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第三章 戦う意志と覚悟
間章 彼女が連絡を忘れた理由
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ここは世界の中心に座す【栄花】という国に存在する栄花騎士団という組織の団長室だ。
私は今回の【死人使い】ルード・フェレスの件について団長に報告に来ている。
「報告は以上です……。では私は先程説明したように調べたい事があるので失礼いたします」
私の報告を聞いて頷いたのを確認してから部屋を出ると軽く息を吐く。
そして【泥霧の魔術師】ダートさんへの聴取で出て来た左に黒い蝙蝠の羽と右に純白の鳥の翼を持った黄金色の髪を持つ儚げな雰囲気の少女の事を調べる為に、冒険者の情報が保存されているデータ保管庫に行く。
「……Aランク以下で該当する人物はやはりいないようね」
保管庫の中にある最高幹部以外は触れる事が出来ない端末を操作して情報を調べて行く。
Aランク以下で該当する容姿の人物を検索にかけるけど出てくる事はない、という事は残りはSランクなのだろうけど思い当たる節が無い、人数はそこまで多くないから調べるのは容易ではあるけど該当する人物がいるかどうか……取り合えずやれることはやってみよう。
「……【叡智】カルディア、心器は鉄扇、鉄扇に最大六つの属性を乗せて魔術と治癒術を放つ事が出来る遠距離砲台。切り札は地水火風の4つの属性を融合して放つ固有魔術【魔導砲】」
彼女はレースの師匠で、自身を治癒術の力を使う事で若いままの姿を保ち続けている現存する伝説の一人……齢100歳を越えて尚全盛期の姿を維持し続けており未だに新たな魔術や治癒術を生み出し続け成長を続けているSランクの中でも穏健派の一人。
「……【黎明】マスカレイド・ハルサー 心器は魔導工房、背後に魔科学の工房を展開し状況に合わせた魔導具と魔科学兵器を生み出し蹂躙する。切り札は工房で作られた大筒型の兵器を使い自らの魔力を幾重にも増幅して放つ【カタストロフ】」
彼は現在指名手配されている人物で、種族的な特徴で非常に長い時を生きるエルフと言われる種族であり見た目は青年のまま維持されている。
この世界では禁止されている異世界への扉を開くという禁忌を犯しており過去に【叡智】と共同して行った際は失敗した為に不問となったが、その後何らかの方法を用意て複数人のAランク冒険者との協力の元扉を開いた事が確認され指名手配となったがその際に何を見たのかは本人達しか理解出来ないんだと思う。
「後は……【天魔】シャルネ・ヘイルーン 心器:不明 過去に存在としたという天族と魔族と呼ばれる種族との間に生まれたハーフであり、自分から戦う事は滅多にないが特殊な種族故に恵まれた身体能力と魔力を持ち、それ以外にも固有の能力を持つ」
彼女はダートさんを襲撃した人物に最も近いけど、【叡智】と同じ穏健派の一人で今は行商人として世界を巡りながら人助けを率先してすることで有名だ。
遥か昔に起きたという戦争を終わらせた英雄の一人らしいが真実かどうかは童話で語られるだけで詳しくはわからないままだ。
きっとシャルネさんに聞いても教えてくれないだろう。
「残りは……」
「おぅっ!アキそこにいたのか!探したぜっ!」
「あっ!おにいちゃん!」
声が聞こえて振り向くとそこには私の大好きなハスお兄ちゃんがいた。
思わず走って飛び込みながら抱き着くと笑顔で両腕を広げて受け止めてくれるけど、隣に先輩のアキラさんがいるので急いで離れる。
「アキラが団長に色々と聞いたらしくてな、お前が会ったらしいレースに会いに行くらしいぜ?それでお前に用があるって言うから二人で探してたんだよ」
「……あぁ、そうなんですね。アキラさん用件とは何ですか?」
「貴様のその態度は何とかならんのか……、用と言うのはだな団長から聞いた事の確認なのだが……レースという青年の雪の魔術を戦闘に使える練度まで高め将来的に我々の仕事に付き合って貰うという事なのだがそれで合っているか?」
