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第八章 戦いの先にある未来
23話 決着
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ふと思ったけど、どうして灰を使ってアンデッドを生み出せたのだろうか。
本来であるならそんな事を考える余裕がない相手の筈なのに、目の前で起きている状況は余りにも一方的だ。
地面から大量の木の根が伸びて来たかと思うと、それ足場にしたメイメイが力強く踏み込みドラゴンゾンビの身体を削り取っていく。
その動きは旋風としか言いようがなく、縦横無尽に動き続ける彼女の動きをぼくの目で捕える事が出来ない。
「なんじゃ?アンデッド化して脳が溶けたのかのぅ、能力の割に動きが遅いのじゃ!、くふふ、これは術者の能力の低さが知れるのう、聞けば栄花にいる由緒正しき家系に生まれた死霊術師は意識あるスケルトンを操るというのに、小僧は出来ないようじゃなっ!」
「……なんで、なんで死なないっ!」
「ただ褒められる部分も多いのも事実じゃな、灰になったアンデッドを使い新たなアンデッドを生み出す技術は余も初めて見たのじゃ!、その他の生物同士を継ぎ接ぎにして合成する技術、おぬしの魔力特性か何かかのぅ!くふふ、そう思うと面白いのぅ……、ただちょっと待っておれ」
メイメイがこっちを見るとドラゴンゾンビを木の根で拘束して飛んで来る。
「戦闘中なのに何でおぬしは悠長に考え事なんぞしとるんじゃ!こんな幼気な子供に戦わせて恥ずかしいとは思わんのか?」
「え?……、さっきかっこいい姿を特等席で見る事を特別に許してあげるとか言ってたから、見てた方が良いのかなって」
「そんな訳が無かろうっ!ったくいったいおぬしは何を考えておるのじゃ……、あれはおぬし等と因縁のある相手なのじゃろう?なら倒すのはおぬしの役目じゃろうが、ドラゴンゾンビは余が倒しておくから、あの小僧を倒して来るのじゃ!」
「……わかった」
確かに言われた通りだ、ルードはぼく達が倒さなければいけない間なのに圧倒的な戦い方を見て頭から抜けてしまっていた。
それにメイメイが戦闘に加わって、ドラゴンゾンビが口から吐き出そうとしていた攻撃を止めてくれなかったら、あの場で全滅していた可能性もあるし、彼女にこれ以上負担を掛けるのも違うだろう。
急いでルードの元へ向かおうとすると、ドラゴンゾンビから崩れた身体の一部が新たに無数のゾンビやスケルトンの姿へと変わり行く手を阻む。
「邪魔だな……、一人だと突破は出来ないだろうからアレを使おう」
今なら怪力を使いながら他の能力を使う余裕がある。
大剣の能力である【氷雪狼】を発動させる為に、長杖を振り雪の魔術で地吹雪を起こして地面を薄い雪で覆って行くと地面に大剣を刺す。
すると周囲の雪が集まって行き一匹の巨大な狼になって行く、雪で出来た身体の周囲を氷が覆って行き先端が鋭く尖った氷が鎧のようになって行く。
そして瞳に意志が宿るとぼくの方を見て、何やら感情を込めた視線を送ると、遠吠えを上げてアンデッドの群れへと突っ込む。
「これでぼくの指示を聞いてくれたら心強いんだけどな……」
見た目と比べて魔力の消費は少ないけど、変わりにぼくの意志に従わず本来なら設定した動きしか出来ない存在の筈なのに、自らの意志で動き出す。
ただこの狼は個体が二種類あるみたいで一つは優しい顔をした雌の個体、この個体が出ると何故かぼくの周囲を回って守るような仕草をしてくれるけど自分から相手に向かおうとはしてくれない、そして今回出て来たのは雄の個体で獰猛な顔をしているけど、敵を見つけたら自ら襲い掛かる。
「……今のうちにルードの元へ行けば」
「こっちに来ないでっ!」
「まっ!?」
ルードの背後に見上げる程に角の生えた骨の巨人が現れると、今度は自らの首をナイフで切り裂き大量に傷口から血が噴き出す。
そして血液が巨人へと吸い込まれて行くとそれが肉へと変わって行き……、腐敗した肉を身にまとったゾンビへと変わって行く。
そして瞳を赤く輝かせると雄たけびを上げてぼくへと拳を振り上げ……
「そんなに大量に血を出すと危ないよ」
「ぼくを殺しに来た癖に心配するような事を言わないでよっ!お兄ちゃんがお父さんとお母さんを呼べなくしたくせにっ!」
「……あれはあの時そうしなかったらぼく達が死んでいたからしょうがないよ」
「死んだら友達に慣れたのにっ!嫌いだっ!やっちゃえオーガ!」
オーガと呼ばれたゾンビの拳が迫って来るけど今のぼくにその一撃は意味が無い。
薬の効果がある間は安心して怪力が使える以上、この攻撃も一撃で粉砕してしまえばいい、驚異的な威力から来る万能感に任せて大剣を全力でぶつけると……、オーガの身体がはじけ飛びそれと同時にぼくの腕も勢いよく爆ぜた。
「……そんな、ぼくのオーガが」
「……あれ?、あっ!」
……余りの痛みに呼吸がつまり動けなくなる。
集中力が乱れたせいで心器を維持する事が出来なくなり魔力が霧散して消えてしまう。
