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第四章 師匠との邂逅と新たな出会い
21話 紅獅子
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獅子の耳を持った獣人族の男性が拍手をしながら不敵な笑みを浮かべて歩いて来るけど、
その姿はまるでグランツを殺した事を褒めているように感じて不快な気持ちになる。
「俺が用意した敵の戦力を図る為に送り込んだ手駒が、簡単に殺されるとは本当に大したものだ」
そう言った彼はぼく達の前に来るとそう言葉にした。
戦力を図る為の手駒?簡単に殺される?……もしかしてこの人はグランツが死ぬと分かっていてぼく達の家に送り込んだのか、人の命を何だと思っているのかと怒りが込み上げて来て、クロウも同じ気持ちなのか現れた男の前に立つと拳を構える。
「君はいったい何者だ……?いくら同族とは言え命を掛けた者を愚弄する事は許さんぞ?」
「愚弄するも何も、俺がいる国に来たと思ったら道行く人々に金をやるから戦力を渡せと騒ぎ続ける阿呆に価値などあるまい?……まぁ、予想以上に良い金額だったから遊ばせて貰ったけどよ」
「お金ってあなた……」
「当然だろ?元とはいえAランク冒険者の【紅獅子】ケイスニル様を雇う以上はそれ相応の金が必要だろ」
ケイスニル……、その名前は確かグランツが待ち合わせしていた人物の名前だ。
それ以外にも聞き覚えがある、指名手配されている元Aランク冒険者だった筈、何でそんな人物が彼に心器を与えたのか……。
「雇われた以上は雇い主の身の安全の確保が最優先だろ……、君はそれでも元冒険者か?」
「元だから優先する必要等無いだろ、それに俺は戦力を渡せと言われたから戦う為の力を与えただけだ……、まぁ力に溺れてこれがあれば町に返り咲けるとか言い出したからな、それならレースという治癒術師の元で暮らしているダートを連れてきたら我が国がメセリーを侵略した際に町の一つや二つくれてやると言ったら食いついて来たがな」
侵略?隣の国はこの国を攻めるつもりなのか……。
もしそうなら大きな問題になるけど、その話が本当だった場合国を治める王から領主に連絡が入りそこからぼく達国民に避難勧告が出る筈だ。
でも今のところはそのような話はこの辺境の町にも届いていないから、あちら側が戦争準備中なのかもしれない。
「まぁ、侵略何て嘘だけどなっ!あぁいうタイプにはそれっぽい事を言うだけでその気になるから本当に面白いんだわっ!まぁ?俺は金が貰えたら満足だし、あの禿げも夢を見れたから本望だろ?」
「この下衆が、レースに協力する以上君達の事情は聴いているが……、ミュカレーの件と良い君と良い自分の事しか見れないのか?」
「くはは、下衆で結構っ!だがなぁっ!ミュカレー何て小物と一緒にすんじゃねぇよ、あいつは闇討ちで格下しか相手に出来ない雑魚専だろうがっ!俺は俺が満足する為に金が欲しいし、俺が無差別に強い奴と命のやり取りがしたいから、マスカレイドに協力してんだっ!あいつについて行って指名手配されりゃあ、高ランクの冒険者が討伐依頼を受けたり冒険者ギルドの元締めの栄華から騎士団の連中って言うのが来るんだろ?殺り放題じゃねぇかっ!」
まるで何かを演じるかのように両腕を広げて声高らかに自身の主張を言葉にするケイスニルを見て察する。
あぁ、この人もミュカレーと同じ人の形をしたモンスター何だと、理解しては行けない人何だと思う。
……ルードみたいに、マスカレイドに騙されて協力している人ならまだ救いはあるかもしれないけど、ここまで歪んだ人に救いなんて物は無い。
