325 / 565
第八章 戦いの先にある未来
21話 死人使い
しおりを挟む
【死人使い】ルード・フェレス、ぼく達が栄花騎士団の人達と関わりを持つきっかけになった少年。
亡くなった両親を一つに繋ぎ合わせた異形のアンデッドを使役していて、当時戦闘になった時は五人でやっと無力化して捕らえる事が出来た記憶は今でも鮮明に思い出す事が出来る。
その後に起きた事に関しても色々と思う事が多いけど、あの出来事がきっかけで変わる事が出来たから、色んな意味でぼくの中では印象に残っていた。
「見つけたよ、ダートお姉ちゃん……」
「え?私……?」
「うん、マスカレイドさんと――に言われたんだ、ダートお姉ちゃんを連れて来たらぼくの願いを叶えてくれるって、この国にいたらあっちから来てくれるって」
「……あっちから来てくれる?」
「ケイスニルが言ってた、この国で暴れていれば栄花騎士団の偉い人達と一緒に来るかもしれないって、だからぼくはずっとこの国でアンデッドを増やして待ってた、そうしたらね?一部の地域で大量にアンデッドとぼくとの間にある魔力の繋がりが途切れて、もしかして本当に来たのかなと思って探しに来たら、ここにダートお姉ちゃんがいたんだ」
ルードが濁った瞳で微笑みかけながらそう言葉にする。
そこには何の感情も浮かんでおらず、本当に生きているのかすら分からない不気味さがあるが、彼の言う事が本当ならぼく達がここに来るのは、マスカレイド達の予測の範囲内だったのだろう。
「後はそこのぼくの大嫌いなレースお兄ちゃんも連れて来いって――が言ってた」
「おい、さっきからてめぇよぉ、誰が言ってたのか分からねぇからちゃんと人の名前言って説明しろよ」
「――さんの名前が分からない何てかわいそう、でもぼくだけが分かってれば大丈夫、だって二人以外はここで死んでぼくの友達になってくれるんだからっ!」
「友達になるのなら生きている方が良いと思うんじゃがのぅ、余は命無き者を友と呼びたくないのじゃ」
「――が言ってた、友達は何も言わなくても言う事を分かってくれて、何かをする前に察してくれて、寂しい時は話し相手になってくれるって、それってアンデッドも同じでしょ?ぼくの作ったアンデットも、ぼくの事を分かってくれて、何かをする前に率先して動いてくれるし、一人が寂しい時も側にいて支えてくれるから、ぼくの友達はアンデッドなんだ……、だからぼくと年齢が変わらないように見える他の人達は友達にする、そして願いを叶えて貰ってお父さんとお母さんが戻って来てくれたら紹介するんだ、ぼくに友達が出来たよって、だからぼくはぼくはね?」
早口で何を言ってるのか聞き取り辛いけど、とりあえず分かるのはルードはもう正気では無いという事だ。
マスカレイドの事だから彼の事は実験動物のように見ていただろうけど、シャルネによる精神汚染の効果のせいで心が歪んでしまったのかもしれない。
「これは話が通じないみたいだ……」
「困ったのぅこんな幼子を手にかけたくないのじゃがなぁ、むー……あっ!そうじゃレース殿っ!余はおぬしらが負けそうになるまで手出しはせんから渡した薬を使って、戦って見るのじゃ!」
「見るのじゃって、それで殺しちゃったらどうするの?」
「どうするも何もあやつは指名手配犯で討伐対象なのじゃろ?、子供とはいえ容赦をする必要はないのじゃ、容赦せず殺すのが世の為人の為、そしておぬしらの為じゃな、何の因縁があるのかは分からぬが、あれは死なん限りは何処までも追ってくると思うのはじゃ」
「だろうなぁ、父さんメイメイの言う通りだと思うぜ?、あいつはどう見てももう正気じゃねぇ、俺達が終わらせてやらねぇと被害が増え続けるぞ」
確かに被害が増える前に止めるべきなんだ。
アンデッドを増やして待ってたという事は少なからず、この国の人達も犠牲になっている可能性がある、特に人型のスケルトンやゾンビが大量に出て来たという事は間違いない筈だ。
ただそれだと一つ疑問が浮かぶ、少なからず信用はできないけど、この国で自身の正義を貫いている焔の炎姫が見逃す筈がないと思う。
「戦う前にルード、聞きたい事があるんだけどいいかな」
「……いいよ、変わりにダートお姉んちゃんをぼくにくれる?」
「それは出来ない、彼女はぼくの大事な人だし、それにダートは物では無いから」
「……ごめんね?私はレースと一緒にこれから先も生きて行きたいからルードくんの者にはなれないけど、生きてお話したり遊んだり出来る友達にはなってあげる、だから戦うのを止めて話をしよう?」
