52 / 574
第一章 非日常へ
17話 異常種たる所以
しおりを挟む
彼女のおかげで避けれたとはいえあと一歩遅かったらぼく達の命が危なかった。
目の前には成人男性程の大きさを持ち二本足で立ち、両手には長く鋭い鉤爪を持ったトカゲのようなモンスターがいる。
それだけならただのデカいトカゲに見えるけど尻尾には蛇の顔があり鎌首を持ち上げてこちらを見て威嚇の声を出す。
モンスターの中でも一般的な生物の形を逸脱した異形の姿を見て異常種だと確信だと確信できた。
「レースっ!俺が奴を引き付けるからそいつを安全な場所に避難させろ!」
「わかりました!直ぐに戻ります!」
ダートさんにこの場を任せて後ろに下がる。
それと同時に何かにぶつかる硬い音が連続で起きて衝撃がこちらにまで届く。
「こいつ…手数が多すぎんだろっ!早くしてくれ!」
彼女の事が心配になるけれどこの状態では戦う事が出来ない。
周りを見渡して安全な場所を探す。
「ここまで離れているなら大丈夫だろうか……」
探しはしたが安全に隠れられる場所が無い為、異常種から離れた場所に患者をそっと降ろし急いでダートさんの元に戻り長杖を構えて後ろに立つ。
「おっせぇ!」
「すいません、ですがもう大丈夫です」
ダートさんが指を光らせながら空間を切り開き不可視の盾を作り上げ攻撃を防いでいる。
それでも両手の鉤爪と尻尾の蛇による攻撃を捌くので精一杯のようで現状は防戦一方だ。
何とか間に合って良かった。
「なぁ……おめぇに前衛を任せてもいいか?」
「えぇ、わかりました」
「おぅ、感謝するぜ」
彼女が後ろに下がりぼくが前に出つつ杖に魔力を込め障壁を発生させ攻撃を受け止める。
それと同時に障壁に強い衝撃が響く、彼女は良くこんな衝撃に耐えたものだ。
ダートさんが後ろで空間収納を開いて何かを取り出し光を発する。
「俺があいつを術で引き付けるから、それまで時間稼ぎを頼む」
「時間稼ぎですか……何か考えがあるんですか?」
「俺を信じろ……泥霧の由来を見せてやるよ」
そういうと彼女がぼくの隣に出て短杖を構えて呪文を唱える。
「狂え狂え狂気の瞳、恨み恨み憎悪の心、汝が仇敵は触れれば届く先にある、その手に握りし刃で復讐を果たせ。汝の心に呪いを穿つ――我が許す殺害せよ」
短杖が赤黒く光る……、これは精神干渉術の中でも術者が少ない呪術だ。
相手の心に干渉し呪いをかける事でその行動を強制させる外道の術だというが始めて見た。
泥霧……、確か人の負の感情を実体化させるとかそんな意味だった気がするが……彼女に向けて我を失い狂ったかのように攻撃を仕掛けに行くモンスターを見て二つ名の意味を納得する。
「いまだっ!やれっ!」
「はいっ!」
モンスターの後ろに回り込み長杖を後ろから突き当て自身の魔力をモンスターに通して生体構造を脳内に映像として出力する。
そして心臓の位置を把握すると長杖を突き当て魔力を操作して活動を停止させた。
モンスターの動きが徐々に遅くなっていき停止する。
「ふぅ……、やったか?」
先程までの猛攻が嘘かのように静かに倒れたかと思うと何度か痙攣を起こし生命活動を停止した。
これで何とかなったとやけにあっさりと終わってしまった気がする……。
これで本当に思うけれど終わったんだろうか。
「なぁ、おめぇこのばけもんの尻尾の蛇ってどうした?」
「……尻尾?」
「おぅ、尻尾がいつの間にかねぇんだわ……」
尻尾が無いという言葉に嫌な予感がして周りを警戒する。
何かあったら直ぐに動ける人間が一人はいた方が良い。
「ダートさんっ!後ろっ!」
……その時だった、ダートさんの後ろに尻尾の蛇が飛び上がり襲い掛かる。
咄嗟に彼女の前に出てかばおうとするけれど間に合うかわからない。
本体が死んでも生きているその生命力に異常種が異常種と言われる所以を見せられた気がした。
目の前には成人男性程の大きさを持ち二本足で立ち、両手には長く鋭い鉤爪を持ったトカゲのようなモンスターがいる。
それだけならただのデカいトカゲに見えるけど尻尾には蛇の顔があり鎌首を持ち上げてこちらを見て威嚇の声を出す。
モンスターの中でも一般的な生物の形を逸脱した異形の姿を見て異常種だと確信だと確信できた。
「レースっ!俺が奴を引き付けるからそいつを安全な場所に避難させろ!」
「わかりました!直ぐに戻ります!」
ダートさんにこの場を任せて後ろに下がる。
それと同時に何かにぶつかる硬い音が連続で起きて衝撃がこちらにまで届く。
「こいつ…手数が多すぎんだろっ!早くしてくれ!」
彼女の事が心配になるけれどこの状態では戦う事が出来ない。
周りを見渡して安全な場所を探す。
「ここまで離れているなら大丈夫だろうか……」
探しはしたが安全に隠れられる場所が無い為、異常種から離れた場所に患者をそっと降ろし急いでダートさんの元に戻り長杖を構えて後ろに立つ。
「おっせぇ!」
「すいません、ですがもう大丈夫です」
ダートさんが指を光らせながら空間を切り開き不可視の盾を作り上げ攻撃を防いでいる。