「それに同族くんとレースくんよぉ、てめぇらのその武器、魔力の流れからして心器だよな?って事はかなり強いんだろ?……ちょっと遊ぼうぜ?」
「……いいだろう、俺はAランク冒険者のクロウだ、君を殺す者の名を胸に刻め……、レース君は治癒術と魔術による援護を頼む」
「はいっ!」
指示に従い魔術を使う準備をしていると、クロウの名前を聞いたケイスニルがおもちゃを見つけたかのような純粋な眼をしてクロウの方を見る。
その顔は獲物を見つけた肉食獣のようで背筋が冷たくなる程の威圧感があり、一瞬呼吸をするのを忘れそうになってしまう。
「くはっ!クロウって名前聞き覚えあるぜ?獣人族のAランク冒険者【拳狼】のクロウだろ?いいねぇっ!上がって来たぁっ!開幕からフルスロットルだぁっ!派手に殺り合おうぜぇ!!」
ケイスニルはそういうと両腕を地面に付け猫のように姿勢になったかと思うと、全身が紅い毛並みに覆われ獅子の姿へと変わって行く。
「さぁっ!これからてめぇらを喰らう者の名を刻めっ!俺は【紅獅子】のケイスニル・レイフ、そしてこれが俺の心器だっ!」
彼がそういうと背中に大きな蝙蝠のような羽が生え、尻尾の部分は蠍の尾に変化していく。
その姿はまるでお伽噺に出てくる人を喰うモンスター、マンティコアを連想させる。
獣の姿から更に異形の姿に変化したケイスニルを見て、驚き動けなくなってしまったように見えるぼくを見て嘲笑うかのような笑みを作る。
「……驚いて声もでねぇようだなぁっ!、レースっ!てめぇは失格だっ!戦う能力が無い奴は戦場にいらねぇっ!」
……彼がそう叫ぶと勢いよく飛び掛かって来た。
その時だった、寮のドアが開いたと思うとその中から鎖に繋がれた棺が飛んで来てケイスニルを横殴りにする。
何事かと思いぼくとクロウがそちらに視線を送ると、黒い外套を纏ったスケルトンが『ほほ、間に合ったみたいですよぉ、アン様にダート様ぁっ!』と言いながら歩いてくるのだった。
その姿はまるでグランツを殺した事を褒めているように感じて不快な気持ちになる。
「俺が用意した敵の戦力を図る為に送り込んだ手駒が、簡単に殺されるとは本当に大したものだ」
そう言った彼はぼく達の前に来るとそう言葉にした。
戦力を図る為の手駒?簡単に殺される?……もしかしてこの人はグランツが死ぬと分かっていてぼく達の家に送り込んだのか、人の命を何だと思っているのかと怒りが込み上げて来て、クロウも同じ気持ちなのか現れた男の前に立つと拳を構える。
「君はいったい何者だ……?いくら同族とは言え命を掛けた者を愚弄する事は許さんぞ?」
「愚弄するも何も、俺がいる国に来たと思ったら道行く人々に金をやるから戦力を渡せと騒ぎ続ける阿呆に価値などあるまい?……まぁ、予想以上に良い金額だったから遊ばせて貰ったけどよ」
「お金ってあなた……」
「当然だろ?元とはいえAランク冒険者の【紅獅子】ケイスニル様を雇う以上はそれ相応の金が必要だろ」
ケイスニル……、その名前は確かグランツが待ち合わせしていた人物の名前だ。
それ以外にも聞き覚えがある、指名手配されている元Aランク冒険者だった筈、何でそんな人物が彼に心器を与えたのか……。
「雇われた以上は雇い主の身の安全の確保が最優先だろ……、君はそれでも元冒険者か?」
「元だから優先する必要等無いだろ、それに俺は戦力を渡せと言われたから戦う為の力を与えただけだ……、まぁ力に溺れてこれがあれば町に返り咲けるとか言い出したからな、それならレースという治癒術師の元で暮らしているダートを連れてきたら我が国がメセリーを侵略した際に町の一つや二つくれてやると言ったら食いついて来たがな」
