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しおりを挟む「はっ、…ぁ、…っ…」
刺激が強過ぎたのか、絶頂の余韻が長く続く。
呆然と荒い呼吸を繰り返していると、御薙が冬耶の足を掴み、腰を抱え直した。
「…いいか?」
欲望に掠れた声で聞かれても、霞んだ頭は何を聞かれているのか中々認識しない。
冬耶は、ただぼんやりと滲んだ視界で御薙を見上げた。
よくわからないが、自分ばかり気持ちよくなっているのが、何だか釈然としない。
「…ゃ、です…」
「え…」
「…俺ばっかり、気持ちいいの…、や、だから、…大和、さんも、…もっと」
「っ………、」
妙な間があり、足と腰を掴む手の力が強くなる。
「…お前って奴は…っ、」
唸るように言った御薙は、腰を押し込んだ。
「あっ……!?」
ずぶ、と冬耶の中に熱い塊が挿入ってくる。
粘膜が灼けつきそうな錯覚を覚えて、冬耶は身を捩った。
「ぅんっ…、っは、…やまと、さ……っ」
「ったく、乱暴にしないようにとか気ィ遣ってんのに、いつもいつも端から理性を奪っていきやがって…っ」
「ゃ、はぅ、あっ、んん…っ」
「…く、もうちょい、緩めろ。無理やり押し込みたくねえ」
「っあっ…、う、ゃ、できな…、」
言われても、冬耶の身体はもはや冬耶の支配下にない。
気にしなくていいから、御薙のしたいようにして欲しいと切れ切れに伝える。
冬耶の内部は、それでも柔軟に御薙を受け入れた。
折り曲げられた身体に、御薙の腰が何度も打ち付けられる。
「…はっ…、くそ、二回目なのに、全ッ然、余裕ねえな…っ」
「あ!っん、…っふぁ、はげし、あっ、あっ!」
もはや、どこがどう刺激されて気持ちがいいのかもわからない。
冬耶は箍が外れてしまったように、ただ御薙と抱き合うことに夢中になっていた。
羞恥心が、今は遠いところにある。
ぎゅっと抱きつくと、逞しい腕が抱き締め返してくれた。
その力強さに、心の底から安堵するような感覚を覚える。
「(……ああ、そうか)」
俺は、この人のことを、好きになっていいんだ。
孤独な子供の憧れとしてではなく、キャストの真冬の片想いとしてでもなく、ただの平坂冬耶の初恋として。
御薙を好きで、好きだと言って、こうして抱き合うことに何の禁忌もないんだ。
御薙は何度もそれでいいと言ってくれていたけれど、今ようやく、実感できた。
実感できたことがなんだかとても嬉しくて、涙がこぼれそうになる。
「…冬耶?」
顔を覗き込んだ御薙が、心配そうに眉を寄せたのがわかった。
涙で視界が滲んでも、どんな表情をしているのか想像できてしまう。
「すき…です」
愛しさが、自然と零れ落ちた。
「大和さんが、すき…、」
「……!冬耶…っ」
「んんっ…!」
噛みつくようにして御薙が唇を重ねてくる。
入り込んできた舌に、冬耶も自然と舌を絡めた。
こんなに繋がっているのにまだ足りない気がして、広い背中もぎゅっと抱き締める。
夢中で縋ることに、不思議な既視感があった。
もしかして、酒を飲みすぎて失った記憶だろうか。
だが、一瞬浮かんだそれらも、激しい抽挿にかき消された。
「ゃ、あっ…!だめ、きもちい…っ、」
「っお前、ほんと可愛いな…、」
「ひぅ、や、まとさ……っ、も、おれ、」
「は、…っ、もっとお前とこうしててぇが、俺も、限界だ、」
御薙が自分の中で快感を得てくれていることが嬉しい。
「んっ……、やまとさん…、も、い、いっしょ…に…っ」
促すように冬耶も腰を揺らすと、ぐっと御薙の身体が強張る。
何度か強く打ち付けられて、冬耶も限界を迎えた。
「冬耶…っ」
「あっ!あ……っ、あぁ……っ!」
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