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第八章 戦いの先にある未来
17話 襲撃と強襲 ダリア視点
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レースがメイメイちゃんと話があると言って離れて私達三人で待つ事になったけど……、ちょっと困った事になったかも……
「森の奥から数えきれない程のゾンビとスケルトンの数、アンデッドがこんなに出て来る何て……、もしかして【死人使い】ルード・フェレスの刺客?」
「あの子の……でもどうしてこんな所に?」
「どうしてもこうしても関係ねぇだろ、敵が出た以上戦わないと俺達があぶねぇ……、とはいえ前衛で戦える奴が一人しかいねぇのにこの数はまずくねぇか?」
「一応短剣で私も戦えるけど近接は得意じゃないし……」
ダリアが心器の長剣を手元に出現させて恐ろしい数のアンデッドに向かって構えているけど、あの幼い身体で近接戦をするのは無理があると思う。
ここはやっぱり私も前に出た方が良いと判断して自身に精神を守る結界と暗示の魔術を掛ける。
「よし、これで前に出てもやれるっ!ダリア私も出るから」
「母さんはカエデを守ってろよっ!前は俺がや――」
「うるせぇっ!私がやるって言ってんだから黙ってろっ!」
「あ、えっ!?、ダ、いや、か、かあさ……ん?」
「今の私は暗示の魔術のせいで気が立ってんのっ!だから任せてっ!」
以前ダリアが私の中に居た時とは違い、今回の暗示の魔術はもう一人の私を作るのではなく好戦的になるようにする方で、アンさんとヒジリさんに結界と呪術を教えて貰っている時についでにこうすれば精神に影響が無くなる方法も教えて貰った。
結界と暗示の魔術を使う事でデメリットを無くし、暗示の方向性を変える事で元の自分のままでいられるから、戦う事に少なからず苦手意識があった私からしたら凄い頼りになる新しい力、これがあるなら私もレースの隣に立って一緒に戦える。
「カエデちゃんは戦うの苦手だよね、怖かったら後ろに下がってて?」
「いえ、私は大丈夫です……、実は昨日ウィリアム教授から彼の作った魔導具を預かって来たので問題無く戦えます」
「……昇格試験が終わってレースが会議室に連れて行かれる前に教授さんと話してるなぁと思ったらそういう事だったんだ」
「はい、特にこの魔力ピットは便利ですね……、三個貰いましたが出来る事が多いですし普段は肌に張り付ける事が出来るおかげで持ち運びがしやすいのも素敵です」
カエデちゃんが着物の袖口から魔力ピットを飛ばすと、心器のガラスペンを顕現させると空中に文字を書いて私達の頭上に魔力の盾を飛ばしてくれる。
「こうする事で魔力の形に指示を出せば普段は頭上にありながらも自動で攻撃に反応して防御してくれるようになります」
「へぇ、便利じゃん、あの教授本当に良いの作るぜ」
「更に私の魔力特性の【劣化】を付与しているので、魔力ピットに攻撃を加えれば加える程相手の能力が下がるおまけつきなので安心して戦ってください、後はこの筒を私のガラスペンに取り付ける事で……」
確かあれは教授が使っていた魔力を使いての得意な武器の形に変える魔導具……、でも何でそれをガラスペンに取り付けるの?って思っていると、地面の砂が舞い上がりガラスペンの周りに集まると一本の振動する刀になる。
「地面の砂を集めて刀の形にして、私の心器で指示を出す事で細かい粒子が振動する刃になります……、ウィリアム教授が私の心器の能力【指示】なら上手く機能する筈だと言ってましたが正解でしたね」
「その能力強いよね……、空中に図面や絵、文字を書いて魔術や魔力を通す事で指示通りに動かす事が出来るんだもの」
