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第三章 戦う意志と覚悟
6話 天魔
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ぼく達がコルクの家に着いた頃には既には日が沈みかけていた。
この時間に町に来るのは初めてだったから雰囲気がいつもと違う為に迷いそうになったけど、最近良くダートと来るようになっていたおかげで無事に辿り着けた。
幸い彼女は家にいるようで室内の明かりが窓から漏れている。
「レース……早く入ろう?私コーちゃんが心配で……」
「そうだね……。コルクいるなら入れてくれるかな」
ぼくは玄関のドアノッカーを打ってそういうと玄関の前で暫く待つけど反応が無い。
どうしたものかと悩んでいると、ダートが何も言わずにドアノブを回すと鍵が掛かってなかったのかドアが開いて行く。
「コーちゃんっ!」
ダートが家の中に走って入って行く。
ぼくも続いて入ったけど……室内は妙に静かだった。
さっき彼女が入ったばかりなのに人の気配を感じない違和感に嫌な予感を覚えてしまうけど、進まなければ分からないので家の中を歩いて様子を見る。
「ダート、何処にいるの?」
ダートを呼びながら客間の方に行くと、そこには意識が無いのか人形のように倒れたダートとテーブルの上に上半身を預けるようにして気を失っているコルクがいた。
そしてその対面には輝くような黄金色の髪の儚い雰囲気の女性がお茶を飲みながら座っている。
「……あら?レースさんじゃないですかお久しぶりですね」
「あなたはえっと……」
「相変わらずお名前を覚えて頂けてないようで、シャルネ……シャルネ・ヘイルーンです。定期的にあなたの診療所に薬草を卸してるのですからいい加減覚えて貰いたいものですね」
そういえば何となく見覚えがあるような気がするけど、2,3カ月に一回しか来ない人で特に興味が無い外見や名前を覚えろと言う方が無理があるのでは無いかと思う。
ただその名前は2カ月前に聞いた記憶があった……、確かSランク冒険者の【天魔】シャルネ・ヘイルーンだ。
ダートが当時重傷を負った時に、マスカレイドと関係があるのかもしれない人物として名前が挙がったのもあったし、更にはコルクにも日頃お世話になってる人の事位覚えろと言われたから名前だけは憶えていたけどこの人だったのか。
「……そのシャルネさんがどうしてここに?」
「コルクさんのお店に頼まれていた品物を卸しに来たのですがお留守のようで、そういう時は客間を好きに使ってよいと以前から言われていたので待たせて頂いていました」
「ならどうして、ダートやコルクが意識を失っているの?」
「それは……取り乱した状態のコルクさんがお帰りになられて私《わたくし》に気付かずに荷物を纏め始めた物でして、何事かと声を掛けたら泥棒か何かと勘違いなされたようで短剣を手に襲い掛かって来たので取り合えず殴って落ち着かせて椅子に座らせて起きるのを待っておりました……。そちらのダートさん?は気を失っている彼女と私を見て何やら魔術を使おうとしたので同じく落ち着いて貰いました」
取り合えず殴って落ち着かせたって言う言葉を聞き慌てて二人の状態を診るが、二人にの何処にも殴られた痕が無い……いったい何をしたというのか。
それにAランク冒険者と元Bランク冒険者だった二人を用意に気絶させられる……Sランクは規格外と言われていたから実力差があるのは知っていたけどそこまでなのか。
「打撲痕が無いのが気になりますか?」
「……殴って落ち着かせたという割には綺麗だし、本当に殴ったの?」
「ただ私の種族的な物がありまして、天族と魔族と言われる今ではおとぎ話にしか出てこない希少な種族の合いの子でして……右手で殴るとこの通り」
そういうといつ立ち上がり距離を詰めたのか分からない程の速度でぼくに近づきぼくの身体を指を真っすぐに伸ばした手が一瞬で貫いて身体から離れる。
余りの早業に頭が付いて来れないのか、体が痛みを感じる事すらできない。
「傷口を良く見て頂けるとご理解頂けると思いますが、出血もしておりませんし既に傷も塞がっています」
シャルネに言われて貫かれた身体を落ち着いて診るけれど確かに傷は残ってなどおらず、ましてや服に空いた穴すら修復されている。
「このように私は攻撃する意思を持って右手で相手に傷を負わせた場合は傷をつける事は出来ません」
「……なら左手だとどうなるの?」
「触れた先から灰になり消滅するだけですね……触ってみますか?」
シャルネはそういうと左手をぼくに差し出して来る。
本当に触ったらどうなってしまうのか、ぼくの治癒術の力でその灰になるよりも早く身体を作り直す事が出来るのか興味が湧いて来てしまう。
そんな事を思い葛藤していると、彼女が小さく跳んでぼくの頭を左手で軽く撫でた……これは言う通りなら脳が破壊されて死ぬ……もしそうなら間に合わない
「ふふ、怖がらせてごめんなさい。あなたの反応がとても面白かったので遊んでしまいました……。なのでそんな今にも死にますと言いたげな顔をしないで大丈夫ですよ?……能力の説明は事実ですけどね」
つまり……シャルネはぼく達を殺そうと思えばいつでも消す事が出来るという事で、そんな彼女がここまで丁寧に伝えてくれたという事は敵意が無い事を説明しているという事なのかもしれない……。
そう言う事なら今は彼女を信用した方が良いと思う。
「……分かりましたあなたの事を信用します。疑ってすいませんでした」
「急に畏まらないでくださいな……、確かに私はあなた達定命の者と比べたら長生きしているだけのおばあちゃんなのですから先程のように話して頂いて良いのですよ?」
「ですが……、いえでも疑ってしまったのはぼくなので……それに年齢がと言われるとどういえばいいのか反応に困るよ……」
「あら、それはこちらも失礼な事をしてしまいました。ごめんなさいね?……ふふ、これでお相子だね。私も口調を崩すからこれで対等だよ?」
シャルネはそういうとぼくに向かって優し気に微笑みかける。
……ぼくの緊張を解す為に気を使ってくれたのか……こんな良い人を疑ってしまった事を恥ずかしく感じた。
その思いを知ってか、もう一度軽く跳んでぼくの頭を撫でると落ち着いた声で囁く。
「大丈夫だから安心して?それに親しい人が倒れているのを見て疑うなと言う方が無理があるから大丈夫だよ?。それにジラルドくんとクロウくんを連れて来たのは私だし、今も一緒の宿屋に泊ってるしね。……それにしても気付いたら宿屋が出来ていてびっくりしたよー村から町に名称も変わってるし大きくなったんだねぇ」
シャルネが二人を連れて来た?それってどうしてなのだろうかと疑問に思うけど、きっと何らかの考えがあるのだろう。
本来なら連れて来た事に関して色々と言わなければ行けないのだろうけど、この人の優しい声を聞いていると安心してしまって全てを任せてしまっても良いと思ってしまうせいで、疑う事が出来なくなりそうだ。
「本当は連れてくる気は無かったんだけどねー?知ってると思うけど、コルク……いえ、ミントちゃんって商国「トレーディアス」の王様の娘さんじゃない?クラウズ王のはねっ返り姫がいきなり冒険者になって当時の仲間と他国へ駆け落ちしたなんて10年前は大騒ぎになって凄かったんだから」
「……貴族なのは聞いてたけど」
「一緒にこの町に移住してたから、ミントちゃんに信用されていて聞いてると思ったんだけど……違かったんだね。……取り合えずこれは秘密という事で胸の内にしまっておいてね。そんな感じで当時彼女と冒険者中まで現Aランク冒険者である【紅の魔槍】ジラルドと他国に駆け落ちしたのは良いけどある時を境に名前をコルクに変えて二人の前から消えてレースさんと共にこの村にって訳だけど……」
「あぁ……そういえばジラルドさんの身体とクロウさんの損傷した部位を治した記憶があるかな」
当時、ジラルドさんの失った両腕を作り直して、クロウさんの身体を治療したのはぼくだから患者の事は良く覚えている。
ただその話を聞くとジラルドさんは自分の大切な人をずっと探していて、ぼくはそれを知らずにコルクと一緒にこの町に逃げたという事で彼からしたらぼくへの印象はかなり悪いのかもしれない。
正直言うと彼女が貴族だったり、お姫様だったりしてもどうでもいいけど、もしあの時この村に来る前に、彼等とちゃんと向き合わせていたらコルクがここまで取り乱す事無かったのだろうか。
「そんな訳でね?私が行商ついでに立ち寄った街で偶々彼等に会って、ミントちゃんならこの町にいるよって言ったら是非連れて行ってくれってお願いされたから断り切れずにつれて来た感じかな……、それを品物を卸すついでに話そうと思ったらこれだったらしょうがなくこうなってしまったけど今日はもう遅いから帰るね?悪いんだけど彼女が眼を覚ましたらジラルド達の事はあなたが伝えておいて?」
「えっ、あっあのっ!」