それと同時に血を大量に青白い顔になっていたルードが倒れると同時にドラゴンゾンビが意志を失ったかのように倒れ地面へと沈み、薄れゆく意識の中でダート達の悲鳴が聞こえた気がしたのだった。
本来であるならそんな事を考える余裕がない相手の筈なのに、目の前で起きている状況は余りにも一方的だ。
地面から大量の木の根が伸びて来たかと思うと、それ足場にしたメイメイが力強く踏み込みドラゴンゾンビの身体を削り取っていく。
その動きは旋風としか言いようがなく、縦横無尽に動き続ける彼女の動きをぼくの目で捕える事が出来ない。
「なんじゃ?アンデッド化して脳が溶けたのかのぅ、能力の割に動きが遅いのじゃ!、くふふ、これは術者の能力の低さが知れるのう、聞けば栄花にいる由緒正しき家系に生まれた死霊術師は意識あるスケルトンを操るというのに、小僧は出来ないようじゃなっ!」
「……なんで、なんで死なないっ!」
「ただ褒められる部分も多いのも事実じゃな、灰になったアンデッドを使い新たなアンデッドを生み出す技術は余も初めて見たのじゃ!、その他の生物同士を継ぎ接ぎにして合成する技術、おぬしの魔力特性か何かかのぅ!くふふ、そう思うと面白いのぅ……、ただちょっと待っておれ」
メイメイがこっちを見るとドラゴンゾンビを木の根で拘束して飛んで来る。
「戦闘中なのに何でおぬしは悠長に考え事なんぞしとるんじゃ!こんな幼気な子供に戦わせて恥ずかしいとは思わんのか?」
「え?……、さっきかっこいい姿を特等席で見る事を特別に許してあげるとか言ってたから、見てた方が良いのかなって」
「そんな訳が無かろうっ!ったくいったいおぬしは何を考えておるのじゃ……、あれはおぬし等と因縁のある相手なのじゃろう?なら倒すのはおぬしの役目じゃろうが、ドラゴンゾンビは余が倒しておくから、あの小僧を倒して来るのじゃ!」
「……わかった」
確かに言われた通りだ、ルードはぼく達が倒さなければいけない間なのに圧倒的な戦い方を見て頭から抜けてしまっていた。
それにメイメイが戦闘に加わって、ドラゴンゾンビが口から吐き出そうとしていた攻撃を止めてくれなかったら、あの場で全滅していた可能性もあるし、彼女にこれ以上負担を掛けるのも違うだろう。
急いでルードの元へ向かおうとすると、ドラゴンゾンビから崩れた身体の一部が新たに無数のゾンビやスケルトンの姿へと変わり行く手を阻む。
「邪魔だな……、一人だと突破は出来ないだろうからアレを使おう」
今なら怪力を使いながら他の能力を使う余裕がある。
大剣の能力である【氷雪狼】を発動させる為に、長杖を振り雪の魔術で地吹雪を起こして地面を薄い雪で覆って行くと地面に大剣を刺す。
すると周囲の雪が集まって行き一匹の巨大な狼になって行く、雪で出来た身体の周囲を氷が覆って行き先端が鋭く尖った氷が鎧のようになって行く。
そして瞳に意志が宿るとぼくの方を見て、何やら感情を込めた視線を送ると、遠吠えを上げてアンデッドの群れへと突っ込む。
「これでぼくの指示を聞いてくれたら心強いんだけどな……」
見た目と比べて魔力の消費は少ないけど、変わりにぼくの意志に従わず本来なら設定した動きしか出来ない存在の筈なのに、自らの意志で動き出す。
ただこの狼は個体が二種類あるみたいで一つは優しい顔をした雌の個体、この個体が出ると何故かぼくの周囲を回って守るような仕草をしてくれるけど自分から相手に向かおうとはしてくれない、そして今回出て来たのは雄の個体で獰猛な顔をしているけど、敵を見つけたら自ら襲い掛かる。
「……今のうちにルードの元へ行けば」
「こっちに来ないでっ!」
「まっ!?」
ルードの背後に見上げる程に角の生えた骨の巨人が現れると、今度は自らの首をナイフで切り裂き大量に傷口から血が噴き出す。
そして血液が巨人へと吸い込まれて行くとそれが肉へと変わって行き……、腐敗した肉を身にまとったゾンビへと変わって行く。
そして瞳を赤く輝かせると雄たけびを上げてぼくへと拳を振り上げ……
「そんなに大量に血を出すと危ないよ」
「ぼくを殺しに来た癖に心配するような事を言わないでよっ!お兄ちゃんがお父さんとお母さんを呼べなくしたくせにっ!」
「……あれはあの時そうしなかったらぼく達が死んでいたからしょうがないよ」
「死んだら友達に慣れたのにっ!嫌いだっ!やっちゃえオーガ!」
オーガと呼ばれたゾンビの拳が迫って来るけど今のぼくにその一撃は意味が無い。
薬の効果がある間は安心して怪力が使える以上、この攻撃も一撃で粉砕してしまえばいい、驚異的な威力から来る万能感に任せて大剣を全力でぶつけると……、オーガの身体がはじけ飛びそれと同時にぼくの腕も勢いよく爆ぜた。
「……そんな、ぼくのオーガが」
「……あれ?、あっ!」
……余りの痛みに呼吸がつまり動けなくなる。
集中力が乱れたせいで心器を維持する事が出来なくなり魔力が霧散して消えてしまう。
それと同時に血を大量に青白い顔になっていたルードが倒れると同時にドラゴンゾンビが意志を失ったかのように倒れ地面へと沈み、薄れゆく意識の中でダート達の悲鳴が聞こえた気がしたのだった。
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