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不器用な初恋のその後
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しおりを挟む見つめあった時間はとても短くて。
天王寺の整った顔が近づいてきて、ましろは目を閉じた。
「ん……、」
もう何度もしたのに、吐息が触れただけでドキドキしてしまう。
深く求められて、控えめに舌を差し出す。
ちゅう、と音を立てて吸われると気持ちがよくて、ひくんと腰が震えてしまうのが恥ずかしい。
「ふぁ、ち…さま、んん、」
口づけに夢中になっている間に、手際よく服を脱がされてしまう。
気付けば、身につけているのは天王寺が結んでくれたリボンだけ、という状態になっていた。
ただの裸より恥ずかしい…と思うのは、気のせいではないと思う。
「あの、リボン…は、ほどかない…のですか…?」
「折角のラッピングだ。そのままでいろ」
「あっ……でも、汚し、ちゃ…、」
「好きなだけ汚していい」
「ぅ……、」
耳元で甘く囁かれては、ひくんと揺れた先端から先走りがつたい、布地の色を濃くした。
このままにしていたらもっとひどいことになりそうだが、天王寺が解きたくなるまで、このままのようだ。
それから、ベッドに転がされ、じっと全身を見られている。
天王寺に見られていると思うと、殊更身体が火照ってしまって、とても恥ずかしい。
あまり見ないでほしいと懇願しようとした時、するりと伸びてきた手が、赤く染まる頬を優しく撫でた。
「今まで生きてきた中で、一番嬉しい贈り物だ」
そんなことを言われたら、何も言えなくなってしまう。
ましろは酒に酔ったような心地で、そっと天王寺の指に指を絡めた。
「…私も、ちー様がほしいです」
「それは難しいな」
「え……そ、そう、ですか……」
あっさりと断られてしまい、ましろはしゅんと眉を下げる。
天王寺の優しさに甘えすぎてしまっただろうか。
だが、天王寺はすぐに、そういう意味ではないと教えてくれた。
「俺はもうとっくにお前のものだからな」
「そんな……だったら、私もずっとちー様のものです」
少しむきになって宣言してから、はっとする。
「でも、そうしたらクリスマスプレゼントがなくなってしまいます。ど、どうしましょう…」
おろおろするましろに、天王寺は「好きなものは、何度もらっても嬉しいだろ」と苦笑した。
「この先プレゼントはずっとお前でいい」
「ちー様…」
私も、と主張すると、天王寺は可笑しげに「それは経済的だな」と笑って、再びましろの唇を塞いだ。
ましろの吐息が乱れるまで口づけた後、天王寺の唇は首筋を辿り、鎖骨へと辿り着いて、白い肌を強く吸った。
「あっ……、んっ、あ、痕……」
「嫌か?」
「違、…もっと、欲し…です、」
「欲しがりだな」
天王寺のくれるものは、何でも嬉しいし、子供のようにもっと欲しいと思ってしまう。
快楽も…けれど、そんな欲深さを、天王寺は嫌になったりしないだろうか?
「はしたない…ですか?」
不安になっておずおずと訊ねる。
心配は杞憂だったようで、「もっと欲しがれ」と胸先近くを吸われて、喜びと、そしてもっと直接的な場所を吸ってほしいというじれったさの混じる甘ったるい声が出てしまった。
「ぁ……ちぃ、さま……、」
「もっと欲しいのか?」
「ん……はい、いっぱい、して……」
天王寺に、もっとたくさん愛してほしくて、思いを込めて見上げた。
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