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過去に遡って……
29話
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お母様がお父様の執務室に行きどれくらいの時間が経っただろうか。
何時までもここで待つのもどうかと思って、部屋を出てサイラスに声を掛けて戻ろうとしたけど
「……いないわね、お母様についていったのかしら」
しょうがないから一人で自分の部屋に戻ろうと思ったけど、お母様の事が気になるから執務室の方へと向かう。
その道中で使用人達にお母様が憑き物が落ちたかのような顔をしていたから、何があったのかと聞かれるけど、私が勝手に話すのも良くない。
「その事に関して後日、お父様から使用人であるあなた達に話があると思うから、少しだけ待ってて?」
とだけ答えて、これ以上話しかけられるのも面倒だから走って向かうと、ノックをする事すら忘れて執務室へと飛び込んで行く。
「……マリス、あなたどうしたの!?」
中に入るとお母様が驚いた表情を浮かべて、私の方を見る。
お父様は例の魔族に関する話を聞いて理解が追い付いていないようで、額に手を当てて椅子に座っていて、反応する余裕がないのか黙ってしまっていた。
この状況は良くないかもしれない、そう思い周囲を確認すると、近づいてくるサイラスと眼が合うと……
「……マリスお嬢様、今お二人は大事なお話をしているのでご自身のお部屋にて待機して頂けますか?」
「いや、構わないよ……これは私達ピュガトワール家の問題だからね、どちらかというと使用人である君が、私の執務室から出て与えられた部屋で待機していなさい」
「そういう訳にはいきません、私はアデレード様と共にこの領地に来た使用人です、マリスお嬢様の専属になったとしても、私が仕えるべき主人はアデレード様なのです」
「……もう一度言う、与えられた部屋で待機していなさい」
「断らせて頂きます、私の主人はピュガトワール領の領主、マリウス・ルイ・ピュルガトワール様ではなく、アデレード・レネ・ピュガトワールさ──」
私の前に立っていたサイラスが、床に吸い込まれるようにして消える。
自分の意見ばかり押し付ける彼に嫌気が差したお父様が空間魔法に使い、この場から追い出されたのかもしれないけど、そんな事をしてしまって大丈夫なのだろうか。
お母様がピュガトワール家に嫁ぐ際に、元の領地からついて来た使用人だから邪険な扱いをしてしまうのは良くない。
彼からあちらの領主にその事を知らされてしまった場合、信頼関係が失われ、お母様が連れていかれてしまうかもしれないし、その後の事を考えると言葉にする事自体が面倒な事になってしまう。
「……どうやら私は、使用人としての資格が無い者をマリウスの専属にしてしまったようだね」
「マリウス、ごめんなさい……私」
「いや、飢餓のリプカ……、あの魔族に関する事はもういい、あれに関しては私がアデレードの事を支えてあげる事が出来なかったのが問題だからね」
「え、あの……」
「行方不明になった娘を探そうと、屋敷の財産を使い様々な呪術の触媒を買い漁っている事を知って黙認していた私の責任でもあるからね、けど……よりにもよって取引相手が魔族だとはね」
お父様が再び額に手を当てて黙ってしまう。
存在しているだけで害を成し、関わる事すら禁じられている魔族。
関わるという事はこの世界共通の罪であり、もし私達以外の誰かに知られてしまった場合、ピュガトワール領は間違いなく滅ぼされてしまう筈。
「……あの使用人の事は、私の方で処理しておく」
「お、お父様?」
「マリウス……どうして?魔族と関わったのは私よ?」
「私はこの領地を守るべき立場ではあるが、それ以上に大事な家族を守りたいんだよ、それが大きな間違いを犯してしまった妻だとしても……側にいて欲しいと思ってしまうんだ、だから……アデレードが魔族との関わりがある事を知っている彼を、可愛そうだとは思うけど病を患い亡くなった事にするよ」
「お父様、そんな事をしたら……」
私が一番最初の人生で魔族と取引をした事を知った時も、お父様は同じように考えていたのだろうか。
こんなに家族を大事に思っている人を傷つけて、魔王になってしまった当時の私の事を思い出すと胸が締め付けられるような思いになる。
「分かっているよ、本来なら王都に赴き、王家に今回の事を報告しなければいけない……、けど私はアデレード、君を失いたくないんだ、君とマリス、そして亡くなった息子達や行方不明になった娘と過ごした日々を無くしたくない」
「……マリウス」
「だから、この事に関して、貴族として間違えた行動だと分かっているけど……君の事を許すよ、だからこの罪は二人で背負って行こう」
お母様の苦しみは私なんかでは想像も出来ない程のものだっただろうし、お父様の葛藤も理解をするのは難しい。
けど今は……それでいいのかもしれない、子供である私が決める事では無いし、本来なら許されてはいけない大罪を二人で背負うと決めたのなら、とやかく言う事では無い気がする。
「マリス……君には、今まで辛い思いをさせてしまったね」
「いえ、私はそこまで気にして無いから大丈夫よ?」
「それでもしっかりと謝りたいわ、あなたの事を考えずに私の考えを押し付けてばかりいて辛かったでしょう?」
「……お母様のそれはいつもの事だったので」
「……本当にごめんなさいマリス」
そんなに謝罪を繰り返されると、何て反応をすればいいのか分からなくなってしまう。
思う事が無いと言えば嘘になるけど、このやり直しの人生の中で私なりに反省するところや、こういう時にどうすればいいのかとか、様々な事を考える事ばかりで……。
正直今の私からしたら、人である以上は間違えはあって当然なのだから、自分の非に気付く事が出来たら、後はそれに対して気を付ければいいとしか言えない。
けど、未成年で……まだ幼い私がいきなりそんな大人びた事を言い出したら、死に戻りで人生をやり直しているという事情を理解しているお父様はともかく、何も知らないお母様は驚いてしまうだろう……
「……黙ってしまうのはしょうがないわよね、私も同じ立場だったら同じだったかもしれないわ」
「……え?お母様?」
「だから、私に罪滅ぼしとやり直すチャンスをくれないかしら」
「……アデレード、罪滅ぼしって何をする気だい?」
「私が追い出してしまった、マリスの元専属使用人がいたでしょう?その方に直接謝罪に行って、屋敷に戻って貰うわ、マリウス……そういう事だから明日、馬車を使って町に行かせて貰うわね?」
お母様はそう言葉にすると、ゆっくり近づいて来て……優しく私を抱きしめて再度、謝罪の言葉を呟く。
「……アデレード、それなら私も彼女に謝罪をしなければいけない事があるから、一緒に町に行かせてもらうよ」
「ダメよ、あなたはこの地を治める領主よ?上に立つべき生まれにあり、責任のある立場にある以上、お忍びでなら目を瞑るけど、正式な訪問でも無いのにいきなり訪れて平民に頭を下げるのは認めないわ、マリスもそう思うでしょう?」
「いや……、領主だからこそ、この地に生きる領民に対して誠実であるべきだと私は思う、だからしっかりと謝罪はしなければいけない、マリスは分かってくれるだろう?」
「いや、私を巻き込まないでくれるかしら?そういうのはお父様とお母様が話し合って決めてちょうだい、子供を巻き込んで味方を作ろうとされても、私からしたら迷惑だもの……取り合えず、話しは落ち着いたみたいだし私は部屋に戻らせてもらうわね」
言葉にイラっときてしまったのもあるけど、良くも悪くもお父様とお母様は似た者夫婦だと思う。
違いと言っても、貴族としての価値観だけで他の部分ではお互いに自分の意見をしっかりとぶつけあって喧嘩したり、冷静に話し合ったりと、そのタイミングもぴったりだし、現にこうやって言い争いをしている時も、長年連れ添った夫婦という印象と共に、対等な立場にあるライバル同士でもあるように見える。
そんな二人を見て、いちゃつくなら二人でやって欲しいと思いながら執務室を出ると、ステラが屋敷に戻ってくるかもしれないという事実に、心を躍らせ思わず笑顔がこぼれてしまった。
何時までもここで待つのもどうかと思って、部屋を出てサイラスに声を掛けて戻ろうとしたけど
「……いないわね、お母様についていったのかしら」
しょうがないから一人で自分の部屋に戻ろうと思ったけど、お母様の事が気になるから執務室の方へと向かう。
その道中で使用人達にお母様が憑き物が落ちたかのような顔をしていたから、何があったのかと聞かれるけど、私が勝手に話すのも良くない。
「その事に関して後日、お父様から使用人であるあなた達に話があると思うから、少しだけ待ってて?」
とだけ答えて、これ以上話しかけられるのも面倒だから走って向かうと、ノックをする事すら忘れて執務室へと飛び込んで行く。
「……マリス、あなたどうしたの!?」
中に入るとお母様が驚いた表情を浮かべて、私の方を見る。
お父様は例の魔族に関する話を聞いて理解が追い付いていないようで、額に手を当てて椅子に座っていて、反応する余裕がないのか黙ってしまっていた。
この状況は良くないかもしれない、そう思い周囲を確認すると、近づいてくるサイラスと眼が合うと……
「……マリスお嬢様、今お二人は大事なお話をしているのでご自身のお部屋にて待機して頂けますか?」
「いや、構わないよ……これは私達ピュガトワール家の問題だからね、どちらかというと使用人である君が、私の執務室から出て与えられた部屋で待機していなさい」
「そういう訳にはいきません、私はアデレード様と共にこの領地に来た使用人です、マリスお嬢様の専属になったとしても、私が仕えるべき主人はアデレード様なのです」
「……もう一度言う、与えられた部屋で待機していなさい」
「断らせて頂きます、私の主人はピュガトワール領の領主、マリウス・ルイ・ピュルガトワール様ではなく、アデレード・レネ・ピュガトワールさ──」
私の前に立っていたサイラスが、床に吸い込まれるようにして消える。
自分の意見ばかり押し付ける彼に嫌気が差したお父様が空間魔法に使い、この場から追い出されたのかもしれないけど、そんな事をしてしまって大丈夫なのだろうか。
お母様がピュガトワール家に嫁ぐ際に、元の領地からついて来た使用人だから邪険な扱いをしてしまうのは良くない。
彼からあちらの領主にその事を知らされてしまった場合、信頼関係が失われ、お母様が連れていかれてしまうかもしれないし、その後の事を考えると言葉にする事自体が面倒な事になってしまう。
「……どうやら私は、使用人としての資格が無い者をマリウスの専属にしてしまったようだね」
「マリウス、ごめんなさい……私」
「いや、飢餓のリプカ……、あの魔族に関する事はもういい、あれに関しては私がアデレードの事を支えてあげる事が出来なかったのが問題だからね」
「え、あの……」
「行方不明になった娘を探そうと、屋敷の財産を使い様々な呪術の触媒を買い漁っている事を知って黙認していた私の責任でもあるからね、けど……よりにもよって取引相手が魔族だとはね」
お父様が再び額に手を当てて黙ってしまう。
存在しているだけで害を成し、関わる事すら禁じられている魔族。
関わるという事はこの世界共通の罪であり、もし私達以外の誰かに知られてしまった場合、ピュガトワール領は間違いなく滅ぼされてしまう筈。
「……あの使用人の事は、私の方で処理しておく」
「お、お父様?」
「マリウス……どうして?魔族と関わったのは私よ?」
「私はこの領地を守るべき立場ではあるが、それ以上に大事な家族を守りたいんだよ、それが大きな間違いを犯してしまった妻だとしても……側にいて欲しいと思ってしまうんだ、だから……アデレードが魔族との関わりがある事を知っている彼を、可愛そうだとは思うけど病を患い亡くなった事にするよ」
「お父様、そんな事をしたら……」
私が一番最初の人生で魔族と取引をした事を知った時も、お父様は同じように考えていたのだろうか。
こんなに家族を大事に思っている人を傷つけて、魔王になってしまった当時の私の事を思い出すと胸が締め付けられるような思いになる。
「分かっているよ、本来なら王都に赴き、王家に今回の事を報告しなければいけない……、けど私はアデレード、君を失いたくないんだ、君とマリス、そして亡くなった息子達や行方不明になった娘と過ごした日々を無くしたくない」
「……マリウス」
「だから、この事に関して、貴族として間違えた行動だと分かっているけど……君の事を許すよ、だからこの罪は二人で背負って行こう」
お母様の苦しみは私なんかでは想像も出来ない程のものだっただろうし、お父様の葛藤も理解をするのは難しい。
けど今は……それでいいのかもしれない、子供である私が決める事では無いし、本来なら許されてはいけない大罪を二人で背負うと決めたのなら、とやかく言う事では無い気がする。
「マリス……君には、今まで辛い思いをさせてしまったね」
「いえ、私はそこまで気にして無いから大丈夫よ?」
「それでもしっかりと謝りたいわ、あなたの事を考えずに私の考えを押し付けてばかりいて辛かったでしょう?」
「……お母様のそれはいつもの事だったので」
「……本当にごめんなさいマリス」
そんなに謝罪を繰り返されると、何て反応をすればいいのか分からなくなってしまう。
思う事が無いと言えば嘘になるけど、このやり直しの人生の中で私なりに反省するところや、こういう時にどうすればいいのかとか、様々な事を考える事ばかりで……。
正直今の私からしたら、人である以上は間違えはあって当然なのだから、自分の非に気付く事が出来たら、後はそれに対して気を付ければいいとしか言えない。
けど、未成年で……まだ幼い私がいきなりそんな大人びた事を言い出したら、死に戻りで人生をやり直しているという事情を理解しているお父様はともかく、何も知らないお母様は驚いてしまうだろう……
「……黙ってしまうのはしょうがないわよね、私も同じ立場だったら同じだったかもしれないわ」
「……え?お母様?」
「だから、私に罪滅ぼしとやり直すチャンスをくれないかしら」
「……アデレード、罪滅ぼしって何をする気だい?」
「私が追い出してしまった、マリスの元専属使用人がいたでしょう?その方に直接謝罪に行って、屋敷に戻って貰うわ、マリウス……そういう事だから明日、馬車を使って町に行かせて貰うわね?」
お母様はそう言葉にすると、ゆっくり近づいて来て……優しく私を抱きしめて再度、謝罪の言葉を呟く。
「……アデレード、それなら私も彼女に謝罪をしなければいけない事があるから、一緒に町に行かせてもらうよ」
「ダメよ、あなたはこの地を治める領主よ?上に立つべき生まれにあり、責任のある立場にある以上、お忍びでなら目を瞑るけど、正式な訪問でも無いのにいきなり訪れて平民に頭を下げるのは認めないわ、マリスもそう思うでしょう?」
「いや……、領主だからこそ、この地に生きる領民に対して誠実であるべきだと私は思う、だからしっかりと謝罪はしなければいけない、マリスは分かってくれるだろう?」
「いや、私を巻き込まないでくれるかしら?そういうのはお父様とお母様が話し合って決めてちょうだい、子供を巻き込んで味方を作ろうとされても、私からしたら迷惑だもの……取り合えず、話しは落ち着いたみたいだし私は部屋に戻らせてもらうわね」
言葉にイラっときてしまったのもあるけど、良くも悪くもお父様とお母様は似た者夫婦だと思う。
違いと言っても、貴族としての価値観だけで他の部分ではお互いに自分の意見をしっかりとぶつけあって喧嘩したり、冷静に話し合ったりと、そのタイミングもぴったりだし、現にこうやって言い争いをしている時も、長年連れ添った夫婦という印象と共に、対等な立場にあるライバル同士でもあるように見える。
そんな二人を見て、いちゃつくなら二人でやって欲しいと思いながら執務室を出ると、ステラが屋敷に戻ってくるかもしれないという事実に、心を躍らせ思わず笑顔がこぼれてしまった。
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