「やだ、ぼくの物にならないならいらない、ダートお姉ちゃんはぼくを分かってくれると思ったのに、あの時優しくしてくれたのは嘘だったんだっ!」
……ルードの全身からどす黒い色の魔力があふれ出すと同時に森の中に流れて行った灰が舞い上がり……『これはぼくがこの国で、ケイスニルに倒して貰って手に入れた友達……』と呟くと、何処からか翼の生えたドラゴンの死体を取り出すと、灰が全体を覆って行く。
そこに自身の手首を傷付けて大量の血を流し始めたルードが、笑顔でドラゴンの死体を抱きしめると、命を失った絶対強者が雄たけびを上げるのだった。
亡くなった両親を一つに繋ぎ合わせた異形のアンデッドを使役していて、当時戦闘になった時は五人でやっと無力化して捕らえる事が出来た記憶は今でも鮮明に思い出す事が出来る。
その後に起きた事に関しても色々と思う事が多いけど、あの出来事がきっかけで変わる事が出来たから、色んな意味でぼくの中では印象に残っていた。
「見つけたよ、ダートお姉ちゃん……」
「え?私……?」
「うん、マスカレイドさんと――に言われたんだ、ダートお姉ちゃんを連れて来たらぼくの願いを叶えてくれるって、この国にいたらあっちから来てくれるって」
「……あっちから来てくれる?」
「ケイスニルが言ってた、この国で暴れていれば栄花騎士団の偉い人達と一緒に来るかもしれないって、だからぼくはずっとこの国でアンデッドを増やして待ってた、そうしたらね?一部の地域で大量にアンデッドとぼくとの間にある魔力の繋がりが途切れて、もしかして本当に来たのかなと思って探しに来たら、ここにダートお姉ちゃんがいたんだ」
ルードが濁った瞳で微笑みかけながらそう言葉にする。
そこには何の感情も浮かんでおらず、本当に生きているのかすら分からない不気味さがあるが、彼の言う事が本当ならぼく達がここに来るのは、マスカレイド達の予測の範囲内だったのだろう。
「後はそこのぼくの大嫌いなレースお兄ちゃんも連れて来いって――が言ってた」
「おい、さっきからてめぇよぉ、誰が言ってたのか分からねぇからちゃんと人の名前言って説明しろよ」
「――さんの名前が分からない何てかわいそう、でもぼくだけが分かってれば大丈夫、だって二人以外はここで死んでぼくの友達になってくれるんだからっ!」
「友達になるのなら生きている方が良いと思うんじゃがのぅ、余は命無き者を友と呼びたくないのじゃ」
「――が言ってた、友達は何も言わなくても言う事を分かってくれて、何かをする前に察してくれて、寂しい時は話し相手になってくれるって、それってアンデッドも同じでしょ?ぼくの作ったアンデットも、ぼくの事を分かってくれて、何かをする前に率先して動いてくれるし、一人が寂しい時も側にいて支えてくれるから、ぼくの友達はアンデッドなんだ……、だからぼくと年齢が変わらないように見える他の人達は友達にする、そして願いを叶えて貰ってお父さんとお母さんが戻って来てくれたら紹介するんだ、ぼくに友達が出来たよって、だからぼくはぼくはね?」
早口で何を言ってるのか聞き取り辛いけど、とりあえず分かるのはルードはもう正気では無いという事だ。
マスカレイドの事だから彼の事は実験動物のように見ていただろうけど、シャルネによる精神汚染の効果のせいで心が歪んでしまったのかもしれない。
「これは話が通じないみたいだ……」
「困ったのぅこんな幼子を手にかけたくないのじゃがなぁ、むー……あっ!そうじゃレース殿っ!余はおぬしらが負けそうになるまで手出しはせんから渡した薬を使って、戦って見るのじゃ!」
「見るのじゃって、それで殺しちゃったらどうするの?」
「どうするも何もあやつは指名手配犯で討伐対象なのじゃろ?、子供とはいえ容赦をする必要はないのじゃ、容赦せず殺すのが世の為人の為、そしておぬしらの為じゃな、何の因縁があるのかは分からぬが、あれは死なん限りは何処までも追ってくると思うのはじゃ」
「だろうなぁ、父さんメイメイの言う通りだと思うぜ?、あいつはどう見てももう正気じゃねぇ、俺達が終わらせてやらねぇと被害が増え続けるぞ」
確かに被害が増える前に止めるべきなんだ。
アンデッドを増やして待ってたという事は少なからず、この国の人達も犠牲になっている可能性がある、特に人型のスケルトンやゾンビが大量に出て来たという事は間違いない筈だ。
ただそれだと一つ疑問が浮かぶ、少なからず信用はできないけど、この国で自身の正義を貫いている焔の炎姫が見逃す筈がないと思う。
「戦う前にルード、聞きたい事があるんだけどいいかな」
