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第一章 目覚めたらそこは……
2話 新たに目覚めた二人と現状の説明
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他の兄姉が何時起きるか分からない以上、今の私にどれ程の能力があるのか何処かしらで確認しなければならないだろう。
過去の大戦からどれ程の時が過ぎたのか分からない以上、もし今の時代が平和だった場合過剰すぎる力を持っていた場合、能力が当時のままだったら私達の存在は危険そのものだ。
「ミコト、聞きたい事があるのだが良いか?」
「ん?兄貴どうしたの?」
「……街に行った事あると言っていたが、この時代をどう感じた?」
「感じ立って言われても人族達や魔族……、それに羽を隠している天族達が沢山いたけどどうしたの?」
「いや、私達が街に降りた場合の事を考えて居る……、平和な時代に私達のような存在がいるのは危険だと思ってな」
ミコトの今の言葉から考えると、どうやら今の時代は複数の人種が平和に暮らしているという事になる。
特に魔族となると、種族によっては人型の生命体を食料にしたり、繁殖の為の道具として相手の身体に自身の一部を植え付ける事で対象の肉体を徐々に作り変えたり、体内に直接卵を植え付ける事で個体数を増やしていく寄生型と、相容れる事が難しい存在もいた筈だ。
そう思うと食生活に関してはこの世界と然程変わらない天族はまだ、共存出来るのは分かるが……、魔族とどうやって上手く付き合う事が出来たのか理解が出来ない。
「そんなの街に行ってみないと分からないじゃない?兄貴は難しく考え過ぎだよ」
「……そうか」
「そうだよ、冒険者ギルド周辺には普通に武装している人達もいたし、私達みたいに戦える存在はまだ必要な時代だと思うよ?」
「ならいいのだが……、ん?」
「兄貴も気付いた?」
この気配は、まだ眠っている四人の内二人が目を覚ますようだ。
視線を送ると……、ダークブラウンの長い髪に血のように赤い瞳を持つ長女【破壊の天使】セスカ、そして黒い瞳に黒い髪を持ち長い髪を左右で三つ編みにしている侍女【無の天使】セツナの二人がゆっくりと起き上がる。
この二人は双子の姉妹として生を受け、名前もそれに合わせて最初の名前の文字を同じにしたらしいが、正直名前を呼ぶ時に最初の【セ】の部分で二人が振り向いてしまう為呼び辛い。
家族からは考え過ぎだと言われはしたけど、どうしても気になってしまう。
「姉さん達も起きたんだねっ!」
「……あなた達ここは?私達はどうして?」
「……」
「それに関しては私から説明しよう……、実は――」
目覚めた時にミコトから教わった事をそのまま説明する。
すると、やはりセスカも同じ所で記憶が欠落していたようで、驚いた顔をしていたが直ぐに現状を理解出来たようで……
「話は分かったけど、街に出て冒険者になるのに弟達が起きるのを待つ必要がある?ねぇセツナもそう思うでしょ?」
「……」
「セツナ?どうしたの?」
「セツ姉……?」
「どうした?」
先程からセツナが一言も喋らずに私達の方を表情を動かす事無く見ている。
彼女の感情が表に出辛いのはいつもの事だから気にはしてなかったが、どうやらそれとは違うみたいで、時折口を動かしながら息を吐き出す仕草を繰り返す。
「……もしや、声が出せないのか?」
「……」
「それならあれが使えると思うけど?」
「えぇ?私あれを使うの苦手なんだけど、頭の中に直接声が聞こえてくるの嫌だけど……、セツ姉がこういう状況なら我慢する」
(……あり、がとう)
天族は血の繋がりのある家族間であれば、距離を気にする事無く脳内で会話が出来る。
この世界でいう所の魔力が血を通して繋がっているから可能な能力なのだが……、やろうと思えば相手の視た者や聞いた内容すら共有できる、ただお互いのプライバシーを無視してしまう為に必要な時以外は使わないのが暗黙の了解だ。
「もうセツ姉、それなら最初から言ってくれた良かったのに……」
(……許可もないのに、いきなり頭の中に声が届くのミコトちゃん嫌でしょ?)
「……うん」
(リーゼちゃんもあんまり良い顔しないから……)
「それとこれとは別だ、必要な事なら使うべきだろう?」
兄弟姉妹の中で一番心優しい、そんな戦闘に向かない無表情な次女の気持ちを考えると、確かに本人からしたら必要な気遣いだったのかもしれない。
「で……、あなた達は後の二人が起きるのを待ってから街に行くつもり?」
「私と兄貴はそのつもりだけど……、セス姉達はどうなの?」
(……二人を置いて行くのはかわいそうだと思うから私は待ちたい)
「動くなら全員で行動した方が安全だと思うが?」
「……ならそうしようかしらね、こういう時に単独行動は危険だもの」
取り合えずこれからの行動は決まったとはいえ、残りの二人が何時起きのか分からない以上は当面の食糧事情をどうするかだろう。
目を覚まして生命活動を再開した以上は、食事を取らなければ何れ動けなくなりそのまま死んだら次に目覚めるのは何時の事か……。
「ミコト……、貴様は確か私達よりも一ヶ月早く目覚めたと言っていたな?」
「ん?そうだけど……、どうかしたの?兄貴」
「その間の食料はどうしていた?」
「あぁ、その事かぁ、普通に街に降りて買ってたよ?何か知らないけど怪我をしている人を治すだけで、【治癒術】がどうのこうのってお礼を言いながら、この時代の通貨をお礼としてくれるんだけど、それを使って食べ物を買ってここに持ち帰って食べてたかな……、あっ!皆が何時起きてもいいように全員分いつも買ってたからお腹空いてるなら大丈夫だからねっ!……洞窟の奥がひんやりしてるから保存するのに丁度良かったんだよね、今持ってくるから」
……そう言ってミコトが笑顔で洞窟の奥に歩いて行く。
それに合わせたかのように、残りの二人が眼を開いてゆっくりと身体を起き上がらせると、セスカ達のようにこの状況の説明を求めるかのようにこっちを見て来る。
何度も説明するのは正直めんどくさいのだが……、こればっかりはしょうがないと思いながら現状を二人に伝えるのだった。
過去の大戦からどれ程の時が過ぎたのか分からない以上、もし今の時代が平和だった場合過剰すぎる力を持っていた場合、能力が当時のままだったら私達の存在は危険そのものだ。
「ミコト、聞きたい事があるのだが良いか?」
「ん?兄貴どうしたの?」
「……街に行った事あると言っていたが、この時代をどう感じた?」
「感じ立って言われても人族達や魔族……、それに羽を隠している天族達が沢山いたけどどうしたの?」
「いや、私達が街に降りた場合の事を考えて居る……、平和な時代に私達のような存在がいるのは危険だと思ってな」
ミコトの今の言葉から考えると、どうやら今の時代は複数の人種が平和に暮らしているという事になる。
特に魔族となると、種族によっては人型の生命体を食料にしたり、繁殖の為の道具として相手の身体に自身の一部を植え付ける事で対象の肉体を徐々に作り変えたり、体内に直接卵を植え付ける事で個体数を増やしていく寄生型と、相容れる事が難しい存在もいた筈だ。
そう思うと食生活に関してはこの世界と然程変わらない天族はまだ、共存出来るのは分かるが……、魔族とどうやって上手く付き合う事が出来たのか理解が出来ない。
「そんなの街に行ってみないと分からないじゃない?兄貴は難しく考え過ぎだよ」
「……そうか」
「そうだよ、冒険者ギルド周辺には普通に武装している人達もいたし、私達みたいに戦える存在はまだ必要な時代だと思うよ?」
「ならいいのだが……、ん?」
「兄貴も気付いた?」
この気配は、まだ眠っている四人の内二人が目を覚ますようだ。
視線を送ると……、ダークブラウンの長い髪に血のように赤い瞳を持つ長女【破壊の天使】セスカ、そして黒い瞳に黒い髪を持ち長い髪を左右で三つ編みにしている侍女【無の天使】セツナの二人がゆっくりと起き上がる。
この二人は双子の姉妹として生を受け、名前もそれに合わせて最初の名前の文字を同じにしたらしいが、正直名前を呼ぶ時に最初の【セ】の部分で二人が振り向いてしまう為呼び辛い。
家族からは考え過ぎだと言われはしたけど、どうしても気になってしまう。
「姉さん達も起きたんだねっ!」
「……あなた達ここは?私達はどうして?」
「……」
「それに関しては私から説明しよう……、実は――」
目覚めた時にミコトから教わった事をそのまま説明する。
すると、やはりセスカも同じ所で記憶が欠落していたようで、驚いた顔をしていたが直ぐに現状を理解出来たようで……
「話は分かったけど、街に出て冒険者になるのに弟達が起きるのを待つ必要がある?ねぇセツナもそう思うでしょ?」
「……」
「セツナ?どうしたの?」
「セツ姉……?」
「どうした?」
先程からセツナが一言も喋らずに私達の方を表情を動かす事無く見ている。
彼女の感情が表に出辛いのはいつもの事だから気にはしてなかったが、どうやらそれとは違うみたいで、時折口を動かしながら息を吐き出す仕草を繰り返す。
「……もしや、声が出せないのか?」
「……」
「それならあれが使えると思うけど?」
「えぇ?私あれを使うの苦手なんだけど、頭の中に直接声が聞こえてくるの嫌だけど……、セツ姉がこういう状況なら我慢する」
(……あり、がとう)
天族は血の繋がりのある家族間であれば、距離を気にする事無く脳内で会話が出来る。
この世界でいう所の魔力が血を通して繋がっているから可能な能力なのだが……、やろうと思えば相手の視た者や聞いた内容すら共有できる、ただお互いのプライバシーを無視してしまう為に必要な時以外は使わないのが暗黙の了解だ。
「もうセツ姉、それなら最初から言ってくれた良かったのに……」
(……許可もないのに、いきなり頭の中に声が届くのミコトちゃん嫌でしょ?)
「……うん」
(リーゼちゃんもあんまり良い顔しないから……)
「それとこれとは別だ、必要な事なら使うべきだろう?」
兄弟姉妹の中で一番心優しい、そんな戦闘に向かない無表情な次女の気持ちを考えると、確かに本人からしたら必要な気遣いだったのかもしれない。
「で……、あなた達は後の二人が起きるのを待ってから街に行くつもり?」
「私と兄貴はそのつもりだけど……、セス姉達はどうなの?」
(……二人を置いて行くのはかわいそうだと思うから私は待ちたい)
「動くなら全員で行動した方が安全だと思うが?」
「……ならそうしようかしらね、こういう時に単独行動は危険だもの」
取り合えずこれからの行動は決まったとはいえ、残りの二人が何時起きのか分からない以上は当面の食糧事情をどうするかだろう。
目を覚まして生命活動を再開した以上は、食事を取らなければ何れ動けなくなりそのまま死んだら次に目覚めるのは何時の事か……。
「ミコト……、貴様は確か私達よりも一ヶ月早く目覚めたと言っていたな?」
「ん?そうだけど……、どうかしたの?兄貴」
「その間の食料はどうしていた?」
「あぁ、その事かぁ、普通に街に降りて買ってたよ?何か知らないけど怪我をしている人を治すだけで、【治癒術】がどうのこうのってお礼を言いながら、この時代の通貨をお礼としてくれるんだけど、それを使って食べ物を買ってここに持ち帰って食べてたかな……、あっ!皆が何時起きてもいいように全員分いつも買ってたからお腹空いてるなら大丈夫だからねっ!……洞窟の奥がひんやりしてるから保存するのに丁度良かったんだよね、今持ってくるから」
……そう言ってミコトが笑顔で洞窟の奥に歩いて行く。
それに合わせたかのように、残りの二人が眼を開いてゆっくりと身体を起き上がらせると、セスカ達のようにこの状況の説明を求めるかのようにこっちを見て来る。
何度も説明するのは正直めんどくさいのだが……、こればっかりはしょうがないと思いながら現状を二人に伝えるのだった。
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