侵略?隣の国はこの国を攻めるつもりなのか……。
もしそうなら大きな問題になるけど、その話が本当だった場合国を治める王から領主に連絡が入りそこからぼく達国民に避難勧告が出る筈だ。
でも今のところはそのような話はこの辺境の町にも届いていないから、あちら側が戦争準備中なのかもしれない。
「まぁ、侵略何て嘘だけどなっ!あぁいうタイプにはそれっぽい事を言うだけでその気になるから本当に面白いんだわっ!まぁ?俺は金が貰えたら満足だし、あの禿げも夢を見れたから本望だろ?」
「この下衆が、レースに協力する以上君達の事情は聴いているが……、ミュカレーの件と良い君と良い自分の事しか見れないのか?」
「くはは、下衆で結構っ!だがなぁっ!ミュカレー何て小物と一緒にすんじゃねぇよ、あいつは闇討ちで格下しか相手に出来ない雑魚専だろうがっ!俺は俺が満足する為に金が欲しいし、俺が無差別に強い奴と命のやり取りがしたいから、マスカレイドに協力してんだっ!あいつについて行って指名手配されりゃあ、高ランクの冒険者が討伐依頼を受けたり冒険者ギルドの元締めの栄華から騎士団の連中って言うのが来るんだろ?殺り放題じゃねぇかっ!」
まるで何かを演じるかのように両腕を広げて声高らかに自身の主張を言葉にするケイスニルを見て察する。
あぁ、この人もミュカレーと同じ人の形をしたモンスター何だと、理解しては行けない人何だと思う。
……ルードみたいに、マスカレイドに騙されて協力している人ならまだ救いはあるかもしれないけど、ここまで歪んだ人に救いなんて物は無い。
「それに同族くんとレースくんよぉ、てめぇらのその武器、魔力の流れからして心器だよな?って事はかなり強いんだろ?……ちょっと遊ぼうぜ?」
「……いいだろう、俺はAランク冒険者のクロウだ、君を殺す者の名を胸に刻め……、レース君は治癒術と魔術による援護を頼む」
「はいっ!」
指示に従い魔術を使う準備をしていると、クロウの名前を聞いたケイスニルがおもちゃを見つけたかのような純粋な眼をしてクロウの方を見る。
その顔は獲物を見つけた肉食獣のようで背筋が冷たくなる程の威圧感があり、一瞬呼吸をするのを忘れそうになってしまう。
「くはっ!クロウって名前聞き覚えあるぜ?獣人族のAランク冒険者【拳狼】のクロウだろ?いいねぇっ!上がって来たぁっ!開幕からフルスロットルだぁっ!派手に殺り合おうぜぇ!!」
ケイスニルはそういうと両腕を地面に付け猫のように姿勢になったかと思うと、全身が紅い毛並みに覆われ獅子の姿へと変わって行く。
「さぁっ!これからてめぇらを喰らう者の名を刻めっ!俺は【紅獅子】のケイスニル・レイフ、そしてこれが俺の心器だっ!」
彼がそういうと背中に大きな蝙蝠のような羽が生え、尻尾の部分は蠍の尾に変化していく。
その姿はまるでお伽噺に出てくる人を喰うモンスター、マンティコアを連想させる。
獣の姿から更に異形の姿に変化したケイスニルを見て、驚き動けなくなってしまったように見えるぼくを見て嘲笑うかのような笑みを作る。
「……驚いて声もでねぇようだなぁっ!、レースっ!てめぇは失格だっ!戦う能力が無い奴は戦場にいらねぇっ!」
……彼がそう叫ぶと勢いよく飛び掛かって来た。
その時だった、寮のドアが開いたと思うとその中から鎖に繋がれた棺が飛んで来てケイスニルを横殴りにする。
何事かと思いぼくとクロウがそちらに視線を送ると、黒い外套を纏ったスケルトンが『ほほ、間に合ったみたいですよぉ、アン様にダート様ぁっ!』と言いながら歩いてくるのだった。
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