それでも両手の鉤爪と尻尾の蛇による攻撃を捌くので精一杯のようで現状は防戦一方だ。
何とか間に合って良かった。
「なぁ……おめぇに前衛を任せてもいいか?」
「えぇ、わかりました」
「おぅ、感謝するぜ」
彼女が後ろに下がりぼくが前に出つつ杖に魔力を込め障壁を発生させ攻撃を受け止める。
それと同時に障壁に強い衝撃が響く、彼女は良くこんな衝撃に耐えたものだ。
ダートさんが後ろで空間収納を開いて何かを取り出し光を発する。
「俺があいつを術で引き付けるから、それまで時間稼ぎを頼む」
「時間稼ぎですか……何か考えがあるんですか?」
「俺を信じろ……泥霧の由来を見せてやるよ」
そういうと彼女がぼくの隣に出て短杖を構えて呪文を唱える。
「狂え狂え狂気の瞳、恨み恨み憎悪の心、汝が仇敵は触れれば届く先にある、その手に握りし刃で復讐を果たせ。汝の心に呪いを穿つ――我が許す殺害せよ」
短杖が赤黒く光る……、これは精神干渉術の中でも術者が少ない呪術だ。
相手の心に干渉し呪いをかける事でその行動を強制させる外道の術だというが始めて見た。
泥霧……、確か人の負の感情を実体化させるとかそんな意味だった気がするが……彼女に向けて我を失い狂ったかのように攻撃を仕掛けに行くモンスターを見て二つ名の意味を納得する。
「いまだっ!やれっ!」
「はいっ!」
モンスターの後ろに回り込み長杖を後ろから突き当て自身の魔力をモンスターに通して生体構造を脳内に映像として出力する。
そして心臓の位置を把握すると長杖を突き当て魔力を操作して活動を停止させた。
モンスターの動きが徐々に遅くなっていき停止する。
「ふぅ……、やったか?」
先程までの猛攻が嘘かのように静かに倒れたかと思うと何度か痙攣を起こし生命活動を停止した。
これで何とかなったとやけにあっさりと終わってしまった気がする……。
これで本当に思うけれど終わったんだろうか。
「なぁ、おめぇこのばけもんの尻尾の蛇ってどうした?」
「……尻尾?」
「おぅ、尻尾がいつの間にかねぇんだわ……」
尻尾が無いという言葉に嫌な予感がして周りを警戒する。
何かあったら直ぐに動ける人間が一人はいた方が良い。
「ダートさんっ!後ろっ!」
……その時だった、ダートさんの後ろに尻尾の蛇が飛び上がり襲い掛かる。
咄嗟に彼女の前に出てかばおうとするけれど間に合うかわからない。
本体が死んでも生きているその生命力に異常種が異常種と言われる所以を見せられた気がした。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
赤き翼の万能屋―万能少女と出来損ない死霊術師の共同生活―
文海マヤ
ファンタジー
「代わりのない物なんてない。この世は代替品と上位互換に溢れてる」
万能屋。
猫探しから家の掃除や店番、果ては護衛や汚れ仕事まで、あらゆるものの代わりとなることを生業とするもの。
そして、その中でも最強と名高い一人――万能屋【赤翼】リタ・ランプシェード。
生家を焼かれた死霊術師、ジェイ・スペクターは、そんな彼女の下を訪ね、こう依頼する。
「今月いっぱい――陸の月が終わるまででいいんだ。僕のことを、守ってはくれないだろうか」
そうして始まる、二人の奇妙な共同生活。
出来損ないの死霊術師と最強の万能屋が繰り広げる、本格ファンタジー。
なろうに先行投稿中。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~
北きつね
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。
ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。
一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。
ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。
おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。
女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。
ノアズアーク 〜転生してもスーパーハードモードな俺の人生〜
こんくり
ファンタジー
27歳にして、今ゆっくりと死に向かう男がいる。
彼の人生は実にスーパーハードモードだった。
両親は早くに他界し、孤児院でイジメられ、やっと出れたと思えば余命宣告をされた。
彼は死に際に願う。
「来世は最強の魔法使いとか世界を救う勇者とかになりたいものだ。あ、あとハーレムも追加で。」と。
力尽きた彼が目を覚ますと、子供の体に転生していた。
転生は成功した。
しかし、願いは1つも叶わない。
魔術?厄災?ノア?
訳の分からないことばかりだ。
彼の2度目のスーパーハードモードな人生が始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる