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第二章 開拓同行願い
23話 叶わぬ思い
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人の顔を無言で見続けるのも悪いと感じて何か言葉を出そうとするけど何を話せばいいのかわからない。
そうしている内にダートが不安そうな顔をして聞いてくる。
「えっと……入らないの?」
「あ、そうだね……」
部屋に入ると、ベッドにテーブルと二脚の椅子、そして衣装箪笥の上に写真立てや小物置き等が等間隔に置かれておりダートの本来の性格が活かされたような部屋をしている。
こういう所もしっかりと見て行けばコルクが言っていた事がぼくにも出来るようになるのだろうか。
「魔術の本を出すから椅子に座って待ってて?」
言われた通りに椅子に座るけど気持ちが落ち着かない。
部屋に入ってからもしかしたらこの綺麗な服装はぼくの為にしてくれたのかもしれないと一瞬思ってしまったのだけれど、その瞬間に妙に意識をしてしまって気が気じゃなかったりする。
とは言え何故ぼくの為に何て考え方をしてしまったのだろうか、暫くしたらケイやアキが来るから来客用の服装の可能性もあるのに……自意識過剰が過ぎると思う。
けど、確か師匠が言ってたっけ女性がお洒落をして来たらまずは褒めなさいと……よしっ
「ダート、今日はえっと……その」
「ん?どうしたの?」
「いつも凄い可愛い見た目の子だなって思ってたんだけど、今日はいつも以上に綺麗でかわいいね」
「……!?コーちゃぁぁん!」
ダートが空間収納から出した本を手から落とすとぼくの顔を見ずに勢いよくコルクの名前を叫びながら部屋から出て行く。
ぼくがいったい何をしたというのか……理解が出来ないまま言われた通りに椅子に座ってさっき彼女が落とした本を手に取り読んで待つ事にする。
「コーちゃんがいない……」
暫くして顔を真っ赤に染めたダートが帰って来た。
その顔は怒っているというよりも羞恥心から来るような物のような気がする。
そこまで嫌な思いをさせてしまうとは予想外だ……もしかしたら見た目を褒めるのは良くないのかもしれない。
「何で言った本人はこうも……さっきはごめんね?取り合えず落ち着いたから魔術の勉強しよっか」
「はい、お願いします」
ダートはそういうとぼくから本を受け取りテーブルの上に置いてページを開く。
魔術の入門知識等が書いてあるけど、これについてはぼくでも知ってる範囲だ。
「レースは魔術はどれくらいまで知ってるの?」
「現象を理解して、自身の魔力を自然に満ちてる魔力と干渉させて術を発動させるって所と簡単な詠唱位かな」
「……それなら基本は大丈夫だね。じゃあ特性についてはわかる?」
特性?魔力適正なら分かるけど……特性は聞いた事が無い。
ただ特性と言う事だから何かに秀でているのだろうか。
「いや……知らないかな」
「ならそこから説明するね?特性とはその人が生まれ持った魔力の形で合って、例えば身近な魔術だと初級魔術のファイアボール、アクアブラスト、アースグレイズ、エアスラストとかあるけどこれは誰でも魔術をしっかりと学べば自身の属性に関係なく使う事は出来るようになるの」
「そうなんだ?……でも初級魔術と特性に何の繋がりがあるの?」
「そこなんだけどね?簡単にファイアボールで説明すると、手のひらサイズの火球を相手に投げて相手を燃やす魔術なんだけど、術者によっては途中で分裂したり、投げて相手を燃やす筈が爆発を起こしたりと術者によって原理は同じだけど起きる現象は違うの」
つまり使う人次第で魔術の名前は同じでも効果が違うって事でいいのかな。
何か聞いてるだけでも面白そうだ……もしかしたら治癒術にも応用が出来るかもしれない。
「例えば私の特性は切断で、ファイアボールを使うと熱で相手を焼き切る事が出来るっていうとイメージ出来るかな」
「……何となく?球状の魔術で焼き切るっていうのが今一分からないけど」
「教える中で1割でも分かってくれるなら、生徒としては優秀だから安心して?」
