272 / 582
第七章 変わりすぎた日常
23話 久しぶりの会話と忘れてしまった事 ダート視点
しおりを挟む
私の腕を掴んで強引に助け出してくれた人物が腕から手を離すと、大きな声を出しながらフードを外すと……
「ダー!あんた何やってんのっ!」
「えっ!、コ、コーちゃん!?」
そこには会いたいと思っていたコーちゃんがいた。
良かった……私助かったんだ……それに声も出るってあれ?、助かったって何からだろう。
それに声が出るようになったって今まで声が出せなかったの?、何で?、分からない事が分からない。
「えっと……」
「ダー、どうしたん?ってあれ?どうしてうちらここにいるん?」
「分からない、確か冒険者ギルドに向かってた筈なんだけど……」
「うちは冒険者ギルドに泊まり込んで仕事してるジラルドに弁当を届けた帰りに、ダーを見つけたから驚かせよー思うて近付いたらこんな所にダーと二人でいて、あれぇ?」
やっぱりコーちゃんも何でここにいるのか分かってないみたいで二人して首をかしげる。
でもいくら考えても、どんなに思い出そうとしてもその間にあったであろう事が思い出せないままで……
「まぁいっかぁ、考えても思い出せないって事はそれだけどうでもいいって事なんやない?」
そうなのかな、でも確かに思い出せないって事はそうなのかも、この空白の時間が気にならないって言ったら嘘になるけど、今は会いたい人に会えたからいいかな……。
「とりあえずこんな所にいてもしょうがいから、うちは雑貨屋に帰ろう思うんやけど、ダートは冒険者ギルドに何しに行こうとしてたん?」
「コーちゃんがもしかしたいるかなぁって思って……」
「なんやダー、もしかしてうちが恋しくなって探しに来たん?」
「うん、悩んでたら話をしたくなっちゃって、最初はマローネさんの所に行こうと思ったんだけど混んでるみたいで……」
「あぁ……」
取り合えず今いた場所を話していると、マローネさんの名前を聞いたコーちゃんが困ったような顔をする。
もしかしてだけど私がこの都市にいない間に何かあったのかも?
「ダーは知らないんかぁ、んーどう伝えたらいいんかなぁ」
「……もしかして何かあったの?」
「別居中の旦那さんが急死したらしくてな?、暫く実家に帰るとかで服屋を息子さんのお嫁さんとお孫さんに任せて帰ったんよ」
「え?、マローネさんって結婚してたの!?」
「マローネの姉さん、基本的に自分の事話さんからなぁ……、うちが以前気になって聞いた時なんやけど、13で結婚して15で息子を産んだらしいんよ」
13で結婚って、この世界だと成人が10歳からだとはいえ早い気がする。
それに15で出産って私と同じ年齢だし、何ていうかこの世界って凄いなぁって思う。
だって私のいた世界だと成人はもう少しだけ年齢が上だけど、貴族だと15までには既に婚約者がいたり、人によっては婚姻をしていなくても成人するまでの間に何度か相手の領地に行き未来の旦那様と一緒に過ごすし、私も何れそういう立場になると両親から言われてたなぁ……。
「13で結婚早いなぁ……」
「これ位普通やん?、逆にうちが遅過ぎたくらいなんよ……、15で早く結婚しろって言われて、20過ぎたらもう貰い手が無いって言われて親が孫の顔を見るのを諦める位なんだから」
「えっと……、そうなると私もうすぐ16歳になるんだけど」
「ダーにはレースがいるんだから大丈夫やない?、それとも何?もしかして喧嘩とかして別れそうになってるとか?」
「違うの、そうじゃなくてえっと……」
さすがに外で昨日の夜にレースに対してしてしまった事を言いたくない。
恥ずかしいし、それにデリケートな内容だから他の人には聞かれたくないな……
「何か言いにくそうやね、取り合えずそこらへんは家に着いてから聞くかなって事で着いたよ」
「あれ?何時の間に……」
「ダー、話す事に集中しすぎて気付いて無かったん?」
「うん……」
「そっかぁ、何か考えてるみたいやもんねぇ……、取り合えず客室で待っててー適当に何か持って来るわー」
コーちゃんの雑貨屋の裏にある居住スペースに入る為の玄関から家の中に入ると、そう言ってキッチンへ行ってしまう。
取り合えず言われた通りに客室に入るとさっきの事を思い出す。
マローネさんが帰ったタイミングと、この領地を以前まで治めていた前領主が処刑された時期が近い、そうなると納得出来してまう部分も多いというか……
「あの服屋って今思うと、辺境にしては首都と変わらない最先端の服があったり、中には開拓民用の作業に適した安値の服があったりしたし……、辺境の服屋なのに何処から仕入れてるんだろうって思ってたけど、前領主さんの奥さんだったってなると納得出来ちゃうかも」
領主の奥さんだったら、領主が住んでいる都市を経由して首都から最先端の服とかを仕入れる事も出来るだろうし、服屋以外にも色んな人の相談を受けたり、住む家を探している人に空き家の紹介と色んな事をしていたのも、もしかしたら自分の立場を使って助けてくれていたのかもしれない。
「おまたせー、取り合えず紅茶と適当に食べるの出してきたんよー、どう?お姉さんが来るまで寂しく無かった?」
「ちょっと考えてたから大丈夫だよ?」
「考え事ってどうしたん?」
「んーん何でもない、今度マローネさんに会ったら聞こうかなって」
「それならいいけど……、で?うちに話ってなんなん?聞いてあげるから色々と言うてみ?」
……コーちゃんはそう言いながら座っている私の頭を優しく撫でてくれて、気持ち良さに気持ちが落ち着いて行く。
何ていうかこれだけで悩みが解決してしまいそうで……、『あのねコーちゃん、私ね?――』でも言わないと思いや考えは伝わらないから、コーちゃんに昨日レースにしてしまった事と、朝にあったフィリアさんの事を話すのだった。
「ダー!あんた何やってんのっ!」
「えっ!、コ、コーちゃん!?」
そこには会いたいと思っていたコーちゃんがいた。
良かった……私助かったんだ……それに声も出るってあれ?、助かったって何からだろう。
それに声が出るようになったって今まで声が出せなかったの?、何で?、分からない事が分からない。
「えっと……」
「ダー、どうしたん?ってあれ?どうしてうちらここにいるん?」
「分からない、確か冒険者ギルドに向かってた筈なんだけど……」
「うちは冒険者ギルドに泊まり込んで仕事してるジラルドに弁当を届けた帰りに、ダーを見つけたから驚かせよー思うて近付いたらこんな所にダーと二人でいて、あれぇ?」
やっぱりコーちゃんも何でここにいるのか分かってないみたいで二人して首をかしげる。
でもいくら考えても、どんなに思い出そうとしてもその間にあったであろう事が思い出せないままで……
「まぁいっかぁ、考えても思い出せないって事はそれだけどうでもいいって事なんやない?」
そうなのかな、でも確かに思い出せないって事はそうなのかも、この空白の時間が気にならないって言ったら嘘になるけど、今は会いたい人に会えたからいいかな……。
「とりあえずこんな所にいてもしょうがいから、うちは雑貨屋に帰ろう思うんやけど、ダートは冒険者ギルドに何しに行こうとしてたん?」
「コーちゃんがもしかしたいるかなぁって思って……」
「なんやダー、もしかしてうちが恋しくなって探しに来たん?」
「うん、悩んでたら話をしたくなっちゃって、最初はマローネさんの所に行こうと思ったんだけど混んでるみたいで……」
「あぁ……」
取り合えず今いた場所を話していると、マローネさんの名前を聞いたコーちゃんが困ったような顔をする。
もしかしてだけど私がこの都市にいない間に何かあったのかも?
「ダーは知らないんかぁ、んーどう伝えたらいいんかなぁ」
「……もしかして何かあったの?」
「別居中の旦那さんが急死したらしくてな?、暫く実家に帰るとかで服屋を息子さんのお嫁さんとお孫さんに任せて帰ったんよ」
「え?、マローネさんって結婚してたの!?」
「マローネの姉さん、基本的に自分の事話さんからなぁ……、うちが以前気になって聞いた時なんやけど、13で結婚して15で息子を産んだらしいんよ」
13で結婚って、この世界だと成人が10歳からだとはいえ早い気がする。
それに15で出産って私と同じ年齢だし、何ていうかこの世界って凄いなぁって思う。
だって私のいた世界だと成人はもう少しだけ年齢が上だけど、貴族だと15までには既に婚約者がいたり、人によっては婚姻をしていなくても成人するまでの間に何度か相手の領地に行き未来の旦那様と一緒に過ごすし、私も何れそういう立場になると両親から言われてたなぁ……。
「13で結婚早いなぁ……」
「これ位普通やん?、逆にうちが遅過ぎたくらいなんよ……、15で早く結婚しろって言われて、20過ぎたらもう貰い手が無いって言われて親が孫の顔を見るのを諦める位なんだから」
「えっと……、そうなると私もうすぐ16歳になるんだけど」
「ダーにはレースがいるんだから大丈夫やない?、それとも何?もしかして喧嘩とかして別れそうになってるとか?」
「違うの、そうじゃなくてえっと……」
さすがに外で昨日の夜にレースに対してしてしまった事を言いたくない。
恥ずかしいし、それにデリケートな内容だから他の人には聞かれたくないな……
「何か言いにくそうやね、取り合えずそこらへんは家に着いてから聞くかなって事で着いたよ」
「あれ?何時の間に……」
「ダー、話す事に集中しすぎて気付いて無かったん?」
「うん……」
「そっかぁ、何か考えてるみたいやもんねぇ……、取り合えず客室で待っててー適当に何か持って来るわー」
コーちゃんの雑貨屋の裏にある居住スペースに入る為の玄関から家の中に入ると、そう言ってキッチンへ行ってしまう。
取り合えず言われた通りに客室に入るとさっきの事を思い出す。
マローネさんが帰ったタイミングと、この領地を以前まで治めていた前領主が処刑された時期が近い、そうなると納得出来してまう部分も多いというか……
「あの服屋って今思うと、辺境にしては首都と変わらない最先端の服があったり、中には開拓民用の作業に適した安値の服があったりしたし……、辺境の服屋なのに何処から仕入れてるんだろうって思ってたけど、前領主さんの奥さんだったってなると納得出来ちゃうかも」
領主の奥さんだったら、領主が住んでいる都市を経由して首都から最先端の服とかを仕入れる事も出来るだろうし、服屋以外にも色んな人の相談を受けたり、住む家を探している人に空き家の紹介と色んな事をしていたのも、もしかしたら自分の立場を使って助けてくれていたのかもしれない。
「おまたせー、取り合えず紅茶と適当に食べるの出してきたんよー、どう?お姉さんが来るまで寂しく無かった?」
「ちょっと考えてたから大丈夫だよ?」
「考え事ってどうしたん?」
「んーん何でもない、今度マローネさんに会ったら聞こうかなって」
「それならいいけど……、で?うちに話ってなんなん?聞いてあげるから色々と言うてみ?」
……コーちゃんはそう言いながら座っている私の頭を優しく撫でてくれて、気持ち良さに気持ちが落ち着いて行く。
何ていうかこれだけで悩みが解決してしまいそうで……、『あのねコーちゃん、私ね?――』でも言わないと思いや考えは伝わらないから、コーちゃんに昨日レースにしてしまった事と、朝にあったフィリアさんの事を話すのだった。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?


幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!
コスモクイーンハート
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生の合田結菜はある高難度ダンジョンで一人放置されていた。そんな結菜を冒険者育成クラン《炎樹の森》の冒険者達が保護してくれる。ダンジョンの大きな狼さんをもふもふしたり、テイムしちゃったり……。
何気にチートな結菜だが、本人は普通の生活がしたかった。
本人の望み通りしばらくは普通の生活をすることができたが……。勇者に担がれて早朝に誘拐された日を境にそんな生活も終わりを告げる。
何で⁉私を誘拐してもいいことないよ⁉
何だかんだ、半分無意識にチートっぷりを炸裂しながらも己の普通の生活の(自分が自由に行動できるようにする)ために今日も元気に異世界を爆走します‼
※現代の知識活かしちゃいます‼料理と物作りで改革します‼←地球と比べてむっちゃ不便だから。
#更新は不定期になりそう
#一話だいたい2000字をめどにして書いています(長くも短くもなるかも……)
#感想お待ちしてます‼どしどしカモン‼(誹謗中傷はNGだよ?)
#頑張るので、暖かく見守ってください笑
#誤字脱字があれば指摘お願いします!
#いいなと思ったらお気に入り登録してくれると幸いです(〃∇〃)
#チートがずっとあるわけではないです。(何気なく時たまありますが……。)普通にファンタジーです。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる