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第八章 戦いの先にある未来
28話 義肢の技術と失くした指輪
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今は治癒術で痛みを抑えているとはいえ、まさか意識がある状態で骨を削られる経験をする事になる何て思わなかった。
魔導具の義肢を着ける為とは言え恐ろしい程の痛みに全身が熱を持ち、口に含んだタオルを噛み千切りそうになる位の力で噛み締め、身体が何度か意識に反して暴れそうになるけど、ダートが動かないようにと全身で止めてくれたおかげで何とか施術に影響は出なかったけど……
「……偉い目にあった」
「レース様ごめんなさいですわ……本来は動かないように身体を作業台に固定しなきゃいけないのですけれど、今回は例外ですの」
「レ、レース大丈夫なの?」
「……大丈夫かは分からないけど、左肩からの異物感が凄い」
「肩の骨の一部に穴を空けてそこに魔導具の義肢を取り付ける部品を埋め込んだのですけど……、神経を義肢に直接接続する事になる以上しょうがない事ですわ」
しょうがないと言われても正直、この痛みに耐えられる人は少ない気がする。
正直言ってこの痛みは拷問としか言いようが無い……。
「ところで取り付けた義肢の方は違和感ありまして?」
「え、あぁ……」
「例えば重いとかの違和感とかありましたら、一度義肢を外して調整致しますわよ?」
「んー、特に違和感とかは無いかな、むしろ前の腕と重さが変わらない事に違和感があるけど……それに」
金属で出来ているのに物を触れた時の感触があるのに違和感がある。
いったいどんな技術が使われているのか疑問が尽きないけど、魔導具の義肢が取り付けられた左腕を見ると本当に自分の腕が無くなってしまったんだなと言う実感が出来てしまう。
「それにってどうしましたの?」
「義肢を動かすとベッドのシーツの感覚が伝わって来て変な感じがする」
「……あら?もう動かす事が出来るのですのね、本来なら施術後は動かす事が出来ない筈ですのに」
「治癒術って人の身体を知る事から始まるから、その応用で何とか?神経に接続するという事は脳から腕に送られる電気と魔力の信号を受け取って動くんだろうなって思ったら出来たって感じかな」
「はぁ……、つくづくマーシェンスに治癒術師が少ない事が嫌になりますわね」
ミオラームが何やら渋い顔をしているけど、確かにマーシェンスでは治癒術師が少ないらしいけど、変わりに魔導具を使った怪我の治療等違う方面での技術が進んでいた筈だ。
「それとこの義肢に何の繋がりがあるの……?」
「繋がりって、例えば施術の際に治癒術師の方が同行して頂ければ、義肢を取り付けた際に魔力の波長に同調する事で色々と出来るのではなくて?」
「自分の身体で出来たから患者のリハビリを手伝ったり、痛みを和らげる事で施術中の患者の痛みを和らげて負担を減らす事が出来るだろうね」
「……はえー、知らない事ばかりですわね」
知らない事ばかりって治癒術師なら当たり前の事だけど……、マーシェンスでは当たり前では無いという事かもしれない。
「これは私が国に戻ったら、治癒術師を増やすように待遇を良くしたりする等色々と動かないといけなさそうですわね」
「……そっか、大変だと思うけど頑張ってね」
「えぇ、やり遂げて見せますわっ!、レース様から応援して頂けた以上絶対にやるのですわぁっ!」
「え、あぁうん、そっか」
「はいっ!、あ、そう言えばレース様の疑問に答えていませんでしたわね……、感覚がある事についてなのですけれど、魔導具の義肢の周りに薄い魔力の膜がありましてそこに物が触れる事で触覚を再現しているのですわ、とは言え温度とかの方は感じる事は出来ませんけどそれ以外は生身の身体と変わらないと思いますわよ?」
薄い魔力の膜があるという事は、体内に流れる魔力を接続部分を通して表面に出して循環させる事で感覚を再現しているのかもしれない。
理屈としては理解出来るけど、実際にそれを形にするとなるとぼくでは理解出来ない程に難しい技術だと思うし、それを形に出来る能力は凄いとしか言いようがないと思う。
「……凄い技術だね」
「そうでしょう?フィリアの義眼を解析してマスカレイドの技術を学んで、独自に改良を加えたのですけど、おかげでマーシェンスの魔導具義肢技術が飛躍的に恒常致しましたわっ!」
「マスカレイドの技術を理解して改良するって、ミオちゃん凄いね」
「そうでしょう、そうでしょう!私は凄いのですわよっ!……あ、そう言えば私からもお聞きしたい事があるのですけれど、レース様の髪の色が白いのはどうしてなんですの?」
「え?髪の色が?あ、指輪が……」
……ミオラームに言われて気付いたけど、左手に着けていた指輪は何処に行ってしまったのだろうか、あれはぼくとダートが夫婦である証になる大事な指輪だから無くなってしまったら困る。
焦ってベッドから起き上がると近くにいたミオラームが悲鳴をあげて床に尻もちを付いてしまうが、今はそれを気にしている余裕が無い。
どうしようかと焦っていると『指輪なら私が拾っといたから大丈夫だよ?』とダートが服のポケットから指輪を取り出して見せてくれたの見て、安心したぼくはそのままベッドに身体を預けるのだった。
魔導具の義肢を着ける為とは言え恐ろしい程の痛みに全身が熱を持ち、口に含んだタオルを噛み千切りそうになる位の力で噛み締め、身体が何度か意識に反して暴れそうになるけど、ダートが動かないようにと全身で止めてくれたおかげで何とか施術に影響は出なかったけど……
「……偉い目にあった」
「レース様ごめんなさいですわ……本来は動かないように身体を作業台に固定しなきゃいけないのですけれど、今回は例外ですの」
「レ、レース大丈夫なの?」
「……大丈夫かは分からないけど、左肩からの異物感が凄い」
「肩の骨の一部に穴を空けてそこに魔導具の義肢を取り付ける部品を埋め込んだのですけど……、神経を義肢に直接接続する事になる以上しょうがない事ですわ」
しょうがないと言われても正直、この痛みに耐えられる人は少ない気がする。
正直言ってこの痛みは拷問としか言いようが無い……。
「ところで取り付けた義肢の方は違和感ありまして?」
「え、あぁ……」
「例えば重いとかの違和感とかありましたら、一度義肢を外して調整致しますわよ?」
「んー、特に違和感とかは無いかな、むしろ前の腕と重さが変わらない事に違和感があるけど……それに」
金属で出来ているのに物を触れた時の感触があるのに違和感がある。
いったいどんな技術が使われているのか疑問が尽きないけど、魔導具の義肢が取り付けられた左腕を見ると本当に自分の腕が無くなってしまったんだなと言う実感が出来てしまう。
「それにってどうしましたの?」
「義肢を動かすとベッドのシーツの感覚が伝わって来て変な感じがする」
「……あら?もう動かす事が出来るのですのね、本来なら施術後は動かす事が出来ない筈ですのに」
「治癒術って人の身体を知る事から始まるから、その応用で何とか?神経に接続するという事は脳から腕に送られる電気と魔力の信号を受け取って動くんだろうなって思ったら出来たって感じかな」
「はぁ……、つくづくマーシェンスに治癒術師が少ない事が嫌になりますわね」
ミオラームが何やら渋い顔をしているけど、確かにマーシェンスでは治癒術師が少ないらしいけど、変わりに魔導具を使った怪我の治療等違う方面での技術が進んでいた筈だ。
「それとこの義肢に何の繋がりがあるの……?」
「繋がりって、例えば施術の際に治癒術師の方が同行して頂ければ、義肢を取り付けた際に魔力の波長に同調する事で色々と出来るのではなくて?」
「自分の身体で出来たから患者のリハビリを手伝ったり、痛みを和らげる事で施術中の患者の痛みを和らげて負担を減らす事が出来るだろうね」
「……はえー、知らない事ばかりですわね」
知らない事ばかりって治癒術師なら当たり前の事だけど……、マーシェンスでは当たり前では無いという事かもしれない。
「これは私が国に戻ったら、治癒術師を増やすように待遇を良くしたりする等色々と動かないといけなさそうですわね」
「……そっか、大変だと思うけど頑張ってね」
「えぇ、やり遂げて見せますわっ!、レース様から応援して頂けた以上絶対にやるのですわぁっ!」
「え、あぁうん、そっか」
「はいっ!、あ、そう言えばレース様の疑問に答えていませんでしたわね……、感覚がある事についてなのですけれど、魔導具の義肢の周りに薄い魔力の膜がありましてそこに物が触れる事で触覚を再現しているのですわ、とは言え温度とかの方は感じる事は出来ませんけどそれ以外は生身の身体と変わらないと思いますわよ?」
薄い魔力の膜があるという事は、体内に流れる魔力を接続部分を通して表面に出して循環させる事で感覚を再現しているのかもしれない。
理屈としては理解出来るけど、実際にそれを形にするとなるとぼくでは理解出来ない程に難しい技術だと思うし、それを形に出来る能力は凄いとしか言いようがないと思う。
「……凄い技術だね」
「そうでしょう?フィリアの義眼を解析してマスカレイドの技術を学んで、独自に改良を加えたのですけど、おかげでマーシェンスの魔導具義肢技術が飛躍的に恒常致しましたわっ!」
「マスカレイドの技術を理解して改良するって、ミオちゃん凄いね」
「そうでしょう、そうでしょう!私は凄いのですわよっ!……あ、そう言えば私からもお聞きしたい事があるのですけれど、レース様の髪の色が白いのはどうしてなんですの?」
「え?髪の色が?あ、指輪が……」
……ミオラームに言われて気付いたけど、左手に着けていた指輪は何処に行ってしまったのだろうか、あれはぼくとダートが夫婦である証になる大事な指輪だから無くなってしまったら困る。
焦ってベッドから起き上がると近くにいたミオラームが悲鳴をあげて床に尻もちを付いてしまうが、今はそれを気にしている余裕が無い。
どうしようかと焦っていると『指輪なら私が拾っといたから大丈夫だよ?』とダートが服のポケットから指輪を取り出して見せてくれたの見て、安心したぼくはそのままベッドに身体を預けるのだった。
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