TSですが、ワンナイトした極道が責任をとるとか言いだして困っています

イワキヒロチカ

文字の大きさ
上 下
72 / 85

72

しおりを挟む

「はっ、…ぁ、…っ…」
 刺激が強過ぎたのか、絶頂の余韻が長く続く。
 呆然と荒い呼吸を繰り返していると、御薙が冬耶の足を掴み、腰を抱え直した。
「…いいか?」
 欲望に掠れた声で聞かれても、霞んだ頭は何を聞かれているのか中々認識しない。
 冬耶は、ただぼんやりと滲んだ視界で御薙を見上げた。

 よくわからないが、自分ばかり気持ちよくなっているのが、何だか釈然としない。

「…ゃ、です…」
「え…」
「…俺ばっかり、気持ちいいの…、や、だから、…大和、さんも、…もっと」
「っ………、」
 妙な間があり、足と腰を掴む手の力が強くなる。

「…お前って奴は…っ、」

 唸るように言った御薙は、腰を押し込んだ。
「あっ……!?」
 ずぶ、と冬耶の中に熱い塊が挿入ってくる。
 粘膜が灼けつきそうな錯覚を覚えて、冬耶は身を捩った。
「ぅんっ…、っは、…やまと、さ……っ」
「ったく、乱暴にしないようにとか気ィ遣ってんのに、いつもいつも端から理性を奪っていきやがって…っ」
「ゃ、はぅ、あっ、んん…っ」 
「…く、もうちょい、緩めろ。無理やり押し込みたくねえ」
「っあっ…、う、ゃ、できな…、」
 言われても、冬耶の身体はもはや冬耶の支配下にない。
 気にしなくていいから、御薙のしたいようにして欲しいと切れ切れに伝える。

 冬耶の内部は、それでも柔軟に御薙を受け入れた。
 折り曲げられた身体に、御薙の腰が何度も打ち付けられる。
「…はっ…、くそ、二回目なのに、全ッ然、余裕ねえな…っ」
「あ!っん、…っふぁ、はげし、あっ、あっ!」
 もはや、どこがどう刺激されて気持ちがいいのかもわからない。
 冬耶は箍が外れてしまったように、ただ御薙と抱き合うことに夢中になっていた。
 羞恥心が、今は遠いところにある。
 ぎゅっと抱きつくと、逞しい腕が抱き締め返してくれた。
 その力強さに、心の底から安堵するような感覚を覚える。

「(……ああ、そうか)」

 俺は、この人のことを、好きになっていいんだ。
 孤独な子供の憧れとしてではなく、キャストの真冬の片想いとしてでもなく、ただの平坂冬耶の初恋として。
 御薙を好きで、好きだと言って、こうして抱き合うことに何の禁忌もないんだ。

 御薙は何度もそれでいいと言ってくれていたけれど、今ようやく、実感できた。
 実感できたことがなんだかとても嬉しくて、涙がこぼれそうになる。
「…冬耶?」
 顔を覗き込んだ御薙が、心配そうに眉を寄せたのがわかった。
 涙で視界が滲んでも、どんな表情をしているのか想像できてしまう。

「すき…です」

 愛しさが、自然と零れ落ちた。
「大和さんが、すき…、」
「……!冬耶…っ」
「んんっ…!」
 噛みつくようにして御薙が唇を重ねてくる。
 入り込んできた舌に、冬耶も自然と舌を絡めた。
 こんなに繋がっているのにまだ足りない気がして、広い背中もぎゅっと抱き締める。

 夢中で縋ることに、不思議な既視感があった。
 もしかして、酒を飲みすぎて失った記憶だろうか。

 だが、一瞬浮かんだそれらも、激しい抽挿にかき消された。
「ゃ、あっ…!だめ、きもちい…っ、」
「っお前、ほんと可愛いな…、」
「ひぅ、や、まとさ……っ、も、おれ、」
「は、…っ、もっとお前とこうしててぇが、俺も、限界だ、」
 御薙が自分の中で快感を得てくれていることが嬉しい。
「んっ……、やまとさん…、も、い、いっしょ…に…っ」
 促すように冬耶も腰を揺らすと、ぐっと御薙の身体が強張る。
 何度か強く打ち付けられて、冬耶も限界を迎えた。

「冬耶…っ」
「あっ!あ……っ、あぁ……っ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました

葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー 最悪な展開からの運命的な出会い 年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。 そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。 人生最悪の展開、と思ったけれど。 思いがけずに運命的な出会いをしました。

パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。 補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。 しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。 そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。 「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」  ルーナの旅は始まったばかり!  第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています!

あああ
BL
おれはには双子の弟がいる。 かわいいかわいい弟…だが、中学になると不良になってしまった。まぁ、それはいい。(泣き) けれど… 高校になると───もっとキャラが変わってしまった。それは─── 「もう、お兄ちゃん何してるの?死んじゃえ☆」 ブリッコキャラだった!!どういうこと!? 弟「──────ほんと、兄貴は可愛いよな。 ───────誰にも渡さねぇ。」 弟×兄、弟がヤンデレの物語です。 この作品はpixivにも記載されています。

再び大地(フィールド)に立つために 〜中学二年、病との闘いを〜

長岡更紗
ライト文芸
島田颯斗はサッカー選手を目指す、普通の中学二年生。 しかし突然 病に襲われ、家族と離れて一人で入院することに。 中学二年生という多感な時期の殆どを病院で過ごした少年の、闘病の熾烈さと人との触れ合いを描いた、リアルを追求した物語です。 ※闘病中の方、またその家族の方には辛い思いをさせる表現が混ざるかもしれません。了承出来ない方はブラウザバックお願いします。 ※小説家になろうにて重複投稿しています。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

処理中です...