一割理解出来たらって……魔術とはそこまで難しいのだろうかと不安になるけど、これはきっと彼女なりの気遣いなのかもしれない。
「そこで魔力適正と特性を合わせる事が出来れば、その人の能力は飛躍的に増す事が出来るの」
「例えばどんな風に?」
「魔力適正は例えると、私のような魔術師に向いてる人や、治癒術に向いてる人、それに武術に向いている人がいるけど、魔術は外部に干渉する力で、治癒術は術者と対象となる生物との間で魔力を干渉させて循環させる力で、武術は内部に干渉する力なんだけどそこで外部に干渉する魔力の形をした特性の人が武術の適性があったらどうなると思う?」
どうなるってそれは自身の身体を強化と武器の強化に特化している武術の適正があるのぬ外部に出す力が秀でているとなったらどうなるのかなんてわかりやすい。
体内の魔力が常に外部に漏れてしまい碌な強化も出来ないだろう。
そう思った事をダートに伝えてみる。
「それは……不正解かな、正解を言うとしたら剣で相手を攻撃した場合飛ぶ斬撃が出せるようになったりする感じになるかな……逆に内に魔力を循環させやすい人が魔術師になると初級魔術に使う魔力を圧縮して循環させる事で威力が上がったりするよ」
「……興味深いね。……という事はぼくの特性を理解する事が出来れば?」
「魔術を覚えた時に起きる現象が分かりやすくなるかな、試しにこの魔術書に書いてある初級魔術をイメージして唱えてみて?」
ダートはそういうとテーブルの上の本を捲り【ファイアーボール】について書かれたページを見せてくれる。
……詠唱はその人がイメージできる物なら何でもいいってあるしこれなら僕でも出来そうだ。
「えっと……【根源たる火よ、今ここに破壊の力として顕現せよ。ファイアボール】っ!」
手の平から赤い色をした炎の玉が出現した。
試しにダートの部屋の窓を開けてファイアボールを投げようとしたけど、少しだけ進んだと思ったら空中で静止して固定され動かなくなる。
「あ……、珍しい固定の特性だね」
「固定の適正……?」
「魔力の形が物をその場に留める事に秀でてるって事かな、強い魔術になれば成程効果が大きくなるからもし魔術を覚える事が出来たら設置型のトラップや、相手を魔術で拘束して固定したり、盾を作り上げたりとか出来るようになるかも」
「それって治癒術に応用出来るかな」
「……それは私は治癒術師じゃないからわからないよ」
つまり、そこは自分で考えるしかないって事だろう。
ぼくが考えられる範囲だと例えば折れた骨などを正常の位置に戻して固定するとか汎用性は高そうだ。
「後は……レースの属性について教えてくれる?」
「属性……原理が解明されていない魔術で一緒くたにされてる闇属性で雪を出したり出来るかな」
「……へぇ、それは特性と良い噛み合いしていて素敵だよ?ほら雪って硬くもなるし滑りやすくもなるし……それに積もれば積もる程まともに人は動けなくなるし、雪の中で身動きできなくなったら死ぬ事になるの出来る事が沢山あるよっ!」
ダートはそういうと指に魔力の光を灯して空間を切り裂き中から一冊のノートを取り出すと、楽し気に何らかの魔術の理論を書くとぼくに渡す。
「とりあえずこれに書いてあるように練習してみて?きっと使えるようになる筈だよ?……後は今教えられるのはこれ位かな、もっと詳しくしりたくなったらカルディアさんの所に行ってからにしよ?……それに私とレースの事紹介したいし」
「保護者に未来の旦那を紹介すると聞いてっ!盗み聞きしてたコルクちゃんがドーンっ!超エキサイティングぅっ!」
「えっ!?コーちゃん!?」
……ぼく等の事を紹介したい?何を言っているのかは分からないけど、コルクがいきなり入って来たおかげでどうでも良くなった。
しかしそれにしてもぼくも魔術を使えるようになるのか……、この力でダートを守れるようにこれから色々と試してみようかな。
――二度ともう大切な人が傷付く姿を見たくない……、あぁ成程どうやらぼくは彼女の事が好きなのかもしれない。
出なければここまで守りたいとは思わないし、傷付けたくないと思わないだろう……でもこの気持ちは忘れた方が良いと思ってしまう。
彼女は異世界から来た人で、いつかはきっかけがあれば元の世界へと戻ってしまうだろう……叶わぬ恋はするものではないのだから
そうしている内にダートが不安そうな顔をして聞いてくる。
「えっと……入らないの?」
「あ、そうだね……」
部屋に入ると、ベッドにテーブルと二脚の椅子、そして衣装箪笥の上に写真立てや小物置き等が等間隔に置かれておりダートの本来の性格が活かされたような部屋をしている。
こういう所もしっかりと見て行けばコルクが言っていた事がぼくにも出来るようになるのだろうか。
「魔術の本を出すから椅子に座って待ってて?」
言われた通りに椅子に座るけど気持ちが落ち着かない。
部屋に入ってからもしかしたらこの綺麗な服装はぼくの為にしてくれたのかもしれないと一瞬思ってしまったのだけれど、その瞬間に妙に意識をしてしまって気が気じゃなかったりする。
とは言え何故ぼくの為に何て考え方をしてしまったのだろうか、暫くしたらケイやアキが来るから来客用の服装の可能性もあるのに……自意識過剰が過ぎると思う。
けど、確か師匠が言ってたっけ女性がお洒落をして来たらまずは褒めなさいと……よしっ
「ダート、今日はえっと……その」
「ん?どうしたの?」
「いつも凄い可愛い見た目の子だなって思ってたんだけど、今日はいつも以上に綺麗でかわいいね」
「……!?コーちゃぁぁん!」
ダートが空間収納から出した本を手から落とすとぼくの顔を見ずに勢いよくコルクの名前を叫びながら部屋から出て行く。
ぼくがいったい何をしたというのか……理解が出来ないまま言われた通りに椅子に座ってさっき彼女が落とした本を手に取り読んで待つ事にする。
「コーちゃんがいない……」
暫くして顔を真っ赤に染めたダートが帰って来た。
その顔は怒っているというよりも羞恥心から来るような物のような気がする。
そこまで嫌な思いをさせてしまうとは予想外だ……もしかしたら見た目を褒めるのは良くないのかもしれない。
「何で言った本人はこうも……さっきはごめんね?取り合えず落ち着いたから魔術の勉強しよっか」
「はい、お願いします」
ダートはそういうとぼくから本を受け取りテーブルの上に置いてページを開く。
魔術の入門知識等が書いてあるけど、これについてはぼくでも知ってる範囲だ。
「レースは魔術はどれくらいまで知ってるの?」
「現象を理解して、自身の魔力を自然に満ちてる魔力と干渉させて術を発動させるって所と簡単な詠唱位かな」
「……それなら基本は大丈夫だね。じゃあ特性についてはわかる?」
特性?魔力適正なら分かるけど……特性は聞いた事が無い。
ただ特性と言う事だから何かに秀でているのだろうか。
「いや……知らないかな」
「ならそこから説明するね?特性とはその人が生まれ持った魔力の形で合って、例えば身近な魔術だと初級魔術のファイアボール、アクアブラスト、アースグレイズ、エアスラストとかあるけどこれは誰でも魔術をしっかりと学べば自身の属性に関係なく使う事は出来るようになるの」
「そうなんだ?……でも初級魔術と特性に何の繋がりがあるの?」
「そこなんだけどね?簡単にファイアボールで説明すると、手のひらサイズの火球を相手に投げて相手を燃やす魔術なんだけど、術者によっては途中で分裂したり、投げて相手を燃やす筈が爆発を起こしたりと術者によって原理は同じだけど起きる現象は違うの」
つまり使う人次第で魔術の名前は同じでも効果が違うって事でいいのかな。
何か聞いてるだけでも面白そうだ……もしかしたら治癒術にも応用が出来るかもしれない。
「例えば私の特性は切断で、ファイアボールを使うと熱で相手を焼き切る事が出来るっていうとイメージ出来るかな」
「……何となく?球状の魔術で焼き切るっていうのが今一分からないけど」
「教える中で1割でも分かってくれるなら、生徒としては優秀だから安心して?」
一割理解出来たらって……魔術とはそこまで難しいのだろうかと不安になるけど、これはきっと彼女なりの気遣いなのかもしれない。
「そこで魔力適正と特性を合わせる事が出来れば、その人の能力は飛躍的に増す事が出来るの」
「例えばどんな風に?」
「魔力適正は例えると、私のような魔術師に向いてる人や、治癒術に向いてる人、それに武術に向いている人がいるけど、魔術は外部に干渉する力で、治癒術は術者と対象となる生物との間で魔力を干渉させて循環させる力で、武術は内部に干渉する力なんだけどそこで外部に干渉する魔力の形をした特性の人が武術の適性があったらどうなると思う?」
どうなるってそれは自身の身体を強化と武器の強化に特化している武術の適正があるのぬ外部に出す力が秀でているとなったらどうなるのかなんてわかりやすい。
体内の魔力が常に外部に漏れてしまい碌な強化も出来ないだろう。
そう思った事をダートに伝えてみる。
「それは……不正解かな、正解を言うとしたら剣で相手を攻撃した場合飛ぶ斬撃が出せるようになったりする感じになるかな……逆に内に魔力を循環させやすい人が魔術師になると初級魔術に使う魔力を圧縮して循環させる事で威力が上がったりするよ」
「……興味深いね。……という事はぼくの特性を理解する事が出来れば?」
「魔術を覚えた時に起きる現象が分かりやすくなるかな、試しにこの魔術書に書いてある初級魔術をイメージして唱えてみて?」
ダートはそういうとテーブルの上の本を捲り【ファイアーボール】について書かれたページを見せてくれる。
……詠唱はその人がイメージできる物なら何でもいいってあるしこれなら僕でも出来そうだ。
「えっと……【根源たる火よ、今ここに破壊の力として顕現せよ。ファイアボール】っ!」
手の平から赤い色をした炎の玉が出現した。
試しにダートの部屋の窓を開けてファイアボールを投げようとしたけど、少しだけ進んだと思ったら空中で静止して固定され動かなくなる。
「あ……、珍しい固定の特性だね」
「固定の適正……?」
「魔力の形が物をその場に留める事に秀でてるって事かな、強い魔術になれば成程効果が大きくなるからもし魔術を覚える事が出来たら設置型のトラップや、相手を魔術で拘束して固定したり、盾を作り上げたりとか出来るようになるかも」
「それって治癒術に応用出来るかな」
「……それは私は治癒術師じゃないからわからないよ」
つまり、そこは自分で考えるしかないって事だろう。
ぼくが考えられる範囲だと例えば折れた骨などを正常の位置に戻して固定するとか汎用性は高そうだ。
「後は……レースの属性について教えてくれる?」
「属性……原理が解明されていない魔術で一緒くたにされてる闇属性で雪を出したり出来るかな」
「……へぇ、それは特性と良い噛み合いしていて素敵だよ?ほら雪って硬くもなるし滑りやすくもなるし……それに積もれば積もる程まともに人は動けなくなるし、雪の中で身動きできなくなったら死ぬ事になるの出来る事が沢山あるよっ!」
ダートはそういうと指に魔力の光を灯して空間を切り裂き中から一冊のノートを取り出すと、楽し気に何らかの魔術の理論を書くとぼくに渡す。
「とりあえずこれに書いてあるように練習してみて?きっと使えるようになる筈だよ?……後は今教えられるのはこれ位かな、もっと詳しくしりたくなったらカルディアさんの所に行ってからにしよ?……それに私とレースの事紹介したいし」
「保護者に未来の旦那を紹介すると聞いてっ!盗み聞きしてたコルクちゃんがドーンっ!超エキサイティングぅっ!」
「えっ!?コーちゃん!?」
……ぼく等の事を紹介したい?何を言っているのかは分からないけど、コルクがいきなり入って来たおかげでどうでも良くなった。
しかしそれにしてもぼくも魔術を使えるようになるのか……、この力でダートを守れるようにこれから色々と試してみようかな。
――二度ともう大切な人が傷付く姿を見たくない……、あぁ成程どうやらぼくは彼女の事が好きなのかもしれない。
出なければここまで守りたいとは思わないし、傷付けたくないと思わないだろう……でもこの気持ちは忘れた方が良いと思ってしまう。
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