……ぼくが声を掛けて呼び止めようとした時には既に目の前から消えてしまっていた。
コルクに話しておいてと言われてもいったいどうすればいいのかぼくには分からない。
取り合えずダートが眼を覚ましたら相談してみようか。
そんな事を思いながら二人が起きるのを待つ事にしたぼくはシャルネがいた場所に純白の天使の羽が抜け落ち徐々に灰になり消えて行っている事に気付けなかった。
この時間に町に来るのは初めてだったから雰囲気がいつもと違う為に迷いそうになったけど、最近良くダートと来るようになっていたおかげで無事に辿り着けた。
幸い彼女は家にいるようで室内の明かりが窓から漏れている。
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どうしたものかと悩んでいると、ダートが何も言わずにドアノブを回すと鍵が掛かってなかったのかドアが開いて行く。
「コーちゃんっ!」
ダートが家の中に走って入って行く。
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そしてその対面には輝くような黄金色の髪の儚い雰囲気の女性がお茶を飲みながら座っている。
「……あら?レースさんじゃないですかお久しぶりですね」
「あなたはえっと……」
「相変わらずお名前を覚えて頂けてないようで、シャルネ……シャルネ・ヘイルーンです。定期的にあなたの診療所に薬草を卸してるのですからいい加減覚えて貰いたいものですね」
そういえば何となく見覚えがあるような気がするけど、2,3カ月に一回しか来ない人で特に興味が無い外見や名前を覚えろと言う方が無理があるのでは無いかと思う。
ただその名前は2カ月前に聞いた記憶があった……、確かSランク冒険者の【天魔】シャルネ・ヘイルーンだ。
ダートが当時重傷を負った時に、マスカレイドと関係があるのかもしれない人物として名前が挙がったのもあったし、更にはコルクにも日頃お世話になってる人の事位覚えろと言われたから名前だけは憶えていたけどこの人だったのか。
「……そのシャルネさんがどうしてここに?」
「コルクさんのお店に頼まれていた品物を卸しに来たのですがお留守のようで、そういう時は客間を好きに使ってよいと以前から言われていたので待たせて頂いていました」
「ならどうして、ダートやコルクが意識を失っているの?」
「それは……取り乱した状態のコルクさんがお帰りになられて私《わたくし》に気付かずに荷物を纏め始めた物でして、何事かと声を掛けたら泥棒か何かと勘違いなされたようで短剣を手に襲い掛かって来たので取り合えず殴って落ち着かせて椅子に座らせて起きるのを待っておりました……。そちらのダートさん?は気を失っている彼女と私を見て何やら魔術を使おうとしたので同じく落ち着いて貰いました」
取り合えず殴って落ち着かせたって言う言葉を聞き慌てて二人の状態を診るが、二人にの何処にも殴られた痕が無い……いったい何をしたというのか。
それにAランク冒険者と元Bランク冒険者だった二人を用意に気絶させられる……Sランクは規格外と言われていたから実力差があるのは知っていたけどそこまでなのか。
「打撲痕が無いのが気になりますか?」
「……殴って落ち着かせたという割には綺麗だし、本当に殴ったの?」
「ただ私の種族的な物がありまして、天族と魔族と言われる今ではおとぎ話にしか出てこない希少な種族の合いの子でして……右手で殴るとこの通り」
そういうといつ立ち上がり距離を詰めたのか分からない程の速度でぼくに近づきぼくの身体を指を真っすぐに伸ばした手が一瞬で貫いて身体から離れる。
余りの早業に頭が付いて来れないのか、体が痛みを感じる事すらできない。
「傷口を良く見て頂けるとご理解頂けると思いますが、出血もしておりませんし既に傷も塞がっています」
シャルネに言われて貫かれた身体を落ち着いて診るけれど確かに傷は残ってなどおらず、ましてや服に空いた穴すら修復されている。
「このように私は攻撃する意思を持って右手で相手に傷を負わせた場合は傷をつける事は出来ません」
「……なら左手だとどうなるの?」
「触れた先から灰になり消滅するだけですね……触ってみますか?」
シャルネはそういうと左手をぼくに差し出して来る。
本当に触ったらどうなってしまうのか、ぼくの治癒術の力でその灰になるよりも早く身体を作り直す事が出来るのか興味が湧いて来てしまう。