「……いいよ、変わりにダートお姉んちゃんをぼくにくれる?」
「それは出来ない、彼女はぼくの大事な人だし、それにダートは物では無いから」
「……ごめんね?私はレースと一緒にこれから先も生きて行きたいからルードくんの者にはなれないけど、生きてお話したり遊んだり出来る友達にはなってあげる、だから戦うのを止めて話をしよう?」
「やだ、ぼくの物にならないならいらない、ダートお姉ちゃんはぼくを分かってくれると思ったのに、あの時優しくしてくれたのは嘘だったんだっ!」
……ルードの全身からどす黒い色の魔力があふれ出すと同時に森の中に流れて行った灰が舞い上がり……『これはぼくがこの国で、ケイスニルに倒して貰って手に入れた友達……』と呟くと、何処からか翼の生えたドラゴンの死体を取り出すと、灰が全体を覆って行く。
そこに自身の手首を傷付けて大量の血を流し始めたルードが、笑顔でドラゴンの死体を抱きしめると、命を失った絶対強者が雄たけびを上げるのだった。
1
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
役立たず王子のおいしい経営術~幸せレシピでもふもふ国家再建します!!~
延野 正行
ファンタジー
第七王子ルヴィンは王族で唯一7つのギフトを授かりながら、謙虚に過ごしていた。
ある時、国王の代わりに受けた呪いによって【料理】のギフトしか使えなくなる。
人心は離れ、国王からも見限られたルヴィンの前に現れたのは、獣人国の女王だった。
「君は今日から女王陛下《ボク》の料理番だ」
温かく迎えられるルヴィンだったが、獣人国は軍事力こそ最強でも、周辺国からは馬鹿にされるほど未開の国だった。
しかし【料理】のギフトを極めたルヴィンは、能力を使い『農業のレシピ』『牧畜のレシピ』『おもてなしのレシピ』を生み出し、獣人国を一流の国へと導いていく。
「僕には見えます。この国が大陸一の国になっていくレシピが!」
これは獣人国のちいさな料理番が、地元食材を使った料理をふるい、もふもふ女王を支え、大国へと成長させていく物語である。
旧タイトル
「役立たずと言われた王子、最強のもふもふ国家を再建する~ハズレスキル【料理】のレシピは実は万能でした~」
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~
すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》
猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。
不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。
何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。
ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。
人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。
そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。
男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。
そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。
(
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
聖女は傭兵と融合して最強唯一の魔法剣士になって好き勝手に生きる
ブレイブ31
ファンタジー
勇猛な女傭兵と、聖なる力を宿した聖女が、壮絶な悪魔たちとの戦闘での負傷によりひとつの体に融合してしまう。
≪剣の達人と凄まじい天使の力を行使できる最強唯一の魔法剣士≫が誕生する。
しかしその結果、司祭の謀略により聖王国を追放されてしまう。
逃げた先の国で天使の力を使い依頼をこなしていき、いつのまにか周りからも≪天使≫、≪英雄≫と言われる存在になっていく。
自分達への望みのため動いていたが、いつのまにか世界を巻き込む大騒動を巻き起こしてしまう物語
毎日20:10に更新予定!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる