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第七章 変わりすぎた日常
27話 冒険者ギルドでの騒動
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冒険者達からしたら豪華なドレスを来た二人とメイド服を着た女性が居たら、何処かの貴族だと思うし依頼を出しに来た人達だと思うだろう。
多分彼等は依頼が出たら直ぐに受けて、貴族との間に繋がりを持とうとしているのだろうけど、残念な事にルミィ達はその為に来ているのではない。
そう思うと気の毒に感じるけど、こればっかりはしょうがない気がする。
「ルミィ様、あそこにいるのはレース様とダート様ではありませんか?」
この人混みの中でどうやって見付けたのか、侍女のサリッサがぼく達の方を指差す。
それに反応して周囲の冒険者達が振り返ってこっちを見てくるけど、何だろうこれ凄い気まずい。
「おい、今あのメイドさん、先生の事をレース様って言わなかったか?」
「もしかしてだけど、先生って実は偉い立場だったりする?」
「いやぁ、まっさかぁっ!俺はここが出来た時から護衛隊の一員として住んでたけど、そんな話聞いた事ねぇよ?」
「だよなぁ、オイラも聞いた事ねぇべさぁ、どっちかと言うと町外れの通い辛い所に診療所を建てる変わり者っていうイメージしかねぇべさぁ」
「と言うか、あの治癒術師だろ?俺達の隊長が作ってくれた家を金の力で奪って勝手に住み出した奴って、ちょっと俺あいつをぶん殴ってくるわ、そうしねぇと出て行ったまま帰ってこねぇグランツ隊長に申し訳ねぇよ」
何か周囲から色んな事を言われてるけど、どれも反応し辛くて困る。
特に最後のなんてただの言い掛かりだし、金で奪ったと言われても、ぼく達からしたらしっかりとお金を出して購入した家だ。
それに対して文句を言われる筋合いは無いと思うしはっきり言って迷惑だ。
「おいてめぇっ!いっぺん殴ら――」
「お父さんそこに居たのかよっ!来てるなら早く声かけてくれよ!」
「へっ……?、父さん?こいつが!?」
ダリアの声に殴り掛かろうとしてきた男の手が止まる。
てっきり頭に血が上ってそのまま殴って来るのでは無いかと思っていたけど、思いの外冷静さを残していたみたいだ……。
「そうだけど?、それがおっさんと何の関係があんだよ」
「あぁ、いや、こんなにちっこいガキがいんのかよ……、さすがにガキの前じゃ喧嘩は出来ねぇな、レース先生良かったな、こんなに可愛い娘が二人もいてよぉっ!」
「娘?、違うのっ!ルミィはレース兄上の妹なのっ!」
「い、妹だぁ!?」
ダリアとルミィの声を聞いた瞬間に周りがより一層騒がしくなる。
これは面倒になったかもしれないと思っていると……
「はいはいごめんねー、あなた達冒険者ギルドで騒ぎすぎっ!これ以上騒ぐならここにいる全員あたしの権限で冒険者資格を一時的に剥奪するけど?」
「なっ!嬢ちゃん、ちょっとじゃれただけじゃねぇかっ!」
「あなたは確か、最近冒険者に再就職した元Bランク【蛮勇の鋼戦斧】さんじゃないですかぁ、問題を起こして一度資格を剥奪されたのにまたただの野蛮人になりたいのー?ねぇバカなの?絞めるぞてめぇよぉっ!」
「ぐぅ……」
「分かったなら大人しくしろや!、ここはてめぇの世話を焼く為の保育所じゃねぇんだよっ!他の奴等もこれ以上は騒いだら、…資格の剥奪だけじゃなく暫く大人しくなるようにぶっつぶしてやっから覚悟しろよ?この低ランクの荒くれ者共が!嫌だったら開拓作業にでも行ってこいや!」
受付から満面の笑みを浮かべたヒジリが出て来て、声を荒げると蜘蛛の子を散らすかのように冒険者ギルドから出て行ってしまう。
そして先程の騒がしさは何だったのかと言うばかりに静かになり、何とも言えない雰囲気になる。
「ダートちゃんにレースくんっ!野蛮人達は追い出したから、そこの3人を連れてっちゃってー?」
「ヒーちゃんありがとーっ!、ほらレース、ダリア達を連れて家に帰ろう?」
「おぅ!、ルミィ今から俺の家に行くから一緒に競争しようぜ?先に着いた方が今日1日いう事聞くなんてどうだ?」
「それは止めた方がいいと思うの、多分ダリアちゃんだけ迷子になって帰れなくなるの」
「え?あ、お、おぅそっか……、なら止めとくわ、じゃあ一緒に行くから父さん達は案内してくれよな」
ぼく達はヒジリにお礼を言いながら冒険者ギルドを出るとそのまま家に向かって歩き出す。
ただ暫くすると、ルミィが歩き疲れてしまったみたいで……
「兄上っ!ルミィは歩き疲れたから抱っこして欲しいの……」
「もう少しで着くからそこまで頑張ろう?ルミィ」
「やなの、ルミィはもう歩きたくないのっ!じゃあダート姉上抱っこっ!」
「……もうしょうがないなぁ、今回だけだよ?」
「やったっ!ダート姉上大好きっ!」
我が儘を聞いたダートが、ルミィを背中に担ぐいで歩き出すと、暫くして静かに寝息を立てて眠ってしまう。
余程疲れてたんだなぁとは思うけど、甘やかし過ぎは良く無いと思うから家まで歩かせた方が良いも思うんだけどな……
「レースの言いたい事は分かるけど、こうやって小さい子を抱っこするのは将来の為になるかもでしょ?だから予行練習かな」
「でも甘やかし過ぎは良くないんじゃない?」
「それなら将来お父さんになったらレースが厳しい役で、私が甘やかす役にするのはどう?」
「んー、そこはその時になったら話し合おう?」
「そう?なら楽しみにしてるね」
……未来の事はその時にならないと分からないから出来る事なら、今話すよりもその時になったら話し合いがしたい。
そう思いながら皆で他愛もない話をしている内に、いつの間にか家に着いているのだった。
多分彼等は依頼が出たら直ぐに受けて、貴族との間に繋がりを持とうとしているのだろうけど、残念な事にルミィ達はその為に来ているのではない。
そう思うと気の毒に感じるけど、こればっかりはしょうがない気がする。
「ルミィ様、あそこにいるのはレース様とダート様ではありませんか?」
この人混みの中でどうやって見付けたのか、侍女のサリッサがぼく達の方を指差す。
それに反応して周囲の冒険者達が振り返ってこっちを見てくるけど、何だろうこれ凄い気まずい。
「おい、今あのメイドさん、先生の事をレース様って言わなかったか?」
「もしかしてだけど、先生って実は偉い立場だったりする?」
「いやぁ、まっさかぁっ!俺はここが出来た時から護衛隊の一員として住んでたけど、そんな話聞いた事ねぇよ?」
「だよなぁ、オイラも聞いた事ねぇべさぁ、どっちかと言うと町外れの通い辛い所に診療所を建てる変わり者っていうイメージしかねぇべさぁ」
「と言うか、あの治癒術師だろ?俺達の隊長が作ってくれた家を金の力で奪って勝手に住み出した奴って、ちょっと俺あいつをぶん殴ってくるわ、そうしねぇと出て行ったまま帰ってこねぇグランツ隊長に申し訳ねぇよ」
何か周囲から色んな事を言われてるけど、どれも反応し辛くて困る。
特に最後のなんてただの言い掛かりだし、金で奪ったと言われても、ぼく達からしたらしっかりとお金を出して購入した家だ。
それに対して文句を言われる筋合いは無いと思うしはっきり言って迷惑だ。
「おいてめぇっ!いっぺん殴ら――」
「お父さんそこに居たのかよっ!来てるなら早く声かけてくれよ!」
「へっ……?、父さん?こいつが!?」
ダリアの声に殴り掛かろうとしてきた男の手が止まる。
てっきり頭に血が上ってそのまま殴って来るのでは無いかと思っていたけど、思いの外冷静さを残していたみたいだ……。
「そうだけど?、それがおっさんと何の関係があんだよ」
「あぁ、いや、こんなにちっこいガキがいんのかよ……、さすがにガキの前じゃ喧嘩は出来ねぇな、レース先生良かったな、こんなに可愛い娘が二人もいてよぉっ!」
「娘?、違うのっ!ルミィはレース兄上の妹なのっ!」
「い、妹だぁ!?」
ダリアとルミィの声を聞いた瞬間に周りがより一層騒がしくなる。
これは面倒になったかもしれないと思っていると……
「はいはいごめんねー、あなた達冒険者ギルドで騒ぎすぎっ!これ以上騒ぐならここにいる全員あたしの権限で冒険者資格を一時的に剥奪するけど?」
「なっ!嬢ちゃん、ちょっとじゃれただけじゃねぇかっ!」
「あなたは確か、最近冒険者に再就職した元Bランク【蛮勇の鋼戦斧】さんじゃないですかぁ、問題を起こして一度資格を剥奪されたのにまたただの野蛮人になりたいのー?ねぇバカなの?絞めるぞてめぇよぉっ!」
「ぐぅ……」
「分かったなら大人しくしろや!、ここはてめぇの世話を焼く為の保育所じゃねぇんだよっ!他の奴等もこれ以上は騒いだら、…資格の剥奪だけじゃなく暫く大人しくなるようにぶっつぶしてやっから覚悟しろよ?この低ランクの荒くれ者共が!嫌だったら開拓作業にでも行ってこいや!」
受付から満面の笑みを浮かべたヒジリが出て来て、声を荒げると蜘蛛の子を散らすかのように冒険者ギルドから出て行ってしまう。
そして先程の騒がしさは何だったのかと言うばかりに静かになり、何とも言えない雰囲気になる。
「ダートちゃんにレースくんっ!野蛮人達は追い出したから、そこの3人を連れてっちゃってー?」
「ヒーちゃんありがとーっ!、ほらレース、ダリア達を連れて家に帰ろう?」
「おぅ!、ルミィ今から俺の家に行くから一緒に競争しようぜ?先に着いた方が今日1日いう事聞くなんてどうだ?」
「それは止めた方がいいと思うの、多分ダリアちゃんだけ迷子になって帰れなくなるの」
「え?あ、お、おぅそっか……、なら止めとくわ、じゃあ一緒に行くから父さん達は案内してくれよな」
ぼく達はヒジリにお礼を言いながら冒険者ギルドを出るとそのまま家に向かって歩き出す。
ただ暫くすると、ルミィが歩き疲れてしまったみたいで……
「兄上っ!ルミィは歩き疲れたから抱っこして欲しいの……」
「もう少しで着くからそこまで頑張ろう?ルミィ」
「やなの、ルミィはもう歩きたくないのっ!じゃあダート姉上抱っこっ!」
「……もうしょうがないなぁ、今回だけだよ?」
「やったっ!ダート姉上大好きっ!」
我が儘を聞いたダートが、ルミィを背中に担ぐいで歩き出すと、暫くして静かに寝息を立てて眠ってしまう。
余程疲れてたんだなぁとは思うけど、甘やかし過ぎは良く無いと思うから家まで歩かせた方が良いも思うんだけどな……
「レースの言いたい事は分かるけど、こうやって小さい子を抱っこするのは将来の為になるかもでしょ?だから予行練習かな」
「でも甘やかし過ぎは良くないんじゃない?」
「それなら将来お父さんになったらレースが厳しい役で、私が甘やかす役にするのはどう?」
「んー、そこはその時になったら話し合おう?」
「そう?なら楽しみにしてるね」
……未来の事はその時にならないと分からないから出来る事なら、今話すよりもその時になったら話し合いがしたい。
そう思いながら皆で他愛もない話をしている内に、いつの間にか家に着いているのだった。
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