そんな事を思い葛藤していると、彼女が小さく跳んでぼくの頭を左手で軽く撫でた……これは言う通りなら脳が破壊されて死ぬ……もしそうなら間に合わない
「ふふ、怖がらせてごめんなさい。あなたの反応がとても面白かったので遊んでしまいました……。なのでそんな今にも死にますと言いたげな顔をしないで大丈夫ですよ?……能力の説明は事実ですけどね」
つまり……シャルネはぼく達を殺そうと思えばいつでも消す事が出来るという事で、そんな彼女がここまで丁寧に伝えてくれたという事は敵意が無い事を説明しているという事なのかもしれない……。
そう言う事なら今は彼女を信用した方が良いと思う。
「……分かりましたあなたの事を信用します。疑ってすいませんでした」
「急に畏まらないでくださいな……、確かに私はあなた達定命の者と比べたら長生きしているだけのおばあちゃんなのですから先程のように話して頂いて良いのですよ?」
「ですが……、いえでも疑ってしまったのはぼくなので……それに年齢がと言われるとどういえばいいのか反応に困るよ……」
「あら、それはこちらも失礼な事をしてしまいました。ごめんなさいね?……ふふ、これでお相子だね。私も口調を崩すからこれで対等だよ?」
シャルネはそういうとぼくに向かって優し気に微笑みかける。
……ぼくの緊張を解す為に気を使ってくれたのか……こんな良い人を疑ってしまった事を恥ずかしく感じた。
その思いを知ってか、もう一度軽く跳んでぼくの頭を撫でると落ち着いた声で囁く。
「大丈夫だから安心して?それに親しい人が倒れているのを見て疑うなと言う方が無理があるから大丈夫だよ?。それにジラルドくんとクロウくんを連れて来たのは私だし、今も一緒の宿屋に泊ってるしね。……それにしても気付いたら宿屋が出来ていてびっくりしたよー村から町に名称も変わってるし大きくなったんだねぇ」
シャルネが二人を連れて来た?それってどうしてなのだろうかと疑問に思うけど、きっと何らかの考えがあるのだろう。
本来なら連れて来た事に関して色々と言わなければ行けないのだろうけど、この人の優しい声を聞いていると安心してしまって全てを任せてしまっても良いと思ってしまうせいで、疑う事が出来なくなりそうだ。
「本当は連れてくる気は無かったんだけどねー?知ってると思うけど、コルク……いえ、ミントちゃんって商国「トレーディアス」の王様の娘さんじゃない?クラウズ王のはねっ返り姫がいきなり冒険者になって当時の仲間と他国へ駆け落ちしたなんて10年前は大騒ぎになって凄かったんだから」
「……貴族なのは聞いてたけど」
「一緒にこの町に移住してたから、ミントちゃんに信用されていて聞いてると思ったんだけど……違かったんだね。……取り合えずこれは秘密という事で胸の内にしまっておいてね。そんな感じで当時彼女と冒険者中まで現Aランク冒険者である【紅の魔槍】ジラルドと他国に駆け落ちしたのは良いけどある時を境に名前をコルクに変えて二人の前から消えてレースさんと共にこの村にって訳だけど……」
「あぁ……そういえばジラルドさんの身体とクロウさんの損傷した部位を治した記憶があるかな」
当時、ジラルドさんの失った両腕を作り直して、クロウさんの身体を治療したのはぼくだから患者の事は良く覚えている。
ただその話を聞くとジラルドさんは自分の大切な人をずっと探していて、ぼくはそれを知らずにコルクと一緒にこの町に逃げたという事で彼からしたらぼくへの印象はかなり悪いのかもしれない。
正直言うと彼女が貴族だったり、お姫様だったりしてもどうでもいいけど、もしあの時この村に来る前に、彼等とちゃんと向き合わせていたらコルクがここまで取り乱す事無かったのだろうか。
「そんな訳でね?私が行商ついでに立ち寄った街で偶々彼等に会って、ミントちゃんならこの町にいるよって言ったら是非連れて行ってくれってお願いされたから断り切れずにつれて来た感じかな……、それを品物を卸すついでに話そうと思ったらこれだったらしょうがなくこうなってしまったけど今日はもう遅いから帰るね?悪いんだけど彼女が眼を覚ましたらジラルド達の事はあなたが伝えておいて?」
「えっ、あっあのっ!」
……ぼくが声を掛けて呼び止めようとした時には既に目の前から消えてしまっていた。
コルクに話しておいてと言われてもいったいどうすればいいのかぼくには分からない。
取り合えずダートが眼を覚ましたら相談してみようか。
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