「この能力を使いこなせるようになったのは最近なんですけどね……、皆に守られてばかりじゃ嫌だったのでお父さんに頼んで修行をつけて貰ったんです、私の家の流派も教えて貰いましたし、刀ならある程度実戦で使えるようになりました」
「なら二人で話してないで前線に出て来てくれよ、一人でずっと戦ってるのはきついってっ!」
私達二人で話す事に夢中になっていてダリアの事が一瞬頭から離れていた。
長剣を手にしてアンデッド達に向かって行くあの子の動きを見ると、一瞬姿がぶれたかと思えば敵がその場に倒れて行く。
「あれが時空間魔術、自身の周りの時間を加速させているそうだけど……、私では理論が何も分からないや」
「……話しには聞いてはいましたが恐ろしいですね、でもダリアさんだけに任せるわけには行きませんし私達も行きましょうお姉様」
「うん、もう二度と蘇らないように塵も残さずに殺し尽くしてあげる」
短剣を構えてアンデットに向かって行くと同時に空間魔術を使い相手の後ろに転移する。
そして相手の頭に刃を突き立てようとした時――
「ひとぉっつ!この世に争い止める為っ!」
「な、なんだ!?」
「え?、頭上からか声が?」
「これはまさか……」
急に頭上から大きな声が響いて全員の動きが止まる。
「ふたぁっつ!この世の涙を止め笑顔溢れる世界に作る為っ!」
「……息が、肺が焼ける」
「動け……ない」
「……Sラ、ンクぼう、けんしゃ」
……空が赤く染まり一瞬にして立つ事が出来ない程の熱量が全身を襲うと、熱が一瞬で消え、緋色に輝く長い髪を持った女性が空から勢いよく落下し土煙を上げ……「みぃっつ!弱気を助け強気を滅す!、誰が呼んだかっ!焔の炎姫、自身の正義を執行する為ここに見参っ!」と大きく声を上げる。
そして彼女の後ろから炎を纏った獣の頭骨が現れ、周囲のアンデッドを一瞬にして肺にすると『私が来たからにはもう大丈夫っ!、Sランク冒険者【滅尽】焔の炎姫ちゃんに任せて守られなさいっ!』と武器を構えるのだった。
「森の奥から数えきれない程のゾンビとスケルトンの数、アンデッドがこんなに出て来る何て……、もしかして【死人使い】ルード・フェレスの刺客?」
「あの子の……でもどうしてこんな所に?」
「どうしてもこうしても関係ねぇだろ、敵が出た以上戦わないと俺達があぶねぇ……、とはいえ前衛で戦える奴が一人しかいねぇのにこの数はまずくねぇか?」
「一応短剣で私も戦えるけど近接は得意じゃないし……」
ダリアが心器の長剣を手元に出現させて恐ろしい数のアンデッドに向かって構えているけど、あの幼い身体で近接戦をするのは無理があると思う。
ここはやっぱり私も前に出た方が良いと判断して自身に精神を守る結界と暗示の魔術を掛ける。
「よし、これで前に出てもやれるっ!ダリア私も出るから」
「母さんはカエデを守ってろよっ!前は俺がや――」
「うるせぇっ!私がやるって言ってんだから黙ってろっ!」
「あ、えっ!?、ダ、いや、か、かあさ……ん?」
「今の私は暗示の魔術のせいで気が立ってんのっ!だから任せてっ!」
以前ダリアが私の中に居た時とは違い、今回の暗示の魔術はもう一人の私を作るのではなく好戦的になるようにする方で、アンさんとヒジリさんに結界と呪術を教えて貰っている時についでにこうすれば精神に影響が無くなる方法も教えて貰った。
結界と暗示の魔術を使う事でデメリットを無くし、暗示の方向性を変える事で元の自分のままでいられるから、戦う事に少なからず苦手意識があった私からしたら凄い頼りになる新しい力、これがあるなら私もレースの隣に立って一緒に戦える。
「カエデちゃんは戦うの苦手だよね、怖かったら後ろに下がってて?」