「えぇ、それで問題ありません……後は私達の戦闘技術を教えたいと思っているのですが……私では許可が下りませんでした」
私がそういうとアキラさんは難しそうな顔をしてお兄ちゃんと小声で話し始める。
こういう時に口を挟んでしまうとこの人は機嫌が悪くなるから暫く待ってあげた方がいい。
この前は、美味しい紅茶を出す喫茶店を紹介するまで対応が冷たかったから大変面倒くさかった。
「それなら副団長にこちらから話を通しておこう……あれからのお願いなら許可が下りるだろう」
「あ、ありがとうございますっ!」
「後は貴様からそのレースとやらに後で連絡を入れておけ」
「はいっ!」
アキラさんに言われて端末を取り出して早速レースさんに連絡しようとした時だった。
部屋の外から再び声を掛けられる。
「声がすると思ったらアッキアキだーっ!やっぱり帰ってたんだね!私達もさっき帰って来たんだー!」
「……隣で大きな声を出さないで、あなたみたいな体力馬鹿じゃないから疲れてるのよ」
長い銀色の髪をサイドテールにしている元気な声の女性と、腰まで伸びている漆黒の髪を持ち顔の右側を長い前髪で隠している物静かな女性が声を私を見つけて入って来た。
名前は元気な方がヒジリさんで、物静かな方がアンさん。
二人は私の数少ない友人で、アンさんはアキラさんの奥さんだ……いつも思うけど何でこの面倒くさい人と結婚したのだろう。
「ヒジリさんにアンさん、私もさっき戻ったばかりなの」
「そうなんだぁっ!今から私達一緒にお仕事お疲れ様会で甘い物食べに行くんだけど一緒に行こ―?」
「甘い物?私もこの後行こうと思ってたから一緒に行けるなら行くっ!」
「あっおいっ!アキっ!!……行っちまったよ……連絡忘れてもしらねぇぞまじで」
……私はそういうとヒジリさん達と三人で保管庫を出て甘い物を食べに行く。
外に出ている間ずっと甘い物を我慢していたり後輩のケイの面倒を見ていたからストレスが溜まっていたのだろう……。
甘い物だけでは留まらずそのまま三人で遊びに行った私はレースさんに連絡するのを忘れてしまい、後日アキラさんから連絡を受けて頭を抱える事になった。
私は今回の【死人使い】ルード・フェレスの件について団長に報告に来ている。
「報告は以上です……。では私は先程説明したように調べたい事があるので失礼いたします」
私の報告を聞いて頷いたのを確認してから部屋を出ると軽く息を吐く。
そして【泥霧の魔術師】ダートさんへの聴取で出て来た左に黒い蝙蝠の羽と右に純白の鳥の翼を持った黄金色の髪を持つ儚げな雰囲気の少女の事を調べる為に、冒険者の情報が保存されているデータ保管庫に行く。
「……Aランク以下で該当する人物はやはりいないようね」
保管庫の中にある最高幹部以外は触れる事が出来ない端末を操作して情報を調べて行く。
Aランク以下で該当する容姿の人物を検索にかけるけど出てくる事はない、という事は残りはSランクなのだろうけど思い当たる節が無い、人数はそこまで多くないから調べるのは容易ではあるけど該当する人物がいるかどうか……取り合えずやれることはやってみよう。
「……【叡智】カルディア、心器は鉄扇、鉄扇に最大六つの属性を乗せて魔術と治癒術を放つ事が出来る遠距離砲台。切り札は地水火風の4つの属性を融合して放つ固有魔術【魔導砲】」
彼女はレースの師匠で、自身を治癒術の力を使う事で若いままの姿を保ち続けている現存する伝説の一人……齢100歳を越えて尚全盛期の姿を維持し続けており未だに新たな魔術や治癒術を生み出し続け成長を続けているSランクの中でも穏健派の一人。
「……【黎明】マスカレイド・ハルサー 心器は魔導工房、背後に魔科学の工房を展開し状況に合わせた魔導具と魔科学兵器を生み出し蹂躙する。切り札は工房で作られた大筒型の兵器を使い自らの魔力を幾重にも増幅して放つ【カタストロフ】」
