
「……何でこれをぼくだけが見るようにショウソクが言ったのか分からないかな、どう見ても個人的な手紙だし」
もしかしてだけど、個人的な手紙だから複数人に読ませずに彼と縁があるぼくにだけ見せたのかもしれない。
そう思うと理由が分からないわけではないけど、これを見てマスカレイドの事を知っても他の人に伝えようという気持ちになれないから困る。
まぁ……ただ彼からしたら、大切な人に会いたいんだと思うんだけど、それならどうして母さんと一緒に生活したり、二人で娘を作ったりしたんだろうか。
やってる事が矛盾だらけで余計に分からない事ばかりだ。
まさかシャルネの精神汚染によって歪んでしまっている?、いやそれはないだろう……、世界を騙す程の偽装の魔導具を作れる人が簡単に汚染される訳が無いと思う。
「まぁ……、このことについては何時かまたマスカレイドに会う事があった時に直接確かめた方がいいか」
そう思って手紙を封筒に戻すと空間収納の中にしまって皆の所に戻る。
すると不思議な事に焦げてしまったり穴が開いていた場所が少しずつ直って来ていて、その光景に驚いてしまい動きが止まってしまう。
「えっとこれは?」
「わかんねぇ、いきなりカサブタみたいのが出来たかと思ったら勝手に直り始めてよ……、父さんこれどうなってんのかわかるか?」
「いや、ぼくに聞かれても分からないかな」
「だよなぁ……」
いきなりぼくに分かるかって言われてもどう反応すればいいのか分からなくて困ってしまう。
「なるほど、これが薬王が言っていた訓練場でなら幾らでも暴れても構わいと言う言葉の意味か……」
「ん?ライ、何か聞いてんのか?」
「いや……特に詳しく聞いた訳ではないが、薬王の言葉とこの首都が誰の身体を使っているのか凡その検討が付く、御伽噺の時代に存在していた【薬神メランティーナ】の生きた身体を使っているという事は傷を修復する能力も残っている筈だ」
「あ、あぁ?今一俺には分かんねぇけど、中をくり抜いて建物や施設を作ってんのに傷が治るっておかしくねぇか?それだと施設を作っても直ぐに壊れちまうじゃねぇか」
「それは……推測に過ぎないが、何らかの方法例えば精霊術又は王家が保有する秘伝の薬を使う事で施設を体の一部として認識させている可能性がある、そうだった場合このように修復されて行っている理由も付くからね」
……確かに理屈は通ると思うけど本当にそうなんだろうか。
もしかしてだけどショウソクが何らかの方法でメランティーナの身体に干渉して直しているだけかもしれない。
ただこの考えについてはそう思っただけで確証に至る為の証拠も何も無いから、言葉にしない方がいい気がする。
「まぁ、んな難しい事考えても答えはでねぇんだからどうでいいだろ?とりあえず片付けは済んだし帰ろうぜ?そろそろ昼だし俺腹減ったよ」
「昼か……、そういや思ったんだけどこの国って肉料理あんまねぇけど、何処で食うんだ?首都に住んでる奴ら全員避難しちまったろ?」
「あ、けどよぉ……ハスおめぇ約束したよな?肉を食わしてくれるって、だから肉を探しに行くぞ!首都に無かったら外に出て直接狩って食おうぜ!」
「まじかよ……、けど無かったら狩って食うとかおもしれぇな!よし、俺もいくぜ!なら直ぐに外に行こうぜ?どうせそのうち直るんだから壁に穴が開いても問題ねぇだろ?」
「は?おまえ何言って……、ってまじかよぉ!!」
ハスが壁を殴って穴を開けたかと思うとダリアを抱き上げてそこから飛び降りて行く。
ここから地上まで恐ろしい程の高さがある筈だけど何を考えてるのか、驚いて穴から顔を出して覗くと、ハスの足元から炎を噴射させて器用に減速しているから大丈夫みたいだけど……
「……めちゃくちゃだあの人」
「俺の相棒が本当にすまない」
「いえ、ライさんが悪い訳じゃないから大丈夫だよ」
「そう言って貰えると助かるよ……、取り合えずレースくんも今日はもう部屋に戻って休んだ方がいい、ここの事は後は俺が責任を持って何とかしておくからね」
「えっと、本当に大丈夫?」
責任を持って何とかしておくって、どう見てもライさんのストレスが溜まって良くないと思うんだけど本当にそれで良いんだろうか。
「そんな心配しなくていいよ、これくらいならもう慣れてるからね」
「……慣れちゃいけない気がするけど?」
「俺以外全員好き勝手やるからさ……、そうなると一人だけこういう立ち位置になるんだよ」
「あんまり無理をしないようにね?」
「あぁ、ありがとう……、ただ後で【薬姫】メイメイから俺の身体に合った薬が貰う事になってるから、薬を貰ったら後は休むよ」
……ライはそういうと笑顔で手を振ると、ふと何かを思い出したかのような顔をして『そうだ、レース君との連携に関してだけど、明日からハスを交えた三人で外に出て周囲のモンスターを狩りながら実戦方式でやろうと考えているから、これからよろしく頼むよ』と言うと、『ダートさんとカエデ姫が心配すると思うから早く帰って安心させてあげなよ?』と送り出すのだった。
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