「いえ、私は大丈夫です……、実は昨日ウィリアム教授から彼の作った魔導具を預かって来たので問題無く戦えます」
「……昇格試験が終わってレースが会議室に連れて行かれる前に教授さんと話してるなぁと思ったらそういう事だったんだ」
「はい、特にこの魔力ピットは便利ですね……、三個貰いましたが出来る事が多いですし普段は肌に張り付ける事が出来るおかげで持ち運びがしやすいのも素敵です」
カエデちゃんが着物の袖口から魔力ピットを飛ばすと、心器のガラスペンを顕現させると空中に文字を書いて私達の頭上に魔力の盾を飛ばしてくれる。
「こうする事で魔力の形に指示を出せば普段は頭上にありながらも自動で攻撃に反応して防御してくれるようになります」
「へぇ、便利じゃん、あの教授本当に良いの作るぜ」
「更に私の魔力特性の【劣化】を付与しているので、魔力ピットに攻撃を加えれば加える程相手の能力が下がるおまけつきなので安心して戦ってください、後はこの筒を私のガラスペンに取り付ける事で……」
確かあれは教授が使っていた魔力を使いての得意な武器の形に変える魔導具……、でも何でそれをガラスペンに取り付けるの?って思っていると、地面の砂が舞い上がりガラスペンの周りに集まると一本の振動する刀になる。
「地面の砂を集めて刀の形にして、私の心器で指示を出す事で細かい粒子が振動する刃になります……、ウィリアム教授が私の心器の能力【指示】なら上手く機能する筈だと言ってましたが正解でしたね」
「その能力強いよね……、空中に図面や絵、文字を書いて魔術や魔力を通す事で指示通りに動かす事が出来るんだもの」
「この能力を使いこなせるようになったのは最近なんですけどね……、皆に守られてばかりじゃ嫌だったのでお父さんに頼んで修行をつけて貰ったんです、私の家の流派も教えて貰いましたし、刀ならある程度実戦で使えるようになりました」
「なら二人で話してないで前線に出て来てくれよ、一人でずっと戦ってるのはきついってっ!」
私達二人で話す事に夢中になっていてダリアの事が一瞬頭から離れていた。
長剣を手にしてアンデッド達に向かって行くあの子の動きを見ると、一瞬姿がぶれたかと思えば敵がその場に倒れて行く。
「あれが時空間魔術、自身の周りの時間を加速させているそうだけど……、私では理論が何も分からないや」
「……話しには聞いてはいましたが恐ろしいですね、でもダリアさんだけに任せるわけには行きませんし私達も行きましょうお姉様」
「うん、もう二度と蘇らないように塵も残さずに殺し尽くしてあげる」
短剣を構えてアンデットに向かって行くと同時に空間魔術を使い相手の後ろに転移する。
そして相手の頭に刃を突き立てようとした時――
「ひとぉっつ!この世に争い止める為っ!」
「な、なんだ!?」
「え?、頭上からか声が?」
「これはまさか……」
急に頭上から大きな声が響いて全員の動きが止まる。
「ふたぁっつ!この世の涙を止め笑顔溢れる世界に作る為っ!」
「……息が、肺が焼ける」
「動け……ない」
「……Sラ、ンクぼう、けんしゃ」
……空が赤く染まり一瞬にして立つ事が出来ない程の熱量が全身を襲うと、熱が一瞬で消え、緋色に輝く長い髪を持った女性が空から勢いよく落下し土煙を上げ……「みぃっつ!弱気を助け強気を滅す!、誰が呼んだかっ!焔の炎姫、自身の正義を執行する為ここに見参っ!」と大きく声を上げる。
そして彼女の後ろから炎を纏った獣の頭骨が現れ、周囲のアンデッドを一瞬にして肺にすると『私が来たからにはもう大丈夫っ!、Sランク冒険者【滅尽】焔の炎姫ちゃんに任せて守られなさいっ!』と武器を構えるのだった。
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