彼は現在指名手配されている人物で、種族的な特徴で非常に長い時を生きるエルフと言われる種族であり見た目は青年のまま維持されている。
この世界では禁止されている異世界への扉を開くという禁忌を犯しており過去に【叡智】と共同して行った際は失敗した為に不問となったが、その後何らかの方法を用意て複数人のAランク冒険者との協力の元扉を開いた事が確認され指名手配となったがその際に何を見たのかは本人達しか理解出来ないんだと思う。
「後は……【天魔】シャルネ・ヘイルーン 心器:不明 過去に存在としたという天族と魔族と呼ばれる種族との間に生まれたハーフであり、自分から戦う事は滅多にないが特殊な種族故に恵まれた身体能力と魔力を持ち、それ以外にも固有の能力を持つ」
彼女はダートさんを襲撃した人物に最も近いけど、【叡智】と同じ穏健派の一人で今は行商人として世界を巡りながら人助けを率先してすることで有名だ。
遥か昔に起きたという戦争を終わらせた英雄の一人らしいが真実かどうかは童話で語られるだけで詳しくはわからないままだ。
きっとシャルネさんに聞いても教えてくれないだろう。
「残りは……」
「おぅっ!アキそこにいたのか!探したぜっ!」
「あっ!おにいちゃん!」
声が聞こえて振り向くとそこには私の大好きなハスお兄ちゃんがいた。
思わず走って飛び込みながら抱き着くと笑顔で両腕を広げて受け止めてくれるけど、隣に先輩のアキラさんがいるので急いで離れる。
「アキラが団長に色々と聞いたらしくてな、お前が会ったらしいレースに会いに行くらしいぜ?それでお前に用があるって言うから二人で探してたんだよ」
「……あぁ、そうなんですね。アキラさん用件とは何ですか?」
「貴様のその態度は何とかならんのか……、用と言うのはだな団長から聞いた事の確認なのだが……レースという青年の雪の魔術を戦闘に使える練度まで高め将来的に我々の仕事に付き合って貰うという事なのだがそれで合っているか?」
「えぇ、それで問題ありません……後は私達の戦闘技術を教えたいと思っているのですが……私では許可が下りませんでした」
私がそういうとアキラさんは難しそうな顔をしてお兄ちゃんと小声で話し始める。
こういう時に口を挟んでしまうとこの人は機嫌が悪くなるから暫く待ってあげた方がいい。
この前は、美味しい紅茶を出す喫茶店を紹介するまで対応が冷たかったから大変面倒くさかった。
「それなら副団長にこちらから話を通しておこう……あれからのお願いなら許可が下りるだろう」
「あ、ありがとうございますっ!」
「後は貴様からそのレースとやらに後で連絡を入れておけ」
「はいっ!」
アキラさんに言われて端末を取り出して早速レースさんに連絡しようとした時だった。
部屋の外から再び声を掛けられる。
「声がすると思ったらアッキアキだーっ!やっぱり帰ってたんだね!私達もさっき帰って来たんだー!」
「……隣で大きな声を出さないで、あなたみたいな体力馬鹿じゃないから疲れてるのよ」
長い銀色の髪をサイドテールにしている元気な声の女性と、腰まで伸びている漆黒の髪を持ち顔の右側を長い前髪で隠している物静かな女性が声を私を見つけて入って来た。
名前は元気な方がヒジリさんで、物静かな方がアンさん。
二人は私の数少ない友人で、アンさんはアキラさんの奥さんだ……いつも思うけど何でこの面倒くさい人と結婚したのだろう。
「ヒジリさんにアンさん、私もさっき戻ったばかりなの」
「そうなんだぁっ!今から私達一緒にお仕事お疲れ様会で甘い物食べに行くんだけど一緒に行こ―?」
「甘い物?私もこの後行こうと思ってたから一緒に行けるなら行くっ!」
「あっおいっ!アキっ!!……行っちまったよ……連絡忘れてもしらねぇぞまじで」
……私はそういうとヒジリさん達と三人で保管庫を出て甘い物を食べに行く。
外に出ている間ずっと甘い物を我慢していたり後輩のケイの面倒を見ていたからストレスが溜まっていたのだろう……。
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